貴方だけを愛し続けます 第四話

496 貴方だけを愛し続けます4話 ◆PsPjd8yE3E sage 2008/05/06(火) 23:06:27 ID:lE42OEvf


「早くこんか、馬鹿妹が」

数学というロジックが並ぶ授業を睡眠学習で済ました俺は、
雪手製の弁当と、購入したペットボトルを前に呆然としていた。
扉越しに見える妹を見つめ、手招きをした。自分の席は扉側の最後列。
故に二年生の教室に一年の雪が入室してももうさほど気にならないようだ。

「兄さん、待ちましたか」
「ああ、待ったぞ」

俺はあごを手をやっていたのを解いた。

「そういえば雪が一緒に食べようって言ったときもすごかったよな」
「うん、そうだね。やっぱりおかしいのかなー?」

雪の入学当時に彼女が入ってくると、阿呆な男子共が群がってきたのだ。
「彼女?」「彼女かっ!?」「ええl、奴め、どうやってあんな彼女を?」
「しかもリボンの色が違うっ、年下かっ!?」「数日で堕としたっていうのか」
「どっちでもいい、可愛い子を我が野球部のマネージャーに」
と周囲(10割が男共)は興奮状態に陥りが紛争状態に陥った。しかしなんとか雪の「妹です!!」発言に矢を収めた。

うむ、そんな感じで、今は定着している。
流石に4時間目が体育で胃が受け付けないときは、
雪に弁当が要らないこと、自分の教室で食べるよう促した。



何故だか知らないが、そういうときに限って会長は、学食の席でにんまりと笑って僕が来るのを待っているのだ。
彼女が頼んだたぬきそばが冷めようとも。

「麺伸びますがな、早う食ってて下さい」

俺が促すに関わらずとも絶対に手をつけることはない。幾ら行列が並んでいようとも、だ。






497 貴方だけを愛し続けます4話 ◆PsPjd8yE3E sage 2008/05/06(火) 23:07:31 ID:lE42OEvf
それは、ともかく、いつも思う。

「こいつの弁当に、そぼろ入りが出ると、必ずこうなるんだよな」

ハートマーク。言わずもなく愛妻弁当ならぬ愛妹弁当なのだ。うむ、あいいもうとべんとう。言いにくいな。
心中で考えつつ、取り出した箸で表面のそぼろやらをかき混ぜる。無論、この印を消すためだ。

「兄さん、折角の努力を何するんですか」
「気にするな、お前の死を俺は忘れない」
「だったら、そのまま食べてください」
「まぁまぁ、お二人ともそう睨みあいをせずに」

仲裁を申し出たのは、麗人たる我が友人、そして雪の先輩に当たる谷口憐だ。中世的な容姿に高いトーンが特徴の、男。
いつぞや昔は女なんじゃないかと思ったことがあるが、そんなわけないと本人に一笑された。今は三人で昼食を食べる仲である。

「しかし、雪ちゃんも頑張るねー」
「何がですか?」
「こんなにバランスよく弁当つくろうなんて思わないよ、俺」
「前の日に下準備済ましていれば簡単ですよ」
「へー、そうなんだ」
「あ、俺のミートボール取ろうとするなよ」
「そんなケチケチしないー♪」
「どうぞ」

箸で俺の弁当を狙う憐にずいっと出された雪の弁当。こいつの弁当は俺より一回り小さい文庫本サイズだ。
俺はぼりぼりと頬を空いてる右手で掻くと、憐に箸に突き刺したミートボールを寄越した。

「雪、お前弁当少ないんだから無理するなよ」
「いいんです、私お腹そんな空きませんから」
「それに憐さんに差し出したら男同士の間接キスになりますよ」
「・・・・・・すまん、憐。忘れてくれ」

