理緒の檻(その18)

343 理緒の檻 ◆/waMjRzWCc sage New! 2007/11/13(火) 01:06:52 ID:RFfqMjj7
「……ぐっ!」
目が覚めた途端に体に痛みが走った。
俺は、何をしてたんだっけ…?
「起きた?」
「羽居…春華?」
そうだ、俺は羽居に呼び出されて公園に向かったんだった。
そこには何故か冬華ちゃんが居て…それでどうなったんだ?
「織部君には悪いけど、ちょっと気絶して貰ったわ」
は?
ちょっと気絶して貰ったってどうやって?
「このスタンガンでね」
羽居春華が手に持ったそれの先からバチバチと光が走る。
「なんでそんなもん持ってんだよ…」
「そこはどうでも良いでしょ?」
いや、良くないだろ…
「それより織部君、自分の格好を気にした方が良いんじゃない?」
「へ?…うわっ!」
自分の体を見ると、俺は何も着ていなかった。
「おい、どういう事だよ!」
すぐに起き上がろうとして、それができない事に気付く。
いくら動こうとしてもガチャガチャという音が響くだけだった。
「暴れても痛いだけだからおとなしくしてて」
「…分かったから説明しろよ」
「これは復讐なの」
「復讐?俺がお前に対して何かしたか?」
「修お兄ちゃんじゃなくて理緒さんに、だけどね」
「その声は…冬華ちゃん?」
冬華ちゃんも居るのか…


344 理緒の檻 ◆/waMjRzWCc sage New! 2007/11/13(火) 01:09:32 ID:RFfqMjj7
「理緒姉にって…どういう事だよ?」
「冬華は理緒さんに処女を奪われたの」
…なんだって?
どうして、理緒姉が冬華ちゃんに対してそんなことを…それにどうやって?
「下手に反抗したら冬華は殺されちゃってたかもしれない」
「理緒姉はそんなことしない。するはずがない!」
そうさ、理緒姉がそんなことするわけがない。
理緒姉は、優しい人なんだ。
俺を、助けてくれた人なんだ。
「織部君は理緒さんの事を何も分かってないんだね」
「なんだと…」
「あの人が優しいのは織部君にだけだよ」
違う…
「それ以上、言うな」
「あの人は織部君以外なら簡単に殺せるでしょう。人とも思ってないんじゃないかな?」
違う違う違う!
「それ以上言うなって言ってんだよ!お前に理緒姉の何が分かるんだよ!」
「分かるわ。あの人は私と同じだもの」
「理緒姉がお前と同じ…?どこかだよ。理緒姉はお前とは全然違うじゃないか」
さっきから何を言ってるんだ。
「だって、織部君を愛しているんだから」
どういう、意味だよ?
羽居が俺を愛してる?
「私はずっと織部君を見てたんだよ」
嘘だろ…?
そんな素振り、無かったじゃないか。



345 理緒の檻 ◆/waMjRzWCc sage New! 2007/11/13(火) 01:12:03 ID:RFfqMjj7
「私は、織部君の事がずっと好きでした」
「こんなタイミングで言う事じゃ…ないだろ」
「こんな機会でもないと言えなかった」
そう、ずっとずっと心の中にしまっておこうと思ってたこと。
だけど、あなたの姉があなたを愛していると知った時、あの人に奪われる位なら私が修くんを守ってあげようって決めた。
「…結局復讐ってなんなんだよ?」
「一つはさっき言ったでしょう?冬華ちゃんの為」
私は正直どうでも良いんだけど。
「一つは?別にも有るって事か?」
なかなか鋭いわ。
少し失言だったかしら。
「もう一つは私自身と、私のお母さんの事」
「それが俺と理緒姉になんの関係が有るんだよ」
「織部君には関係無いわ。織部理緒にだけよ」
そう、あの女にだけ。
「理緒姉が何をしたって言うんだよ?」
「織部理緒と私の母親は同じ人よ」
「…え?」
「私の母親は織部理緒を産んだ後、浮気が原因で離婚したの。そして、その浮気相手との子が、私達姉妹よ」
「そんな…馬鹿な…」「私達を産んだ後、私達のお母さんは織部君を連れて行こうとした」
「…おかしくないか?なんで離婚した後で俺を連れて行こうとするんだよ。俺と理緒姉は義理の姉弟だ」


