家族愛

 本日、弟に彼女ができた。
 高等部としての生活が始まってまだ一ヶ月ばかりだというのに、どういった経緯でか姉たる私よりも年上の女を連れてきて、白い頬を乙女のように染めながら、見たことも無い可憐な笑顔で彼女ができましたと報告されてしまった。
 そう、と冷静を装って返事をしつつ、弟と手を繋いで我が家の玄関を潜った女性に目をやる。
 にこりと如才なく笑い、しかしその頬は弟と同じように朱色が宿っている。
 学園で見る冷徹を思わせる顔とのギャップに私までクラッときてしまいそうな微笑だった。

 美少女、あるいは美女と表現するに相応しい肉感的で発育の良いボディに、筆で引いたように少し太めの眉が印象的な意志の強そうな顔立ち。
 事あるごとに生徒たちの前で会報を読み上げ、壇上で表彰を受け、最近では地元のテレビ局まで注目しつつあるという才女の見慣れない姿だった。
 ……以前から弟が、彼女に憧れにも似た恋をしていたのは知っていたが、まさかその想いが叶うとは。

「さ、上がってください先輩」
「ええ。お姉さん、お邪魔します」
「……はい、どうぞごゆっくり」

 胸中の驚き覚めやらぬまま、弟に促がされた女性が靴を脱いで私の前で丁寧に会釈して通り過ぎていくのを眺める。
 とつとつと階段を上る二人に、なんとも形容し難い思いが沸き起こった。
 高等部にも上がった事だし、もうすぐ弟にもお付き合いする女性というのが出来るのではないかと思ってはいたのだが、本当に出来るとは思わなかった。

 弟が男女の機微に疎いというのもあるが、なにより弟が恋していたのは我が学園が誇る高等部生徒会代表であったからだ。
 何度かその無謀を嗜め、ほかの手軽そうな女生徒を進めた事もあるのだが、入学式の後に行われた新入生歓迎会で、すでに内外の者から高い評価を得ていた当時の中等部生徒会代表に一目惚れして以来、その恋熱は冷めることを忘れてしまったように弟を包んでいたという。
 入学式からの帰り道、早々にその思いを打ち明けられた当時中等部二年の私は、精神的にまいっていたのだが、弟の恋を打ち明けられて以降、一念発起して何度も相談に乗ってやったものだ。

 弟も弟なりに努力し、生徒会に入るなど彼女と接点を持とうとしていたようだが、話を聞く限りでは進展などなく、朝の挨 拶を交わした、あの人がこんなことをしていた、こんな言葉を掛けられたという実に微笑ましい報告しか聞いたことが無い。
 そのまま何の進展も見られず想い人の生徒会長は中等部を卒業。優秀さに磨きをつつ高等部でも生徒会長に就任してさらなる衆目と賛美の的になっていく。
 弟とは多くは無い接点がさらに少なくなり、どうしたらいいかと毎日の様に相談されるようになっていたが、まさか彼氏彼女の関係になっていたとは。
 昨日の夜もいつもと同じ相談をされたばかりだったのだけど。

「……どうやって誑しこんだのかしらね」

 たしかに私の弟は素晴らしい。
 しかし世間一般的に見ればもっと素晴らしい男子は私達の学園にも存在する。
 そんな男子達はあれこれと手を尽くして彼女の気を引こうとしているし、接触の機会も弟より遥かに多いはずだ。
 学園で見かける彼女の周囲にはなにかと人が集まっており、内気な弟を見かけることはなくとも好意を向けていると一目でわかるような男子女子は沢山いるのだ。
 私は彼女と親しくないし、生徒会に所属もしていない一般生徒なので詳しくは知らないが、何度も告白を受けたことがあるのは容易に想像できる。

 弟から告白したのかと思ったが、昨夜の弟はいつもと同じ様子だったし、告白する決心を固めたなら私に相談ぐらいあるはずだ。
 彼女が中等部を卒業した際には落ち込んだ弟を一晩中勇気付けたり、どんな告白の台詞が一番効果があるのか話し合ったことさえあるのだ。
 他にもいろんな相談にのったし、一大決心をしたのなら私に知らせないほうがおかしい。

「弟の、告白ねぇ」

 ぶるりと震える体を抱きしめる。やはり彼女のほうから告白したと考えたほうが自然か。
 弟は小柄で線の細い顔立ちのため、服装さえ整えてやれば発育の悪い少女といっても通用する容姿をしている。
 学園では年下好き、面食いにその名を轟かせ、実は私も何度か、弟を私にくださいと間接的、直接的に言われたことがある。
 そんな噂は聞かないが、実は彼女はすごい年下趣味で中等部のころから弟に並々ならぬ恋心を抱いていて、高等部でも生徒会に入会した弟に、ついに自分の思いを告げてしまった、とか?

 しかし、彼女目当てで生徒会に入る人間は多い。エスカレーター式であることもあいまってか、中等部で生徒会を勤めた人間のほとんどは高等部でも生徒会に入るくらいだ。
 さらに代表の美しさに引かれた人間はファンクラブに入会するかのごとく生徒会に入ることを決めるため、うちの生徒会は十名ほどの役員以下、ボランティアとして結構な人数を傘下に抱える巨大なようで小さいような組織になっている。

 ちなみに弟は二人いる書記の片割れとして中等部をすごし、高等部でも書記として過ごすことになりそうだと前に言っていた。学園男子が泣いて羨む生徒会役員の一人、というわけだ。
 高等部に上がったばかりなのに役員になるとは流石わが弟と思っていたが、もしや彼女が弟をそばで愛でる為に役職を与えたのだろうか。
 弟にとっては始めての高等部生徒会だが、会長にとってはすでに三年目。恋する少年がまたしても自分の下で働くことになれば、勢いで告白するというのもありえなくはない、か。

「これは確認しなきゃね。シャワー浴びて準備しなきゃ」

 どちらにせよ、弟の願いが叶ったのは喜ばしいことだ。
 周囲からはブラコンと呼ばれ、一時期は本気で弟を、一人の男として愛しているのではないかと悩んだ時期もあるのだが、
自分が弟に抱いているのは何の変哲もない家族愛だ。
 たしかに少し他の姉弟より仲がよく、実は弟が連れてきた彼女のことを思うと嫉妬心が疼くのを感じるのだが、私は弟を家族として愛している。
 それだけだ。

 脱衣所で制服を脱ぎ去り、シャワーの温度を確かめて温めのお湯を頭から浴びた。水気を含んで艶めく髪にトリートメントを丁寧に馴染ませていく。
 弟が憧れた生徒会長を真似て伸ばした黒髪は、今では私の密かな自慢だ。
 女子としては高い身長と細めの体つきは自分でもちょっと自惚れていいのではないかと思うものだったが、弟が会長に一目惚れして以来、あんまりにも黒くて長い髪を褒めるので、私も感化されて伸ばしてみたのだ。
 手入れは面倒だが、弟も気に入ってくれたし。私自身、気に入っている。
 会長の相談をしてきた弟をからかいながらどうかと尋ねたら、綺麗だよと頬を染めながら言われたからでは、決して無い。

