593
淫獣の群れ(その20) sage 2007/11/24(土) 22:26:44 ID:pY5DnHqa
人が人を支配するということ。
それは、人が人に抗えなくなることではない。
人が人に従わざるを得なくなることでもない。
それは、その命に服す事を自ら望み、何のためらいも無く、ある種の信頼すら伴った上下関係とも言えるかもしれない。
喜十郎は“妹”たちに、自分たちへの隷属を命じられた。
無論、そう言われたからといって、はいそうですか、と言うことを聞くわけではない。
彼は、戸籍上はどうあれ、彼女たちの“兄”だ。“兄”が理由も無く“妹”に従ういわれはない。
しかし、だからといって“妹”たちの望む事も理解していないわけではない。
“妹”たちが“兄”に求めるのは、要するに、彼の愛情を自分たちで独占すること。
武道に曰く、心を鍛える最も手早い法は、肉体を鍛える事であると。
ならば、心を独占する最も手早い法が、肉体を独占する事ではない、と誰が言える。
そう、否定できるものなど誰もいない。
そして、喜十郎自身、鳥肌が立つような恐怖とともに理解している。
もはや、自分の肉体は、かなりの部分まで、彼女たちの支配を受け入れつつある、と。
“妹”たちの独占に付随する調教に、彼の肉体は悲鳴をあげつつも、その苦痛と快感がクセになりつつある、ということを。
ペニバンがアナルを一堀りするたびに、『奴隷ですっ』と叫ばされ、
ペニスが突き刺さった女陰に体重がかかるたびに、『愛していますっ』と叫ばされる。
ペニスとアナル。その二大性感帯を刺激される快感が、彼にそう言わせているのは否定できない。
だが、それだけではない。
義理とはいえ“妹”に、犯され、嬲られ、弄ばれ、隷属の誓いを立てさせられるという、ありえないシチュエーション。
その状況が、肉体の感じる快感をさらに増幅する。
そんな自分の変態的な、マゾヒスティックな感覚を、死に物狂いで否定する。
その葛藤が、増幅された快感をさらに研磨し、精錬する。
通常の何倍も、何十倍もの、純粋なエクスタシーに。
594 淫獣の群れ(その20) sage 2007/11/24(土) 22:29:33 ID:pY5DnHqa
「くしししし、おにいたまのお尻、とぉってもいい匂いがするよぉ」
そう言いながら比奈は、十歳年上の長兄の尻たぶを割り、その短い舌で、尻の谷間をれろりと一舐めする。そのつぶらな瞳が、菊門を視界に捕らえたのは、その後だった。
「うわぁ……おにいたま、すっごくきれい……!!」
確かに、昨夜の荒淫なぞ、どこ吹く風と言わんばかりの風情で、彼の肛門は傷一つ無く、そこにあった。
比奈としては当然、喜十郎の肛門をまじまじと見るのは初めてではない。
綾瀬家の“妹“が“兄”の全身をまさぐるのは、時と場所を選ばないからだ。
寝室然り、風呂場然り。比奈も当然、“兄”の肉体は隅々まで知悉している。
だが昨夜、居間での『一次会(?)』において、桜によって全身の毛を剃り上げられた喜十郎は、その印象を一変させていた。
彼はあくまで、線の細い、美少年的な体躯の所有者ではない。
また、北方系のように、全身体毛に覆われた熊のような体をしていたわけでもない。
パッと見には、あくまでも、どこにでもいる中肉中背の、地味で普通な少年というに過ぎない。
そんな彼が、ただ体毛を剃られたというだけで、ここまでその裸形が、違って見えるものなのか。
――風呂場で汗を洗い流しつつ『二次会』を楽しんでいた“妹”たちに浮かんだ思いは、まさにこの一言だったと言える。
そんな“兄”の肉体を、一夜明けて、再びまじまじと見る。
それは、男女入り乱れた昨晩の宴で見た眺めとは、また違った趣があるように、比奈には見えた。
それは、詩穂とて同じだった。
まるで赤子のように無毛の、一本のペニス。
その肉棒が、たちまちにして姉たちを狂わせる、凶暴無残な威力をもつ肉の兵器であることは、当然詩穂も承知している。そして、いつかは自分もその鋭利な“槍”の前に串刺される日を心待ちにしている事も。
だが、眼前に控えるこのペニスのブザマさはどうだ?
