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理緒の檻 ◆/waMjRzWCc sage 2007/11/04(日) 01:49:06 ID:gV4sC8z8
公園で冬華ちゃんと別れて、家に帰った。
…ふらふらする。
昨日から体力使いすぎだよな…
自業自得だけど。
「ただいま…」
理緒姉は、どんな反応をするんだろう。昨日の行為から会話をしてない。
いきなり追い出されるかな?
それとも散々に文句を言われるだろうか?
「お帰り。遅かったね」
…なんでそんなに普通の対応なんだ?
「ちょっと途中で知り合いに会って話をしてたから」
「ふーん…」
「…なぁ、昨日の事、覚えてる…よな?」
「修くんに無理矢理犯されちゃったこと?」
「覚えてるなら…なんでこんなに普通の会話ができるんだよ!俺は理緒姉を犯したんだ!普通俺の顔なんか見たくもないと思うだろ!」
「お姉ちゃんは普通じゃないから」
俺はその言葉を聞いたとき、何故かゾクリとした。
理緒姉の表情はわずかに微笑んで、こちらをまっすぐに見ていた。
いつもの笑顔とは違う、明らかに異質な表情。
そこには、感じた事の無い、表情とは全く違う何かを感じさせた。
「理緒…姉?」
「どうしたの?昨日みたいにしても良いんだよ?」
何も言えなかった。
「こうやって抱いても…良いんだよ?」
腕を後ろに回される。
逃げられない…
51 理緒の檻 ◆/waMjRzWCc sage 2007/11/04(日) 01:51:25 ID:gV4sC8z8
抱き付きながら私は修くんの匂いをかぐ。
汗の匂いに混じって、女の匂いと、薄くではあるが精液の匂い。
…この匂いと、帰り道に居る知り合いって事は…
羽居、冬華…!
単なる子供だと思って油断していた…!
まさかあの子がここまで早く行動するとは。
おそらくきっかけは修くんから作ったのでしょうけど。
全く…修くんてロリコン?
それでも私は気にしないけど、まさか羽居冬華に手を出すとは。
犯罪じゃない。
関係無い思考はここまでにして、対策を取らないとね。
「修くん、羽居冬華ちゃんとはどの位仲が良いの?」
「なんだよいきなり…別にただの友達位じゃないか?」
「お姉ちゃんあの子に嫌われてるみたいだから、仲良くなりたいなって、ね?」
「それは良いと思うけど…だからなんなんだ?」
「今度の休み、羽居冬華ちゃんを家に招待しなさい。もちろん、お泊まりでね?」
「はぁ?泊まりって、あの子まだ小学生だぞ?無理じゃないか?」
「良いから誘ってみなさい。あの子と仲良くなるには一日じゃ足りないだろうから」
「…分かったよ。一応誘ってみる。断られたら諦めてくれよ」
修くんが誘えば、あの子は必ず来るでしょうね…
52 理緒の檻 ◆/waMjRzWCc sage 2007/11/04(日) 01:54:51 ID:gV4sC8z8
「この話はこれでおしまい。それより修くん、昨日みたいなこと、しないの?」
「っ!昨日は…なぜか苛々して、それで…」
「それでお姉ちゃんで発散しちゃった訳だ」
「その…悪かった。理緒姉、ごめん」
「別に気にして無いよ。その代わり、お姉ちゃんが苛々した時は修くんで発散しても良いよね?」
「……」
「その沈黙は肯定って事で良いのかな?」
「…性的な事はなるべく勘弁して下さい」
「え~…修くんばっかりずるいよぅ。お姉ちゃんだってこう、ムラムラする時が有るんだよ?」
「それを俺で発散されても…」
「むぅ~…まぁ、なるべく我慢するよ。なるべく、ね」
「最後の微妙な区切りはなんなんだ…」
翌日、俺はまた公園に来ている。
もちろん、冬華ちゃんを誘う為だ。
「冬華ちゃん」
「あっ、修お兄ちゃん!また会いに来てくれたの?」
「まぁ、ね。ちょっと用事が有って」
「用事?用事ってなぁに?」
「理緒姉が、家に泊まりに来ないかって。冬華ちゃんと仲良くなりたんだそうだ」
「修お兄ちゃんちに?う~ん…」
「駄目なら駄目でいいんだけど…」
「ううん、冬華、修お兄ちゃんちに行く!」
「分かった、じゃ、土曜日にね」
53 理緒の檻 ◆/waMjRzWCc sage 2007/11/04(日) 01:57:25 ID:gV4sC8z8
「分かった。修お兄ちゃん、またね」
まさかOKを貰えるとは思って無かった。
羽居春華はどう思うのだろうか、とも考えてみたが、あいつは意外にすんなりと了承しそうな気がした。
家に帰って理緒姉に大丈夫だという旨を伝える。
「じゃあ今度の土曜日は思いっきりおいしい料理を作ってね?」
「そこの問題なのか?まぁ俺にできるだけの物は作ってみるけど」
「楽しみだね~冬華ちゃん、どんな子なんだろうなぁ…」
「それより冬華ちゃんをどこで寝かせるんだ?俺の部屋はまずいだろ?」
「お姉ちゃんの部屋で一緒に寝れば良いでしょ?」
「大丈夫か?今の所嫌われてるみたいだぜ?」
「大丈夫だよ。お姉ちゃんに任せておきなさい」
「…分かったよ。その辺は任せる」
本当に大丈夫かは心配な所だけど、理緒姉なら本当になんとかしてしまう気がする。そういえば何時に来るか聞いてなかったな…
明日は早めに起きておこう。
小学生だと予想外の時間に来たりするからなぁ…
さっさと寝ておこう。
…今、何時だ?そう思って時計を見る。
○月○日(土) AM6:30
…いくらなんでもおかしいだろ?