俺は差し出した箸を引っ込めてミートボールをほうばった。
何故か頬を染めた憐は、意味の分からぬ微熱を出していた。

「まさか、憐ってBLなんじゃ」
「違うわぼけぇっ!!!」
「あべしっ」






498 貴方だけを愛し続けます4話 ◆PsPjd8yE3E sage 2008/05/06(火) 23:08:26 ID:lE42OEvf
[Yuki side]



兄さんとの間接キス。残念だったな。あの箸を私がもらえばよかった。
思わず舌打ちをしたが、周りをきょろきょろ見回すが気づいた人は居なかった。

「私、学校では優等生さんなんだから」

時は変わって放課後、雪は魁の教室へと向かっていた。
曲がり角を曲がると数メートル先に兄の背中。

「兄さん」
「あー・・・悪かったな、雪。ちょっと会長から呼ばれたから行く。たぶん、帰るのが遅くなる・・・お前も来るか?」
「今日は出前にしましょう、兄さん。私も手伝えばより速く終わるでしょう?」



三時間もですか、まったくあの雌は何を考えているのでしょう。厭らしい。



「失礼します、会長」
「おお、きたま・・・やはり妹君も来たか」
「なんですか?生徒会長さんは私が居ると困ることでもやるつもりで?」
「まったくそうツンケンさせるな、雪」

兄さんは苦笑しながらも私の頭を乱暴に撫でた。

「ははは、まぁ私も妹君が来るとは思ってたがね」
「気にしないで下さい、こいつ人見知りというか・・・・はぁ」

さらにその手は優しく恋人にするような撫で方に変わっていく。
この雌は知ってるだろうか?
兄さんの性癖を、兄さんが長い髪が好きなことを、兄さんは風呂上りの私の髪を優しく梳いてくれる事を。



知らない、否、知らなくいいのだ。永遠に知ってはいけない。

「ところで、だ」

その撫で方に人知れず身を火照らせていると、雌は唇に手を当てた。






499 貴方だけを愛し続けます4話 ◆PsPjd8yE3E sage 2008/05/06(火) 23:11:07 ID:lE42OEvf
・・・と、夕食を食べ終わり連ドラを見ながらのお茶を飲んで、
数時間前の事を思い出してしまった自分にため息をついた。

「まったく兄さん・・・今日は疲れましたよ」
「ん、そうか、ご苦労さん、雪」

配布資料を過去のデータから改善点を直し、印刷、帳合、教諭へと配布。
ほぼ三時間たっぷりと使って作業が終わった。

気に食わないことに、私がおまけに付いていると見越して兄さんを呼んだともらしていた。
この雌犬め。私の兄さんをこき使いやがって。とは思ったものの兄の手前私は無言でいた。


そして今、珍しく兄さんが連ドラを見ながら船を漕ぎ出した。にやつきながら、兄さんを揺り起こそうとした。
あえて強くは起こさずに、ゆっくりと声をかける。

「兄さん、お布団で寝ないと駄目ですよ」
「あぁ、ぅん、そーだな・・・」

ねぼけ眼をこすりながら、はっきりとしない意識で返す兄さん。私は肩を支えながら"私の部屋"へと兄さんを送った。

ふふふ、こんなことがおきるなんて私はラッキーだ。明日起きたらなんて言おうか。

「昨日言ってた、一緒に寝てたっていうのは正夢だったんですね」とか
「私、困りましたよ。兄さんが寝ぼけて私のベットに入ってくるんですから」とか
「抱き枕代わりに私を使うなんて酷いじゃないですか兄さん」とか
「兄さん、痛かったです。責任取ってください」って冗談を言ってみるのもいいかもしれない。

明日を期待しながら私は二日ぶりの兄の感触に顔が綻ぶ。
胸板に頬ずりをしてみたり、兄さんを抱き枕にしたり、
兄さんのアレに少しだけ触れてみたり、兄さんの手で私のアソコに触れさせてイッた。



兄さんにイかされた余韻に浸って、私はビショビショのショーツのまま眠りに付いた。

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最終更新:2008年05月11日 21:42
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