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虎とあきちゃん sage 2007/08/28(火) 17:18:52 ID:uFkVsG9W
虎…虎……起きなさい……まだこちらに来てはいけないよ。
はっ!その声は天国のじいちゃん。久しぶり。俺を置いていきなり死んじゃうなんてひどいぜ!
虎…早く起きるのじゃ…でないと…。
「んん?んんっ~~~~~~~~~ぁぁぁっ!ごほっごほっ!!!!」
ありのままに起こったことを話すぜ!
目が覚めたら姉にキスで口を塞がれて窒息しかけていた。何をいっているのか略っ!
「亜紀姉っ!!」
「ん~~~虎ちゃん大好き~~もっとキス~~むにゃむにゃ…チーズケーキ…」
寝てるときの無意識の行動だったようだ……動悸が止まらない……やっぱ、美人は
恐ろしい。姉だから嬉しくない。嬉しくないったら嬉しくない。
「亜紀姉っ!起きろっ!」
ぺちぺちと頬を叩く。がばっと布団を上げると……何故か裸だった。神速で布団を
元に戻す。白い肌に形のいい──やばい、焼きついた。
「んー、もう朝~?」
「馬鹿!あほっ!亜紀姉服は!?」
駄目姉は、ねぼけた顔で眼をこすりつつゆっくり思い出しているようだ。
「昨日、確か怖い夢を見て~。」
「またかよっ!」
「榛原さんが電車のホームから私を突き落としたり~榛原さんが木刀で夜中に襲い掛かってきたり~
榛原さんが薬で毒殺したり~そんな夢。怖かったぁ。お姉ちゃん虎ちゃんいなかったら
眠れなかったわぁ。」
「やけに具体的だがなんで榛原さん限定なんだ。」
俺は呆れながら言った。あたりに服がみあたらないので衣装棚から適当にシャツと
ジャージを渡してやって後ろを向く。
「で、何で裸なんだ?」
「どうせだから虎ちゃんにお世話になってるお礼に、みやちゃんに教えてもらった男の子が
気持ちよくなるマッサージしようとしたの。でも、眠くてそのまま眠っちゃった。ごめんね~。」
むしろ良かった。本当に良かった。
「亜紀姉。俺の部屋で寝るのは禁止。裸になるのはもっと禁止っ!!」
「うう、虎ちゃん厳しい…。」
涙目になる駄目姉。優しくしたら付け上がるからきっちり叱っておかないと。
「だめっ!」
「うう。わかった~あの虎ちゃん?」
「なんだ?」
「このシャツ虎ちゃんのいい匂いがするー。貰っていい?」
俺は返事をする代わりに駄目姉の頬を両手で左右に引っ張った。
346 虎とあきちゃん sage 2007/08/28(火) 17:19:50 ID:uFkVsG9W
朝からダウン寸前の精神的ダメージを負った俺は小うるさい風子を無視し、穏やかに
放課後を迎えていた。土曜だから昼前だ。
榛原さんを誘ってデートとも思ったが、今日は忙しいらしくおとなしく帰って寝るかと
考えていたのだが…
「やあ、虎之助君、亜紀先輩。」
正門では長く伸ばした髪を無造作に縛った男女、剣薫が待ち伏せしていた。
「じゃあ、またな。」
俺は礼儀として挨拶し、さっさと帰ろうと思った。
「ま、待ちたまえ。冷たいな…虎之助君は…だがそれがいい。それはともかく実は相談
があってだね。」
「虎ちゃん~薫ちゃんが可哀想よ。ちゃんと聞いてあげないと。」
真剣な薫と涙目の姉に説得されてしぶしぶ話を聴くことにした。
「で、なんだ?」
「買い物に付き合って欲しいのだ。」
「俺と?」
まあ、榛原さん用事あるし別に構わないが…
「君と二人きりというのは非常に魅力的だが、今日は違う。亜紀先輩にも着ていただけると
心強い。」
「えへへ。私いると心強い?よし、お姉ちゃん手伝っちゃう!」
「駄目姉は何の役にも立たんぞ。」
「いや、亜紀先輩の力が必要なんだ。」
ふむ…よくわからんが嘘は言ってなさそうだ。どうせ暇だし、俺は薫の買い物を手伝う
ことに決めた。
