476 美咲のへや sage New! 2008/02/24(日) 16:26:44 ID:PEp2bEWx
「買い物、付き合ってくれる?」
昼食を取った後の日曜日の午後、美咲は、兄の龍之介に上目遣いで誘った。
「別にいいけど?」
つき合わされたのはインテリアショップ。
「実はね、わたしの部屋をちょっと模様替えしようと思ってるんだ」
デレデレと美咲は頭を龍之介に持たれかけて笑っている。
龍之介は隣の美咲の部屋には、入った事がない。
逆に美咲が龍之介の部屋に来るのはしょっちゅうなこと。
(どんな部屋だったかな…)と思いつつ、一緒に美咲の気に入る小物を探した。
「今日は、荷物持ちだからね」
「はいはい」
龍之介はいつもの事か、と思いつつ店内を一緒に回る。
「コレ、いいんじゃない?コレ」
美咲は、淡い桜色の壁紙を指差した。
「壁紙、替えるの?」
「やるんだったら、思いっきりしないとね」
「親から叱られるぞ」
「平気、平気」
美咲はあっけらかんとしたもの。美咲は自分ひとりで張替えが出来るキットを選んだ。
きっと、龍之介が手伝わされるのだろうか。
この日は、あひるの置物、ねこの貯金箱、レースのカーテンそして桜色の壁紙を買った。
477 美咲のへや sage New! 2008/02/24(日) 16:27:20 ID:PEp2bEWx
買い物から帰ると早速、美咲が壁紙を二階の自室にとたとたと運んでいった。
「さあ、がんばるぞ」
階段の下から龍之介が呼びかける。
「手伝おうか?」
「いいの!いいの!お兄ちゃんはいいの!」
すこし、焦った様な声で断る美咲。バタムと扉を閉めてしまった。
龍之介が他の小物を運ぼうとすると、美咲の部屋から、地鳴りのような大きな音がした。
小物を下ろし、慌てて階段を駆け上り、美咲の部屋の扉を開く。
龍之介はその光景を見て驚愕する。
「いててて」
床には今日買った壁紙キットが転がっている。
美咲は、前の壁紙を外そうと椅子に乗ったのだが、こけて尻餅をついていた。
さらに驚いた事に前の壁紙には一面、天井から床までに
「龍之介大好き 龍之介大好き 龍之介大好き 龍之介大好き 龍之介大好き 龍之介大好き
龍之介大好き 龍之介大好き 龍之介大好き 龍之介大好き 龍之介大好き 龍之介大好き
龍之介大好き 龍之介大好き 龍之介大好き 龍之介大好き 龍之介大好き 龍之介大好き
龍之介大好き 龍之介大好き 龍之介大好き 龍之介大好き 龍之介大好き 龍之介大好き」
の文字が書かれていた。
最終更新:2008年02月24日 19:16