凌辱

474 凌辱 sage 2007/11/17(土) 23:15:22 ID:g67ZY8dm
「コーラっつったろうが!」
嫌われ者の樫原の拳が僕の顔に飛んで来た。
目から火花が出て僕は数メートル吹っ飛ばされる。
「ご…ごめん、売り切れでさ…」我ながら情けない声だ。
「うるせえよ、いつから言い訳するようになった?ああ?」
体育館裏。一か月前から始まった陰湿なイジメ。
僕は逆らえない。
生来の気の弱さと見栄。
イジメを受けていることさえ誰にも知られないよう、樫原の言いなりになっている。
特にアイツには絶対に知られたくない。関わりになって欲しくない。

だが神様は意地悪だ。
たまたま掃除道具の忘れ物を取りにアイツは来てしまった。
「…お兄ちゃん!…」
殴られて顔を腫らした惨めな僕を見て息を飲むアイツ。
僕は目を合わせることが出来ない。
「ほう、テメエの妹か」
意地悪そうな目付きで樫原は妹を舐め回す。
「ちょうどいいや、妹に自分の情けなさをしっかり見てもらいな」
嘲るように言うと樫原は僕の頭を踏み付けた。

「やめて!」
妹の悲痛な叫び声。
「お願い、お兄ちゃんを放して」
馬鹿、やめろ、と言おうとした途端、樫原に水月を蹴りあげられ胃液が逆流する。



475 凌辱 sage 2007/11/17(土) 23:17:00 ID:g67ZY8dm
「やめてくれ…妹は病気なんだ…」
「放して欲しかったら何をしてくれるってんだ?」
僕の言葉を無視して下卑た笑いで樫原は妹に近付く。
「……何でもします、だからお兄ちゃんを許して…」
絶望的な状況だ。
妹の目には何かの覚悟を決めた光が宿っていた。
「ば…ばか…逃…げろ…」
呻きながら何とか声を出すが、僕の願いは叶わなかった。
「じゃあ体育倉庫に付き合ってもらうぜ」
樫原が妹の肩を抱くのが見えた。
誰よりも兄の僕を想っている妹。僕のためなら本当に何でもするだろう。
「兄貴がどうなるかはお前のサービス次第だ」
ニヤニヤした樫原と妹が体育倉庫に入り、がちゃりという鉄扉の鍵の音がする。
僕は力なく地面に倒れ、起上がることすら出来なかった。

次の日から樫原のイジメはなくなった。
僕のためなら何でもする妹によって。
病的な程に僕を愛し、哀れみも良心の呵責もなく何でもやってのける妹のおかげで。

樫原は知らなかったのだろう。
腕力や喧嘩の場数など女の狂気の前では無力に等しいことを。

それ以来樫原の姿を見ない。
聞くところでは家に籠って壁と話をしてるそうだ。

だから僕は言ったんだ。
「逃げろ」と。

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最終更新:2007年11月24日 00:42
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