597 「キモ姉のいる朝の風景」 sage 2007/09/09(日) 02:09:13 ID:vauBw0hN
毎朝鳴り響く暖かみのない電子音によって不快度指数MAXの状態で強制的に起こされる俺。
そして目覚めると俺の目の前には必ずと言っていいほど肌色の物体が存在している。
その謎の物体Xとは我が愚姉の顔である。非常に気持ちよさそうにムニャムニャとよだれを垂らしながら何かを呟いている。
その緩みきった間抜け顔を見ていると訳もなく腹が立ってくるのは何故だろう?
さて、俺は現役高校生なのだが高校生にもなって何故姉と一緒に寝ているのかと人は不審がるかもしれない。
言っておくが決して昨日姉と散々禁断かつ背徳のギシアンをして朝チュンしたわけではない。
言っておくがそんなことが起こりうるのは漫画やドラマの世界だけだ。
もしそんなことになってしまったら俺は間違いなく50メートル走並みの助走をつけて、華厳の滝に3回転半ひねりをかけながら飛び込むね。
話がそれたがこの姉は俺が何度注意しても俺が寝ている隙にいつの間にか俺のベッドに潜り込んできているのだ。
一体いつになったら『勝手に俺の部屋に入らない、ベッドに潜り込まない』という弟の切実なる要求を呑んでくれるのであろうか。
俺のプライベートな時空間はこの姉がいる限り存在しないのかもしれない・・・そう思うと激しく憂鬱だ。
大体俺の部屋には鍵が付いているというのにそれすらも乗り越えてきてしまうのこの姉にはもはや畏敬の念を感じざるを得ない。
今では「本当に緊急かつ非常事態時以外に俺の許可無しに鍵を開けたら絶交」という姉曰く非常極まりない協定によって何とか精神の安定を保っているといった状態だ。
しかし俺がうかつに部屋でオナニーなんかしていると問答無用で即座に部屋の鍵をこじ開け、目を血走らせ息を荒げながら俺に向かって襲いかかってくるものだからたまったものではない。
そこは一番鍵を開けちゃいけないタイミングだと激しく突っ込みたいがそんなことを悠長に喋っている間に俺は無惨にも実の姉によって陵辱され尽くしてしまうだろう。
毎回毎回姉に抵抗して行為の続行を断念するおかげで息子はギンギンなのにちっぽけなプライドのために自制しなくはいけない弟の気持ちももう少し汲み取って欲しい。
まったくプライバシーもくそもあったもんじゃない。
俺と両親が姉のあまりのブラコンっぷりを心配してわざわざ部屋を分けたというのにこれでは全く意味がない。もっと親孝行してくれ。
もっとも姉は最後の最後まで部屋を分けるのを全力を持って妨害してくれたがな。そこまでして俺を苦しませたいか。
くそっ、こうなってはもう鍵を買い換えるのはよした方がいいかもしれない。
財布の中が極寒地獄になるのは避けたいし、何よりこれで10回目のピッキング被害だ。
もしかしたらこの姉の前には鍵など存在しないのかも知れない。
前世はきっとアルセーヌ・ルパンだったのだろう。あれ?ルパンってフィクションの人物だったか?
