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「ダブルキャスト」 ◆zAA0hWWbi6 sage 2008/06/06(金) 09:51:54 ID:VBHtq+q2
序章
両親は、私たちがまだ幼い頃に離婚しました。
私はババアに連れ去られ、お兄さまは糞ジジイに拉致されました。
そうです。
あの鬼畜どもは私たち兄弟の仲を引き裂いたのです。
憎んではいけません。恨んではいけません。呪ってはいけません。
決して殺してはいけません。
なぜなら私たち兄妹を生んでくれたのは、他ならぬあの鬼畜どもだからです。
ゾンビが鷹を生むとはまさにノコノコ!
…………。
地獄のような苦しみを紛らわすため、せめて声だけでも聞ければと思いました。
時を同じくしてお兄さまも同じ思いに行き着いたはずです。
しかし悲しいことに私たち兄妹は互いの連絡先さえ教えては貰えなかったのです。
実のところ、両親も知らかったんですけどね。
嗚呼、なんたる不幸。なんたる無情の仕打ち!!
この世に神さまなどおりませぬ。いわゆるゴッドデス。
私は信仰を捨てました。
大規模カルト教団の洗脳を受けてとち狂ったババアを見限り、あの懐かしの都会に舞い戻ることを決意しました。
さいわい私は灰色の脳細胞も真っ青なスーパー頭脳と、いとキュートな顔を兼備しておりましたから、
都心の一角を占める古式ゆかしい全寮制お嬢様学校へと続く道のりを辿るのも、そう困難ではありませなんだ。
天使の微笑でカルト教団の偉い人にうまく取り入り、そいつをパトロンにしてやりました。
一流の大学にかよう勉強だけのモヤシ小僧を骨抜きにし、その能力を私への指導に傾けるよう仕向けました。
人道に反する行為ではありますが、輝かしい未来を掴むためには汚い手段も厭わない私です。
そうして何人もの暗愚な豚どもの善意を踏みにじり、ついにお嬢様の仲間入りを果たしたのです。
むふふ、ちょろいものですわ。
すべてはお兄さまのため!
いつか再会したその時に、情に肥えた牝豚に成り果てていては申し訳が立ちませんからね。
女は常に餓えてなければいかんのです。
ということで―――
外道少女シニカル呉葉《クレハ》、はじまります。
あの、はじめていいですか?
最終更新:2008年06月08日 20:27