そう思いながらも玄関を開ける。
「おはよう、修お兄ちゃん…」
54 理緒の檻 ◆/waMjRzWCc sage 2007/11/04(日) 02:00:38 ID:gV4sC8z8
「…おはよう、冬華ちゃん」
「あの、やっぱり早すぎたかな…?」
「ちょっとね…6時に来るとは思ってなかったよ」
「あ、あの、ごめんなさい…冬華、お泊まりなんて初めてで…興奮しちゃって…」
「まぁ、良いよ。上がって」
「おじゃまします」
「は~い、いらっしゃい」
「理緒姉?もう起きてたのか?」
「まぁね~。お姉ちゃんだって起きようと思えば起きれるのよ?」
「へぇ~…知らなかったよ」
「冬華ちゃん、久しぶりね」
「あ…おはよう、ございます」
「そんなに怖がらないで?」
「あ、えと…怖がってる訳じゃなくて、その…こうして面と向かって理緒さんと話すのは初めてだから、緊張しちゃって…」
「あらあら、可愛い子ね。じゃ、こっちへ来て一緒に朝ご飯食べよっか」
「良いんですか?」
「もちろんよ。ほら、こっちに座って?修くん、ぼーっとしてないで早く朝ご飯の準備をしなさい」
「あ、あぁ。何が良い?」
「冬華ちゃんは嫌いな物とか有るの?」
「えっと…納豆はあまり好きじゃないです…」
「じゃあ納豆以外なら平気?」
「はい、大体の物は食べれます」
「だってさ。じゃあ後は修くんにお任せって事で、よろしくね?」
55 理緒の檻 ◆/waMjRzWCc sage 2007/11/04(日) 02:04:34 ID:gV4sC8z8
「…分かったよ。朝飯は結構適当に作るから期待すんなよ?」
「へぇ~…」
「ん?」
冬華ちゃんがまるで奇跡を見たかの様に目を輝かせている。
「…どうしたの?冬華ちゃん」
「修お兄ちゃんが作るんだぁ…!」
「えっ?あぁ…そうだよ」
「すごいすごぉい!修お兄ちゃんてお料理できるんだね!」
あまり期待されたくないし、料理なら羽居春華なら悠々とこなしそうな気がするんだが…
その後料理を作り始めた時に後ろから二人の声で
「お嫁さんに欲しいよね~」
とか聞こえたのは気にしない事にしよう。
「お待たせ。今日は朝の準備をあまりしてなかったから、スクランブルエッグにベーコンにパンにサラダだよ」
「冬華ちゃん、お腹減ったね~。早く食べよ?」
「はい、いただきます」
もくもくと食べる理緒姉と冬華ちゃん。
「理緒姉、冬華ちゃん、おいしい?」
「「おいしい!」」
「まぁ喜んで貰えて何よりだ。これ位誰でも作れると思うけど」
「あ~おいしかった。ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
さっさと片付けよう。
「そういえば家に呼んだは良いけど何するんだ?」
「そうね…冬華ちゃん、何がしたい?」
56 理緒の檻 ◆/waMjRzWCc sage 2007/11/04(日) 02:07:05 ID:gV4sC8z8
「冬華、トランプがしたい」
「そういえば長い事やってないからそれも良いかもね」
「じゃあ、トランプ持ってくるから何するか決めといてくれ」
「冬華ちゃん、何をしよっか?」
「冬華、大富豪がしたいな」
「おっ、なかなか良い所ね。ルールはどうする?」
「8切り、革命、階段位しか分からないけど…」
「じゃあそれと特別ルールね」
「特別ルール?」
「もし大貧民になったら、着ているお洋服を一枚ずつ脱いでくの」
「えっ、えぇっ?」
「大丈夫大丈夫。負けなきゃ良いんだから。ね?」
「う、うん…でも、理緒さんも負けたら脱ぐんだよね?」
「当たり前じゃない。そこは平等よ。ただ、修くんには内緒にしておいてね?あの子絶対反対するから」
「分かった。冬華、負けないからね!」
「私も負けないわ」
「トランプ持ってきたぞ~。んで、何をやるんだ?」
「大富豪に決定したわ」
「ルールは?」
「8切り、革命、階段よ」
「少ないね。まぁ別に良いけど」
「他にどんなルールが有るの?」
「そうだなぁ…地域によるけど5飛ばしだったり、10飛びだったりイレブンバックとか十三階段とか、JOKERにハートの3で勝てるとか…」
「もういいわ…」
最終更新:2007年11月07日 17:02