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気持ち悪い妹 sage 2008/02/27(水) 23:16:10 ID:gRaODouZ
誰かのかすかな喘ぎに、意識が眠りの中から引き戻される。夜の闇の中、一志はそっと薄目を開けた。
窓から差し込む青白い月明かりの中、華奢な人影が浮かび上がっている。妹の綾香だ。一志が寝て
いるベッドのそばに膝を突き、震えながら息を荒げている。
彼女の寝巻きのシャツはボタンが全て外されており、露出した下着も半ばずらされて、小ぶりで形
のいい乳房が白い肌を覗かせていた。細い左手がゆっくりとそれを揉みしだき、右手はズボンの中に
もぐりこんで股間をまさぐっている。
目は閉じられ頬は上気していたが、自分の体を激しく責め立てているにも関わらず声はほとんど漏
れていない。小さな口がはだけた寝巻きの布地をきつく噛み締めているためだ。眉根を寄せた表情は
とても苦しそうだ。声が漏れるのを抑えようと必死に努力しているらしい。
(気付かなきゃよかった)
一志は後悔しながらも、意識を集中して呼吸を規則的に整えた。できれば、起きてしまったことを
綾香に悟られないまま、彼女をやり過ごしたい。
自慰を続ける綾香の喘ぎ声が、少しずつ大きくなってきた。口はまだきつく布地を噛んでいるため、
声はほとんど聞こえてこないが、鼻から漏れる呼気とそこに混じる切なげな呻きは隠しようがない。
額から流れ落ちた一筋の汗が、月明かりを浴びて薄らと光っている。顔の赤みも深くなってきたよう
だ。細められた瞳が潤んでいるのが、闇の中でも見えるような気がする。
そうやって数分ほども自慰を続けたあと、綾香は服の布地から口を離し、両手を自分の体から離し
た。寝巻きを着直しながら、なにか思い悩むように数秒ほど黙り込む。不意に、その顔が真っ直ぐこ
ちらに向いた。先程まで淫靡な興奮に浸っていた顔に、愛しげな微笑みが浮かんでいる。
「お兄ちゃん、起きてるでしょ」
どう答えたものか迷っていると、綾香は微笑んだままで、小さく溜息をついた。
「気を遣わなくてもいいよ。わたし、途中から気付いてたから」
どうやら誤魔化しようはないようだ。一志は仕方なく目を開き、ベッドの上でためらいがちに上半
身を起こした。じっとこちらを見つめている綾香に、軽く片手を上げる。
「すまん、起きるタイミングが分からなくてな」
「あの、お兄ちゃん」
綾香が少し呆れ気味に言う。
「こういうときって、普通わたしが謝るものだと思う」
「そうか?」
「そうだよ。妹が夜中勝手に部屋に忍び込んできて、自分の寝顔を見ながらオナニーしてるんだよ?
普通なら怒鳴るとかしてるよ、絶対」
「そうは言ってもな……俺がお前を怒鳴ったことなんて、あったか?」
「ないけど。でも、迷惑だったら怒鳴ったっていいし……それこそ殴ったっていいんだよ、お兄ちゃん」
「絶対しない……いや、出来ないよ、そんなことは」
断言すると、綾香は少し辛そうに眉をひそめ、うつむいてしまった。いつも以上に小さく見える妹
に、一志もまた何も言えずに黙り込むしかない。
少しずつ、夜気が体を冷やしていくような気がする。一志は掛け布団を捲り上げて、妹を手招きした。
「とりあえず、こっち来い。そんなとこで話してたら、風邪引いちまうよ」
綾香は一瞬ためらうように入り口の方を見てから、またこちらに視線を戻した。そっと立ち上がり、
おそるおそるベッドの端に身を横たえる。一志は苦笑した。
「こら、そんなところにいたんじゃ、遠くて話しづらいだろ」
「でも」
「いいから、もっと近くに来いよ。ちょっと前までは普通にそうしてたじゃないか」
綾香は迷うように視線をさまよわせながら、じりじりとこちらに身を寄せてくる。一志は布団の中
で右腕を伸ばし、妹の体を軽々と抱き寄せた。腕力、体力には自信のある自分と、小柄で華奢な妹の
関係は、昔からこのままで少しも変わらない。
「だ、だめだよ、お兄ちゃん」
腕の仲の綾香が、焦ったようにもがく。
「だめって、なにが?」
「こんな近くだと、わたし、変になっちゃうから」
見上げる瞳に涙が滲んでいたので、そっと指で拭ってやる。不安げな綾香の耳元に、出来る限り柔
らかい声音で囁きかける。
「別に、いいから。遠慮しなくても。何がしたいのか、言いな」
「でも」
「いいから」
綾香は困ったように眉根を寄せながら、一志の顔と胸の間で視線を揺らがせる。その頬が少しずつ
赤くなっていき、小さな唇が固く引き結ばれた。唾を飲み込む音が、かすかに聞こえたような気がする。