とにかく将来ピッキングか何かして警察に捕まっても家族には迷惑をかけないでもらいたいものだ。
598 「キモ姉のいる朝の風景」 sage 2007/09/09(日) 02:10:15 ID:vauBw0hN
小鳥たちも楽しげにハミングを口ずさむ爽やかな朝なのにこの愚姉のせいで果てしなく気分が落ち込むがとりあえず姉を起こす。
「おはよぉ~弟君。大好きだよ~♪」
などと寝言をほざきながら抱きついてくるのを無視しつつ、着替えるためにさっさと部屋から追い出す。
この時姉はとても激しく抵抗するが俺も負けるわけにはいかない。
以前姉が寝ている隙に着替えを敢行したところ突然目を覚ました姉に押し倒され、我がチェリーを奪われそうになったからだ。
「初めては好きな人」と決めている俺は「彼女も出来ないまま死にたくねぇ!」と火事場の馬鹿力を土壇場で発揮し、何とか姉から逃げおおせることができたがあの時の姉はまさに野獣そのものだった。
いつ思い出しても寒気がする・・・
激しくドアを叩きながら何やら喚く姉を無視したおかげでなんとか無事着替え終わり、朝食をとる。
いつの間にか着替え終わっていた姉は何度も
「はい弟君、あ~ん♪」
と料理を俺の口に運ぼうとする。寝言は寝て言え。両親も正直引いてるぞ。
俺がいつも通り華麗に無視し続けると姉は
「どうしてお姉ちゃんの言うことが聞けないのっ!そんな悪い子に育てた覚え、お姉ちゃんにはないよ!」
と怒ってくる。
確かに俺も姉に育ててもらった記憶はないな。うん、今日も味噌汁がうまい。
「あっ!だったら弟君がお姉ちゃんに『はい、あ~ん♪』してよっ!あ~ん♪」
姉はいきなりアホそのものなことをのたまったかと思うとツバメの雛が餌を心待ちにしている光景を彷彿とさせるポーズを取る。
うん、卵焼きもいつも通りうまいな。俺は隣から鳥のようなけたたましく騒ぎ続ける何かを無視しながら朝食をとり続けた。
599 「キモ姉のいる朝の風景」 sage 2007/09/09(日) 02:11:11 ID:vauBw0hN
「ごちそうさま。」
この言葉を言った瞬間から俺の中で戦争が始まる。
俺は朝食を食べ終えた瞬間ツーステップで華麗にマイ通学鞄をつかみ取ると全速力で家を出る。
無論隣でモキュモキュと謎の擬音を立てながら腰に手をあてて牛乳を飲んでいる姉から逃れるためだ。
本人曰くボインが好きな弟のために健気にも頑張っているらしい。
確かに俺は胸が小さい女の子よりは大きい子の方が好みだが、残念ながらいくら巨乳でもそれが実の姉では全く意味がない。
そんな無駄な努力をしている暇があったら彼氏でも作って俺をさっさと解放してほしいと思いつつ、ドアを勢いよく開けトップギアをかける。
「あ、ま、待って弟君!お姉ちゃんまだ飲み終わってないの!ちょ、待ってぇぇぇぇ~~~!」
何やら後方から姉の慟哭が聞こえたような気がするが気にしてはいけない。
俺はほんの少しだけ胸に突き刺さる痛みを感じつつも通学路を陸上部もビックリの速度で駆け抜ける。
今日こそは、今日こそは姉から逃げ切ってやるっ!