 ……嘘だ。八割ぐらいはそれが今でも髪を伸ばしたままでいる理由だ。
 うちの弟はちょっと可愛すぎる。昔の私が懸想したと勘違いするのも無理はない。

 一通り髪の手入れをした後、体も軽く洗って浴室から出る。
 肌を拭ってから着替えが無いことに気づいて、弟の恋の成就にまだ少し動揺しているのだろうかと苦笑してしまった。
 お客様がいるので気分は乗らないが、まさか弟を大声で呼ぶわけにも行かず、タオルを体に巻いて早足に部屋に向かう。
 弟の部屋の扉が閉まっていることを確認してから自分の部屋に入った。真新しい下着を身に着け、部屋着に着替える。
 髪を乾かしてブラシをあて、よしと立ち上がって弟の部屋に向かった。
 コンコンとノックして、返事を待って扉を開ける。
 もしかしてと思わないでもないが、まだそこまで気にするほどの関係ではないだろう。

「ちょっと失礼。会長、今日は……」
「あ、わ、おっ……姉さん、ちょっと待って、待ってください」
「……ええ、悪かったわね。会長も、いい雰囲気のところを邪魔してごめんなさい」
「いえ、お気になさらず」

 顔を真っ赤に染めた弟と、冷静な顔をしつつもやはり頬を染める会長が微笑ましく、口元に手を当ててしまう。
 二人はなぜか手を握り合っていたのだ。だが見詰め合うどころか両方そっぽを向いて、そのくせ私がノックして部屋に入ったのに、手を繋いだままでいることに一瞬気づかないほど二人の世界に入り込んでいたらしい。
 弟がそうであることを良く知っているが会長も意外と純情な性格なのだろうか。

「そ、それで姉さん、どうしたの?」
「会長さえよろしければ、一緒に夕食でもどうかと思って」
「それは、でもいいんですか?」
「ええ、家には父も母もいませんので気兼ねなく。とはいっても私が作る料理ですから、あまり期待されても困りますけど」
「そんなことないよ。姉さんの料理はとってもおいしいよ。先輩、ぜひ食べていってください」
 
 いい弟だ。あとで撫でてあげよう。
 私の提案に乗り気の弟に説得されて、もっとも嫌ではないのだろう会長も、ではお世話になりますと頷いてくれた。
 今日の夕食は二人と私のためにも気合を入れて用意しなければならないだろう。実は先日買い込みすぎた食材を消費するという目的もあるし。
 料理の腕も、最初は弟に食べさせたくて始めたが今では趣味になっているため、日々研磨と努力を重ねた自負と自信がある。

「ではそういうことで。私は早速準備にかかりますので、それまで弟とくつろいでいてください」
「ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきますね」
「ありがとう、姉さん」

 見た目に美しくお似合いの男女に、やはり少々の嫉妬を掻き立てられつつ、平静に笑いかけて部屋の扉を閉める。
 さて、可愛がっていた弟に恋人ができたのは寂しいが、ここは一つ気持ちを入れ替えて美味しい料理作りに専念するとしよう。





「よっと、最後にぱらぱらっと。会長のにはさらさらっと」

 アクセントになるスパイスを振りかけて、本日の夕食完成である。
 時計を見ると、ちょっと夕食時には早いぐらいの時間だ。
 学園からまっすぐ帰ってきて、シャワーを浴びてすぐに料理を始めたから、それでも結構な手間隙を掛けて完成させたことになる。
 もちろん費やした時間に相応しく、台所は食欲をそそるいい香りが満ちている。ずっとここにいた私でさえそう感じるのだから、二階にいる二人は食欲を十分以上に刺激されているのではないだろうか。
 エプロンを外して手を洗い、私の席、向かい合う弟の席、その隣に用意した会長の席に最後の料理皿を運ぶ。

 本日の夕食は、和風ドリアを中心に、肉味噌ソースで戴く豆腐ステーキ、ほうれん草とモヤシの御浸し、鯖の塩焼き、蒸し鶏の特性酢醤油和えである。
 あと大量に買ってしまった里芋の煮っ転がし、同じく大量に買っていたレタスとトマトと玉葱に、蛸の足をスライスして酢と混ぜ合わせたサラダを大皿に盛ってテーブルの中心に。他にもお手製の漬物を数点。
 我ながら気合の入りすぎた食卓の完成だ。

 ……こんなに食べられるだろうか。
 心配になりながらも階段をとつとつと上がって弟の部屋の扉をノックする。すぐに返事があるが……少し待ってあげよう。
 しかし扉を開けると、早々に腰をあげていた弟と会長の姿が。その顔には待ちかねたと書かれているかのようで、どうやら私の料理をそれなりに期待してくれていたようだ。

「ご飯できたわ。会長もどうぞ一階に」
「料理が得意らしいですね。すごくいい匂いがしてました」
「あ、弟から聞きました?」
「はい。あんまりにも美味しそうな匂いで、もういつお腹がなるか緊張していました」

 やはり会長は私が想像していた人物像と一致しないようだ。
 意外なほど気さくで、それでいて馴れ馴れしくない上品さも備えた声色に唸りつつ、弟と促がして一階に降りる。

「これは、姉さん、すごい豪華だね」
「材料が余ってたからね。今日は記念日だし」

 二人して肩の触れ合う距離で食卓を眺める弟と会長を目を細めて眺めながら言う。
 ぽっと頬を染めて一歩距離をとる初々しい二人の様子に忍び笑いがこぼれてしまった。
 可愛い二人だ。

「もう、姉さん」
「はいはい、いいから座りなさい。会長の席はそちらです」
「ありがとう。本当に美味しそうな料理ね」
「恐れ入ります。でも、感想は食べてから聞かせてください」

 いただきます、と三人声を揃えて箸を手に取る。会長はまず芋の煮っ転がしに手を伸ばした。
 小さな口をあけて一口、二口で薄い琥珀色にコーティングされた芋を口の中に収める。
 食べているのは何の変哲も無い料理なのだが、箸の運びの一つをとっても上品で気品があるのはなぜだろう。

「柔らかい。それに味が中心まで染みていてとっても美味しいです」
「ありがとうございます。会長にそう言われると私も鼻が高いです」
「いつも美味しいけど、今日は特別おいしいよ」

 ……この弟は会長の前で私を口説こうとしているのだろうか。
 しかし思えば、弟のこの笑顔が見たくて料理を始めたのだ。
 以前は早起きして朝食と弟と私のお弁当を用意するぐらいだったが、弟が学園に入学することが決まった直後に両親は仕事で海外に渡ったため、今では家族の食事はほとんど私が作るようになった。
 私としては苦に思うどころか実に楽しく料理できるからまったく問題なく、美味しい美味しいと食べてくれる弟の笑顔が可愛くて食事時が毎日の楽しみになっている。

「ちょっと張り切りすぎてしまったんで、遠慮せずにどんどん食べてください」
「こんな美味しい料理ならいくらでも食べれるわ。わたし、前から弟さんの食べてるお弁当美味しそうだなって思っていたんです」
「そ、そうだったんですか? 言っていただければもっと早く……」

 はやく付き合えていたのに、とぼそぼそ呟く弟に釣られて会長も赤くなる。ああ、暑い暑い。
 その後は言葉少なに、料理の感想を聞きながら和やかに食事を勧めていく。
 量を心配していたものの、ほとんど私たちのお腹に消えた。会長は健啖でもあらせられるようだ。
 わずかに残ってしまった芋の煮付けは明日のお弁当にでもするとしよう。

 三人満足の息をついて本日の夕食は終了。カタカタと食器を重ねて流しに運び、魚の骨を三角コーナーに、さっと水で流して食器洗い機に並べる。
 ふと食卓を見ると、弟はいつもどおり、会長も弟と同じように虚空を見つめてぼうとしている。
 好評のうちに空になったサラダの大皿を下げて、変わりにいつものアロマキャンドルをテーブルにおいて火をともした。
 食後にもしつこくない爽やかな香りが部屋に広がっていく。実は手作りのキャンドルで、これも趣味の一つと言っていいだろう。

