淫獣の群れ(その10)

469 淫獣の群れ(その10) sage 2007/10/20(土) 03:06:41 ID:ab7wwzXD

「なんですってぇ……!?」
「本当なのですか!? 桜ちゃん!?」
「――ええ。当然お兄様に“協力”を強制する権利は、私たちに平等に与えられるわ」

 娘たち相手に、言いたい事を言い尽くして、飄然と二階の夫婦用寝室に去った道子。
 その直後、母に代わって春菜と真理をつかまえたのは、桜だった。
 彼女は二人の妹を、自分たち年長組用の四畳半に連れ込むと、早速、昼休みの出来事を語った。

「でっ、では……これからは兄君さまに、あんな事やこんな事も……ああああっ、ぽぽぽっ」
 頬を真っ赤に染めて、いやんいやんと呟きながらも、脳内世界に没入してゆく春菜。
 そんな彼女に真理は苦笑しながら、
「春菜ちゃん……あんな事やそんな事なら、いつもしてたじゃないですか」
「いいえ、いいえ真理ちゃん、そういうことじゃありませんわ。そういうことじゃないのですよ」
「え?」
「確かに、この家で思う存分兄君さまと愛し合うのも、それはそれで燃えますわ。……ですが人目を忍んで、束の間の逢瀬を重ねるというのも、これはこれで……あああ……!」
「春菜ちゃん……」
 もう、真理は苦笑いすらしていない。姉の妄想パワーに、完全に退いてしまっている。
「しかも、しかも兄君さまには、完全にワタクシたちに逆らう権利がないなんて……あああ……じゃあ、じゃあ、――例えば道場とかで、嫌がる兄君さまに、あんな事をしたり、こんな服を着せてみたりとか……あああああ……夢が膨らみますわぁ……ぽぽぽっ!!」



470 淫獣の群れ(その10) sage 2007/10/20(土) 03:09:55 ID:ab7wwzXD

「まっ、まあ、――いまはこの娘は放って置くとして……」
 桜が、半ば呆れながら真理の方に向き直る。

「とにかく、すんごい嫌な予感がするのよ」
「……そうですわね」
 確かに、話だけ聞けば、桜があれだけ冷静さを失ったのも理解できる。

 実家に帰る。
 それを死ぬほど恐れ、さらなる屈辱の“協力”関係を結ばざるを得なくなった喜十郎。
 にもかかわらず、恐れながらもなお、実家に帰宅してしまった“兄”
 そして今もなお、再三の連絡にもかかわらず、喜十郎の携帯が常に電源オフになっている事実。

 しかし理解は出来るが、……そこまで桜が騒ぐほどの不安材料かと問われれば、やはり真理としても、全面的に納得はしかねる。
――だが、
「女の勘よ」
 そう言い放った長姉の、真っ直ぐすぎる眼差しを見た瞬間、真理はその発言を全面的に信ずる事に決めた。この姉の勘は、――特に“兄”が絡んだときの勘は、まさしく信じられないくらいに鋭くなる。
「わかりました。桜ちゃんに従い、兄上様のご実家に急ぎましょう」
 真理は大きくうなずいた。


「――で、コレ、どうしよう?」
 桜が、冷えた目線で、独り妄想を突っ走る春菜を見て、困ったように言う。
「そうですわね……」
 やはり困ったように、真理も溜め息をつく。
「あああああ……いやんいやん、兄君さまったらぁん……ホントに消極的な、お、か、た。そこまで、このワタクシに言わせたいのかしら? ――でも、でも、そういう可愛い兄君さまも、決してキライではありませんわ。ぽぽぽぽっ」
「……なんか今、すっごくイイところらしいから、邪魔するのも可哀想なのよね」
「ええ、むしろ私としては、もう少し聞いていたいくらいなのですが……」
「――では、では兄君さま、この場に於いて、春菜が宣告いたします。――兄君さまの『処女』は、今宵このワタクシに捧げて頂きます! ――きゃあきゃあ! 言っちゃった言っちゃった! 
――兄君さま、春菜をこんなハシタナイ女にしたのは、兄君さまなのですよ。ですから……」

 放って置けば、朝までやってそうなので、二人はそろそろ、彼女を正気に戻す事にした。
 弓・剣・薙刀・合気道――全部あわせて都合八段という春菜の武道家としての技能は、殴り込みの際に是が非でも必要になるのだから。



471 淫獣の群れ(その10) sage 2007/10/20(土) 03:11:25 ID:ab7wwzXD

――ねえ、お兄ちゃん、聞いてる? 聞いてますか?

 ん、あ、いけねえいけねえ、ちょっとぼ~っとしてたらしいな。
 まあ、無理もねえか。結局抜かずの十連発だからな。
 まだ呼吸困難で、肺が痛いや。

 うん、ああ、聞いてる。聞いてるよ。
 で、どうした?

