レズよりズレた恋心

957 レズよりズレた恋心 sage 2008/08/26(火) 19:47:33 ID:90o0aNNK
放課後を告げる鐘が鳴る。

「ふぃーん。今日も疲れたねー? お姉ちゃーん」

必要事項を伝えた担任が背を向ける教室に、耳に心地良いざわめきが広がっていく。
西を向く窓から太陽が望めるようになった室内で、その声はゆっくりと意識の内側へ届いた。

「え? ああ・・・・・・何かな? 糸織(しおり)」

ぼうっとしてたのかもしれない。聞き慣れた妹の声は、反って遠くなっていた。

「むぅー。お姉ちゃんったらまーた妖精さんとおしゃべりしてるー」

振り向くと左右に膨らんだ頬が見える。普段よりずっと狭い席の間隔。
精一杯寄せた学生机に体を乗せた妹が、両手で頬杖をつきながら、椅子に立てた膝の後ろを揺らしていた。
よくそこだけは似ていると言われる顔立ちが、少し上向きながら不安定な姿勢でこちらを見詰めている。

「糸織。スカート」
「ん? どうかした?」

椅子の上、ぱたぱたと折り伸ばしを繰り返す両足で乱されたスカートを指摘する。
首を傾げた妹は、机を戻して姿勢を正してから、膝下まで覆う薄い布切れを摘んで見せた。

「見えるよ・・・・・・中身」
「くふ。お姉ちゃんったら変なのーぅ。ここ、女子校だよ?」

主語を略した甲斐もなく、学園指定の臙脂色の布地をばさばさと上げ下げして見せる。
近年ようやく共学化が検討され始めたと言われる名門女子校、聖百合女子学園。
その、まだ室内に多く残る人目も気にせず、むしろこちらに風を送るように大胆に。
微かに、無臭とは違う香りと無地の下着が目鼻に届いた。

「同じ女の子のスカートの中を気にする人なんていないいなーい。
 そんなのはお姉ちゃんだけでーす────────くふっ。興奮する?」
「ば、馬鹿っ」

顔を前に戻して立ち上がる。妹より先に下校しようとして、まだその準備が済んでいなかったことに気付いた。
離したばかりのお尻を椅子に戻して、机の横に提げたままの鞄を取って今日の分のテキストやノートを詰め込む。

「くふふふふ。お姉ちゃん、かーわいーー。くふっ」

ついさっき配布されたばかりのプリントも中に仕舞って、縦にした鞄を机の上に置く。
同じ色とデザインの鞄が横に置かれた。

「さ。一緒にかーえろ?」

要領よく。先に準備を済ませていたらしい妹に見下ろされる。
溜息を一つ。今度こそ立ち上がると、また頭一個分低い妹に見上げられる形になった。
鞄を取り、椅子を戻してから歩き出す。にこにこと、笑顔で先に立つ妹。

「お、お姉様っ!」
「────────くふ?」

廊下に出た瞬間、その笑みが凍った。

「や、八雲、衣織(やくも いおり)お姉様ですよね!?」

専門の業者によって磨き抜かれた廊下に立つ、妹よりほんの少し背が高い女の子。
その手に携えられた一通の丸っこい封筒が、妹の横を素通りして視界を占める。


958 レズよりズレた恋心 sage 2008/08/26(火) 19:49:48 ID:90o0aNNK
「えっと・・・・・・確かに、ボクが衣織だけど・・・・・・?」
「こ、こここれっ! 受け取ってください!!」

頭を下げて、両腕を目一杯に伸ばして、床を向く長い髪で顔を隠した彼女。
彼女と同じ制服に包んだボクの胸に、白い手紙入れが押し付けられる。
反射的に掴むと、猛烈な勢いで彼女の顔が上がった。凄く赤い。

「ああ、あのあのあのっ、今日の体育の授業ずっと見てました!
 お姉様のラン、力強くてとても綺麗で、たたタイムも男性並だって!
 ぶ部活もなさってないのに凄いですよねっ!? だから私、あのっ、じゃなくてずっと前からその!」

傍目にも緊張しているのが分かる。可哀想なくらい声が震えていた。
それを観察している余裕があるのは慣れ、だろうか。

「とっ、とにかくそれっ! 読んで下さいっ! お願いします!!」

それだけ言って駆け出す。咄嗟に声をかけようとして、彼女が振り向いた。

「と、隣の方が妹の糸織さんですよねっ!? 双子の! いっ、妹さんもよろしくお願いしますっ!」

返事を返すより早く、言い終えると一度だけ頭を下げてから走り出す。
むしろボクの方が褒めたくなる素早さで、廊下の角にその姿が消えた。

「くふ」

ちょっとだけ彼女の友人らしき子達が見えた気もするけど。
いきなりの大声に、ぞろぞろとまだ残っていた人達が出てくる廊下でぽつんと取り残される。

「くふふ。くふふ、くふふふふふふっ」

日が沈むにはまだ早く、終礼直後の校内に人は多い。
どこからか、『抜け駆け』とか『ずるい』とか『協定違反』とか、そんな声も聞こえる。

「くふふふふっ────────────────お姉ちゃぁぁああああああんんん?」

ざわめきの中、低く笑う妹の顔が跳ね上がった。





出遅れた野次馬の山を蹴散らすように突き進んで。
転ばないように階段を駆け下りて、駆けるように校舎の外に出て、グラウンドを目指して。
今は滅多に使われない旧体育倉庫の扉を、蹴破るように開いて。
無理やりにボクを引き摺って来た妹は、そこまでしてようやく、手を放してくれた。
埃臭いマットの上に背中を叩きつけられる。