「……あら、これは?」
「食後はお茶でも飲みながら話をするのが家の慣習でして。食器は私が片付けますのくつろいでいてください。あなたもね」
「……うん。……ありがとう、ねえさん」

 弟と会長の食器も同様に重ねて運び、軽く洗って食器洗い機へ。
 秘かに注目していたのだが、会長の魚は見事なまでに骨しか残っていない。小骨まできちんとまとめてあるのは、さすがというほか無い。
 食器洗い機のスイッチを入れて振り返ってみると、弟と会長はお互いを見詰め合って微笑みあっていた。
 その笑顔はどこか空ろで、先ほどまでの隠し切れない小さな緊張は消え去り、肩の力も抜けきっている。
 放っておくと椅子から落ちてしいそうな様子だ。

 そのこと、取り分け会長の様子に満足した私は、流し台の横に音の大きなメトロノームを設置する。
 いきなりの等間隔の音に二人がふと目を向けるが、私が気にしないでと手を振るとすぐに興味を失って互いを見詰める。
 会長は意思の感じられない空ろな瞳で。そして弟は熱に浮かされたような瞳で、ちらちらと会長の体に視線を飛ばす。
 さて、今日もお楽しみの時間の始まりだ。




「会長、私の声が聞こえますか?」
「……はい」
「では、この指先を見てください」
「……姉さん?」
「あなたも目を瞑って、ほら、いつもどおりにね」
「……でも」
「いいから。はい、目をつむって」

 今日に限ってなぜか渋る弟は置いといて、会長の意識を深いところに落としていく。
 会長の料理にたっぷりと含ませ、今もアロマキャンドルから揮発している催眠導入剤は、無味無臭だが大量に摂取させる必要があり、効力も長くはない。
 毎日嗅ぎなれ、この時間は催眠状態に落ちることが日課となっている弟は目を瞑るとすぐに頭を不安定に揺らし始めたが、会長はしっかりと手順を踏んで、精神の防壁を取り除いていかなければならないのだ。
 なるべく多くの事を刷り込んでおきたいので、いまは弟にもちょっとかまってあげられない。

「あなたは今、どこにいますか?」
「とても……深いところ……まっくらで、なにもない」
「そこは貴方の心の中です」
「心、の……なか?」
「そうです。私の声ははっきり聞こえますね?」
「はい」
「それは、私の声があなたの心の声だからです」

 静かに体を揺らしてやりながら、耳元で囁きかける。他の女ならともかく、会長の声真似には結構自身があった。
 細やかな目元を手で隠す。薬と暗示で無防備になりつつある美貌の才女を横目に、愛する弟を眺める。
 私は弟に恋をしているわけではないが、家族としては愛してる。こんな可愛い弟に世の女が恋をするのはしかたないとしても、それで私と弟がすごす時間が少なくなるのはとても容認できない。
 それは弟が相手の女を受け入れたとしても変わるわけではない。私はこう見えても独占欲が強いのだ。 

「わたしの声……」
「心の声です。あなたが心から信じている、あなたのことは何でも知っている、あなたの声です」
「………なんで、声が」
「あなたの大好きな人と、もっと仲良くなるために、協力してあげるためです。このままでは、あなたは以前のように、彼を眺めているだけの関係に戻ってしまいます」
「そんな……」
「嫌でしょう? わたしは嫌なんです。そうですね?」
「いや。それは、いや」

 会長の様子から、以前から弟に恋をしていたのは伺えた。推測どおり、彼女から告白したのだろう。
 ここ最近弟が気になり始めたのなら少しは弟が気づいて相談してくるはずだし、お互いに遠くから見ているだけの恋だったのは間違いない。
 できれば色々と告白の状況を聞いてから催眠を施したかったが、なんせ昨日の今日でもう彼氏彼女だ。
 余り急にことを運ぶとトラブルが発生するものだが、やむをえないだろう。
 不幸中の幸いとして、恋愛に臆病な性格というのは暗示で組し易いところがある。
 他の優秀な部分しか知らなかった私はとりあえず大量の薬で会長を陥れたが、これならアロマキャンドルを嗅がせて適当に恋愛相談など受けるだけで刷り込みを行うことも可能だったかもしれない。

「大丈夫、大丈夫ですよ。わたしはあなたの事をあなたよりよく知っている、あなたの心なのです」
「わたしの心……」
「そうです。あなたはたくさん努力して自分を磨いてきました。わたしはそんなあなたを、あなたよりよく知っています」
「…………」
「わたしの声は、あなたを幸せにするための、他ならぬあなた自身の声なのです。わかりますね?」
「はい」
「では、これからあなたが、大好きな彼とずっと一緒にいられる方法を、教えてあげます」
「お願いします」

 お願いしますときたか。
 思わずこぼれそうになる笑い声を何とかこらえる。

「それは、大好きな彼がもっとも愛する家族の言うことを守ることです」
「……あいする、家族」
「そうです。彼は立派な人間です。家族のことを愛し、とても大事にしています」
「……はい」
「彼の愛する家族とは、誰ですか?」
「……彼のお姉さん」

 実は弟は、数少ない会長との会話チャンスで私のことをよく話しているのだ。
 あまり自分に自信を持てないために、自分のことよりも他の人のことを話してしまうらしく、かといって男友達のことを話すほど弟は友人に恵まれていない。むしろ女性に好かれる困った性格をしている。
 随分前だが、もしも女子のことを話して、僕がその人のことが好きだって会長に思われたらどうしよう、と相談されたこともある。
 その時には私のことを話せばいいじゃないかと答えたが、それは今でも続いているらしい。
 姉として嬉しいことだ。おかげですんなりと弟の彼女に付け入る事ができる。

「そうです。なら、あとはわかりますね?」
「彼の、お姉さんと、仲良くする……」
「仲良くして、お姉さんの言葉をよく守るんです」
「言葉を守る……」
「お姉さんもきっと彼との仲を応援してくれるはずです。彼女の言うことを守っていれば、大好きなあの人はますあすあなたのことを好きになってくれるでしょう」
「…………」
「さあ、目を開けなさい。あなたの目の前には、彼の世界で一番愛する家族が立っています」
「はい」
「その人の言うことを守り、約束を守れば、あなたにはきっと幸せな未来が訪れるに違いありません」
「はい」
「ほら、ゆっくりと周りが明るくなってきますよ。時計の音がだんだん聞こえてきます。隣には大好きな彼もいるようですね」
「はい」
「がんばってください。わたしは、あなたを誰よりも応援しているあなたの心は、あなたがお姉さんの言葉をよく聴き、大好きな人と一緒にすごしていくのを見守っていますよ」
「はいっ」

 成功だ。途中からアロマキャンドルの火が消えていたのだが、催眠が解けることもなかった。
 あとは、弟が愛してやまないこの姉が、彼女と弟の中を取り持つように助言をしてやれば、晴れて私も二人の仲を応援することができるようになる、ということだ。
 会長に、弟と付き合う上でのルールを念入りに話し聞かせた後、こちらはいつもの催眠術に落としていた弟を起こす。
 会長は弟が目を閉じてゆらゆらしていることに疑問を持っていたようだが、夕食のあとはだいたいこんな感じ、と説明するとあっさり納得してくれた。

