992 貴方だけを愛します ◆PsPjd8yE3E sage 2008/04/23(水) 19:53:04 ID:bRTgdH+/
[kai side]
うむ、プロットも、推敲も、誤字脱字も確認終わりっと。
残すは、我が人生にして最初のにちゃんねるカキコだ。
緊張するなーと心中ひとりごちる。
すると机の横、つまりは俺に真横に仁王立ちする女性が現れた。
「・・・・・・ッ!!!」
とりあえず、上書き保存して終了させる。
彼女に修羅場SSの原稿を見られれば、
うるさくなんか云われるだろうから。
そして、回転式の椅子を回し彼女に身体を向けた。
怒りに満ちた声で叫ぶが、まったく無音の状態だ。
やれやれと、耳でも穿[ほじ]ろうと耳に小指を入れた。
そしてああ、当たり前か、と100円ショップで購入した、耳栓を抜く。
ジャストタイミングに息を吸い込んだ彼女がミーの耳の傍に。
轟音。
「兄さん、聞いてるんですかっ!!
まったく、私の服と一緒に入れないで下さいといったじゃないですか」
「・・・悪い、忘れてた」
そうなのだ、キーンと耳鳴りがする中、失念したことに気がついた。
この目の前のポニーテール少女は、俺の服と、自分の服を別々に洗うのだ。
もっともしょうがない、俺と妹は、義理の―――。
「ただいまー、」
「お義母さん、お帰りなさい」
「母さん、お帰り」
そう、僕の実の母親は幼いときに、病気で亡くなった。
まぁ、再婚に関してはそれから五年も経ったから、しょうがない、
と今では思うようには、していたが。
まさか、まさかあちらも子持ちだとは、思ってなかったわけで。
というか、俺としてはおっとりとした包容力溢れる桜さんから、
何故規律一辺倒のような雪が生まれたのかは、わからない。
正に、遺伝子さん何やってんですかってことだ。
閑話休題。
993 貴方だけを愛します ◆PsPjd8yE3E sage 2008/04/23(水) 19:53:46 ID:bRTgdH+/
ともかく本題に戻ろうか。
雪は何故か一緒に僕と登下校を一緒にしないことが多い。
まぁ、俺が中学一年、雪が小学六年生だったときから、
俺がせめて行きは通り道である小学校まで歩いてやる、
なんて言ったもんだが、拒否された。
でもあの頃は、『兄さん眠れないから一緒に寝てください』
とプーさんのぬいぐるみを片手に俺の部屋に来たんだけどな。
兄さん、寂しいよ。自分の愛娘が離れていくってのはこんな感じなのか。
そして今現在とて、同じ高校に入れた・・・。
正確には、俺の学校のような三流ではなく、
一流を狙えることができたのにな。
『私、特待生で学費免除だから』とにこやかに振舞った。
もちろん、所謂裏モードというやつなのだが。(D.C.より参照)
それまで頑なに進学先の高校を知らなかった僕。
入学したとき、生徒会の下っ端として活躍し始めていた僕は、
ビラ配りをした相手がまさか妹なんてわからなかったわけで。
妹に似ているな、いやでも、妹はもっと可愛くて、なんて
真性シスコンになりかけた僕は・・・しかし、
入学したとき、僕は雪から真実を聞いた。
俺はあんぐりとした口を、元に戻すまで一分を要した。
まぁ、そのあと何故か生徒会に出入りするようになるんだけど。
994 貴方だけを愛します ◆PsPjd8yE3E sage 2008/04/23(水) 19:54:19 ID:bRTgdH+/
[Yuki side]
「俺ってそんな臭うかなー?」
性ホルモンが出てんのかぁー?と
中肉中背のしかし逞しい肩口に鼻を寄せ呟く兄さん。
あなたが思うほど、匂いは出てませんよ。
むしろ、それが腹立たしいことです。
だから、こうやって溜めて洗濯するんですから。
兄さん、好きです。愛していますよ、“誰よりも”
本当は嬉しかったんですよ。
新しいお義父さんが出来たとき、
不安で押しつぶされそうになって、
でも、幸せな母さんに言い出せるはずもなくて、
手を差し伸べてくれた貴方を、今でも鮮明に思い出せます。
ぶっきらぼうに、しかし優しい手を、
怖くて私は掴む事はできなかったけど。
でも、それでも、あなたは、
毎日めげずに、私のことを心配してくれました。
それに、私が、洗濯物を分けるのも、
「ッ、イクッ!!」
こうやって貴方を想って、行為に至る為なんです。
シュチュエーションは兄さんとの純愛とか、
兄さんに行為を気づかれて、無理やりに抱かれて、
でも、最後に『愛してる』って言ってもらうとか。
そう想うといつも早くイってしまう。
果てながら、あなたの薫りを嗅いでると、
幸せになれる瞬間ってあるんだな、って本当に感じます。
だから貴方だけを想わせてください。
だから貴方だけを愛させてください。
だから貴方だけを嫉妬させてください。
だから貴方だけを願わせてください。
兄さんがいれば、わたしは何もいらない。
あなたは、あーゆー本を使わなくていいし。
あなたは、二日に一回出る丸めたティッシュなんて処理しなくていいし。
あなたは、雌犬共に気を止められようとする必要だってないんです。
私は、貴方を、貴方だけを、愛しますから。
105 貴方だけを愛します ◆PsPjd8yE3E sage 2008/04/23(水) 20:03:56 ID:bRTgdH+/
「好きですよ、兄さん♪」
呟かれた言葉は、あおむけに寝ている彼に届くことはない。
なぜならば、彼女が事を終えたのは深夜だったから。
魁の使い古されたシャツを寝間着に、
魁[かい]の寝ているベットへ、
魁へと、彼の胸元へと、潜り込む。
「兄さんの、匂い」
そういって、彼のジャージへとこすりつけ、眠りについた。
最終更新:2008年04月27日 21:09