56 上原さんの一日 普通の日 sage 2009/03/26(木) 23:41:37 ID:e1vguPL9
いつもと変わらない朝、今日はいい天気なので小鳥の鳴き声が聞こえてきて一日の始まりを私に教えてくれる。
私は上原 夏海。どこにでもいる一般的な女子高生です。
っと言いたいところですが、私は親の都合上、実質兄と二人暮らしをしているのでそこの所は一般的ではないかなっと思います。
え?両親が家にいなくて寂しくないのかって?ノープロブレムです。むしろ帰ってくんなって感じです。
まぁ、母親は物心ついた時から無くなっているため、何かと私が家の家事全般こなしています。
今、朝ごはんをつくり終えましたので、少しねぼすけな私の兄さんを起こしに行かなければなりません。
この兄さんがとても素敵な人なんです。
っと言う訳で兄さんの部屋までやってきました。
ノックをしても反応がないのは解ってます。だから私は兄さんの部屋へと入って行きます。
そこには無防備な顔で寝入っている兄さんの寝顔が…。いつもは男前で顔も性格もカッコよくて凛々しい兄さんも寝顔だけは可愛く見えます。
写メを取って待ち受けにしたいですが、もしそんな事が兄さんにバレたら怒られちゃいます。
もし、そんな事をして嫌われでもしたら…私生きていけません。
そんな兄さんの寝顔を眺めていたらふと兄さんの枕もとに置いてあった機能を全く活かせていない目覚まし時計が目に入りました。
現在の時刻、AM 8:00。いつも起こしている時間、AM 7:45。
不味いです"また"兄さんの寝顔を見入ってしまったようです。早く起こさないと遅刻です。
「兄さん兄さん!起きてください!朝ですよ!」
「ん…おはよう夏海…」
眠そうに瞼を擦りながら目を覚ましました。
上原 和也。私の兄さん。そして、最愛の男性です。
リビングに降りてきた私と兄さんは先ほど作った朝ごはんを食べます。
兄さんが私の作ったごはんを食べてくれる。毎日のことなのに物凄く幸せに感じます。
まず初めにお味噌汁を飲んでくれてますが、しかし、ここで重大なミスをしてしまった用です。
「なんか味噌汁ぬるくね?」
「えっ!?本当ですか!?スミマセン今すぐ温めてきます」
「いや、いいよ時間ないし」
「本当にスミマセン」
またやってしまいました…。自分が長い時間兄さんの寝顔を見入ってしまったから兄さんのお味噌汁が冷めてしまいました。
こうやって私は週に何回か同じミスを重ねてしまうんです。兄さんはやさしい言葉をかけてくれますが、私は私が許せません。
で、気がついたらご飯を食べてます。兄さんは固めに炊かれたご飯が好きなので若干硬めに炊くのが私流です。
私流の定義はまぁ色々ありますが、とりあえず、兄さんの好み=私流ってことでいいでしょう。
ん?兄さんの口元にご飯粒がついてる。これはチャンスです。
「あっ兄さんご飯粒ついてますよ。」
気づけば私の手は自然と兄さんの口元へと延びて行きました。そして指先でご飯粒を取り、そのまま私の口の中へと。
「フフフ、おいしい」
これでもかって位、口の中にご飯粒の甘さが広がります。いや、これはご飯粒の甘さというよりは兄さんの甘さですね。
「…お前は俺の彼女か…」
「それでもいいですよ」
というかそれがいいですよ!今からでも付き合いましょう!っと言いたいところですが"妹"と言う立場では中々踏み切る事が出来ません。
最愛の兄さんと同居出来るというメリットには恋人同士になるにはとてつもなく大きな壁があるというデメリットもあります。
難しい所ですが、色々と策は立ててますよフフフ。
57 上原さんの一日 普通の日 sage 2009/03/26(木) 23:44:21 ID:e1vguPL9
しかし、あまり悠長な事は言ってられません。兄さんは知っているかいないかは知りませんが、私たちの通っている学校での兄さんは女の子から大人気。
最近ちょっと兄さんの魅力にちょっと気づいただけの女子が兄さんに色目を使う姿は盛りのついた雌豚にしか見えない。
私はそんな雌豚共から"お兄さんを紹介して"だとか"友達のよしみでここはひとつ…"とか言われますが、誰がこんな豚以下の脳みそのお友達(笑)に最愛の兄さんを紹介してあげなければならないのでしょうか。まったくもって不釣り合いなのに…。
