172 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/06/21(木) 03:29:08 ID:sDfpGc5Q
以前、ある新ジャンルに投下した姉がキ印なので、こっちに再投下して良い?
続きも勿論、用意する。
以下、その姉↓
俺の部屋には姉がいる。
姉「大丈夫? 宿題一人で出来る? お姉ちゃんが教えてあげようか?」
弟「大丈夫だよ。分からなくなったら俺から聞くから」
姉「あ、うん。分かった。じゃあ外にいるね」
遠慮して自分の部屋さえ持たない姉がいる。
弟「いいよ、またずっと廊下で待つつもりでしょ」
姉「でも……弟君の勉強の邪魔したくないし」
弟「外にも出かけないならここにいていいから。ね?」
姉「あ……うん」
俺の部屋には姉がいる。屋根のあるところにいさせてもらうだけでも遠慮する、バカな姉がいる。
177 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/06/21(木) 18:23:50 ID:VB55V6X/
>>174
その書き溜めたもの
俺の家には居候の姉がいる。
姉「あ、それじゃ、ごちそうさまです」
弟「姉ちゃん。俺、今日バイトで遅いから先にお風呂入ってて」
姉「うん」
そんなこと言って、絶対に俺や両親よりも先に入らない姉。
姉「じゃあおじさんおばさん、学校行ってきます」
俺よりも両親と長く住んでるのに、未だに敬語が抜けない姉。
姉「じゃあ行ってくるね。弟君」
弟「ああ」
俺の家には姉がいる。ずっと居候みたいに縮こまってる姉がいる。
178 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/06/21(木) 18:24:45 ID:VB55V6X/
姉は俺にいつも優しい。
姉「はい、弟君」
弟「なんだよこの服」
姉「プレゼントだよ」
弟「……」
姉「どうしたの? 変で嫌だった?」
弟「いや、そうじゃなくて。いい加減、自分の為にお金使いなよ。いつもいつも買ってくれるのは嬉しいけどさ」
ろくすっぽ友達と遊ばずに、姉は俺のご機嫌取りにばかりお金を使う。
姉「あ、ごめんね。じゃあそれ、返品して違うの買うから」
弟「だから、もっと遊びの為に使いなよ。姉ちゃんだって友達いるだろ? 彼氏とかもs
姉「別にっ」
弟「え?」
姉「別に……私はそういうのいいから。弟君が喜んでくれるなら……」
そういって姉はいつも俺に何かをくれる。
179 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/06/21(木) 18:26:48 ID:VB55V6X/
俺と姉の関係を一言で表すなら、平行線が妥当だろう。
姉「弟君。お腹空いてない? 今、何か作ってあg
弟「いいよ姉ちゃん。なんでそんな俺に構うんだよ」
姉「え……あ……ご、ごめんね……ごめんねごめんねごめんね。ねえ許して弟君。邪魔だったらはっきり邪魔だっていいから。そしたらお姉ちゃん消えるから。
だからごめんね。許して弟君。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
そうやって姉はいつまでも頭を上げない。
怒りなんてもうとっくになくなっているのに、姉はずっと「ごめんなさい」と繰り返した。
180 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/06/21(木) 18:28:56 ID:VB55V6X/
俺は地元の高校に通っている。
弟「じゃあ行ってくるね」
姉「行ってらっしゃい弟君……やっぱり、途中までお姉ちゃんついていk
弟「いいよ。もう高校生なんだし」
姉は大学進学を勧める両親の話を丁重に断り、地元の中小企業に勤めている。
姉「じゃあ、あの、良かったら帰りに夕ご飯の材料買うから……その」
弟「荷物持ちね。分かった。いつものスーパーね」
律儀に食費まで入れている姉は、やはり俺に荷物持ちなんてさせない。
弟「じゃあ、行ってくるね」
姉「うん。行ってらっしゃい」
