淫獣の群れ(その19)

515 淫獣の群れ(その19) sage 2007/11/18(日) 22:03:32 ID:WN8v7+lb

 すずめが啼く声が聞こえる。

――午前六時。
 麻緒は、一人目を覚ました。
 陸上部に所属し、早寝早起きの習慣を持つ彼女にとって、昨夜のごとき夜更かしは、翌朝起きてみれば――単なる夜更かしというには、余りにムチャクチャな夜であったが――結構キツイものがあった。
(昨日の晩は、何の眠気も覚えなかったのになぁ……?)
 そう思うと、思わず頬が熱くなるのを感じる。
 人生……と呼ぶには、余りに短い歳月ではあるが、彼女のこれまで生きてきた十四年間で、昨晩ほど興奮した夜は、かつて無かったからだ。
(あにぃ……)
 麻緒は、傍らで“妹”の群れにしがみ付かれ、半ばうなされるように眠る“兄”の寝顔を見た。

 麻緒は、卓抜した運動神経を持って生まれた。
 陸上、水泳、器械体操、ダンス、さらにスキー、スケート、スノーボードと、ウインタースポーツまで何でもこなすが、不思議と球技だけは苦手意識が抜け切らない。
――いや、本当は彼女自身、おぼろげに承知している。
 苦手なのは球技ではない。球技が要求するチームワークだという事を。

 幼少期に、昨日まで遊んでいた友人たちに、

『まおちゃんはアイジンのコドモだから、ママが、一緒に遊ぶなってさ』

 と、いきなり仲間外れにされたトラウマのある麻緒は、容易に他者に心を開かない。
 例外があるとすれば、綾瀬家の“兄妹”たちくらいだ。
 だからなのだろう。
 球技の多くが集団競技である事実は、人並み外れた身体能力を持つ彼女に、その興味を遠ざける結果を産み、その視線は自然と、個人競技に向けられた。
 今では歴然たる陸上部のエースであり、専門競技の短距離はおろか、中距離、長距離であっても、部では誰にも負けた事は無い。例え相手が先輩であってもだ。

 そんな自分が、昨夜は以心伝心のコンビネーションで、たった一人の“兄”を8人の“姉妹”たちとともに、責め嬲り、弄んだ。
 さすがに処女まで捨ててしまう事は無かったが、それでも十二分な快楽を得た手応えがある。
 いや、手応えがあったのはエクスタシーだけではない。

(あのとき、ボクは確かに、眼だけで会話してた……!!)



516 淫獣の群れ(その19) sage 2007/11/18(日) 22:06:41 ID:WN8v7+lb

 普通に考えれば、女8人に、相手の男がたった一人ではバランスが悪すぎる。
 逆に言えば、いかに大の男とはいえ(喜十郎は、体格的にもそれほど大柄ではなかったが)、8人がかりで同時に、しかも無作為に愛撫するには、人体の表面積にも限界があるのだ。
 となれば、必然的に求められるのは、責め手たちの意思疎通。

――ヒナちゃんが、ここを責めるんだったら、ボクはここを受け持とう。
――にいさまが、こういう体勢に身をよじるんでしたら、今あそこに座る春菜ちゃんは、そこを責めようとするはずですの。でしたら姫はこう動きますの。
――さっきの詩穂の台詞で、お兄様の注意はこっちに向けられているはずだわ。だったら私も、詩穂の手の動きに合わせて、責めのリズムを変えた方がいいわね……。

 しかも、その場その場では、そんな風に論理的に考えながら動いたわけではない。
 皆、あたかもジャズセッションのように、流れに従ったまでだ。
 互いが互いを邪魔せぬように、互いが互いを補佐するように、空いているポイントを見つければ素早くカバーし、連携し、協力し、ときに競合し、一つの集団が全く隙を作らず、同じ目的に向けて全力を尽くす――。
 麻緒は、知った。
 これこそが、集団競技の妙味であると。
 そして、ますます“兄”の奇妙さを思った。