「ん、あ……姉さん?」
「ええ、姉さんよ。せっかく彼女ができたってのに、寝ていてはダメじゃない」
「え、うわっ、ごめんなさい先輩」
「ふふ、いいのよ。わたしも、ちょっと寝ちゃってたみたいだし」

 催眠中の記憶は鮮明に残しつつ、時間の統合性を取らせるには寝ていたことにするのが一番だ。弟はともかく会長は持ち前の優秀さでなにかに気づくかもと思ったが、杞憂だったらしい。
 これも、恋は人を狂わせると言っていいのだろうか。
 三人でテレビの前のソファに移動して腰を下ろす。私は会長の隣に座り、ガラステーブルを挟んだ正面に弟を座らせる。
 さっそく今日の日課と会長の催眠術のかかり具合を確認してみよう。

「それよりあんた、勃起してるわよ」
「えっ、うわぁ!」

 いつもならおずおずとズボンを脱いで恥かしがるところだが、さすがに会長の前ではそういうわけには行かないらしい。
 羞恥に耳まで真っ赤になる弟を可愛らしく思いながら、会長を見やる。
 会長も、私の言葉に釣られて弟の股間を反射的に見てしまったのだろう、弟と同様に見る間に赤くなっていく。

「い、いきなりなにを言うんだよ姉さん!」
「そんなことじゃ今日にも会長を襲いかねないわね」
「そんなことしないよ!」

 まあ、我が家から強姦魔を出すことなど私がさせないが。
 大きな声を上げた弟は、勃起が布地をこすり上げたのか、女の子のような呻き声をもらして浮かしかけた腰をソファに沈めた。

「別にそこまで恥ずかしがることじゃないでしょ。当たり前のことなんだから」
「で、でも……」
「勃起したらお姉ちゃんで性欲処理するのはいつものことじゃない。せっかく会長も見てるんだから、男らしくなさい」

 私の言葉にもあたふたと取り乱しながらも、耐え難い性衝動に苛まれているのだろう。
 私の足、会長の胸、頬を染める会長、私の黒い髪と忙しく視線を巡らせながら、それでも弟は股間を押さえて顔を俯ける。
 今日は張り切っていたので、弟の料理にはいつもより多めに媚薬を含ませたのだが、憧れの会長が目の前にいるとあっては素直にオナニーさせてくださいとも言えないらしい。

「まったく、会長からも言ってあげてくれません?」
「そそ、そうですね。ええ。仲のいい姉妹は、互いで性欲をなんとかするのは、その、当然のことらしいですから」
「せ、先輩!」
「いえ、わたしは、まだ家族じゃありませんし、その、早くそうなれればいいなとは思いますけど……」
「はいはい、ノロケは二人の時にしてくださいな。まったく、今は私でオナニーするのが大事でしょ。はやくズボン脱いで」
「先輩の前でお、オナニーとか言わないでよ姉さん……」

 口ではそういいつつも、弟さらに顔に血を上らせて、ついにベルトをはずしてズボンを滑り落とした。
 弟には私を家族として愛してもらいたいので様々な暗示を施しているのだが、彼氏彼女の関係ならオナニーぐらい見せ合うのは普通のこと、というのは以前そういうプレイをするために刷り込んだはずだ。
 なので、私の体を使ってオナニーするのが恥ずかしいのではなく、彼女になったばかりの会長にそういう姿を見せることに戸惑っているのだろう。
 勃起したらお姉ちゃんを性欲の捌け口にするように、と何度も何度も刷り込んでいるので学校や登校中、私が寝ている早朝などにも私の体を求めてくる弟だが、勃起するのは恥ずかしいこと、あまり他人に見せるものではないという常識的な部分はそのままにしてある。
 この恥ずかしがる顔というのが、何度見ても私の興奮を高めやまないのだ。

「いいからいいから。今日は口でしたい、それともこっち?」

 スカートを持ち上げ、片足を大きく上げて本日下ろしたての下着を弟に見せ付ける。
 自分の料理には薬の類をまったく入れていないのだが、私は弟が手料理を美味しそうに食べていると、ついついその後の展開というやつを想像して濡らしてしまう。
 下着の中心部、足の付け根が熱を持ち、その奥が疼くのを私自身感じていた。

 何度も弟のオナニーを手伝う名目で犯されているうちに、私の体は心とは関係なく弟に欲情するようになってしまい、いまでは弟に恋をしていると勘違いしていた中等部のころより弟に性的興奮を催すようになってしまった。
 無論、弟を家族としては何よりも大切に思っているので、弟に異常な現状を認識させないまま今の関係を続けることにまったく不満は無いのだけど……弟を銜え込もうとあからさまに涎を垂らす自分の女を見せるのは、さすがに恥ずかしい。

 私の姿に後押しされて、下着を下ろす踏ん切りがつかない弟もついに観念したのか、その怒張をさらす。
 下着を脱いだことで開放された弟の怒張に、会長が息を呑むのが分かった。
 それはどうにも、潔癖な嫌悪を滲ませたもののようだが……無理も無い。
 なにしろ弟は精通を私の口の中で迎えて以来、童貞と処女を交換し、一度も自分の手で扱くことなくいままで過ごしてきたのだ。
 弟が思春期に溜め込み、これから先も沸き続けるだろう膨大な劣情を私が一身に受け止め、時には煽ったりもしながら性交にふけってきた。
 つまり弟は本来なら自分の手で処理するはずの膨大な性欲を余さず私の体…口、膣、菊門、足の裏、ひざ裏、脇、髪を使って処理することで、無意識にその肉棒を鍛え上げていたということだ。

 同年代の少女よりも細いのではないかという太股に、丸みを帯びた膝関節、毛根の兆しさえ見当たらない真っ白な脛、童女のように小さな足先。
 そして臍よりも高い位置にまで反り返った、長く太く逞しい男根。
 私の体で練磨され、心優しい弟が姉たる私を極上の快楽に導くためだけに発達させた巨大な剛直。
 何度も私を狂わせ、きっと生涯私を、私の肉体を虜にする男の証にごくりと口の中に溜まった唾を飲み込んでしまう。

「す、す…す、すごい、です……ね」
「こんなに可愛いのにここだけは凶悪なのよね。私は弟が小さいときからオナニーさせてあげてたから大丈夫ですけど、他の娘だと裂けちゃうかもしれませんね」
「姉さん、もう、そういうことを言わないでください」

 天を突く怒張とは裏腹に、可愛らしい顔を先ほどから真っ赤に染めたままの弟がガラステーブルを回り込んで私の正面に立つ。
 多く投与した薬と会長の視線にいつもより興奮しているのか、すでに亀頭は筋となって流れ落ちた先走りでヌルつき、茹で上がったように真っ赤に充血してヒクついている。
 そのとてつもなく厭らしい姿に知らず腰が浮き、弟を最愛の牡と認識してやまない子宮がどくりと蜜を零す。
 私は弟を男として愛しているわけではない。ないが、どうしたところで私は女で弟は男だ。体が求めるのも当然のことといえよう。




 私は弟に恋心を抱いているわけではない。
 私は弟を性欲の対象として見ているのだ。
 ……そんなことを学園に入学した頃の私に聞かせたらあらゆる語彙を駆使して罵倒されるだろうが、我が学園が誇る生徒会長に弟が恋をしたと知らされた時、私は自分の弟への恋慕はまったく的外れなものだったと気づかされたのだ。

