676 15スレ650 sage 2008/11/24(月) 12:17:34 ID:pHYJi2Bs
朝になっても結局兄さんは帰って来なかった。
どうして兄さんは家を出てったのだろうか。
私が冷たい態度をとってたからかな。
私の兄さんは、背は165cmくらいでひょろっとした体形で、私より体重が軽い。
ちなみに私は太っていない、むしろ私は痩せているくらいだ。
兄さんが痩せすぎなだけである。
そして目つきが悪く、髪が長くて、女顔で、一般から見たら不良っぽくて微妙な容姿。
けれど私は、そんな兄さんが、可愛くて、格好よくて、素敵だと思う。
兄さんは私以上に何事にも一生懸命だ。
私以上に勉強をし、親からはお小遣いを貰わずに、自分でお金を稼いで、親には頼らずに、自分の事は自分でやる。
そんな兄さんが、兄さんの全てが大好きだ。
しかし私は、ある事を悟られないように、常に兄さんとは距離を置き、冷たい態度で接していた。
いや、距離を置いてるのは兄さんのほうかもしれない。
「そんなに髪の毛伸ばさないで髪切ったら?そんな兄さんがいると私までみっともないわ」
そう言うと「親父やおふくろやお前みたいに角ガリやショートやボブにしたくねー、何より金がかかる」と言い、去ってしまう。
「何で学校休んだの?本当は何処か出かけてたんでしょ」
「俺の心配はしなくていいから、自分の事を頑張れよ」と言って去ってしまう。
もしかしたら、距離を置いてるのは兄さんのほうかもしれない。
兄さんは学校が終わるとすぐに、バイトへ行き、皆が寝た夜遅くに帰ってきて、こっそり食事や風呂を済ませる。
朝も配達しに行き、そのまま学校へ向かう。
学校は、バイトでよく休むが、来ても音楽を聴きながら眠っている。
よくそんな忙しくて、授業を聞かずにそれなりのテストの点と成績をキープできたものだ。
私はとんでもない変態だ。
兄さんの履いたボクサーパンツで自慰をしたり、風呂場で兄さんの髪の毛や陰毛を集めたりしている。
兄さんがいなくなったら、私、私・・・・・・・
兄さんからメールが来てる!
677 15スレ650 sage 2008/11/24(月) 12:18:13 ID:pHYJi2Bs
よく寝た・・・朝10時か。こんなに寝たのはいつ以来だろうか。
まずは1から仕事探さなきゃな・・・
中学も卒業して、前のバイトもやめて、俺ニートになったからな・・・
けど、やっとあの家族から解放されたんだ。
こんなに嬉しい事はいつ以来だろうか。
生まれて初めてか。
電話が着てる。
メールもだ。
妹からだ。
ウザい・・・何通も何回も電話掛けやがって・・・
頼むから俺の事はもう忘れてくれよ。
それがお前にとって1番幸せな事なんだ。
ピッ
俺はすぐメールを1通送った。
あの家族の中にはあいつには俺がいないほうが幸せなんだ。
悔しいけどあいつは何倍も努力する俺よりいつも俺の上を行き・・・
いや、妹の事は、あの家族の事は忘れよう。
アドレス変えて、着信拒否にしなきゃな。
さて顔洗って、着替えて、コンビニ行くか。
コンビニに着いた俺はjump、jack、新聞をを立ち読みした。
立ち読みって金かからないから最高だ。
そして立ち読みを終え、俺はタウンワークを貰い、おにぎり1個買った。
どれどれ・・・
あまり良い所なかったな。
でも贅沢言ってられないか、今はとにかく仕事を見つけなきゃ。
とにかく適当に自給が良いとこに電話しよう。
678 15スレ650 sage 2008/11/24(月) 12:19:07 ID:pHYJi2Bs
もう俺の事は忘れろ。
兄さんのメールからはそう書かれていた。
アドレスを変えたみたいで、メールを送ったが送信できなかった。
着信拒否もされていた。
そんな、兄さんはやっぱり私の事が嫌いなんだ。
兄さんは、私の事を、成績優秀、スポーツ万能の何でもできる妹として見てるみたいだけど私は兄さんなしでは生きて行けない変態で駄目なキモウトなのに・・・
兄さん、私がその程度で諦めると思う?
私は何としてでも兄さんを見つけ出してみせる事を決意した。
そうと決まれば、まずはお母さんに聞かなきゃ。
「お母さん、兄さんはどこへ行ったの?」
「もう兄さんの事は忘れなさい」
「兄さんは何で家を出てったの?」
「さぁね、私達家族の事が嫌いじゃないの」
「でも私は・・・」
「とにかく、あの子の事はもう忘れなさい」
「じゃあ私も兄さんみたいになろうかな」
「馬鹿な事言わないの」
「そう、教えてくれないなら・・・」
「私にも父さんにも分からないわ」
「本当?」
「本当よ。あの子は紙1枚残してね」
「紙?」
「これよ」
そう言ってお母さんは私に紙を見せた。
今までお世話になりました。このご恩は一生忘れません。そして俺の事は忘れてください。
兄さんの字でそう書かれていた。
「これは兄さんの字だ」
「前からあの子は何でもできる貴方に嫉妬していてコンプレックスを抱いてたのよ」
「兄さんが私に・・」
「私もお父さんもあの子の事をちゃんと分かってやれなかったわ。分かった頃にはもう・・・」
「お母さん。私が兄さんを絶対連れ戻してみせるわ」
679 15スレ650 sage 2008/11/24(月) 12:20:33 ID:pHYJi2Bs
「正社員募集って聞いたのですが」
とりあえず電話をしてみたが、電話に出た女の声が、何処かで聞いたあるな。
「あらその声は・・久しぶりね」
「もしかして裕子さんっすか?」
「よく覚えてたわね。私の事はお姉ちゃんって呼んでいいのよ」
「そういうわけにはいかないっすよ」
裕子さんは、親父の元奥さんの子供で、たしか今は18歳のはずだ。
最後に会ったのは俺が8歳の時だったな。
俺の事を本当の弟のようによく可愛がってくれたな。
だけど風呂は恥ずかしかったな。
風呂で俺の体をそこらじゅう、念入りに丁寧に洗ってたっけ。
まああの時はガキだったからな。
もし裕子さんが俺の姉ちゃんだったら、きっと幸せだっただろうな・・・
「うちで働きたいの?」
「うちで?」
「私のお母さんが経営してるのよ」
「とりあえず仕事探さなきゃって思いまして」
「高校には進学しなかったの?」
「はい」
「じゃあうちで働きなよ」
「でも親父、家族には知られてくねーからな・・・」
「大丈夫よ。あの人とはもう関係ないから、じゃあ決まりね」
「ちょっ裕子さん」
「今何処にいるの?」
「はっ?」
裕子さん何言ってんだ?
最終更新:2008年12月07日 22:08