 元来、綾瀬家の六人姉妹の仲は、さほど良くも悪くも無かったと、父から聞いたことがある。
 しかし、実姉である凛子とともに、麻緒がこの家に身を寄せて五日間。
 会ってみて驚いたが、六人という大所帯にして、ことごとくタイプが違い、それでいて、ここまで仲が良い姉妹などめずらしいに違いない。まるで若草物語のようだ。
 しかし、今ならはっきり分かる。
 彼女たちをまとめているのは、綾瀬喜十郎という一個の人間の人格的魅力であると。
――もっとも、彼女たちが虜になっているのは、人格面だけでは決してないのだが、それを理解するには、麻緒はまだ幼すぎた。

 だが、一夜明けてみれば、彼女にも、色々と気がかりな事はあった。



517 淫獣の群れ(その19) sage 2007/11/18(日) 22:09:49 ID:WN8v7+lb

「敵?」
「ええ。ただの恋敵というには、あまりにも手強すぎる“敵”」
「何だか、ピンと来ないんだけど、……相手はそんなに美人だってこと? あにぃがみんなを見捨てちゃうくらいに?」
「……」
「そんな事あり得ないよ。だって、――ボクから見れば、みんなスッゴク女の子らしくて綺麗なのに。桜ちゃんだって、春菜ちゃんだって、みんなみんな、すごい可愛くて美人なのに……!?」
「うふっ、一応礼を言っておきますわ麻緒ちゃん。でも……ワタクシたちの“敵”は、本当に只者じゃありませんの。多分、あなたが想像する以上に、ね」
「分っかんないなぁ」
 麻緒は、ぽりぽりと頭を掻く。

 麻緒と春菜は、家の近所の野球場にいた。
 二面のグラウンドと、それに隣接する児童公園。外周すれば、直線距離にして約1キロほどのコースになる。二人はそこを5周し、いまは公園でクールダウンのストレッチの最中だった。
 普段なら、公園でダウンなどしている時間的余裕など無い。
 早く帰ってシャワーを浴びねば、遅刻してしまうからだ。
 だが、今日は日曜日。
 学校には、部活の練習が始まる正午までに行けばよい。
 それは春菜とて同じく、華道の稽古が始まる夕方までは時間があった。

 麻緒が綾瀬家に来てから五日間、ここで彼女の早朝ランニングに付き合うのが、春菜と喜十郎の新たな習慣となっていた(もっとも春菜の参加目的は、麻緒と喜十郎が、必要以上に二人きりになるのを防ぐためだったのだが……)。
 そして喜十郎は、今朝はここにいない。
 まあ、昨夜の彼の孤軍奮闘を思えば、当然と言えば当然だった。
 そこで麻緒は、いい機会だとばかりに、昨夜抱いた懸案を春菜に尋ねたのだ。


 喜十郎を慕う“妹”たちが、彼に性的調教を施し、自分たちに逆らえなくしてしまう。
 それはいい。
 しかし、いくら何でも、やりようがあるのではないか?
 このままでは、あまりにも性急過ぎはしないか?
 同じ家に住み、同じ学校に通い、同じ料理を食べ、おそらくは世界の誰よりも彼と同じ時間を過ごしているであろう“妹”たち。
 しかも、彼女たちのスキンシップを妨げるであろう両親は、すでにいないのだ。
 条件的にも、彼女たちが焦燥を覚える必要があるとは、とても思えない。
 喜十郎が屈服するよりも先に、彼に嫌われてしまっては元も子もないではないか。


「まあ、あの方を知らない麻緒ちゃんが首をかしげるのも、あるいは無理ないですわね」
 春菜は、そう言って寂しげに微笑した。
「そんなにすごいの? 一体どういう人なの?」
「口で説明するのは難しいですわ。……ただ、一つ言えることが有るとするなら」
 それは、覚悟の時点でワタクシたちはすでに劣勢だということです、そう春菜は言った。



