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小ネタ「このロリコンめ!」 ◆6AvI.Mne7c sage 2009/03/09(月) 04:34:27 ID:OpS1OC3H
「ふへへ、かわいいな~」
ぼくは、前に卒園した幼稚園のアルバムを、ニヤニヤしながらながめている。
ニヤニヤしている、というのは、ねえちゃんに言われてから気づいたんだけど。
なぜかねえちゃんは、ぼくがこのアルバムを見るのを嫌がる。
でもこのアルバムには、ぼくの思い出と、僕の大好きな女の子たちの写真がある。
だから、ねえちゃんに隠れて、このアルバムを見ているんだけどね。
そんなことを考えていた時、ぼくが隠れていた部屋の、ふすまが開いた。
「ただいまあ、愛してるよお、私のおとう――
ねえ、おとうと。何をしているのかな? かな?」
甘やかすような声が一転、『ぜったいれいど』の低い声になり、部屋に響く。
おそるおそる、ぼくはふすまのほうを振り向いた――
そこには、ぼくのねえちゃんが、コワイ顔をして立っていた。
今年で二十歳になるねえちゃんは、とてもカッコよくて、とても美人だ。
学校でも、何十人という男の子に告白されているって、うわさを聞いた。
けれど、ねえちゃんはソレを全部おことわりして、ぼくにかまってくる。
そして、ねえちゃんはしきりに、ぼくに「私のこと、好き?」と聞いてくる。
ぼくは、ねえちゃんも好きだけど、10才手前くらいの女の子のほうが好きなんだ。
「またアナタはそんなものを見てるのね……!
ねえ、知ってるの? ううん、いつも言っているよねえ!
そんなガキ共のことを好きなヤツの事を、ロリコンって言うのよ!」
いつものねえちゃんの小言。でも今日はなぜかゆるせなくて、ぼくは口答えした。
「べ、別にぼくが幼稚園のアルバムを見たって、いいじゃないか!
これには、ぼくのだいすきな女の子たちの写真がのっているんだ!
それを否定するなんて……ぼくの宝物を否定するなんて……
そんなイジワルなことばっかり言う、ねえちゃんなんて、だいっきらいだ!!」
そしたら、ねえちゃんは急におとなしくだまりこんでしまった。
ちょっと悪いことをしたかな、と思って、ねえちゃんのほうを振り向いた。
ちがう、だまってなんかいない。ねえちゃんは、ぶつぶつと何かしゃべっている。
「アナタは私を見てればいいの。アナタは私が大事に育ててきたの。
アナタは私のものなんだから。アナタは私が大人にしてあげるの。
アナタは、私が……私の……私が……」
その言葉が聞こえたとたん、ぼくのカラダに一気にトリハダが立った。
まずい、このパターンになると、ねえちゃんは――
「おとうとの、ばかあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
すさまじいスピードでくりだされる、張り手。平手打ちなんてもんじゃない。
ねえちゃんの細い手が、恐ろしいほどの重さを乗せて、ぼくに迫ってくる。
よけられる――いや、むり――死!
――しぬまえには、『そうまとう』っていって、まわりがゆっくりみえるんだって。
ほんの少し前に、近所の女の子に教えてもらった言葉を思い出す。
―――パアアァァァァァァァン!!
とんでもない痛み。とんでもない音。ぼくのからだが浮き上がる。
そしてそのまま、となりにある本棚に、いきおいよく叩きつけられた。
そんなぼくをながめて、ほんの少しおろおろしながら、ねえちゃんは叫ぶ。
「この……この、ロリコンめっ!!」
――あのね、ねえちゃん。ぼくはまだ、7才なんだよ。
――幼稚園児くらいの女の子に、ドキドキしたっていいじゃないか。
そう心の中でつぶやきながら、ぼくは意識を失った。
――目を覚ましたら、またハダカのねえちゃんが、ぼくを脱がせて添い寝してるのかなあ。
最終更新:2009年03月11日 02:35