股間を覆う毛がない。という、ただそれだけのことで、詩穂には、その男根が昨日までとは、まるで別種の生き物のように見える。
595 淫獣の群れ(その20) sage 2007/11/24(土) 22:32:18 ID:pY5DnHqa
――かつて姉たちが、どれほど“兄”を責めても、そして“兄”がどれほど悶え泣き、許しを乞うても、轟然と聳え立つペニスから発する猛気だけは、いささかも衰える事はなかった。
『たとえ、コイツ(喜十郎)をいかほど屈服させてもオレは屈せぬ。オレがいなければ、所詮お前らの身体とて満足出来んのを、よぉく知っているからな。――どうだ、オレが欲しいか?』
そのとき詩穂には、すすり泣きながら差し出される喜十郎のペニスが、まさにそのペニスだけが、そう言いながら、逆に威厳すら放っているようにさえ見えた。
しかし、昨日までその肉槍が発散していた獰猛さは、もはや雲散霧消してしまっている。
ただ、その陰毛を失い、丸裸にされたというだけで、変われば変わるものだ。
ビキビキに硬くなってはいても、不思議に、サイズが小さくなったかのような錯覚さえ覚える。
(お兄ちゃまのおちんちんって、……なんだか可愛い……)
「あん……む……」
詩穂の可愛らしい口が、眼前のペニスを一飲みにする。
しかし、そのまま奥まで飲み込まず、亀頭を舌でちろちろと刺激し、開いた尿道に唾液を流し込む。
「くうっ!!」
喜十郎が反射的に尿道に神経を集中した瞬間、比奈の指がアナルを襲う。
「ひゃっっっっっっっ!?」
きゅうううううっ、と、比奈の幼い指を、分厚いゴムのような堅い圧力が押し包む。いや、堅いだけではない。――熱い。ぽかぽかした温かさではない。まるで焚きたての風呂のような、心地良い熱さだ。
(もし、ヒナにおちんちんがあったら……おにいたまにそーにゅーできたら、すっごくきもちいいんだろうなぁ……)
そう思って、前立腺に指をぐりぐりとねじりこむ。
「ひっ、ひなぁっ!!」
限界だった。
喜十郎は、膝をつき、ぺたりと座り込んでしまった。
「ああっ、もう、お兄ちゃまったら、ひどいよぉ」
彼が尻餅をついた瞬間に、詩穂が咥えていたペニスが、するりと口から抜け落ちてしまったからだ。同じように、比奈の指も、崩れ落ちる喜十郎の体重を支えきれず、肛門からすぽりと外れてしまっていた。
596 淫獣の群れ(その20) sage 2007/11/24(土) 22:33:39 ID:pY5DnHqa
「お兄ちゃま、詩穂におちんちんペロペロされるの、いや?」
詩穂の瞳が、再び不安に彩られる。
「いっ、いや、それは……」
「いやなの?」
「違う! いやじゃないっ、オレは――」
「だったら、どうして詩穂のお口から、おちんちんを引っこ抜いたの?」
「それは……」
引っこ抜いたわけではない。膝を着いたら意図せずしてペニスが抜けてしまっただけだ。
だが、そう言おうとして口ごもった瞬間、“妹”たちの眼から、さっきまでの不安の光が消え、違う色に輝いている事に気付いた。
「……おにいたま、お仕置き?」
詩穂もその宣告に、自分の言葉を被せる。
「そうだね。お仕置きだね、これは」
その瞬間、喜十郎は気付いた。自分の表情が泣き笑いに近いものに変貌しているのを。
「くしししし、さぁ、おにいたま、ヒナたちにどうやってお仕置きして欲しいの?」
「お兄ちゃま、なんでもいいよぉ。特別に詩穂たちが、お仕置きのメニューを決めさせてあげる」
「おにいたま、うれしい? うれしかったら、ありがとうって言うんだよ?」
喜十郎には分かっていた。