「糸織っ、止めてっ!」
「やーーーだよぅ」

手をついて起き上がろうとした時には、胸のボタンに手がかけられていた。
身長差を飛び掛った勢いで殺されて、あっと言う間に、晒された胸からつける必要のないブラが剥かれる。
妹が選んだAカップのそれは、あっさりと放り投げられた。

「くっふふふふぅ! お姉ちゃんったら、ほんっとにいけない子なんだから!」

浮かせようとした腰が、スカートの隙間から滑り込んだ手で撫でられた。


959 レズよりズレた恋心 sage 2008/08/26(火) 19:52:04 ID:90o0aNNK
「ひっ!?」

思わず、そんな声が出る強さで横の肉を握られる。爪が立てられた。
硬直の間に、差し込まれた手が正面に回る。

「糸織! いい加減に────────ぅあ!?」
「くふふふ・・・・・・ねえ聞いてた? お姉ちゃん聞いてた? あの女、『お姉様』だって!?
 くふふふふふあっははは!!」

乳首を抓った手が、あの封筒を取り出した。

「綺麗な封筒だよね? これ。封をするのも安物使ってないよ?」

強すぎない力で顔に押し付けられる。ボクにはよく知らない、だけど誰にでも分かるだろういい香りがした。

「しかも香水まで使ってる! 何て名前かな? きっと高いやつだよね?
 くふふっ。女学校に通う『お姉様』に送る手紙なのに、送る方がこんなに女の子っぽい気配りしてる!!」

ボクから引ったくった手紙を手元に戻した妹は、そう言って自分も一息、その香りを嗅いだ。

「ああ気持ち悪いっっ!!」

ビリビリと。
純白の封筒を犬歯で挟んだ妹が、開いてもいない中身ごと食い千切る。

「お前・・・・・・っ!」
「ぺっ。くふふ、流石に味までは付いてないね。唾液とか、愛液とか」

裂かれた、きっと頑張って書いただろう可愛らしい字を載せた便箋が吐き出された。
端を唾液で濡らした用紙が落ちる。伸ばそうとした腕は、体ごと押さえ込まれた。

「くふふ。同性愛って気持ち悪いねっ!? お姉ちゃん!」

ぞろりと、敏感な場所が撫でられる。

「同姓だから愛してる。自分と同じだから愛してる。女の子だから愛してる。男じゃないから愛してる。
 ────────なんてなんてなんてっ、醜くて不純な恋なのかなっ!?」

太腿を這った指が、咄嗟に閉じたそこをこじ開けて進んできた。

「くふっ。私は違うよ? 私は、お姉ちゃんが『お姉様』だろうと何だろうと関係ない。
 血の繋がった家族だもの。妹だもの。
 どんな姿でもどんな変態でもどんな性癖でも受け入れる────────受け入れて愛し抜ける」

もう完全に覆う物の無くなった胸の先、乳首に爪を立てられてこりこりと捏ね繰り回される。

「しおっ、り────────!?」

自分の体なのに制御が出来ない。上に下に、硬直も弛緩も全部、妹の手で決められている。
妹が選んで、最初は妹の手で履かされた下着がずり下ろされた。

「これが、その証明」

妹とは少しサイズが違うだけの、純白のパンツ。濡れたそれが取り払われて、露出した下半身に吐息を感じた。

「ちゅっ♪」
「うぁあぁあぁあぁあぁあぁあっっッ!?!?」

勝手に腰が上がる。勝手に背骨が反り返る。腕で体を支えることも出来ない。
がくがくと震えて、食いしばった歯が勝手にかちかち言いまくってる。


960 レズよりズレた恋心 sage 2008/08/26(火) 19:52:37 ID:90o0aNNK
「くふふ♪ ちゅっ・・・・・・ぢゅっ、ずずっ!」
「っぁあああ!?」

有り得ない。舌が、ワレメに押し入ってきた。
指で押されて、擦られて、絶え間なく揉まれながら、柔らかいのに刺すみたいな刺激が襲ってくる。

「待ったっ、糸織、お、お願いだから少し待っ────────」
「くふふ? だぁめ」

好き勝手に跳ね回る妹の舌先が、つつきながら溢れる液体を舐め取っていく。

「美味しいよ? お姉ちゃんのお汁」

喋るために口を離した妹が、濡れた舌を出して見せた。
ほんの少しの間でも刺激がなくなって、どうにか、休める。

「だからね? ちゃんと見せきゃだめ。皆の憧れの『お姉様』の、真っ白な本気汁っ。くふふ!」
「いぎっ!?」

そう、思ったのに。
息を吐こうとして、息を吸って、体に力が入って、吐き始めた息と一緒に力が抜けて、
力も緊張も何もかもなくなってる一番無防備な時に、キタ。
思いっきり、擦り上げられる。