 私と弟は、血の繋がった家族である以上、恋人や夫婦にはなれない。
 だが将来を誓い合った恋人や、まして妻などという、いくらでも代用のきく薄汚い関係などでは決して無いのだ。
 生まれたときから一生を添い遂げることを定められ、家族としてなによりも強い絆で結ばれた世界でたった二人の姉弟。
 湧き上がる性欲を恋と勘違いした以前の私は、弟を生涯の伴侶にするために様々な手段を講じたものだが、そんな事をする必要は初めからなかったのだ。
 すでに弟は私のもので、私は弟のものだったのだから。

 しかしそれに気づくのが遅すぎた。弟には私自ら強靭な貞操観念を植え付けていたからだ。
 当時の弟は、今もだが非常に可愛くも弱々しく、強姦を初めとする性犯罪や、早すぎる発情期を迎えた弟のクラスメイト、年下を汚らしい目付きで見る上級生から守ってやらなければならなかった。
 耳年増だった幼い私が、女性とこういうことをしてはいけません、どんな女性でも着いていってはいけません、世の女は汚いのですよと丁寧に語り、そのころ覚えたての催眠暗示も使って弟を守っていたのだ。

 だが私にも穢れた性欲の芽生えがやってくる。
 弟を抱きしめたり、一緒にお風呂に入ったり、あるいは手を繋ぐだけで身を焦がさんばかりに燃え上がる性の衝動に、私は異常者で、愛する弟をもいつか穢してしまうのではないかと恐れていた。
 私も周囲の汚らしい女共と同じで、弟を己の性欲を満たす道具にしたいだけなのではないか、と。
 今思えば随分と潔癖なことだが、当時は性欲は汚くてよろしくないものと信じていたのだ。
 だが、愛する弟は私のそんな思いなんてまったく知らずに、地元でも有名な大学付属中高一貫制の学園に入学するなり恋をしてしまった。
 私の恋は、破れたのだ。

 いや、そうではない。なぜなら私は弟を愛していたし、弟は私を愛していたからだ。
 恋をした弟に、想いを抑えきれなくなった私はついに自分の思いを打ち明けた。
 入学式の帰り道、雲ひとつ無い青空の下で、貴方のことが好きです、と。

 そして弟はこう答えたのだ。ごめんなさい、と。
 僕は、お姉ちゃんのこと、好きだよ。でも、家族として、世界で一番お姉ちゃんのこと、愛してるから、恋人にはなれない、と。
 その瞬簡にそれまでの私は死に、新しい私が生まれたのだ。
 私の恋は、恋ではなかった。
 弟に欲情するという当たり前の感情に、悩んでいただけだったのだ。




「いくよ、姉さん」
「うん、ぐっ、ふぅん、んあぁぁあっ!」

 弟の剛直が膣の入り口に宛がわれた。
 下着の股間部分をずらし、針で突けば破裂しそうなほど熱く膨れ上がった亀頭を膣口に押し当て、私が返事を言い切る前に一息に腰を突き上げる。
 目の前の光景が真っ白になり、足は反射的に弟の腰に絡みつき、内側から爆ぜてしまいそうな激しい快楽が私の全身を支配した。

 成長期を弟とのセックス三昧で過ごした私の体は、世界中の誰よりも弟に犯されることを悦ぶ体になっている。
 膣の深さは弟のそれより僅かに短く、強烈に弟を締め付ける入り口は私が思う限界より僅かに広く、陰核が恥骨の間で激しく擦り上げられ、弟の
頭を抱きしめると胸の谷間で女の柔らかさを堪能させてやることができる。
 最初の一突きで強烈に子宮口を突き上げて膣道を弟好みの深さに拡張され、返す刀で引きずり出した膣ひだをカリ首が掻き毟る。

「あう、ぐっ、姉さん、姉さんっ」
「はひっ、はっ、うぁっ、あい、ぎっ、ぁっ、うぁあ!」

 あまりの快楽に口からは涎が飛び散るのを押さえきれず、胸に抱いた愛しい弟の感触を頼りになんとか主導権をとろうと試みる。
 しかしここ最近はそうであるように、弟の肉体に完全に屈服した私の体は私の手綱をはなれて弟の肉棒を貪り、腰を振り乱して快楽を余すことなく享受することに没頭してしまう。
 弟の好きにされてしまう快楽と被虐的な悦楽が背筋を強張らせ、私は自分でもなんと言っているのか分からない呻き声を上げて弟にしがみ付いた。

「は、ん、姉さん、ねえ、さん、も、はぁ、で、そう……!」
「いひぅ、だひて、お姉ちゃんに、たっぷり、種、付け、なさぁい!」
「えっ、そ、こ、子供ができちゃうのは、まずいんじゃないですか?」

 激しい粘液音しか聞こえなくなった私の耳に、弟の喘ぎ声交じりの愛らしい言葉が飛び込んできた。
 弟の腰に絡めた足を思い切り引き寄せて、弟の子種汁をもらすまいと膣道をきつく絞り上げる。
 狭くなった膣道の中を二度、三度と強引にこすり上げた弟の巨大な逸物が、不意にぶわりと膨らんで私を絶頂に導いた。
 もう何百回と繰り返した行為。弟のひときわ強烈な突きこみが絶頂に戦慄く私の粘膜の中を押し進み、子宮口頸部を壊れそうな勢いで突き上げ、男として、最愛の家族としてそうせずにはいられないのだろう、熱い先走りを零す鈴口をぴったりと子宮口に密着させる。

「あ、で、でるっ、でるよ、姉さん!」

 ぶしゅ、と膣の最奥、子宮の内部に大量の精液がなだれ込むのを感じた瞬間、絶頂の最中を漂っていた私の意識はさらなる快楽の渦に飲み込まれた。
 ぎゅうと全身で抱きしめられる姉としての悦び、膣で最愛の男を射精に導く女の悦び、子宮に愛する牡の子種汁を注ぎ込まれる牝の悦び。
 弟が恋をした日。生徒会長に恋をした弟のオナニーを手伝い、童貞を捧げさせ、初めて体の中に弟を流し込まれて以来、衰えるどころかいつも新たな性の頂へ私を押し上げる膣内射精の感触。

「あ、ひぇ、かっ、あ、ま、まだ、でてるぅ」
「姉さん、…んぅっ、はぁ、はぁ、姉さん……」

 時間にして僅か数十分の私たちの性交。弟の性欲処理。
 その僅かな時間の中には愛撫も愛を囁く言葉もない。弟が私にペニスを挿入して、愛しい家族の名前を呼びながら私の膣を使ってオナニーをして、愛する姉の子袋に精液を注ぎ込んだだけ。
 それでも弟も私も激しく息を荒げ、汗みずくになってお互いに力なく抱きしめあう。きっと世間一般から見れてもおかしな性行為だが、これでいいのだ。
 弟は愛しい姉の体でオナニーする。私は愛しい弟の性欲を処理をする。結果として子供ができればこれほど幸せなことはない。
 あえて重箱の隅を突くならば、弟がこの行為をオナニーだと認識している点だろうか。

「ふぅ、はぁ、あんっ、も…もう、まだ、治まらない、の?」
「ご、ごめん姉さん、その、今日は、なんだか、いつもよりスゴくて」

 弟は私以外の人間に性的な接触を許していない。それは昔の私が弟に刷り込んだ強固な貞操観念があるからだ。
 少しずつ、姉とはセックスしても大丈夫、という方向に修正して入るのだが、なにしろ過去の私が他人との性的接触を病的なまでに嫌っていたこともあって、また未熟な催眠暗示でひたすら深い部分に何度も何度も暗示をほどこしていたため修正が難しいのだ。
 弟がそのまま成長し、すでに弟の人格形成にまで影響を及ぼしている部分もあるほどで、私が妊娠するのが先か、弟が姉とセックスして孕ませたい、と思うようになるのが先か、といったところだ。
 子供のためにも、できれば後者が望ましいのは言うまでもない。