――お兄ちゃん、どうでした? 可苗のあそこ、気持ちよかったですか?

 ああ。結構案外、終わってみたらなかなか……でも、首絞めるっていうのは、やりすぎじゃないか?
 まあでも、窒息状態になってなかったら、やっぱり十連発は無理だったかもだけど。

――え? どういうことですか、それ?

 ああ、人間は窒息状態になったら、括約筋とか不随意筋とかにも力が入っちまうから、排泄とか射精とか、ばんばんやっちまうらしいぜ。
 だから、吊るされた死刑囚とかって、かなりの確立で香ばしくなってるらしいよ。
 オレだって多分、こっそり放課後に学校でウンコしてなかったら、かなりヤバかったんだぜ。
 え? 何でこっそりかって?
 ばかだな、決まってんだろ。学校の男子便所で普通にウンコするのが、どれだけカッコ悪いことかくらい常識ですよ、ジョーシキ。
 って、……おまえ……分かってて首絞めたんだよな……?



472 淫獣の群れ(その10) sage 2007/10/20(土) 03:13:04 ID:ab7wwzXD

――そっ、そりゃあ、……当然じゃないですか? その程度の事くらい、可苗はお見通しですよ?
――って、ちょっと待ってくださいっ、お兄ちゃん! 
――じゃあ、じゃあ、お兄ちゃんって、……もう、身体の中もキレイになってるっていう事ですよね?

 身体の中もキレイ?
 イマイチ意味が分からんが、ウンコなら溜まってないぞ。

――もうっ、汚いなあ! そんなムードのない言葉を連発したらダメですっ!

 あひひいいいっ
 ごめん、もう言わないからっ!
 おっぱい……つねら……いたいっ、いたいって……あああああっ!! 

――うそばっかりっ! お兄ちゃんは痛いのが好きなヘンタイのくせにっ!!

 へっ、へんたいっ!?
 ちっ、ちがうよっ!
 いきなり何言い出すんだよっ、オレは……、

――いいえ、お兄ちゃんはヘンタイです。ヘンタイなんです。
――違うなんて言わせません。
――だって、さっきからイタイイタイって言いながら、ちゃんと、おちんちんは硬くなってるじゃないですか。散々出して、さっきまで可苗の中でフニャフニャになってたのに。

 ちっ、ちがうっ!
 これは、その、……とにかく、違う!

――違いませんっ!
――お兄ちゃんは興奮してるんです。痛くされて、苦しくされて、恥かしくされて。
――それで感じて、興奮しちゃうような、……お兄ちゃんは、そんなヘンタイさんなんですっ!!

 違う! 違う! 違う! オレは興奮なんかしてないっ!!



473 淫獣の群れ(その10) sage 2007/10/20(土) 03:13:49 ID:ab7wwzXD

――だったら、なんでお兄ちゃんは、勃起なんかしてるんですか?
――お口でどんなにウソをついても、おちんちんはすごく正直さんですよ。

 だから……これは、ただの……条件反射で……。

――反射? 条件反射だって言うなら、余計にヘンタイさんですよ?
――理性が否定しても、身体が勝手に反応しちゃってるっていうことでしょう?
――お兄ちゃん自身がどんなに否定しても、もうお兄ちゃんはすでにヘンタイ化しちゃってるんですよ。

 そう、なのか……?
 オレはもう、ヘンタイになっちゃってたのか……?

――そうです。お兄ちゃんは、自分が気付いてないだけで、とっくの昔にヘンタイだったんです。
――その証拠に、……ほら、『ヘンタイ』って罵られて、すっごく硬くなってますよ?
――あ、また……お兄ちゃん、また硬くなってきてる!……すごい、これって可苗に挿れる前より……。
――ふふふ……これでヘンタイじゃないなんて……絶対ありえませんよホント……。

 オレは……ヘンタイじゃない……!
 でも、でも、……やっぱりヘンタイだったのかな……。
 そう言われてみれば、確かにオレのは、痛い時でも苦しい時でも、恥ずかしい時でも……硬いままだった。それって、やっぱり……おかしいよな? 普通じゃないよな?

――はい。それって、やっぱりおかしいです。普通じゃありません。間違いなく、ヘンタイさんです。

 オレは……ヘンタイ……間違いなく……!

