コンコンねえちゃん

762 コンコンねえちゃん sage 2008/04/09(水) 23:13:54 ID:DTDWll+f
「おかえりなさーい!」
ぼくが、いつものよう学校の帰りに神社の境内を通ると、社務所の方から声がする。
ぼくは、ここの神社の息子ではない。神社はただの通り道に過ぎない。
しかし、あの聞き覚えのある声は確かに「おかえりなさーい」と声がする。

「いちいち、うるさいなー」
ぼくが呆れながら、声のするほうにくるりと体を向けると、
社務所の影から、ぴょこんと巫女の格好をしている若い女性の顔が覗いていた。
「まーくん?おかえり」
「ってか、ここ家じゃないし。姉ちゃん、仕事しなくていいの?」
「いいのいいの。わたしの仕事なんかね…」

覗いていたのは、ぼくの姉。ここの神社で働いている…と言うより『ここの神社にいる事が仕事』なのだ。
パタパタと近づいてきた姉は、ぼくの顔を覗き込みながらニコニコと笑う。
「まーくんの元気な所見ないと、あたしね、もーやる気出ないんだ」
「いつでも家で会えるじゃん」
「ちがうの!お仕事中の時でも、まーくんのことずっと考えてて、今日はどうしようかな、
一緒におみくじでも引こうかなっとか、お賽銭ちょろまかして二人で買い物に行こうかなっとか
って…もー、まーくんったら、あたしの事困らせるんだから!」

姉の笑い声だけが、静かな境内に響く。岡目八目に見ても、困っているようには見えない。
むしろ、嬉しそうな姉は、ぼくの頭を恥ずかしそうに小突き、手をぐいぐいと引っ張る。
「もう、家に帰るから…もう離してよ」
「えー、もう帰るの?もっと遊ぼうよお」
バタバタと片方の腕を振る姉。頬の赤い姉は、まるでおこちゃまのようだ。
「きょうは、お客さんが来るんだから帰るの!」
「むー」
「『むー』じゃないの。帰るからね」
「それは『いいお客さん』?それとも『悪いお客さん』?」
「うるさいなあ。『いいお客さん』!」
姉とのくだらない会話を強制終了して、ぼくは鳥居に向かって歩き出す。



763 コンコンねえちゃん sage 2008/04/09(水) 23:14:33 ID:DTDWll+f
「まったく…姉ちゃんは『お客さん』って聞くと、疑うんだから。でも、きょうは大畑さんが来るんだから楽しみだな」
歩きながら、ぼそぼそと独り言のようにぼくは呟く。
と、向こうから姉が血相を変えて走ってくる。しまった、と思った瞬間、ぼくの目の前に姉がいた。

「何?『大畑さん』って誰よ!!あたしのこの耳に聞こえないとでも思ったの?」
確かに、姉は耳がいい。
事実、ぼくの足音でぼくがここに来た事がわかったらしい。しかも、ぼくの足音だけがビンカンにわかると言う。

それもそのはず姉の耳はきつねのように大きく、というより『きつね耳』なのだ。
姉の耳が小刻みに動く。
さらに、腰から尻尾も生えているいわゆる『ケモノっ娘』。バタバタと尻尾が激しく揺れているのが、ちらちら見える。
もちろん、ぼくが生まれる前からケノモっ娘なのだ。姉がなぜきつねなのかは、良く分からない。
そのせいか、姉は少し人間の常識から離れているようにも思える。
そんな姉は、ぼくの制服のネクタイをむんずと掴む。息が苦しい。

「…おとこの…友達だよ…」
半ば、姉から脅迫されるように答えさせられる。
「それは『ホントの答え』?それとも『ウソの答え』?」
「『…ホントの…答え』…です」
「うそっぱちだったら、呪うからね!末代まで呪うからね!プロをなめんなよ」
(末代までって、身内だし…)
捨て台詞のように『プロらしからぬ』言葉を残し、くるりと踵を返す。
一緒に、姉の腰から生えた尻尾がブンとまわる。