518 淫獣の群れ(その19) sage 2007/11/18(日) 22:12:41 ID:WN8v7+lb

「お兄ちゃま」
「ん?」
「お兄ちゃまは、詩穂たちを見捨てたりはしないよね?」
「……当然だろ?」
 しかし、喜十郎がそう言っても、半泣きになった詩穂と比奈の表情は変わらなかった。
 あるいは本当に泣いていたのかも知れない。
 もし、彼女たちが本当に涙を見せていたとしても、この熱いシャワーと、もうもうたる湯気の下では判別がつかなかっただろうが。

 時刻は、朝の七時。
 喜十郎は、もはや朝勃ちすらせぬ疲労した肉体を引きずり、部屋を出た。
 ベッドには、彼と同じく疲れ果てた桜や真理、凛子が眠りこけていたが、もぞもぞと詩穂と比奈が起き出したのも目に入った。
 麻緒と春菜はいつものランニングだろうし、深雪はすでにキッチンで、朝飯の準備にかかっているようだ。で、喜十郎は何気なく二人をシャワーに誘った。
 そして、熱い湯を頭から浴びている最中に、気がつけば詩穂たちがその背に抱きついていたのだ。
 昨夜とはまるで違う、何かを懇願するような瞳で。
「おにいたま、ヒナたちのこと怒ってるかなぁって、ずっと思ってたの……」

 比奈たちが口ごもる理由も、喜十郎には分かる。
 無論、喜十郎としては、彼女たちが“兄”に全幅の信頼を置いている事を知っている。
 自分たちが彼に何をしようと、何を言おうが、決して“兄”が“妹”を嫌う事は無いと信じている。その根拠を彼のM性ではなく、彼の愛情に置いている事も。
――そして、それは確かに一面の事実だ。
 喜十郎は、彼女たちを愛していた。
 女性としても、“妹”としても。
 しかし、昨日の狂宴は、いくら何でもやり過ぎたかもしれない。
 さすがに一夜明けてみれば、年少組の詩穂や比奈が怯えるのも無理もない。
 いかに“妹”たちといえど、あれほどの勢いで“兄”を責めたてた夜は無かったからだ。



519 淫獣の群れ(その19) sage 2007/11/18(日) 22:14:38 ID:WN8v7+lb

 四肢を繋ぐ手錠足枷を解放されてからも、彼に対する一方的な愛撫は止まなかった。
 いやむしろ、戒めを解く事で、“妹”たちが望むあらゆる体位が取れるようになり、その責めは、さらに激しさを増したと言えた。
 下腹部に聳え立つケーキは、とっくの昔に押し潰され、彼の全身に塗りたくられ、真っ白になった彼の全身を、“妹”たちの八枚の舌は、脂の痕跡すら留めぬほどに綺麗に舐め取った。

 そこから風呂場に移動し、そこでも“兄”を愛撫しつつ、自分たちの汗を洗い流すと“妹”たちは、喜十郎を寝室に連行した。
 本来ならば、彼女たちの両親が眠るはずのダブルベッドは、五日ぶりに“兄妹”たちのパーティ会場と化し、そこで彼女たちは、ペニスバンドを使って順繰りに“兄”の尻を蹂躙した。
 桜たち年長組は、股布の両面に張型を生やしたショーツタイプを使用し、深雪以下の年少組は、パンティの上からでも装着できるベルトタイプを使用し(ちなみに凛子や麻緒もこちらを使用した)、彼は文字通り『輪姦』されたのだ。
 何度射精しても、何度失神しても、“妹”たちは決して彼を許さなかった。
 延々と続く前立腺への刺激は、もはや彼の疲労や意識など全く無関係に勃起を強制し、そのペニスを、彼女たちは菊門と同時並行に嬲り尽くした。
 目隠しをされて、いまアナルに腰を使っているのは誰かを当てるゲームまで行われ、“奴隷”の誓いなど、何回強制されたかも分からない。
――桜たちからすれば、喜十郎の後ろの“処女”を、こともあろうに可苗に奪われたという屈辱と嫉妬が生んだ蛮行なのだが、さすがにそこまでは喜十郎も分からない。