いまだに“兄”に嫌われる事への不安を残す詩穂と比奈から、怯えを除いたのは、彼の表情。苛められる事への期待と、そんな自分への絶望に満ちた、表現の仕様も無い顔。
彼女たちは、そんな“兄”の本音を、間違える事無く正確に読み取ったのだ。
「おっ、おれは……」
そのときだった。
脱衣場から賑やかな黄色い声が、響いてくる。
「それじゃあ麻緒ちゃん、先に行きますわよ」
「待ってよ春菜ちゃん、なんか先客が居るみたいだよ?」
「ああ、大丈夫ですわ。この家でトランクスなんて穿いてるのは、兄君さまだけですから」
「兄君さまだけって……じゃあ、入ってるのって、あにぃなの!?」
「まったく、何を今さら照れてるのかしら。おかしな子ねぇ」
苦笑いとともにガラリと扉が開き、腰まで届くポニーテールを、さらにほどいた春菜がそこにいた。その後ろに、隠れるように小さくなっている麻緒の姿も。
597 淫獣の群れ(その20) sage 2007/11/24(土) 22:35:29 ID:pY5DnHqa
「あらあら、兄君さまったらいやらしい。朝っぱらからお仕置きですか?」
「あっ、春菜ちゃん」
ぱあっと、顔をほころばせて、比奈が春菜の元に駆け寄る。
「いいところにきたよぉ。今から、おにいたまを、う~んと、う~~んとお仕置きするんだよぉ」
「まあまあ、それじゃあ、いいところに間に合って良かったですわね?」
そう言いながら、貞淑そのものの穏やかな笑顔を末妹に向けた後、
「――では兄君さま。その晴れ姿を、ワタクシも拝見させて頂いて宜しいですか?」
などと、そらっとぼけたことを抜け抜けと言う。
喜十郎としては、顔を真っ赤にしながら俯くしか出来ない。
「だっ、だめだよっ、ヒナちゃんっ!!」
そう言って、うずくまった喜十郎に駆け寄ったのは、麻緒だった。
「――ボクが言えた義理じゃないけど――やっぱり、やっぱりこんなの間違ってるよっ!! こんな無理やり、あにぃをひどい目に合わせて……何でみんな、もっと、もっとあにぃに優しくしてあげないのさっ!?」
そこまで怒鳴って、今度はその、怒れる眼差しを喜十郎に向けると、
「あにぃもあにぃだよっ! 何でここまでされて黙ってるのさっ! 何で嫌なことは嫌って言わないのさっ!! やっぱりこんなのおかしいよっ。 あにぃも、みんなも、こんなの、おかしいよっ!!」
「……え、あの……?」
「麻緒ちゃん……?」
――比奈も詩穂も、そして当の喜十郎も、一瞬、彼女が何を怒っているのか分からなかったようだ。
まあ、無理もない。
ほんの数時間前まで、一緒に汗まみれになって同じ男を嬲りまわしていた仲間が、イキナリこんな常識論を言い出して、自分たちの邪魔をするなど、思いもしなかったからだ。
しかし、さすがに麻緒も、二人の表情を見て自分を羞じたのか、真っ赤になって俯いた。
「そっ、そりゃあ、ボクだって昨日はさんざん、あにぃに好き勝手な事したけどさ……。でも、でもやっぱり、やりすぎはよくないって言うか……。やっぱり、あにぃが嫌がってることは、止めた方がいいんじゃないか、――とかって、思ったりするし……」
さすがに語尾は消えかけていたが、それでも彼女の主張は十二分に詩穂と比奈に伝わった。何故なら、その疑問は紛れも無く、さっきまで彼女たち二人が、“兄”に対して持ち続けていた不安そのものだからだ。
しかし、二人の瞳が、三度目の不安に彩られる事は無かった。
さっきまでのやりとりで、利発な彼女たちはすでに気付いてしまっていたからだ。
麻緒の不安が、全くの杞憂である事を。