――ほら、言ってみて下さい、お兄ちゃん。『ボクはヘンタイです』って。
――『恥ずかしいこと言わされて興奮してるヘンタイ坊やです』って。

 ぼっ、ぼくは……ヘンタイ……です……。
 はずかしいこと言わされて興奮してる……ヘンタイ坊や……です……。



474 淫獣の群れ(その10) sage 2007/10/20(土) 03:15:01 ID:ab7wwzXD

――何ですか、それは?
――全然聞こえませんよ? もっと大きな声で言ってください。

 ぼくは、ヘンタイです。
 恥ずかしいこと言わされて興奮してる、ヘンタイ坊やです。

――聞こえませんっ! もっと大きな声でっ!!

 ぼくはヘンタイですっ。
 恥ずかしいこと言わされて興奮してる、ヘンタイ坊やですっ

――もっと心を込めてっ! 心底からヘンタイの自分を反省して言いなさいっ!
――『ヘンタイに生まれてゴメンナサイ』って謝りなさいっ!!
――もうまともに戻れない自分に絶望しながら謝りなさいっ!!

 ぼくはヘンタイですっ!
 ヘンタイに生まれてゴメンナサイっ!

――もっと言いなさいっ!! 
――可苗がいいって言うまで、一生懸命言い続けなさいっ!!

 ぼくはヘンタイですっ!!
 ヘンタイに生まれてゴメンナサイっ!!
 ぼくはヘンタイですっ!!
 ヘンタイに生まれてゴメンナサイっ!!
 ぼくはヘンタイですっ!!
 ヘンタイに生まれてゴメンナサイっ!!
 ぼくはヘンタイですっ!!
 ヘンタイに生まれてゴメンナサイっ!!
 ぼくはヘンタイですっ!!
 ヘンタイに生まれてゴメンナサイっ!!
 ぼくはヘンタイですっ!!
 ヘンタイに生まれてゴメンナサイっ!!
 ぼくはヘンタイですっ!!
 ヘンタイに生まれてゴメンナサイっ!!



475 淫獣の群れ(その10) sage 2007/10/20(土) 03:16:13 ID:ab7wwzXD

――ふふふっ、ヘンタイさんの末路は悲惨ですよ? 
――みんなから白い眼で見られて、後ろ指さされて、陰口一杯叩かれて……。
――お友達もみんな、口も利いてくれなくなるでしょうね。ヘンタイが伝染るとか言われて……。

 いやだ! いやだ! そんなの、絶対いやだっ!!

――ああっ、だめっ、そんなに急に動いちゃっ……!

 どうしたら、どうしたらいいんだ。どうしたら……!!

――大丈夫です。大丈夫ですよ、お兄ちゃん。
――可苗がいます。 可苗がここにいる限り、お兄ちゃんを独りにはしません。
――誰がお兄ちゃんを見捨てても可苗は、可苗だけは絶対に、お兄ちゃんを見捨てませんっ!!

 本当か!?
 本当にお前は、オレを見捨てないな!?
 オレを独りぼっちにしないなっ!?

――ええ、お兄ちゃん。可苗は、お兄ちゃんの“いもうと”です。
――恋人や友達は、恋人や友達をやめる事が出来るけれど、妹はずっと妹のままです。
――だから、可苗が“いもうと”である限り、お兄ちゃんの傍を離れることはありません。
――ただ……。

 ただ?
 ただ、何だ?
 言ってくれよ! 何かあるのか!?

――可苗は、お兄ちゃんに『初めて』を捧げたのに、お兄ちゃんは可苗に何も捧げてくれないのですか?

 そっ、そんな、……そんなこと言われたってさ……どうすりゃいいのか、見当も付かないよ。



476 淫獣の群れ(その10) sage 2007/10/20(土) 03:16:57 ID:ab7wwzXD

――じゃあ、可苗から訊いてあげます。
――お兄ちゃんの“うしろ”は『処女』ですか?

“うしろ”!? そっ、そりゃあ、確かに、お前らにされてるのは、指までだけどさ。
 でも、いつも5~6本は同時に突っ込んでるじゃないか。あれを『処女』って言えるかどうか……?

――5~6本っ!? そんなにっ!? 
――いや、でも、……それなら、いまさら特に馴らす必要もないってことですよね?
――つまり、それって……今からイキナリでも……OKってことですよね……!?

 え!?
 あの、それってどういう……!?
 おっ、おいっ、なんでまた、首に手をかけるんだよっ!?

――お兄ちゃん。お兄ちゃんの『初めて』を、……可苗に……下さい……!
――そうすれば、もう可苗は絶対に……誰がお兄ちゃんを見捨てても可苗は見捨てませんからっ!!

 それで……いいのか?
 それで、オレはもう、独りぼっちにならなくていいんだな……!?
 こんな……こんなヘンタイのオレでも、一緒にいてくれるんだな!?

――ええ、約束します。
――ですから、お兄ちゃんも約束してください。
――可苗に……お兄ちゃんの『処女』を捧げるって……言ってください……!

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最終更新:2007年10月21日 02:20
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