「あ、ちょっ、きゃっ!」
「あぅ、姉さん、今日は、ほんとに、いつもよりっ」

 私の膣に萎えない男根を埋め込んだまま二度目の射精に向けて腰を動かし始める弟に愛しさが湧き上がり、頭の中がトロけていく。
 だが、その幸せな世界に旅立とうとする私を、本日弟の恋人役に納まった幸せ者の声が引きとめた。

「あの、いいんですか、血が繋がってらっしゃるのに、ええと、中で、その……」
「あん、あっ、はぁっ、なかっ、膣出しっのっ、こと、ですか?」
「は、はい。子供は、まずいのでは?」

 会長は、目の前で繰り広げられた性行為にあっけに取られてしまったのだろう、弟のペニスを見たときには首から耳の先まで染めていた朱色は、普段どおりの白い面に戻っていた。
 いや、まだすこし頬が赤いか。恋する男の逸物が激しく女を責める様子を見ているのだから当然だろう。
 いきなりとはいえ姉弟の愛する姿を見せられて嫌悪を抱くようなら、今まで弟を私から取り上げようとした女と同じ末路を歩んでもらうつもり
だったのだが。

「だいっ、大丈夫、ですっ、私、とぉっ、弟は、愛し合って、いる、家族、ですから…っ…ね?」

 夢中になって腰を叩きつけてくる弟に意識の大半を持っていかれつつ、なんとか会長に答えてみせる。
 胸に顔を埋めた弟が頷く感触に、胸を幸福感が満たし、緩やかな上昇線を描いていた絶頂への快楽指数が急激に跳ね上がった。
 舌をかまないよう、奥歯を食いしばって全身の震えを押さえ込む。しかし、その瞬間に子宮に溢れ返った新たな精液の感触に、私はあっさりと意識を手放してしまった……。




「……あぅ」

 目を開けると、まだ高ぶりきった下半身を露出させた弟と、それをちらちらと横目に見る会長が私を覗き込んでいた。

「姉さん、大丈夫……?」
「……ええ。ちょっと、気持ちよすぎただけ」

 時計を見ると、思ったほど時間は進んでいないが、そろそろ会長は帰らなければならないだろう。
 せっかく弟が勇気を出して家に誘ってくれただろうにあまりお話できなかったのは残念だが、これから何度も合うことになるだろうし、今日はこれで満足しておこう。
 会長は弟の恋人としては十分に立派な人だ。これでしばらくは、弟に近づくこうとする輩もいなくなることだろう。
 弟の強い貞操観念と私の監視を逃れられる牝がいるとは思わないが、イレギュラーは思いもよらぬところに潜んでいるものだ。

 たとえば、弟が恋をしていた彼女が優秀さの裏に潜めた牝の本性を今日にも露にしていたら……。
 私が生涯をかけて受け止めるべき弟の性の迸りが彼女に注ぎ込まれるばかりか、神聖な弟の血が、家族でもなんでもない女と混ざり合って救われない子供が生まれてしまうところだったのだ。
 この教訓を生かすべく、彼女には弟の貞操を守るための恋人役として勤勉な生活を送ってもらうことにしてもらう。

「会長、私が言ったこと、覚えてますか?」
「え、ええと、それは、弟さんとお付き合いする上でのルールのことですか?」
「そうです。ちょっと復唱してみてください」
「いいですよ」

 すう、と恋人とその姉との性臭がたちこめる空気を吸い込んで、まるでいつも壇上でそうしているかのような凛とした顔つきで、われらが生徒会長は私との約束事を詠い上げ始めた。

「一つ、弟さんの性欲を処理するのは、最愛の家族たるお姉さんの役目であること。
 一つ、弟の性欲はどんなときでもお姉さんに処理してもらうこと、例外は認められないこと。
 一つ、弟さんが勃起、ないし性欲を感じていた場合、速やかにお姉さんに連絡すること。
 一つ、弟さんの最愛の家族であるお姉さんは、弟さんのせっ、精液をどのように扱おうとも自由であること。
 一つ、私が性的に……高ぶった際は、弟さんにオナニーを……見てもらうこと。
 一つ、そ、それにより弟さんが勃起した場合、その勃起はお姉さんに沈めてもらうことっ。
 一つ、世界で二人きりの家族なのだから、弟さんはわたしよりもお姉さんと仲が良い方が自然であること。
 一つ、弟さんをいやらしい目で見ていたり危害を加えようとする女は逐一お姉さんに報告し、これを全力で処分すること。
 一つ、優しい旦那様と二人の子供がいる幸せな家庭を実現するため、お姉さんと弟さんの子作りを最大限手伝ってあげること。
 以上九ヶ条です」

 ふむ、我ながら完璧すぎる弟との交際ルールだ。会長も、一度聞いただけで暗記してしまうとはさすが。
 これだけ性欲やら弟の愛する家族やらと重複させておけば、きっと大丈夫。一応、他にも細々とした条件や約束事、状況に応じて私の指示を仰ぐことをルールには盛り込んであるから、抜かりはないだろう。
 ルールを謳い上げる会長の凛々しさに勃起の角度を鋭くした弟の逸物を口に含み、食道まで使う長いストロークで弟の勃起を味わう。

「そういえば……以前から何度か、いきなり生徒会室を出て行くことがありましたね?」
「うっ、はぁ、んぁっ、はい、じ、実は、会長とっ、話してると、起って、き、てぇ」
「んぢゅっ、ちゅ、あら、もしかして私が毎晩会長の変わりに犯されてあげてるから、つい本物の会長も犯したくなっちゃったの?」
「ち、違うよ! いや、あんまり違わないけど、その、綺麗だなって思ったりすると………」
「ま、まあ……」
「いつも姉ちゃんの口とか髪に射精してるのを思い出して、勃起して私のところに来ていたのね」
「……うん」
「会長を見てお姉ちゃんとのオナニーを思い出すなんていけない弟ね」
「でも、羨ましいわ。わたしは一人っ子ですから、実は妹とか弟とかに憧れているんですよね」

 ちなみに、会長が読み上げた交際ルールの最後の一つは、催眠で植えつけたとかではなく本当に将来の夢として幸せな家庭を望んでいるらしい。
 学園で辣腕を振るい、討論会では理路整然と、冷気さえ感じる口調でばしばしと相手をやりこめる会長らしからぬ可愛い夢だ。

 弟の恋人役として、ひいては私と弟の輝ける未来を少しだけサポートさせてあげるのだからなにかご褒美を上げようと思ったのだが、なにしろ相手は才女として名高い生徒会長、欲しい物が弟以外にあるのだろうかと聞いてみれば、案の定特にないとのこと。
 しかし、曲がりなりにも弟の恋人として過ごす彼女に私もできる限りよくしてあげたい。そこで手早く催眠状態に導いて聞き出すと、心が求めるもっとも欲しいものが幸せな家庭だった、というわけだ。

 別に今の家庭に問題があるから憧れているというわけではなく、純粋に両親を尊敬し、仲の良い夫婦であることを悦び、自分に愛情をもって接してくれることに感謝しているから、自分もそんな家庭を築きたいと強く思うようになったとか。
 彼女の両親が聞いたら感動して涙すること間違いなしの良い話だ。
 私も、家族を大切にするその心に感銘を受けてしまった。彼女はきっと、弟の恋人として私を幸せにする役目を果たしてくれるに違いない。

