僕(たち)の愛しいお姉ちゃん

386 僕(たち)の愛しいお姉ちゃん sage 2007/10/15(月) 23:09:10 ID:9XSK6cnq
朝、起こしてくれる幼なじみとは、男にとってファンタジーだ。
物語中の彼女たちは、優しい声で、綺麗な容姿をしていて、何の理由もなく自分と親しく、尽くしてくれる存在である。
が、同時に我々は本能的に知っている。そんな都合のいい女がいるはずがない、と。
現実には、寝坊したところで家族の誰かに叩き起こされるのがオチだ。
それを思えば、憎たらしい仇敵である目覚ましにも愛着がわくというもの。
間違って母親に起こされるくらいなら、這いつくばってでも自分で起きたほうがマシである。
もしくは起きる努力を放棄するとか。

 今ここに、目覚ましとの戦いに勝ち、惰眠という代価を手に入れた少年がいる。名を上野雅樹という。
時間は7時50分。
彼の住む、この閑静な高級住宅街から彼の通う高校までは15分ほどなので、そろそろ起きる限界なのだが。
「Zzz~~~」
日光が部屋に入り込み、外から子供の声が聞こえはじめても一向に起きる気配がない。


387 僕(たち)の愛しいお姉ちゃん sage 2007/10/15(月) 23:10:32 ID:9XSK6cnq
コンコン。ノックの音がする。
「マサ、入るよ」
そう言って入ってきた制服姿の少女は、雅樹の姉であり、名前は澄子という。
背中まである艶やかな長髪、きっちり着込んだブレザー。
古めかしい名がよく似合う、たおやかな容姿をしているのだが…。
げしっ。
「起きなさい、このゴクツブシ」
…彼女はサディストだった。躊躇なく弟の腹を踏み付ける。
「いつまでも寝てるから毎日忙しくなるんでしょ、根性なしめ」
彼女は口も悪かった。普段は猫を被っているが、本性を見た人間は例外なくヒいてしまうと言う。
…真性のマゾヒスト以外は。
雅樹の2つ年上の澄子は、両親が家を空けている上野家において、小さいころからよく弟の面倒をみていた。
が、同時にフラストレーションの発散も弟を通じて行われ、時に理不尽な怒りをぶつけたこともある。
今では家の中での刺々しい態度は落ち着いたが、その名残としてサド分は残っている。


388 僕(たち)の愛しいお姉ちゃん sage 2007/10/15(月) 23:13:47 ID:9XSK6cnq
罵倒しながら足で揺さ振っていると、雅樹に反応があった。
雅樹は薄い掛け布団をめくり、上半身をゆっくり起こす。
「朝~?スミ姉」
「………!!」
いつもなら、起きた途端に愚図だのオナニーのしすぎだのとまくし立てる姉が黙ったままでいることに、雅樹は困惑した。
─罵られないと、朝って気分になれないんだけどナ…。
彼は真性のマゾヒストなのだった。足で起こされるのを気持ちいいと思っているあたり。

そう思っていると、澄子が左手で目を覆いながら、雅樹の下半身を指差した。
「…それ」
─何だよ、サンライズなら毎日見て…って!?
「…?、あ、ああ~~~~っ!」

ポロリしてました。

スウェットのズボンから見事に彼自身があまさず露出していた。
昨夜、新天地を開発すべくブリッジオナニーに挑戦して力尽きた結果である。
結局、新技『レインボーブリッジ噴水』はモノに出来なかったが。


389 僕(たち)の愛しいお姉ちゃん sage 2007/10/15(月) 23:16:10 ID:9XSK6cnq
澄子はうつむいてしまい、雅樹からは姉の顔色が見えない。
が、場の雰囲気が読めない彼の彼自身は、硬度を失う気配がなかった。
「あ、あの、スミ姉…」
「…」
「その…」
「……」
「い、いかんスミ姉!妊娠するッ!」
何をとち狂ったか、姉に抱き着き、彼自身を押し付けながら盲言を吐き始める寝起きバカ一代。
「…は?」
「ヘビの脱皮!ヘビの脱皮!」
「~~~ッッ」
繰り返すが、彼はマゾヒストである。気まずさを紛らわせる手段が他に思い浮かばなかったのだ。
─さあ、はやく俺を罵ってくれ。それでチャラにしよう。
ペニスを姉に擦り付けながら、そういう計算が彼にはあった。

だが。

「…いいの?」
「へ?」
童のような姉の声に、雅樹は間の抜けた声を漏らす。

澄子が顔を上げた。恐いほどの真顔。
「…あの、そろそろ出てってくれないか?ホントに赤ちゃん出来ちゃうよ?」
「うん」
澄子は雅樹の背にそっと両腕を添えた。弟の逃げ場所を奪うように。絡めとるように。
「…ありゃ?」
「逆にさ、私が部屋を出ていかなければ、マサと子作りするってことだよね?」
「へ?」


390 僕(たち)の愛しいお姉ちゃん sage 2007/10/15(月) 23:19:33 ID:9XSK6cnq
ここに来て、雅樹も違和感の原因に気付いた。姉の笑顔だ。
猫を被っているときの微笑とも、弟をいたぶっているときの嘲笑とも違う笑顔。

目が、濁っているのだ。

ニタァ、と口元が三日月を描いた。
「え、待ってあの「私はッ!」」
「私は待ってたんだよ、マサ」
「なっ…」
雅樹は凍りついた。冗談で抱き着いていた腕から力が抜ける。が、澄子との距離が離れることはない。
澄子は左手で弟の頬を撫で、右手で彼の露出している、硬度を失いつつあるペニスを優しくさすった。
「ごめんね、今まで痛いことしたり酷いこと言ったりして」
「…」
「一人前にしてやるとか、バカみたい。マサを繋ぎ止めたくてそんなことして」
「……」


391 僕(たち)の愛しいお姉ちゃん sage 2007/10/15(月) 23:20:50 ID:9XSK6cnq
「でも、もういいよね、いくじなしのマサがようやく手を出してくれた…とっくに一人前だったんだね。
 これからは何でもマサの言うとおりにしてあげる。まず最初は子作りだよね、いいよ、今すぐ作ろ?
 二人で混じりっけのない、濃ゆ~い血の子供を作ろ?お姉ちゃん子供三人くらい欲しいなぁ。
 マサが好きだったら、ボテ腹セックスもいいかなぁ。お腹の子がアレだけど…いいよね、マサのためだもん。
 あぁもうお姉ちゃん濡れてきちゃった。早くシよ?ね、二人でどろどろに溶け合ってひとつになろ?
 あ、でもその前にちゃんとマサの口から聞きたいな。聞かせてくれるよね?あ、い、の、こ、く、は、く」

雅樹の知る姉はそこにはいなかった。話し方も、一人称も、人格さえ別人のように思えた。
ベッドに押し倒され、唇を奪われる。
そして、視界いっぱいに広がるブレザーの胸元を見ながら、雅樹は思った。

─幼なじみじゃなくても、家族に起こされるのも悪くないな…。

『クス…』

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最終更新:2007年10月21日 02:15
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