764 コンコンねえちゃん sage 2008/04/09(水) 23:15:36 ID:DTDWll+f
二階のぼくの部屋から玄関前で、少女がうろうろしているのが見える。
彼女は、なかなか入る決心が出来ないのか。

「もー、早くピンポン押してくれよ」
じっと見ていると、三分経ってようやくピンポンを押した。世界一長い三分間。
ぼくは、急いで玄関に向かう。

「あのー、栗原くん?」
扉越しに少女の声が聞こえてくる。
ぼくは、ドキドキしながら玄関の扉をゆっくり開けると、目の前にさっきまで
玄関前でうろうろしていた少女が一人。
「大畑さん!」
きょうは、大畑さんが家に来てくれる日だった。

大畑さんは、ぼくのクラスメイトの子。大畑さんはどちらかと言うと引っ込み思案。
いつも、クラスで一人寂しそうにしている彼女に、時々ぼくが彼女に話しかけて少しずつ親しくなった。
半年前の大畑さんは、ホントに暗かった。

「わたしって、何やってもだめなのね…」
「そんな事ないよ。オレ、大畑さんの一生懸命な所、いいと思うよ」
と、大畑さん自身が気付かない所をどんどん誉めてあげた。
大畑さんが笑えば、ぼくも笑う。大畑さんが泣けば、ぼくも泣く。

そして「トイレの紙って、破ったら三角にすると気持ちいいよね」とか
「カップ焼きそばって、ソースを入れて蓋をしたまま振ると、きれいに混ざるよね」
というくだらない話まで、大畑さんの方からしてくれるようになった。

そして、昨日の帰りがけ、こんな会話があったのだ。
「あの…栗原くんね…。宿題教えてくれない?」
「えっ?」
「わたし日本史、まるっきりダメなのね。いっつも一人で勉強してて、心が折れそうになるの。
でも、栗原くんと一緒だったら、頑張れるかな…て。ごめんなさい!迷惑だったら聞き流してくださいね!」
「全然、迷惑ではありません!」



765 コンコンねえちゃん sage 2008/04/09(水) 23:16:14 ID:DTDWll+f
ぼくは、世界一幸せな少年かもしれない。
大畑さんは、一旦家に帰ってから着替えて家に来るという。
ホントは迎えに行きたかったんだけど、とある事情により、ぼくの家までの地図を渡していたのだ。
大畑さんには「用事を済ませてから」と伝えてある。

その、とある事情とは…無論、ぼくの姉である。姉がいたら、どこかに連れ出さなければ。
幸い、きょうは真面目に仕事をしていてくれている。ラッキー。

大畑さんは、春っぽいGジャンに身を包み、ハーフパンツが爽やかな雰囲気のいでたち。
ショートカットなので、ぱっと見は、少年のような大畑さん。
だが、後ろ手でバッグを持って待っている姿は、ほんわかして女の子らしい。
春風で、前髪がなびいている。

ぼくは、玄関を開けて、大畑さんを迎え入れる。
「すぐわかった?」
「う、うん」
「今日は、家の者がいないからごゆるりと」
「ありがとう。わたし、男の子の家に行くの…初めてなのよね」
ぼくは、なんだか嬉しい気持ちだ。ようこそ我が家へ、と。

大畑さんは、ごつめな男物のスニーカーを脱ぎ、家に上がる。
ぼくは、二階のぼくの部屋に案内をする。
ぼくの部屋によその女の子が入るのは、史上初の事。

「あ、このぬいぐるみ、かわいい」
ぼくの机の上には、きつねのぬいぐるみが置いてあった。
大畑さんは、ちょっと気に入っている様子。
「ははは、ちょっとかわいいかなーって、母が買って来たんだよ」

