753 ねえたんファッション23 sage 2008/11/27(木) 20:13:27 ID:gIwXYWpy
もみゅっ
畳に着こうと伸ばした政人の左手は、つきたての餅に似た弾力に深く沈んだ。
―政人は息を飲む。
仰向けに倒れた未来の右の乳房を自分の掌が押し潰しているではないか。
もっちりと掌に吸い付く温かな丸みは指が食い込み、ひしゃげた楕円型に潰されている。
初めて触れる女の子の胸の感触はポカンとしてしまうほど心地良かった。
「わ、あの、すまんです」
胸に掌底を喰らった格好の未来はピクピク痙攣しながらも幸せそうだ。
「げほっ、まーちゃん激しい…。そんなにねえたんが欲しいんだね…」
「……ううん、事故だよ。とぉ、う、離して、近いってば」
強く抱き寄せられれば顔と顔がぶつかりそうになる。
シャンプーのアロマが未来の熱で立ち登り、政人の鼻孔をゆるゆると侵す。思わず胸一杯に香りを吸い込んだ。
丁寧に掃き清められた畳の香りと、女の子のいいにおいが混ざり、胸の奥が切なく締め付けられる。
「まーちゃん…まーちゃん」
未来は子猫が母猫に擦りつくように、政人の首に顔を埋めイヤイヤをするように首を振った。
細い髪が擦れるくすぐったさに首をすくめ、政人はカッと全身を赤く燃やした。
―これは……、まさか俺に“求めている”のだろうか。
政人はだらだらと汗を滲ませた。
前々から自分を襲おうとしていた未来に手を焼いていたが、イニシアチブをぽんとこちらに放られてもまた困る。
互いの体温を感じる近い距離やこの体制、甘い香り、未来の体の感触。
男女の営みなど漫画や映画でしか知らない虚像であったが、五感に受ける全ての情報がそれをリアルな行為として意識させる。
若い欲望がじりじり焙られ塞き止められなくなりそうだ。政人は徐々に腰を引く。
「まーちゃん、しよ?」
すると、逃げる政人の腰をめがけ未来が片足を伸ばした。
ロングスカートが捲り上がり、露になった白い脛が政人の股間をするすると擦り上げる。
「うひゃっ」
思わず上擦った悲鳴が漏れた。何をどこで触っとるんじゃ。
754 ねえたんファッション24 sage 2008/11/27(木) 20:14:52 ID:gIwXYWpy
「…するの、や?」
未来は小首を傾げる。微かに汗ばんだその額に前髪が数本張り付いている。
しっとりと上気した薄桃の頬やうるんだ瞳は、あれほど似合わなかった筈の黒髪に自然に映えていた。
政人の理性が大きくたわんだ。今、こうして自分に組み敷かれる未来を心から可愛いと思う。
その不意をつかれ、思い切り顔を寄せられた。
政人は息を飲む間もなく姉に唇を奪われていた。
ちうと音を立てて口を吸われ、僅かに開いた隙間から熱い舌が割り入れられる。
―お茶の味が残る口内、悪戯に忍び込んだ舌は砂糖でも含ませているのかと疑う程に甘い。
長い睫毛を伏せて一心に政人の舌を頬張る未来に倣い、政人も瞳を閉じた。
ピンと張りつめた理性の糸を焼き切る未来の唇。
(ねえたん……ねえたん!ねえたん!!)
その深いキスにとろけてしまったのか、政人は気付けば夢中で未来を抱き締めキスをむさぼっていた。
こぢんまりとした和室に広がる衣擦れの音はわびしく、切なく、胸が握り潰されそうに痛い。
互いにしっかりと腕を体に絡め、畳の上で一つにもつれあう。
未来の温度も相当高い筈なのに、カンカンに熱った政人の体には真夏の日陰のように優しく感じた。
「は…う、くちゅ、まぁ…ちゃん」
溺れたように息継ぎをする未来の背を無器用に撫でた。
未来もそれに応え、太ももで政人の股間を挟んで擦り付けた。布地越しでもそのももがとてもすべらかなのが分かる。
未来の足は肉付きが悪くどうにも硬そうなイメージがあったのだが、その部分は女性らしいたっぷりとした感触に満ちていた。
いよいよ我慢が出来なくなる。
政人は「ごめん、ごめん」とうわ言のように繰り返しながら自らのベルトに手を伸ばした。
「謝ることなんてないよ…。今日はまーちゃんのラブラブ告白記念日だから、ねえたんに特別な事をしていいんだよ」
何やら勝手に記念日を制定されているが、今の政人にはその寛容さがありがたい。
「ねえたん…」
もどかしそうにベルトを解き、未来の上にのしかかった。
「まーちゃん、来て…」
未来もブラウスのボタンを外しだす。開いた胸元から純白のフリルがちらりと覗いた。
「お、俺初めてだから上手く出来ないかもわからんよ…」
755 ねえたんファッション25 sage 2008/11/27(木) 20:16:09 ID:gIwXYWpy
「大丈夫だよ…」
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて…お、お邪魔します…」
政人は横たわる未来を片手で抱き寄せた。もう片手で未来の黒髪をすいて撫でる。
未来は何気なくその様子を見つめる。政人の指の隙間から真っ直ぐな漆黒がはらはらと流れて落ちた。
黒い、髪――……
「――ちょっと待って」
……
………
「ねえたん、いい所で何?」
手の平でキスを拒まれ、政人は不服そうに聞く。
「あのさ、これってまーちゃんの初めての体験は、黒髪のねえたんと和室プレイって事になるよね」
「え?う、うん、そうなるね…」
「それ、ありえなくない!?」
「あでっ!!」
途端に未来が跳ね起き政人は頭突きを喰らった。
「ねえたんとまーちゃんの初めてがナチュラルメイクの黒髪とか絶っっ対駄目!エヌジー!!」
未来はシャキンと両手で×を作った。
「えええ!?」
もはや政人は涙目である。こんな所でオアズケかい!貴方が散々足で揉んだり擦ったりしたこれの始末はどうしてくれるんだ。
「だって一生の記憶に残る大事なイベントだよ!?…あ!ああっ、キスしちゃったじゃん。キスも無し!無かったことにして!」
「ええええ!?」
「まーちゃんにはちゃんとギャル的なラブラブナイトをプロデュースしてあげるからね!」
「い、いいよそんなの、俺は気にしないよ!続きしようよぉ!」
「だって私ギャルだし、まーちゃんもギャルが好きなんでしょ?」
…ギャルが好きなんでしょ?ギャルが好きなんでしょ?ギャルが好きなんでしょ?…
政人の耳に強烈に響いたその一言。嗚呼、そういえばそんな設定になっている。なんと正論であろうか。
そしてねえたんは、ラメラメ大好きデコ命のギャルなのである。こんな地味なシチュエーションを彼女が赦す筈など無い。
………ぎゃああああるうううう!!
政人はわっと泣き伏せた。
「茶髪に戻してカワイイコーデでインナーもキュートなのじゃなきゃヤだよね!」
元通り、政人の好みから逆走しだした未来。
青春のたぎりは無惨にも散った。
やっぱりギャルのパワーには勝てないのだと、まーちゃんはしみじみと悟ったのだった。
おしまい
最終更新:2008年12月02日 09:55