181 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/06/21(木) 18:30:15 ID:VB55V6X/
高校では俺は変人だ。
弟「おはよう」
女「あ、おはよう。今朝はお姉さん、いなかったね」
俺「ああ」
女「……ねえ、やっぱりちゃんと嫌なら嫌だってちゃんと言ったほうが良いと私は思うな。弟君も迷惑n
俺「迷惑とは思ってないよ。ただいい加減、あんな肩肘張った生活しなくて良いと思ってる」
女「でもさ、なんかちょっとあそこまでいくと気持ち悪くない? 時々、ちょっと頭おかしいんじゃないかって」
俺「悪口ならそこまでにしてくれないか?」
女「……ごめんなさい」
俺は高校では変人だ。変な姉をかばう変な弟だ。
182 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/06/21(木) 18:31:24 ID:VB55V6X/
スーパーでの待ち合わせは長年続いてるものだ。
タタタ
姉「弟君」
弟「わりぃ姉ちゃん。なかなかダチが離してくれなくてさ。待ったろ?」
姉「ううん。大丈夫だよ。さ、入ろう」
姉は中学に入ると、自分から家の手伝いをするようになった。まるでそうしないと自分の居場所がなくなるように。
姉「お菓子とかいる? 何でも好きなもの買ってあげるから」
弟「いいよ。これ以上食ったら太る」
母がそこまでしなくて良いというのに、姉は自分の居場所を守り続けた。
姉「今日は弟君の好きなもの作るね」
もう、そんなことしなくても居場所なんてとっくにあるというのに。
183 名前:名無しさん@ピンキー[] 投稿日:2007/06/21(木) 18:32:47 ID:VB55V6X/
俺の趣味はクレーンゲームだ。
ゲーセン
弟「よっ、と。よし、取れた」
姉「わぁ。やっぱり上手だね、弟君」
弟「ほら。これ」
姉「え……いいの?」
弟「ああ」
俺からのプレゼントはよっぽどのことじゃないと受け取らない姉の、唯一受け取ってくれるもの。
姉「ありがとう。大切にするね」
姉はすごく嬉しそうだった。たかが100円のプレゼントに姉はすごく喜んでいた。
212 名前:>>172の[sage] 投稿日:2007/06/21(木) 23:55:59 ID:VB55V6X/
蒸し暑さだけが漂う残暑。俺はクーラーもついてない部屋で一人、長期休暇の課題に取り組んでいた。
これでも真面目な性格が幸いしてか、友人連中に助けを求めるような真似はしないで済んでいる。数学の教師が
出してきた殺人的な量の問題冊子も、今日明日で目処がつくところまできていた。
ここで訂正、このクーラーも数日前に壊れて地獄と化している部屋には俺以外のもう一人の住人がいる。
「あの、宿題大丈夫……? よかったら、その、お姉ちゃんが見てあげようか?」
俺の部屋には姉がいる。姉弟なのだから当然なのだろうけれど、社会人の姉に高校生の弟が各々、別々の部屋も
持たずに一つの部屋を使用しているのは驚くどころか奇異の目で見られるだろう。確かに両親は一般人ではあるけ
れども、個々の時間の所有を訴える時期をとっくに迎えてる子供二人に部屋を与えられない程度の経済状況でもな
いし、そこら辺の一般的な感覚を有していることは長男の俺が保障する。
話を戻そう。とにかく、“俺の部屋”に姉がいるのだ。
俺は姉の問いに首を横に振ると、「分からなくなったら聞くから」と付け足しておく。そうでもしないと姉はす
ぐに、
「あ、うん、分かった……じゃあ、お姉ちゃんは外に出てるね」
こんなことを言い出すのだ。
「いや、いいって。また廊下で待つつもりでしょ?」
振り向く俺に姉はおずおずと頷く。そう、姉は曰く、弟の邪魔をしないように廊下でおとなしく待つ、なんてこ
とをする。一度、どうしてそんなことを、と問い質したら、盛大に泣きつかれたのは記憶に新しい。
ごめんね。お姉ちゃんやっぱり邪魔だよね? こんなお姉ちゃんいらないよね? 弟くんの邪魔しないように一生
懸命やってるけど、でも出来なくてごめんね? やっぱり弟くんにとってお姉ちゃんなんていらないよね? お姉ち
ゃん弟くんの為を思ってやってるけど、でも私って気が利かなくて馬鹿だし邪魔だし、こんなのいらないよね?