その執念だけで走り続ける俺の顔は多分鬼の形相をしていることだろう。
ご近所のおばさん方からとても心配され、今や朝は全力で走らないと死んでしまうのでは?と危惧されているらしい。
何故ここまで俺が必死に走っているかというとそれは至極単純に姉と一緒に登校したくないという結論に至る。
姉と一緒に登校するとそれはもう体力、精神力、その他諸々を一日の始まりの内に極限まで消費させられる。
腕を組んで歩きにくいと何度注意してもベタベタと俺の方に寄りかかってくる。
まぁ、非常に不本意ながらいつも変態的な姉の行動に昼夜問わずさらされている俺にとってこの程度だったらまだ許せる。
だがどうしても我慢できないのは少しでも隙あらばキスをしようとしてきたり、俺の手を自分の胸や股間に押しつけようとしてきたり、またはその逆をしてきたりといった行動を取ってくるときである。
しかも周りに登校中の多くの学生達がいるというのにそんなことはお構いなしにだ。。
愚姉は羞恥心とか乙女の恥じらいとかそういった可愛らしいものはとうの昔に捨て去ってしまったようである。
だがそのような真似を天下の公道で甘んじて受け入れるほど俺は人生を捨てちゃいない。
俺が120%中の120%の持ちうる力の全てを出し尽くすことによって人様にこの醜態を見られることだけは何とか回避してきた。
そのおかげでなんとか「実の姉と肉体的関係を持っている弟」などという社会的に抹殺されるであろう不名誉なあだ名が付くことだけは避けられたようだ。
だから姉からできるだけ速く、遠くに逃げ切らなければいけないのだが今までに無事逃げおおせたことは残念ながら一回もない。
全戦全敗という不名誉な記録を更新し続ける毎朝をただ無意味に送っている。
そんな状況を打破するべく俺は今日もその不名誉な記録を打ち破るべく走り続けるのだ。
600 「キモ姉のいる朝の風景」 sage 2007/09/09(日) 02:12:02 ID:vauBw0hN
俺が今までの敗戦データの中から集めたありとあらゆる抜け道ルートを駆使し、全速力で駆け抜けた結果自分でも「よくできました!」と誉めたくなるくらい学校のすぐ近くに着けた。
しかも姉には追いつかれていない上に校門まであと数メートルだ。流石にここまで来ればもう安全だろう。
残念だったな姉よ!記録は破られるために存在しているのだ!
と完全に浮かれて油断していたのが間違いだったと気付いたのは突然頭上から
「弟君つ~かまえたっ!」
という聞き慣れた声と共に黒い影が現れそのまま俺に激突し、道路に押しつぶされてしまったときだった。
まさか学校まであと数メートルという最後の最後で気が緩んだ一瞬の隙をついてくるとは神も思うまい。
してやられた。完敗だ。
「えへへ、弟君。お姉ちゃんを置いて一人で学校に行っちゃダメだってお姉ちゃんいつも言ってるでしょ?
いつどこで弟君が泥棒猫さんに危険な目に遭わされるかわからないんだから。
だから弟君にはお姉ちゃんがいつも側にいて守ってあげきゃダメなの。分かった?」
いいや、全然わからん。つか猫に襲われて重傷を負うほど俺は貧弱ではない。
あと目の前が真っ暗なんだが何だこれ?何かこう・・・ムワッとして湿っぽい気がするぞ。
あと漂ってくるこの臭いを嗅ぐと俺としては絶対に思い出したくない記憶が蘇ってきそうな気がするんだが・・・
「あん・・・弟君・・・みんなが見て・・・っるのにぃ・・・!あはぁ!いいよぅ弟くぅん!」
強く俺の頭を締め付けている柔らかかつ弾力性のある何かを力ずくで引きはがし、久しぶりに新鮮な空気とお日様の光と再会する。
しかし無情にも彼らとの再会の感動を味わっている暇など俺には存在していなかった。
なんと俺が今まで頭を突っ込んでいたところは姉のスカートの中だったのだ。
「意外にピンクの可愛い下着履いてるなオイ」なんてエロゲの主人公なら思うのだろうがあいにく相手はあの姉。
むしろギャグマンガのごとく俺の目玉が飛び出ているほうが100倍お似合いだ。
「もう弟君たら・・・お姉ちゃんに欲情しちゃったんだったらいつでも言ってくれればいいのに・・・」
思わずエターナルフォースブリザードを直撃した人並みに固まる俺を尻目に姉はのんきに頬を赤く上気させながら俺の服の上から『の』の字を書いてくる。
「・・・ぃ」
「どうしたの弟君?」
「い、いやぁあああああああああああああああああ!!」
「えっ?!お、弟君?!弟く~ん?!」
俺は馬乗りになっていた姉を勢いよくはねのけると今世紀最大の奇声をあげながらおそらく自己最速タイムであろう驚異のスピードで学校へ逃げ込んだのであった・・・
俺はもう・・・もうお婿にいけないっ!!!
最終更新:2007年10月21日 02:34