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ランボー1話 sage 2008/04/29(火) 02:41:15 ID:y6S8IblG
214はプロローグ
ランボー1話
「実は・・・」
裕也には最近悩んでいることがある、それは妹の麻子のことだ、前までは兄を兄とも思わない
言動で裕也をいつも鬱にしていた麻子が高校入学以来なぜか乱暴さはなりを潜めて今
は、今までの分を取り戻すような懐きっぷりで少し疲れているためだった
入学式当日の夜
家でソファーに座りテレビを観ながらボーっとしていると、裕也の隣にピッタリとくっつ
くように座り兄の服の裾を掴み「私も一緒に観る」と言いテレビを観だした麻子に大きな
戸惑いを感じた、今まで麻子は裕也を避けるようにして離れて座っていた
一度ソファーで座ってテレビを観ていた麻子の一メートル位離れた場所に座ったらすぐに
別の場所に無言で移動し座り直したことがあった、その後思春期の娘を持つ父親の気持ち
が分かり自室で「俺まだ高一なのに・・・」と謎なことをつぶやきながら枕を涙で濡らし
たことがあった、そんなことを思い出した裕也は恐る恐る麻子に尋ねてみた
「なあ・・なんかあったのか?」
というと麻子は裕也の口元を見ながら顔を赤らめて
「なんでもない、この番組私も観たかったから」
と言うと
「本当に?」
「うん、いつも観てる」
「・・・・・釣り・・・好きだっけ?」
「・・え!?・・・う、うん少し、バス釣りは面白そうだね!」
「海でバスは釣れないと思うぞ」
「う、うるさい///」
真っ赤になって俯いてしまった、そんな麻子の自分に対する話し方と行動が大分変わった
様子に大きな戸惑いを感じて少し離れて座ろうとソファーの端に移ろうと移動するとすぐ
に麻子も同じように移動して先ほどと同じように座り直した、今度こそおかしいと感じ何
かあったのだと思いもう先程と一度同じ質問をしてみると
「当ててみてくださいに・い・さ・ん」
うれしそうに微笑みながら言う妹に少しドキッとさせられそれを誤魔化すように少し大きな声で
「わ、分からん」
そんな兄の様子に嬉しそうに微笑みながら答えを言おうとすると
241 ランボー1話 sage 2008/04/29(火) 02:48:49 ID:y6S8IblG
ピピピピピピピピピピピピ
と携帯の着信音が鳴った、裕也はビクッとすると慌てて通話ボタンを押し電話に出た
答えを言えなかった麻子は不満そうな顔をしたが兄が話しやすいようにチャンネルを取る
と音量を下げた
「もしもし?」
『私だよー』
「ん?美紀か、どうした?」
『んーとね明日暇?』
「何だ突然に」
『まあまあ、いいじゃないで、どうなの』
「まあ暇と言えば暇だな」
『じゃあ一緒に明日ショッピング行かない?』
「・・・荷物持ちとウインドウショッピングなら行かないぞ」
『幼馴染の頼みを聞いてくれないと勉強見てあげないぞ♪』
「くっ!・・分かったよ、行きましょうお嬢様」
『ウフフフフじゃ明日駅前で10時ね、よろしくじゃあ明日ね♪』
「10時ね分かった」
ピッ
フウとため息をつきソファーにもたれてテレビを観ていると
「・・・美紀さん?」
隣からものすごいオーラが出ている気配と声で妹が話しかけてきた、その声の重さにビクッ
となり恐る恐る妹の方を見ると笑顔で不自然なほどにニコニコ笑っている妹がいた
「は、はい!」
恐怖に声を上ずらせて答える
「デートですか・・・」
「い、いや荷物持ちをしてくれって言われたんだよねい、いやーマイッチングーよね?」
と最近の流行のネタで妹の顔を笑顔にしようとがんばってみるが、当然だめだったようで
妹は無表情でそうですかと言うと立ち上がり自室に入っていった、そのときチラッと見え
た妹の横顔は今まで見たこともないような怒りに満ちた表情だった
リビングにはハアーとため息をつく少年と
「江原さん・・」
という馬鹿な言葉が残された
何かいやな予感がしてもう一度今度は深くため息をつく裕也だった
最終更新:2008年05月04日 22:27