 さし当たって、弟の恋人役を妻役にグレードアップするまで勤めていただければ、彼女は生涯弟の虫除けとして役に立つだろうし、子供だって二人といわず、私が何人でも生んであげられる。
 優しい夫を演じることになる弟には……きっと嫉妬してしまうだろうが、なに、私は世界でただ一人、彼のお姉ちゃんだ。それだけで十分すぎる。
 醜い独占欲は、弟に毎晩精液を注いでもらえば、きっと耐えられるだろう。

「ん、ちゅっちゅっ、いけませんよ、私の弟は私だけのものです」
「んぁ、ふあ、姉さん、ねえ、さん、また、で…る」
「ええ、わかっていますわ。わたしが……その、家族になっても、お姉さんはお姉さんですから」
「んぐっ…いいわ、飲んで、あげる…ごぐっ、くっ、ちゅるっ、んぐっ…んはっ、会長は、物分りの言い方ですね、けほっ」
「いえ、そんなことありませんよ」

 謙遜する会長を好ましく思いながら、私の唾液に塗れた肉柱に頬ずりをする。
 会長も初めは弟のペニスに、僅かとはいえ嫌悪の目を向けていたようだが、自分に向けられることがないと安心したたためか、私が美味しそうに銜え込むためか、少し恥ずかしげに視線を逸らすだけで、弟のものへの脅威というのは薄れたようだ。
 本来なら見せるのも勿体無いのだが……会長は弟の恋人。まあ、私が立ち会っているなら、我慢するとしよう。私が弟と家族の交わりをしている時以外にないよう指示もしてあるし。

「はあ、姉さん、その、今度は」
「次は私が上になりたいわ。いい?」
「う、うん」

 いまだに姉を求めて股間を膨らませる愛しい弟の服を手ずから脱がしてやり、促してカーペットに仰向けにさせる。
 白いカーペットに寝そべる弟は傍目にも小さく華奢で、美しい。
 股間に聳え立つ巨頭を隠せば、発育の芳しくない少女と誰もが疑わないような、人間の劣情と嗜虐の心を刺激してやまない可愛らしい肢体が蛍光灯の無機質な灯りに晒される。
 私はその体をまたぎ、この後に及んで恥かしがって身じろぎする弟を見下ろしながらスカートを持ち上げて、ずれたままの下着の奥、弟に何度も蹂躙され、つい先ほども濃厚な白濁液を注がれた秘肉を左右に割り広げて見せつけた。

 私が一枚も服を脱いでいないのは弟の好みによるもので、なんでも日常的な姿の姉をオナニーに使うことに激しく興奮するらしい。
 私も、たとえば弟が後ろからいきなり抱きついてきて、耳元で切なげにオナニーさせてぇ、と囁かれて絶頂に至り、制服だろうが普段着だろうがスカートの中に手を潜り込ませてクロッチ部を僅かに横にずらしただけで挿入される、というシチュエーションが嫌いではない。
 抱きつかれてほんの数十秒で弟の剛直で突き上げられるというのは、なんだか自分が弟専用の性具になったようで、実に興奮するのだ。

 以前は学校に制服の代えを用意することで弟の精を心置きなく受け止めていたのだが、最近は外ではそのようにして性欲を処理してあげているため、私は常に弟の精液を腹の中に溜め込んだまま、零さないよう下半身に力を込めていなければならなくなった。
 着崩れもなく弟と交わることができるのはとても便利だが、胎の中で弟の子種汁が跳ねるたびにイッてしまいそうになるため、愛液を吸い取らせる生理用品を大量に消費してしまうのが難点か。日に何度も弟に求められ、下着が伸びて使い物にならなくなる事も。

「ところで会長、まだ聞いてなかったんですが、どんな告白したんですか?」

 膣奥に収まりきらなかった大量の精液を、弟の竿に垂らしながら会長に聞く。
 十中八九会長が告白したのだろうが、できれば告白の台詞と、それに弟がどんな言葉で答えたのかを聞いておきたい。

「えっと、告白は、わたしがしました」
「やっぱり。あなた、どんな告白するか私と散々練習したじゃない」
「だ、だって、うっ、いきなりで、驚いてて……」
「弟さん、気の毒なくらい真っ赤になってましたよ」
「そ、それは先輩だって、そうだったじゃないですか……」

 さすがに、相手の方から告白されては練習の成果も生かせなかったようだ。
 どんな台詞で会長に告白するのがいいか。姉たる私を練習台として様々な言葉での告白を何度もシミュレートしたというのに。
 あなたのことを愛しています、大好きです、などのシンプルなものが中心だったが、私が考案した、僕の子供を生んでください、なんて最高の台詞だと思う。
 弟には刺激的な台詞だったのか、性欲を燃え上がらせた弟のオナニーに体を差し出すと、子宮をこね繰りまわされながら延々と大好きですだの愛してるだのと耳元で囁かれて、言葉でのイキ癖を植え付けられてしまったのはいい思い出だ。
 あるいは他の女に聞かせるには勿体無い台詞だったかも知れないが、これからは練習ではなく、姉を気持ちよくさせる言葉として毎日言ってもらうことにしよう。

「で、告白の様子はどんなだったんですか。会長はなんていったの?」
「今度の学年交流会のプリントができていなくて、それで、初めは生徒会役員のみんなで作業していたのですけど……」
「僕だけ仕事が遅くて、で、みんなは用事があるって帰っちゃったんだけど、先輩が手伝ってくれて」

 腰を振って弟の巨大な亀頭を膣口で弄びながら、細い腰を太ももで挟み込んで固定する。
 仰向けになった弟を膝立ちで見下ろすと、巨大な陰茎はちょうど私の膣口とキスができるぐらいの長さになる。姉弟の体は。何をするにも相性抜群なのだ。
 そのまま手で陰茎の根元からこすりあげてやると、大きくエラをはったカリ首が指先に引っかった。
 依然読んだ本に、カリ首は他の牡の精液を牝の膣からかき出し自分の子を孕ませやすくする役割を担っていると書かれていたが、弟のこれは純粋に私を鳴かせる為に発達したのだろう。

「それで、先輩が……」
「わたしが、好きな人はいるの、と聞いたんです」
「それは、結構いきなりですね」
「ええ、自分でも驚いてしまいました。弟さんも、驚いて固まってましたね」
「そう、でしょうね。……それで?」

 ぐりぐりと陰核に亀頭多し当てた後、再び膣口に押し付けて勢いよく腰を下ろす。だが挿入はしない。
 最も太いカリ首が膣口をぱつぱつに押し広げる感触に陶然となりながら、なんとか会長を促す。
 ……この人が頬を染める様なんて、学園男子の誰一人として見たことが無いであろう。可憐というにふさわしく、そのまま氷付けにして保存してしまいたくなるほど美しい笑みを浮かべる。

「わたしはあなたのことが好きです、もしよろしければ付き合ってください、と」
「うっ、あっ、そ、それで、僕も、…僕の方こそ、お願いしますって」
「それで、仕事を片付けたあと、とりあえずお姉さんに報告しないと、と思って。彼にお願いしてつれて来てもらったんです」
「わ、私に?」
「ええ。お姉さん、弟さんの母親代わりとしてずっとがんばっていらして、以前からお会いしてみたいと思っていましたし」
「はう、あ、ぅ、姉さん、もう……」