弟くんのお姉ちゃんでいる事自体間違ってるよね、ごめんね、ごめんね、本当に、イライラしたらお姉ちゃんぶっ
たって殴ったって良いからね? それで弟くんの気が済むんならどんなにしたっていいからね? だから、そのね、
もう少し、お姉ちゃんをここに置いて欲しいな? ね? ね?
俺の部屋には姉がいる。屋根のあるところにいさせてもらうだけでも遠慮する姉がいる。
220 名前:>>177の[sage] 投稿日:2007/06/22(金) 01:29:22 ID:NmC4o+JB
少しだけ慌しい朝食の時間。今のご時世には珍しく、家族揃って食事を摂る我が家は実に和やかなものだ。家族
の誰それがこんなことをした。隣家の奥さんからこんな噂を聞いた。まるでサザエさんのような光景は俺の中では
当然になっており、先日、その様子を長年の友人に話したところ目を丸くしたのはまた別の話だ。
「ごちそうさまです」
談笑の中にあって一人、手を合わせて食事の終了を知らせる姉に俺は目を向ける。なぜだか、毎回のように家族
の誰よりも早く食事を終える彼女は、エプロンを着け直すと一人、流し場で洗い物を済ましてしまう。
「それじゃあお父さん、お母さん。行って来ます」
エプロンを外した姉は、両親の返事もそこそこにいそいそと玄関の方へと行ってしまう。姉はあまり態度に出さ
ないが、親を避けている節がある。初めこそ、ありえないことだが親を嫌っているのかもと考えた。しかし、長年
姉の様子を見るにそれはやはり間違いだと気づく。姉はまるで自分がこの場にいることが失礼だと、自分に言い聞
かせるように両親と接していた。自分の存在を恥じるように、すまなそうに人生をそう過ごしていた。
果たしてそんな行動にどんな意味があるのか、俺にはさっぱり理解できない。だからといって俺には全く別の態
度を取る。今も姉の去った台所には一つの弁当が置かれている。もちろん、姉が作った俺の弁当だ。
「ごちそうさま」
いい加減、俺もこれ以上のんびりしていられない為、手早く準備をして家を出る。両親は相変わらず暢気に緑茶
を啜っている。養われている以上、こんなことを言うのもなんだが随分とのんびりした親だと思える。
まあ、実際に血が繋がっているわけでもないし。
俺は二人に聞こえない程度にそう一人ごちると、いってきますと玄関を開ける。
「だからね、今度、弟くんにも買ってあげたいと思うんだけど」
安易に地元の高校へと進学した俺の登校はいつも徒歩だ。自転車の購入も考えたが、今のところ、その希望は隣
でひっきりなしに喋っている人物によって粉砕されている。人物なんて隠す必要も無い、姉の独断だ。
「それでね……って聞いてる? 弟くん? お姉ちゃんの話、つまんない?」
不安そうな瞳と共に腕を掴まれる。俺はただただ苦笑するしかない。想像して欲しい、スーツを着た女性と腕を
組んで堂々と登校する高校生が回りにどう見られるか。はたして学び舎でどんな噂を立てられているのか、自分で
は怖くて詮索すら出来ない現状だ。
けれど、ここで姉を拒絶するような態度を取ってしまえば俺は通学することすら困難な状況に陥るだろう。
そもそも、なぜ先に行った姉と一緒に登校しているのか。答えは簡単、この姉は家を出て最初の曲がり角で待っ
ているのだ。そして俺と僅かな時間を共にする。例え、勤め先が学校と正反対の位置にあろうとだ。
それじゃ弟くん。一緒に行こう。え? 大丈夫だよ、まだ時間なら余裕あるし。弟くんも知ってるでしょ? お姉
ちゃんはただ弟くんと一緒に歩きたいだけだから。それとも、こんなお姉ちゃんと一緒に登校するの嫌? それだっ
たらお姉ちゃんの話なんて聞かないでいいから、うるさいって怒鳴ってぶったって良いから。それかもしも弟くん
が車に轢かれそうになったらお姉ちゃんが身代わりになってあげるから。そんな程度のものだって思って良いから。
だから弟くん、一緒に行こう? ね? ね?
最終更新:2007年11月05日 02:27