「大丈夫だよ。こんな事くらいで、オレは怒ってないから」
「ほんとう?」
「オレが信用できないか?」
 そう訊き返すと、二人は、その言葉を恐れるように激しくかぶりを振り、
「そんなことないよっ!! 詩穂は、お兄ちゃまが大好きなんだもんっ」
「ヒナもっ! ヒナもおにいたまのことがダイダイダ~イ好きなんだよっ!!」
 そう口々に叫んだ。

 喜十郎は、そんな彼女たちを思わず抱きしめた。
 彼女たちは、まだまだ幼い。
 しかし、幼いが故に純粋な、胸を締め付けられるような愛情を彼は感じたのだ。
「ありがとう……詩穂、比奈。オレも……オレもお前らが大好きだよ」

「お兄ちゃま……!」
「おにいたま……!!」



520 淫獣の群れ(その19) sage 2007/11/18(日) 22:17:15 ID:WN8v7+lb

 二人の少女は、戸惑う事無く“兄”の想いに応える。つまり、キスマークだらけの喜十郎の身体に、二人は、ひしと抱きついた。
 しかし、しばらくすると、さすがに彼も照れ臭くなったのだろう。
 二人から身体を放し、

「――そろそろ、出るか?」
 と言って、シャワーを止めた。
「ええ~~?」
 愛する“兄”の思いがけない抱擁を堪能していた詩穂は、反射的に抗議の声を上げる。
だが、
「まって、おにいたま」
 詩穂はともかく、幼い“末妹”の不安は、それでもまだ、完全には払拭できなかったらしい。
「おにいたま、本当におしり、だいじょうぶ?」
「大丈夫だよ。なんなら、傷が無いかどうか見てみるかい?」
 そう言いながら笑って風呂場を後にしようとする喜十郎。だが、彼の足を止めさせたのは、その途端にはじけた比奈の笑顔だった。
「うんっ! 見る見るっ!!」

「……え?」

 気が付けば、比奈の瞳がキラキラと輝いている。
「おにいたまのおしりに傷がないかどうか、ヒナがおいしゃさんになってあげるっ」
「詩穂もっ、詩穂もっ、詩穂もお兄ちゃまのお医者さんになるっ!」
……喜十郎は、自分自身の迂闊さを、呪った。

「いや、ちょっと待って、そんなの大丈夫だし、――って言うか、本当に痛かったら、オレ自分から医者に行ってるし」
 半分慌てながら、急いで自分の馬鹿げた提案を取り下げようとするが、
「お兄ちゃま、今日は日曜日だから、お医者さんはやってないよぉ」
「おにいたまは、ヒナたちがおいしゃさんになるのがイヤなの……?」
 そう言って反撃される始末だ。
 しかし、……少なくとも彼女たちの目に、昨夜のような淫靡な炎は灯っていない。
 もし、“妹”たちの言動が、本当に親切心――比奈は“詫び”と言っているが――から発したものならば、いかに喜十郎といえど、これを無下に退ける事は躊躇われる。

「――じゃあ、見てくれるか……?」
「「うんっ!!」」



521 淫獣の群れ(その19) sage 2007/11/18(日) 22:19:02 ID:WN8v7+lb

「ええ~~っ!? じゃあ、春菜ちゃんがいう“敵”って、あの綾瀬先輩なのぉっ!?」
「え……じゃあ、麻緒ちゃんは知ってるの? 可苗ちゃんのことを」
「知ってるも何も、ウチの学校で綾瀬可苗の名前を知らない人間はいないよ」
「……どういう事?」
「だって、綺麗で、頭が良くて、スポーツが出来て、性格も良くて、……いや、そんな細かい事じゃないな、あのカリスマ性の物凄さは……。何でも、校内校外合わせて四つのファンクラブがあるって聞いたよ」
「ファンクラブが……四つぅ!?」
「でもさぁ、その、言いたくないけど……なんかの間違いじゃないのかなぁ。綾瀬先輩が、そんなヤバイ人だなんて、ちょっと信じられないよ」