 そうなると、彼女にとっては交際を始めたその日に両親に挨拶に来たようなものか。
 なんとも豪気だが、おかげで色々と楽なことにはなったし、よしとしよう。
 もはや言葉もなく、私の腰を非力な腕で引き降ろそうとする弟の喘ぎ顔を覗き込む。
 羞恥ではなく我慢で朱色になった顔と、姉を犯したい欲求に瞳を潤ませた愛くるしい顔を掴んで、額をあわせる。

「こんな感じ、ね!」
「うぁあ!」

 我慢していた衝動を開放し、弟の勃起を根元まで一気に飲み込んだ。
 快楽に持っていられなくなったスカートが私と弟の結合部を覆い隠し、粘液に塗れた腰と腰とが密着するくぐもった音を僅かに遮った。
 弟の精液に発情して下がっていた子宮を剛直が強かに打ち上げると同時に、弟が限界まで焦らされた射精欲求を解き放って私を追い詰める
 胎を内側から押し広げる陰茎部と、押し上げた子宮口を溶かそうとする亀頭、そして子宮に断続的に注ぎ込まれる熱い精液。
 熱い迸りにまたしても飛びそうになる意識を何とか繋ぎ止める。
 弟の胸板をさすりながら、ゆっくりとつぶやいた。

「ひぎっ、わたっ、私はぁ、あなたのっ、あなたの事がしゅっ、すき、ですぅ」
「うぁっ、姉さん、ねえさん!」
「もひっ、よろしければぁ、私、と、付き合って、くだ、さぁぁあい!」

 絶頂が治まりかけ、弟の腰を締め付けていた太ももに力が入らなくなったのを弟は察知したのだろう。
 告白の台詞の途中に下から突き上げられて、私はあっさりと性の絶頂に飲み込まれる。

「も、もう、お姉さんったら、あまりからかわないで下さい」
「はひっ、あ、これ、しゅごい、告白、もっと、してほしい、お姉ちゃんに、告白、されたいの?」
「ふふっ、本当に姉弟仲がよくて、羨ましい限りですわ」
「ち、違う、よっ、ただ、会長の、そんっ、そんな台詞、こんな時に、いわれたら!」

 もちろんそれを狙っているのだが。
 初めから私のものだというのに、優秀で知られた会長を出し抜いて弟を寝取っているような感覚に優越感が刺激され、自分からも腰を押し付けて弟を迎え入れる。

「かいっ、かいちょ、そろそろ、お帰りになった方が、いいのではっ、ないですかっ?」
「え、あ、本当だわ。もうこんな時間だったの。そろそろ御暇させていただかなきゃ」

 言葉を聴くに、まだここにいたそうではあるが、いくらなんでも付き合い始めたその日にお泊り、というわけにはいかないようだ。
 会長の言葉に一瞬、弟の動きが止まったが、私が身を屈めて唇を押し当ててやると、夢中になって舌を入れてきた。
 可愛いやつめ。

「もう、ちゅっ、ぢゅるっ、申し訳ありません、弟の性欲がまだ納まらないようなので、お見送りはしてあげられませんが……」
「ええ、心得ていますわ。……いつもこんな様子なんですか?」
「おっ、ふぁっ、い、いえ、いつもならそろそろ治まって、あとは一緒にお風呂と、ベットの中でヌイてあげる、ぐらいなんですけど」
「そうなんですか」
「今日は、今日は会長がいるから、いつもより、治まりが悪いのかも、しれません」
「あ、そ、そうかしら。そうだと、嬉しいわね」

 まあ、彼女がいくら弟を煽っても、弟の精は私のものだが。
 この様子では、彼女が弟にオナニーを見せて性欲を煽るようになるのも、遠くないのかもしれない。
 弟とたくさん子作りするための提案だったのだが、彼女が気に入ってくれれば幸いだ。
 はじめは色々と戸惑い、嫉妬したものだが……
 今では、弟が恋をしたのが彼女でよかったと、そう思う。

「ご、ごめんない、ね、さんまり、お構いして、あげられ、なくてっ」
「美味しい夕食をご馳走してくださっただけで十分ですわ。私と弟さんのことを伝えるためにお邪魔させていただいたのですし」
「いっ、ひぃっ、会長、おと、弟のこと、よろし、よろひく、お願い、します、ね!」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします。それではまた明日、学園でお会いしましょう」
「えっ、ええ、さよぅ、さよう、なら、……おっ、あわ!」

 不意に弟が強引に体位を入れ変えて私を組み敷いた。
 その目は欲望にぎらつき、唇の端からは涎が滴っている。私が会長と話していて、こちらに集中していなかったことに我慢できなくなったのだろう。
 こんな状態まで弟が興奮するのは、いつも会長との相談に乗ってあげた後やベットの上なのだが。やはり今日はいつもと一味違うらしい。薬が多いというだけなら、もっと早くこの状態になっているだろうし。
 もはや会長の言葉に返事もせずに求めてくるとは、よほど姉の体を使うオナニーが気持ちいいらしい。当然か。

「あらあら、本当に仲のよろしいこと」
「いっはっあっあっ、あっ、もっ、また、イクっ、いくぅ!」
「姉さん、姉さん、ねえさん、でるよ、ぼくも、また、でるっ、おねえちゃん、の膣内に、で、るっ!」

 これは、今日はこのまま離してもらえないかもしれない。
 弟には会長に欲情しないよう、毎日精液タンクが空になるまで私に注ぎ込むよう言いつけてある。
 だが、弟は前の日にどんなに私の体を使わせても、寝て起きればすぐに私を求めてくる旺盛な性欲の持ち主だ。
 想像で会長の裸を想像しただけで二度は私に精液を吐き出させる弟のことだ。会長と恋人になれたことで、色々なタガが外れたのかもしれない。
 これからの生活が実に楽しみだ。

 激しくぶれる視界の端に部屋を出て行く会長の背中が写る。
 今日という日は彼女にとって、もっとも幸せな日になったことだろう。
 我が自慢の弟の恋人として振舞うことを許されたのだから。

 折角恋人同士になったのだから、弟にも、私の許可を得ずとも会長の裸を想像することぐらいは許してあげようと思う。
 そうすれば弟が学校で勃起する回数は増えるだろうし、妊娠の確率もぐんとあがるだろう。
 しかし勃起の処理は毎回私に報告させて人目につかないように行っているが、 学園の有名人である生徒会長と付き合うことになった以上、人目を避けるのは難しくなるかもしれない。
 この辺りは会長の優秀さに期待して、部屋でも用意してもらうとしよう。
 そうすれば今まで以上に弟と愛し合うことができるだろう。

 ちなみに学校にいる間の弟は軽い催眠状態に近く、私達の愛の営みを他人に話す場合、世間一般的なものに摩り替わるようにしている。
 オナニーは一人でするもので、姉の体を使うのではなく姉の裸や体の感触を思い出してするもの、という具合に。
 弟はともかく、周囲の理解を得にくいのが近頃の家族愛というものだ。
 あと、幼少期からがちがちに固められた弟の貞操観念が邪魔をして、現状は姉でオナニーするのが普通、と思い込ませるのが限界なためでもある。
 膣出しも、実は弟が疑問に思わなくなるまで結構時間がかかったのだ。
 いずれは姉とセックスするのは普通と思い直させ、薬や暗示など使わなくても、私とは深く愛しあう家族であると恥ずかしがらずに言える立派な弟になってほしいものだ。

 なに、時間はたっぷりある。
 私と、弟と、それをサポートする学園の才女。
 私たち家族の未来は、きっと輝かしものに違いない。
 

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最終更新:2009年03月02日 19:49
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