「────────ぁ?」
「くふ。ほら・・・・・・イっちゃえっ!」

にっこりと笑った妹が、顔を下げるのが見えた。
もう、限界なのに、あの柔らかくって気持ちのいい感触が、また。

「~~~~~~~~~~っ!?!?!?!?」

あ。これはヤバイな。
そう思ったら、天井が遠くなる気がした。





股の辺りを擦られている。

「くふふっ、危なかったぁ。もうちょっとで外に漏れちゃうところだったよ────────お兄ちゃんの声」

唇から離れる柔らかさが、何かを言っていた。

「あれだけ躾けた裏声を忘れるくらい気持ちよかったんだぁ?
 くふっ。キスでふさいだ私の方がびりびりきちゃったよ。やっぱり、双子って言っても性別ちがうと声、低いね」

腰、いや、股の先が痛い。

「口をふく暇がなかったのはごめんね?」

亀頭の先端、尿道に向けて僅かとは言え舌の先を押し入れられたせいで痛みともつかない感覚が残っている。
精液を被って足の先に引っかかっている女物のパンツが、ひどく、気持ち悪い。いや、全てが気持ち悪い。
女子校の空気も、女子用の制服も、必要のないブラも、化粧も、強制される裏声も振舞いも何もかも。

「・・・何で・・・・・・こんなこと・・・・・・」

それは、思ったことを声にしたのか、思ったことが声になったのか。


961 レズよりズレた恋心 sage 2008/08/26(火) 19:55:51 ID:90o0aNNK
「くふ。それはね? お兄ちゃんが悪いんだよ」

解らないことが分かっている答えなんて求めていなかったのに。
首を傾げた妹が、起き上がれないボク────────僕を見下ろす。

「折角、私が頑張ってお兄ちゃんをここに入れたのに。
 『お兄ちゃんをお姉ちゃんに』して、誰もお兄ちゃんを知らない、
 私だけがお兄ちゃんがお兄ちゃんだって知ってる場所を作ったのに。
 これで私以外誰もお兄ちゃんを知らない、お兄ちゃんを好きにならない場所を築いたのに。
 今度はお姉ちゃん・・・・・・『お姉様』なんかになって悪い虫を誘うから」

それは果たして、僕のせいなのか。僕が悪い、ことなのだろうか。

「渡さない。誰にも。
 お兄ちゃんとしてのお兄ちゃんも、お姉ちゃんとしてのお兄ちゃんも、全部、私だけのもの」

八雲 糸織。僕の、性別の違う双子の妹。
ほんの数ヶ月前、盗撮カメラと盗聴器で僕の自慰を記録して、脅して、姿と身分を偽った受験をさせて、
そしてきっと僕にした以上に恐ろしい行為を誰かにして、僕をこの女学園へ入学させた、家族。

「お兄ちゃんがイっちゃう時の声も・・・・・・お兄ちゃんのいーっぱい出した精液も、ね? くふふふっ」

糸織は、考えていなかったのだろうか。
妹に似ている双子の兄が女装をして、演技をして、裏声で話して。
そんなことをしたって、いつかボロは出ることを。
陸上を好きだった僕が女子並のタイムで走れば、いずれ余力のあることはバレる。
かと言って全力で走れば、今日のようなことになる。それは力強い走りにもなるだろう。
男の骨格で、男の走り方をしているんだから。

「ああぁ・・・・・・お兄ちゃんの精液ぃ、いい匂いぃ・・・・・・くふぅ」

だから。破綻は免れないはずだ。こんな日々は。
男子である僕が女装して女子校に通って────────兄妹で、こんなことをして。
破綻しないはずがない。

「お兄ちゃんの精子が染み込んだお姉ちゃんのパンツも美味しいよぉ、くふふ。
 このままじゃ帰れないから、私がキレイになめてあげるねえ?」

それとも。それが糸織の望みなのだろうか。
歪んでいると言うよりも。もう壊れている、この妹には。

「くふっ、くふふふっ! お兄ちゃぁん・・・・・・・・・・・・お姉ちゃあん」

いずれにせよ、答えは出ない。
そして僕が理解できる日も来ないのだろう。僕のどこかが壊れて、いや、決定的に壊される日までは。

「くふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふっふっふふふふ
 くふふふふふふふうふふふふふうふうふふううふあはははははははははははははっっ!!」

哄笑を上げる妹が這い寄ってくる。いつの間にか服を脱いでいた。
生臭い吐息が首筋を撫でる。下腹に伸ばされた妹の手は、僕とは違う性器を左右に開いている。
もう心から乖離してしまった僕────────ボクの体にそそり立つモノに照準を合わせている。
一息に腰が落とされた。それが、僕の憶えている最後。

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最終更新:2008年09月01日 00:37
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