理緒の檻(その17)

313 理緒の檻 ◆/waMjRzWCc sage 2007/11/12(月) 00:06:01 ID:b7Lqb0Xj
「理緒姉…良かった…」
「どうしたの修くん。お姉ちゃんは帰って来るって言ったでしょ?」
「分かってる。分かってるけど…なぜか嫌な感じがしたんだ。もう、理緒姉が戻って来ないんじゃないかって…」
「もう甘えん坊なんだから。ほら、お姉ちゃんに甘えても良いのよ?」
「そっ、そこまではしない!」
「遠慮しなくて良いよ~。ほらほらっ」
「ちょ、止めてくれよ!」
「ん~温かくて気持ち良いな…」
この温もりは絶対に離さないから…
私が修くん無しで生きていける筈がないもの。
「理緒姉…くるしい…」
「あっ、ごめんね?」
「やっぱり、俺の気のせいだったのかなぁ…これなら心配しなくても良かったかもな」
「そういう事言わないの。お姉ちゃんはいつも修くんの事心配してるんだからね」
「…」
「あらあら、顔赤くしちゃってか~わいい~」
「ううぅ…くそっ、理緒姉には勝てる気がしない…」
「あったりまえでしょ?年季が違うわ」
「つまりおば…」
「何か言った?今おばさんとか聞こえたんだけど」
「言った」
「修くん!そこに直りなさい!」
「でも俺は年上のが好きだぜ?」
「っ!…ずるいよぅ…」
「不意打ちだよ不意打ち」


314 理緒の檻 ◆/waMjRzWCc sage 2007/11/12(月) 00:07:38 ID:b7Lqb0Xj
「まさか修くんの罠に引っ掛かるなんて…」
「たまには良いだろ?いっつも俺が負けてんだから」
「むぅ~…くやしい。今度なんか仕掛けよっと」
「勘弁してくれ…」
まぁいつも色々と仕掛けてるんだけどね。
バレない様に、色々と。
修くんをがんじがらめにして、私から離さない、離れない、離れられない様にする為の檻。
トゥルルル、トゥルルル…
「電話?修くん、出てくれる?」
「ああ」
ガチャッ
「はい、もしもし織部です」
「織部君?羽居春華だけど」
「羽居?どうしたんだ?珍しいじゃないか」電話なんていつ以来だろう。大抵学校でしか話さないのに。
「あなたに急な用事が有って」
「用事ってなんだよ?」
「今から会えないかしら?」
「今から?う~ん…どこで?」
「近くの公園でどう?」
「…分かった。すぐに行けば良いのか?」
「ええ。じゃあ、また後で」
ガチャッ、ツーツー
一体なんなんだ?
とにかく、行ってみないとな。
「修くん、どこか行くの?」
羽居に会う事は…黙っておいた方が良いかもな。
「友達に呼び出されたから、公園に行ってくる」
「…行ってらっしゃい」
しかし、羽居って本当に何考えてるかわかんねぇな…


315 理緒の檻 ◆/waMjRzWCc sage 2007/11/12(月) 00:11:15 ID:b7Lqb0Xj
はぁ~…しかし寒くなってきたなぁ…
すっかり息が白く見える。
羽居はもう居るのかな?
…あれ?あそこで座ってるのは、冬華ちゃん?
なんで冬華ちゃんが来てるんだ?
「冬華ちゃん?なんで君がここに居るんだ?」
「修お兄ちゃん…」
「どうしたんだ?元気が無い…うぐっ!?」
「修お兄ちゃん、ごめんね?」
後ろから激しい痛みと痺れを感じながら、俺が意識を失う前に見たのは、あまりにも冬華ちゃんに不釣り合いな妖艶で狂気を秘めた笑顔だった…



修くん、遅いなぁ…
迎えに行こうか。
うん、そうしよう。
さすがに遅すぎるもんね。
えっと、公園に行くって言ってたっけ。
トゥルルル、トゥルルル…
「もう、こんな時に電話?まったく…」
ガチャッ
「はい、もしもし」
「織部理緒さん?」
「その声は…羽居、春華…?」
なんで羽居春華から電話なんて来るの?
「何かしら?私、今忙しいんだけど」
「織部君ならうちに居ますよ?」
「なっ…!どうして!?」
まさかさっき呼び出された友達って、羽居春華だったの?
「どうして?そうですね、しいて言うなら私自身の興味と復讐です」
「復讐…?何に対して復讐するつもりなの?」


316 理緒の檻 ◆/waMjRzWCc sage 2007/11/12(月) 00:12:11 ID:b7Lqb0Xj
「貴女にそこまで言う必要はないでしょう?それより早くしないと織部君がどうなるか分かりませんよ?」
「くっ…すぐに、こんな行動を取った事を後悔させてあげるわ!」
「待っています」
ガチャッ、ツー…ツー
あの女…!
もし修くんに何かあったら…
その時は、楽には殺してあげないから…!
いくら命乞いしようと許さない…!
いくら殺してと懇願されようと殺してやらない…!
今までのどんな苦しみよりも酷い苦痛を味あわせて自分の行動を後悔させながら殺してやる…!
「待ってなさい羽居春華…!」

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最終更新:2007年11月13日 17:12
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