このぬいぐるみ。実は、昨夜、姉とぼくがスッタモンダのケンカをして、姉がぼくにぶつけてきたもの。
ことの原因は、ネットでぼくが見ていたイヌの動画が、メスのイヌというだけであった。
それを見た姉は、尻尾に来て「こんなにかわいいお姉ちゃんがいるのに!」と叫ぶ始末。
姉の部屋から、ぬいぐるみを持ってきて投げつけてきたのだ。
「まーくんのバカー!」と捨て台詞を残し、自分の部屋に逃げて行ったので、置きっ放しになっていた。
大畑さんには、姉の事は話していない。これは、あえて黙っていたのだが…。

「いきなり宿題もなんだから、ゆっくりしていってよ」
「うん。ありがとう」
ぼくにとって宿題なんぞ、どうでもいい。同じ部屋、同じ時間、同じ空気に大畑さんがいることで十分なのだ。



766 コンコンねえちゃん sage 2008/04/09(水) 23:17:02 ID:DTDWll+f
しばらく、沈黙が続く。

「あの」
「あの」
しまった。気が合っているのか、合わなすぎるのか。なんだか気まずい空気が流れる。

「ちょっと、お手洗い借りていいですか?」
大畑さんを一階のトイレに案内し、ぼくはその間に台所で、お菓子を用意する。
パチリとトイレの電気が灯る。

ぼくのバカ、ぼくのバカ、ぼくのバカ。
こんなチャンス、滅多にないぞ。両親もいない、姉もいない。
憧れの子とふたりっきりお金では買えない、なんという贅沢な時間の無駄遣い。
もともと、女の子とは縁のなかったぼくには贅沢すぎるのか。そんな、ぼくをぼくが責める。

突然、ぼくの携帯のバイブレーションが鳴り出す。メール着信か。
送信主は、姉からだった。

『もうすぐ まーくんのところに もどつて くるからね
 PS おおはたさんが おんなのこ だつたりしたら




.                           』

うわあ、物凄く恐ろしくもあり、気になるメールだ。間違えて途中で送信してしまったのだろうか。

ぼくは、ヘンな汗をかきながら、お菓子を用意する。
さっき言いかけた「お菓子でもどう?」という言葉を言えなかった事を悔やみながら、
お菓子とジュースを持ってぼくの部屋に戻る。
トイレの電気は消えていたので、大畑さんはもう戻っているのか。



767 コンコンねえちゃん sage 2008/04/09(水) 23:17:34 ID:DTDWll+f
「おまたせー」
あれ、大畑さんがいない。バッグは、ぼくの部屋に置いたままなのに。
一体どこへ行ったのか。
と、最悪の事態がぼくの頭に浮かんだ。お盆を置いて、部屋を出る。

「しまった!」
ぼくの部屋を出て、姉の部屋の扉を開けると大畑さんが固まって突っ立ていた。
間違って、姉の部屋に来てしまった大畑さん。彼女は、もう笑っていない。
姉の部屋には、ぼくの部屋にもあったきつねのぬいぐるみでいっぱいだ。
半年前の暗い顔で、大畑さんが振り向く。目が怖い。

「…ずいぶんと、仲良しなことね…。妹さん?お姉さん?ふっ。どちらでもいいけどね」
「いや、あの…うちのねえちゃんの…」
「別に、お姉さんがいることはどーでもいいのよ。ただね…わたしを一人ぼっちにして…」
「ちがうって!」
大畑さんは大人しい子なのだが、一方嫉妬深い子でもあった。
あえて、姉の事は今まで伏せていたのは、そのためだったのだ。しかし、もう後の祭り。
そんな中、玄関から聴き覚えのある素っ頓狂な声が。
「まーくぅーん!」
しまった!残念な姉だ!