347 虎とあきちゃん sage 2007/08/28(火) 17:20:30 ID:uFkVsG9W
そして、三十分後…俺は早くも後悔していた。
「ここだ。」
薫が俺と亜紀姉を連れてきた場所…それは女性のための店、ランジェリーショップだった。
「流石に虎之助君と二人でここに来るわけにはいくまい。」
「おまおま…なんで…」
「やはり、下着は女物じゃないとまずいのだよ。だが、購入するには不便でね。」
なるほどーと、亜紀姉は納得して頷いていた。
「お、俺は外で待ってるから亜紀姉と薫で行ってきてくれ。」
俺は逃げようとしたが右手を亜紀姉に捕まれ、左手を薫に捕まれてずるずると
店内に連れて行かれてしまった。
「虎ちゃんの趣味を教えてもらわないとねー。」
「うむ、君が好むものでなければ意味が無い。」
二人は同時に頷いた。俺は諦めて半歩後ろについていく。何か薫が紙を亜紀姉に渡し
それを読んで亜紀姉がおっけーと親指を立てていた。
「なんだ?その紙。」
俺が覗き込もうとすると薫は珍しく紅くなって慌てふためいた。
「だ、だだだだだめだ!虎之助君は見ては駄目だ!」
「駄目よ~虎ちゃん。薫ちゃんの胸とスリーサイズ書いてあるんだから見ちゃ。」
「亜紀先輩っ!」
慌てる薫。なんか見てみたいようなそうでないような。
「お姉ちゃんのなら教えてあげるよ?」
「いらん。」
店内には所狭しと女性の下着が置かれている。店員は勿論、客も女性ばかりで場違いに
浮いた俺はそこにいるだけでセクハラになっているような緊張感に耐えていた。そんな中、
亜紀姉と薫は下着を選んでは見せ合って喜んでいた。俺もたまに感想を聞かれたが、直視できず
生返事を返すだけだ。
うるさい二人のせいで視線も集まり………ふと首筋にちりちりと来るような殺気が……
後ろを向いたが誰もいない。そして、視線を他所に向けたせいで伸びる魔の手に
気づかず、俺は試着室に引っ張り込まれた。
「うふふ~このブラどうかなっ!どうかな!?」
「ば、馬鹿!何するんだっ!」
「しーっ、お店で大きい声だしちゃだ・め♪」
中に入ると姉が選んだブラを付けてポーズをとっていた…。四捨五入すると九十に
達する胸を強調して…。
「虎ちゃんこれどう?似合ってる?」
「似合ってる!似合ってるから!」
俺は根性でその無法空間を脱出し息をついた。全く何本ねじが抜け落ちているのだろう。
この駄目姉は…。親父もお袋もやり手なのに誰に似たんだ。
「流石は亜紀先輩…。僕も恥ずかしいが挑戦するべきだった。」
「頼むからやめてくれ。」
格好付けて髪をかきあげてのたまう薫を見ながら、俺は心底疲労してランジェリーショップを後にした。
348 虎とあきちゃん sage 2007/08/28(火) 17:21:37 ID:uFkVsG9W
………で、何故薫はうちまでついて来るんだ。
「ほう…ここが虎之助君の家か。……………普通だね。」
悪かったな。うちはどうせ一般庶民だ。
「いらっしゃい、薫ちゃん。ゆっくりしていってね。」
姉は上機嫌でニコニコしている。薫はにこやかにありがとうございますなどと
和気藹々にしゃべっている。
「虎ちゃん。お姉ちゃんいつものアールグレイね。」
「ふむ…私もありがたく頂こう。」
お前らちょっとは遠慮しろよ。俺はくたくただ。といいつつ条件反射のようにお茶を入れて自作の
お菓子まで用意してしまう自分が憎い。
「ここまできたのも何かの縁だ。亜紀先輩実はお願いしたいことがあるのですが。」
ぽりぽりクッキーを齧りながら姉のほうを真剣に見る薫。
「なになに?大切な後輩のお願いだしなるべく聞いてあげるわよ?」
「虎之助君の部屋を見たいのですが。」
「うん。いいよ。一緒に見ましょうね。あ、昔のアルバムとかもあるよ?」
「ほう、それは是非に。」
「あほか!人の部屋にはいる許可勝手に出してるんじゃない!