 麻緒からすれば、その疑問はもっともだと言えた。
 一度、校内で可苗を見たことがあったが、その時の記憶が強烈に麻緒には残っている。
 友人たちに囲まれて、談笑しながら校内の渡り廊下を歩いてくる一団。その中央にいた一人の美少女。
 その少女が放つ華やかさは、まさしくオーラと呼ぶに相応しく、ただ陸上部の練習中に、ふとよそ見しただけの麻緒の視線を釘付けにし、完全に彼女が視界から消えるまで、麻緒は可苗から目を離すことが出来なかった。
 ただ居るだけで存在感を刻み込む、まるで大物俳優か、大御所歌手のごとき強烈なカリスマ。

「だったら、確認してみます?」
「え?」
「兄君さまに訊いて御覧なさい。可苗ちゃんの名前が出た途端に、どんな顔色になるか」
「……まじ? そこまで……!?」
 そこまで言われて、ようやく麻緒といえど、この義姉の言葉の真剣さに、自分の態度を改める。しかし春菜からすれば、いま入手した情報――麻緒と可苗が同じ学校だという事実に、より深く着目せざるを得なかった。

「麻緒ちゃん」
「ん?」
「可苗ちゃんに、お近づきになれる?」
「え? ――どういうこと?」
「あなたに、可苗ちゃんの監視係を頼みたいんです」



522 淫獣の群れ(その19) sage 2007/11/18(日) 22:20:20 ID:WN8v7+lb

「すごぉい……おにいたまのおしりって、すごくきれい……!」
「ねえっ、ヒナちゃんっ、詩穂にも代わって代わってっ」
「まだだめだよぉっ、まだヒナがおいしゃさんなんだからっ」
 二人の“妹”は、壁に手をつき、お尻を差し出した“兄”の尻にかじりつくようにくっつき、その肛門をまじまじと観察している。
「……あの、まだかかります……?」
 喜十郎の羞恥は、昨夜のベッドの比ではなかった。
 朝っぱらから、十歳近く離れた“妹”たちに、風呂場で尻の穴を見られているのだ。恥ずかしくない方がどうかしている。
 そして、その羞恥の感情はやがて、別種のものへと転化してゆく。
「あれっ? お兄ちゃま……おちんちん大きくなってるよぉ!?」
「ええっ、本当おにいたまっ!?」

 喜十郎が思わず顔をそむけたその先に、姿見のような大きな鏡がバンと控える。
(っっ!!)
 そこに映ったのは、小学生と中学生に臀部を差し出し、朝勃ちすらしなかったはずの男根を勃起させた、あまりにもブザマな格好をした高校生の姿だった。
「ありりりり、おにいたま、どうしたのぉ? ヒナはただ、おにいたまのお尻をしんさつしてるだけなのに……」
「じゃあヒナちゃんっ、詩穂はお兄ちゃまのおちんちんを診察するねっ!」
 そう言うや否や、詩穂の小さな身体が、壁に手を突いた喜十郎の胸の下の隙間にしゃがみこむ。
「ちょっ、まてっ!! 詩穂っ!? ――あああっ」
 思わず立てた声も、詩穂が眼前のペニスをちょんとつつくだけで、何も言えなくなってしまった。
「お兄ちゃまダメだよぉ。患者さんは、お医者さんの言うことを、よぉく聞かないと」
「だっ、でもっ、ちょっ、やめっ!」

 哀れな患者の叫びを無視して、二人の医師は、彼に宣告する。
「それじゃあ、おにいたま、今から“けんさ”を開始しまぁす」
 そう言うと比奈は、“兄”の腰を挟んで自分の向こう側にいる詩穂と、にっ、と目を合わせる。

 その目には、先程まではなかった、淫らな光が再び灯されていた。

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最終更新:2007年11月24日 00:47
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