768 コンコンねえちゃん sage 2008/04/09(水) 23:18:55 ID:DTDWll+f
姉が雪駄を脱ぐ音が聞こえる。巫女装束のまま、神社をトンズラしたらしい。
やばい、二階に上がってくるかな。
「ふーん。あれが、お姉さんね」
姉に大畑さんを会わせてしまうと、ややこしい事になる。ぼくの淡いハートがSOSを出している。
姉の足音が…通り過ぎる。よしっ、一階の居間に姉は走ったらしい。
と、思いきや今度は大畑さんが、ぼくにぶつかってきて部屋を飛び出した。
ぼくがコケている間に、大畑さんは下の階に下りる。姉の所へ行く気だ。
頼むからやめてくれ。今度は、姉からぼくが呪われる。

「今、帰ったよ!!」
別の女性の声が聞こえる。うちの母がパートから帰ってきた。
一階の廊下で、大畑さんと母が鉢合わせ。
「あら、お客さん?」
「あっ、初めまして。栗原くんと同じクラスの大畑みゆきですっ。お邪魔しています!」
大畑さんは、ぱっといつもの大人しい女の子に戻った。
助かった…母さん、グッジョブ。ぼくは、二階の階段からその光景を覗き込んでいた。



769 コンコンねえちゃん sage 2008/04/09(水) 23:19:19 ID:DTDWll+f
大畑さんが、ぼくの部屋に戻ってくると同時に、一階の奥から姉が玄関にやってくる。

「まーくん、どこー?一緒に『大凶』ばっかりのインチキお御籤つくろうよー。アルバイトになるよー」
「シノブ!あんた仕事ほっぽりだして何やってんだい!早く神社に戻りなさいよ!」
母が姉を叱る声が聞こえてきた。尻尾をピンと立てビックリした姉は、涙目になっている。
姉は両手の人差し指を合わせてグリグリしながら、こう答える。
「やだやだ!だって、まーくんと一緒にいたいんだもん」
「冗談じゃないよ。真人は、お客さんと一緒だよ。あんた、18にもなって恥ずかしいと思わないの?」
「だって、だって…お参りに来る人たちは『神様、神様』ってあたしのこと拝んでくれるよ!」
「何言ってんだい。このバカ神が!」
母が姉の頭をはたく音が聞こえる。神様が叱られている所を初めて見た。

ぼくの姉は、神社で働いている。何の神様かは、わからない。姉自身もわからないらしい。
たまたま姉と会った神主さんがピンと来て、居させて貰っている。
神主さん曰く「200年に一人の逸材」らしい。ホントかな。
この仕事をするまで、ニートだった姉にはもってこいの就職先。
はじめは「まーくんと離れたら、あたし死んじゃう!」と駄々をこねて、行きたがらなかった。
業を煮やした母親と神主さんが姉の尻尾を引っ張りながら、ムリヤリ神社に連れて来たのだ。
始めの頃は、随分と逃亡したり、サボったりしていたが、普通の勤め人よりも、ぼくと一緒にいる時間が多く取れると気付き、
今や姉曰く「神様が授けてくれた天職」とのんきに働いている。

そんなことより、大畑さんだ。しかし、事態は風雲急を告げる。
「なんだか、忙しそうだからわたし帰るね」
「あ、ちょっと!大畑さん!」
大畑さんはそそくさと帰ってしまった。それもこれも残念な姉のせいだ。
その頃、姉は母親から尻尾を引っ張られていた。



770 コンコンねえちゃん sage 2008/04/09(水) 23:20:17 ID:DTDWll+f
その深夜、ぼくは泣いた。部屋の中で泣いた。
大畑さん、怒ってるかな。あした、ちゃんと話してくれるかな。
ぼくは思い込みが激しすぎるところがある。ちゃんと、それはそれでわきまえているのだが
直りっこない性格なので、ぼくは半ばあきらめている。

「まーくん。寂しいの?」
姉がぼくの部屋にやってきた。なにか紙袋を持っている。お菓子かな。
「うるさいな!」
「泣き虫まーくん、いまだ健在だね」
「帰れ!」
ぼくは、姉のほうにくるっと椅子を回し怒鳴りつける。
まったく、慰めに来たのか、からかいに来たのかどっちなんだ。

「そうだ、きょう『大畑さん』が来たんだってね?」
「う、うん。あの野郎ったらさ…」
大畑さんは、姉には「男子」と伝えている。しかし、ぼくが甘かった。
「女の子でしょ」
「え?」
「わかるんだよ。あたし、獣の血が流れているから、野生のカンがいいんだよ」
うわあ、この姉にカンづかれたかあ。死んでしまいたい。