馬鹿姉!!」
断然抗議する俺。だが二人は全く聞くそぶりもなく俺の部屋に入っていった。
「まてこらっ!!」
あわてておいかける。そして、部屋に入ると…既にエロ本が発掘されていた。
「ほう……年下か……。」
「うう、虎ちゃん…お姉ちゃんものがない~。」
ずしゃっと力が抜けて崩れ落ちる。俺の人権は一体どこに…。
「さて、虎ちゃんの性癖を確認したところで、薫ちゃん着替えさせましょうか。」
「はあ?」
「ほら。折角下着買ったんだし、服はおねえちゃんのあるし。サイズ的にも大丈夫そうだから。」
「ちょ、ちょっと?亜紀先輩?」
慌てる薫。お前は人の人権は蹂躙するのはよくてされるのはだめな人か?
「実はもう用意してあるのー。お姉ちゃん手伝ってあげるね?」
「亜紀姉まて!!」
後ろから薫に抱きつく亜紀姉。首筋に息を吹きかけ上から男物の服のボタンを一つずつはずしていく。
時折もれる薫の熱いと息がどうにも魅惑的な雰囲気を出している。
349 虎とあきちゃん sage 2007/08/28(火) 17:58:41 ID:uFkVsG9W
「あら~女同士なんだから嫌がらなくてもいいじゃない?」
「や、やめてください先輩!虎之助君がっ!!」
「大丈夫よ。お姉ちゃんで慣れてるから~。」
「そんな問題じゃ!!」
押し問答をしている間に亜紀姉の指が薫の意外と大きな胸を繊細な手つきで触る。このだめ姉わざとじゃ
にだろうな………でも、天然なんだろう。きっと。
薫の体からどんどん力が抜けていく。気がつくと下着を着けているだけになっていた。ここまで脱ぐとさすがに
いつもの男っぽい感じは微塵もなく、少し気が強そうな普通の女って感じだ。
「ふふ……後一枚だね。」
「虎之助君…みないで…」
ああ、そりゃそうだ。俺はドアを開けて外に出ようとしたが…姉に捕まった。そのまま恐ろしい力で
部屋の中に引き戻され、手近な配線コードで手と足をぐるぐるに縛る…ってまて!
なんで、こんなことにだけ無駄に器用なんだ…
「だめよ~虎ちゃんが見てあげないと意味がないじゃない。男の子の評価って大切なのよ?」
姉はいつもの邪気のない笑みで俺に微笑んだ。そこに悪意は全くない。純粋に善意でやっているのだろう。
そして……姉は新しい下着を用意して残っていた下着を剥ぎ取った。形のいい大きな胸がむき出しになり
生まれたままの姿になる。
「あら…薫ちゃん濡れちゃってるわね…。新しい下着汚しちゃうといけないから拭いてあげるね?」
「ちょ…お願いです。やめ…虎之助君亜紀先輩を…とめてっ!」
すまん薫……こうなった姉を止めることは誰にもできないんだ…。亜紀姉はそのままうしろから抱えて
ティッシュを使って薫の大事な部分を俺の目の前で吹き始めた。無意識なのか掴みやすいのか自然にもう片方の
手は胸を掴んでいる。
「いや…あ…や、やめっ!」
「あれ~おかしいね。とまらないみたい。」
明らかに目に毒な光景を見せられ、俺も悶絶していた。亜紀姉はどうにも薫の感じるところを集中的に
攻めているらしい。
「そそこはだめっ!ちがっ!いあ…う…だめああっっ…いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
体がピンとはったかとと思うとくたっと薫の力が抜けた…イッたのか?
「あ、あれれ?」
姉も困惑して動かなくなった薫を見つめている。そして何もなかったかのように普通に拭くと下着を
はかせて自分の持ってきた大人っぽい雰囲気の服を着せた。
「ほらどう?虎ちゃん。かわいくない?」
俺はそれどころじゃなかった。
薫は正気に戻ると男物の服に着替えなおし、顔を真っ赤にして走って出て行ってしまった。
俺は思ったよりあいつが普通だったのに少し感動し、心の中で詫びた。ついでにいいもの拝ませて
いただきましたと。学校でこれからどんな顔をして会えばいいのだろうと思いつつ、俺はとりあえず、横でのんきに
薫ちゃんかわいーとか呟いてる姉の頭を思いっきりはたいておいた。
最終更新:2007年10月21日 00:55