598 淫獣の群れ(その20) sage 2007/11/24(土) 22:36:58 ID:pY5DnHqa
「――ほっ、ほらっ、あにぃも行こうよ。もう汗も充分流れたでしょ?」
「あ、……ああ」
喜十郎を催して、風呂場から共に退出しようとする麻緒。その背後に声がかかる。
「――いいの? お兄ちゃま?」
振り向いた喜十郎と麻緒を、詩穂のあどけない微笑が迎撃する。
「詩穂たちがせっかく最後までしてあげようって言ってるのに……本当に行っちゃうの?」
「詩穂……」
そう呟いた喜十郎の顔が、明らかに動揺したのが、麻緒からも見えた。
そんな“兄”の尻を、柔らかく撫でる小さな手。
「くしししし……。別にいいんだよぉ、おにいたま。それならそれで行っちゃっても」
「比奈……やめなさい……!!」
「いいの、おにいたま? ホントにやめちゃっても? でも、だったらなんで、ここはこぉんなに、かちんかちんになってるの?」
「……それは……さっきまでお前らに……触られてたから……」
「だったらどぉして、このおちんちんは、こんなによだれを、いっぱい、いぃっぱい垂らしてるの?」
その小さな手が、しゅっしゅっと、軽くペニスを扱いた瞬間、貫くような快感が彼の股間に走った。
「ぁぁぁぁぁ……だめだっ!! やめっ!!」
「あにぃ!!」
はぁっ、はぁっ、はぁっ、……!!
荒い息と共に、白いタイルにうずくまり、――ひざまずき、といったほうが正確かも知れない――喜十郎はそのまま、比奈を見上げた。
――彼の股間からは、変わらず射精直前の、先走り液が迸るように分泌されている。
「くしししし、どうしたの、おにいたま? だめだって言うから止めてあげたんだよぉ」
「ねえ、お兄ちゃま、どうするの? このままお風呂出ちゃう? それとも……?」
気が付けば、“兄”を覗き込む格好でそこにいた詩穂が、れろり、と自分の唇を舌で舐めまわす。
「兄君さま」
そして、トドメの言葉を投げかけたのは、それまで沈黙を保っていた春菜だった。
「――そろそろ、素直におっしゃったほうが宜しいのではありませんこと? ワタクシたちは、兄君さまのためなら何でも出来るのですよ?」
599 淫獣の群れ(その20) sage 2007/11/24(土) 22:38:23 ID:pY5DnHqa
限界だった。
もう、喜十郎はこれ以上、我慢が出来なかった。
心の奥底から、身を震わす恐怖。
自身に潜む、膨大なまでのマゾヒスティックな欲望に対する恐怖。
その欲望に身を任せた結果、もはや自分は戻って来れなくなるのではないかという恐怖。
そして、戻って来れなくなった自分は、呆れられ、見捨てられてしまうのではないかという恐怖。
何度“奴隷”の誓いを立てさせられても、その恐怖が拭えぬ故に、彼は不安を払拭する事が出来なかった。――そう、誰よりも不安を覚えていたのは、他ならぬ喜十郎自身だったのだ。
だが、もう、どうでもいい。
オレはヘンタイだ。ヘンタイでいい。
もとよりヘンタイがオレの本性ならば、それを認めるに何の躊躇いが要るだろう?
ヘンタイ――ああ、何と甘美な響きだろう。
彼は欲望に身を任せた。
おのれを縛る最後の鎖を引き千切った。
「……オレを……いじめてください……。おちんちんも、おっぱいも、おしりも、全部使って、オレをいじめて、楽しんでください……」
「あにぃ……!!」
血の気が引いた表情で、麻緒が“兄”を見つめる。
「オレは……みんなの、奴隷、だから……」
喜十郎は泣いていた。
しかし、その涙が、いかなる感情に基づくものかは、もはや本人すらどうでもいい事だった。
最終更新:2007年11月28日 23:05