346 理緒の檻 ◆/waMjRzWCc sage New! 2007/11/13(火) 01:14:58 ID:RFfqMjj7
「何を言っているの?織部君と織部理緒は正真正銘、血の繋がった姉弟よ」
「えっ、だって理緒姉が…」
織部理緒、あの人織部君を手に入れる為に嘘をついたわね。
「そして、織部理緒と血が繋がっているということは、私達は織部君とも兄妹なのよ」
「まさか…そんな馬鹿な…そんな事、聞いた事無い…」
「多分知っているのは私達だけじゃないかな。織部理緒も知らない事だと思うわ」
「それで…何故母親の為に理緒姉に復讐するんだ?理緒姉が…何かしたのか?」
「何かどころか、織部理緒は私達のお母さん、つまり織部理緒自身の母親を殺したの」
「そんな…まさか理緒姉がそんなことするはずが…」
全く、織部君はとことん織部理緒という女を信用しきっているのね。
仕方ないか…ずっと一緒に生活していたんだから。
それに母親を殺した事は織部理緒も覚えていないのだから。
「もし本当だとしたら…何故理緒姉は、母親を殺したんだ…?」
「織部君を奪おうとしたから」
「…俺、を?」
「そうよ。私達のお母さんは織部君の事を、息子であるにも関わらず愛していた。もちろん母性愛なんかじゃなく、異性として」
だから私は織部理緒に対して嫌悪感を持った。


347 理緒の檻 ◆/waMjRzWCc sage New! 2007/11/13(火) 01:17:55 ID:RFfqMjj7
「ちょっと待てよ、俺はその時幼稚園位だろ?」
「そうね。でも、お母さんにはそんなこと関係無かった。そして、織部君を強引に連れて行こうとして、織部理緒に殺された」
「理緒、姉…なんで…?」
「織部理緒もまた、既に織部君を愛していたから。たとえ自らの手を汚し、自らの母親の命を絶ったとしても織部君を自分の物にしておきたかった」
私も、そう。
織部君が手に入るなら、誰を殺してもいい。
つまり、嫌悪感を抱いていようが私自身も母や織部理緒と同類。
自分と血の繋がった家族を愛してる。
「そろそろ会話の時間は終わり。織部君も寒いでしょうから、後は冬華に任せるわ」
「もうっ、冬華待ちくたびれちゃった」
「おい、何をする気だよ」
「言ったでしょ?理緒さんにされた分の恨みを、修お兄ちゃんで晴らすの」
いや、おかしいだろ?なんで俺が恨みのはけ口にならなきゃいけないんだ?
「なんで俺が、って顔してるから教えてあげるね。修お兄ちゃんは、理緒さんから冬華を助けてくれなかったから」
冬華ちゃんは、微笑みながら言葉を紡ぐ。
「冬華の声、聞いてくれなかったから」
その声は表情とは違い、冷たかった。



348 理緒の檻 ◆/waMjRzWCc sage New! 2007/11/13(火) 01:20:31 ID:RFfqMjj7
「冬華を、守ってくれなかった」
微笑むその目からは、一筋の涙が流れていた。
「だから修お兄ちゃん、ここで冬華に償って」
「償うって、何をしろって言うんだ…」
俺には何もできない、何も無い。
「修お兄ちゃんの体を、冬華にちょうだい?」
親に玩具をねだる様な調子で俺にそう話す冬華ちゃん。
「俺の、体?」
「そう、修お兄ちゃんの体。冬華は理緒さんに処女を奪われた。だから、修お兄ちゃんのなにかしら初めてのモノを貰おうと思うの」
俺の初めてのモノって言ったって、そんなもん何が有るんだよ?
「まずは、奴隷体験とかどうかな?初めてでしょ?」
っ!そりゃあ確かに初めてだが、奴隷だって?
俺が、小学生の女の子の奴隷になるってのか?
「冬華ちゃん、ふざけてないでこんな事は早く止めるんだ」
「ふざけてなんかない!修お兄ちゃんは冬華の苦しみが分からないからそんな風に言えるんだよ…」
冬華ちゃんは、今にも壊れそうに見えた。
「もういい。修お兄ちゃんが分かってくれないなら、無理矢理にでもしてあげる。修お兄ちゃんが冬華と同じ、むしろそれ以上の苦しみを感じるまで修お兄ちゃんで遊んであげるんだから」

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最終更新:2007年11月13日 17:14
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