「あたしね、まーくんが普通の女の子に取られちゃうんじゃないかと、いっつも心配なんだよ。
あたしは、きつねと人間の二つの血が流れてるから、こんな格好なんだけどでも、これがあたしの普通なんだよ」
姉は、ぼくを真正面から抱きしめる。けっこう大きいおっぱいが、姉の寝巻き越しにぼくの胸に当たる。
ああ、姉がゆすると一緒におっぱいも揺れる。
ブラもしないし、さらしも巻かない人なので、柔らかい感触が素晴らしいただ、姉という所が残念だ。

「いつも、まーくんと一緒にいたんだけど、なんせこんな耳に尻尾だから、人の多いところに出かけられないでしょ。
あたしは、どうでもいいんだけど騒ぐやつらは騒ぐからね。あーあ、めんどくさ」
そういえば、ずっと姉は小さい頃から、ぼくとばかり遊んでいたような気がする。
ケモノっ娘という事で、ひっそりと家で暮らしていた姉。自由に外に出ることもままならない。
それに比べて、ごく平凡で、自由なぼくに少し嫉妬していたのかどうか分からないが、
そんな気持ちから、姉のぼくに対する独占欲が生まれているのだろうか。



771 コンコンねえちゃん sage 2008/04/09(水) 23:20:46 ID:DTDWll+f
くるっと踵を返した姉は、腰をぐっとぼくに向け、自慢の尻尾をぼくの股間に当ててきた。
尻尾がふわふわと揺れている。
「ううっ」
「小さい頃から、こうされるの好きだったでしょ?ほーら、こちょこちょ」

尻尾が、ぼくの股間をくすぐる度に、ぼくの理性が壊れそうになる。
気持ちいいし、相手は姉だし、…ぼくは、きつねに騙される!
「この尻尾に謝りなさい!『ぼくは、おねえさんを騙そうとしてました。ごめんなさい』って!」
「ぼくは…おねえさんを…騙そうとしてました…。…ごめんなさい」
いきなり始まったぼくの謝罪会見。こんなに悲しいのに、それでもぼくの股間だけは本能の赴くまま。
ぱたっと、姉は尻尾を振るのを止め、ぼくの顔をじっと見て話し出す。

「ふふふ。実はね『野生のカン』とかじゃないんだよ。あたし、全部分かってるんだから。
あたしが家に帰ったとき、まーくんを家中探したんだ。
居間とか台所とかね。トイレに行った時、洋式のさ、座るところが降りてたの。
で『誰かが座ってそのままにした』んだなと思ってたら、トイレットペーパーが三角になってたよ」
姉は、ぼくの胸を人差し指で突付きながら話を続ける。なんだか、ぼくは涙目になる。

「家じゃあ、そんなことする人いないから、まーくんは入ってないな、じゃあお客さんかなと思ったら
『座るところ降ろして使う』って女の子ぐらいしかしないでしょ?
お母さん、あのあと帰ってきたし、あと家の女の子はあたしだけだし…」
と、次の瞬間。

むにゅ、ぴちゃ!

大畑さんとも、まだした事ないのに…。
初めての感触だった。
ぼくの口の中が甘い。姉の柔らかい唇なんて、と思う反面、少しぼくはぼくを獣と感じる。
ぼくも、オスなんだろうか。

姉は口を指で拭きながら、紙袋から何かを取り出す。
「ね、今夜は一緒に仲良く藁人形作ろうね。もうすぐ丑三つ時だし、ナイスタイミングだねえ。
さて、じゅうたんにコロコロかけたら、大畑さんの髪の毛、引っ付くかな。ああ、月が眩しいなっ!
そのあとは…ねっ、まーくん。顔では泣いてても、体だけは正直者なんだから」
と、姉は右手にコロコロ、左手に五寸釘を持って笑っていた。

今夜は、姉ちゃんが寝かせてくれない。いろんな意味で。


おしまい。

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最終更新:2008年04月13日 22:59
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