そんな人たちはちょいと工作して潰してあげました。当然の報いです。
また、私に紹介させようとしないまでも兄さんにすり寄ってくるような豚は今まで何人も潰して来ました。
全く、兄さんといるという貴重な時間を割いてまで貴方達を潰す計画を立てなくてはならない私の身にもなってほしいものです。
それはそうと、兄さんはおいしそうに私の作った出汁巻き卵を食べてます。
これは私たちがまだ小学生の頃、お父さんと兄さんの三人で居酒屋へ食事に行ったときに兄さんが頼んで絶賛していたものをベースに作ってます。
勿論あくまでもベースですので完全なものまねではありません。そこから更に兄さんの好みに合わせたアレンジを加えています。
それと…出汁の中には私の兄さんへの思いを込めた液体を隠し味でたっぷりと入れています。フフフ、あんなもの兄さんの事を少し考えただけでいくらでもあふれ出てきますよ。
そして、私のお汁が入っていることも知らない兄さんは美味しそうに口の中に出汁巻き卵を運びます。もうそれだけで私のアソコは濡れてきてしまいます。
そんな事を思っているうちに兄さんはご飯を食べ終わってしまいました。私も早く食べないと…
カバンを持って高校へと通学します。毎朝、兄さんとの登校幸せです。
そんな幸せに浸っている私に兄さんが話しかけてくれました。
「そういや、今日懐かしい夢見たわ」
夢?…どんな夢でしょうか?私はその夢に出てきているのでしょうか?
兄さんの顔を覗き込みます。
「昔、お前がいじめられてる事があってな。キムと下っ端二人に人形パクられてたのを俺が取り返したって夢」
その出来事は…
「まっ何年も前の事だしお前も覚えてないわな。俺も全然覚えてなかったし」
今でもハッキリと覚えています。絶対に私が忘れられない日。どんな記念日でも色あせてしまうほど重要な日。
私が兄さんを男の人として好きになった日の話だ。
「いえ、よ~く覚えてますよ。……むしろ忘れられませんよ」
そんな重要なことを兄さんが思い出してくれるなんて…とても嬉しいです。
しかし、私は嬉しさのあまり、この時間に現れる悪魔の存在を忘れてしまっていたのでした。
58 上原さんの一日 普通の日 sage 2009/03/26(木) 23:45:56 ID:e1vguPL9
「おっはよー和君!」
悪魔は突然やってきました。そしていきなり兄さんの逞しい背中に抱きついてます。
それも自慢なのか自分のでかい胸をこれでもかというくらい兄さんの背中に擦りつけてます。許せません。
「毎朝よくやるぜメグ」
しかし、流石兄さん。こんな発情期の牝牛には全く心を動かしていません。
それでもこのバカ牛は懲りずに未だ兄さんの背中に自慢(笑)の胸を押しつけてます。
そして段々と迷惑そうな顔をしてきた兄さん。乳の押し売りってとこでしょうか。
「…ッ!兄さんから離れてください」
そこで私の出番。この淫乱な雌から兄さんを遠ざけないと兄さんが大変なことになってしまいます。
「ハイハイ…今から離れますよーだ!」
そう言ってゆっくり兄さんから離れているのは桜木 巡。一応私と兄さんの幼馴染という存在です。
顔は良く、人気はあるのですが、性格が悪いです。むしろ、最悪と言っても過言ではありません。
こいつはどんなに兄さんに近づかないように策を練ってもそれをことごとく破って近づいてきます。
それどころか今まで他の人には気づかれなかった兄さんへ会わせないようにする妨害工作もあっさりと見抜いて私へ宣戦布告をしてきました。
"私、和君のこと、大好きだから邪魔しないでね。妹さん"だそうです。死ねばいいです。
やさしい兄さんがハッキリと拒否しないのをいいことにその優しさにとことん付け込もうとします。
だから、私はこんな女から兄さんを守らなければならない。そういう義務があるのです。
そんな私の気を知ってか知らずか今度は兄さんの右腕に自分の左手を組み出しました。
許せません。私はすぐさま引き離しにかかります。
「兄さんから離れてくださいと言ったはずです!」
「…もういいから学校行くぞ」
朝から兄さんが疲れてます。全部この女のせいです。
いつか、絶対にこの女を兄さんに近づけないようにします。
いつか、必ず…
59 上原さんの一日 普通の日 sage 2009/03/26(木) 23:48:36 ID:e1vguPL9
現在は数学の授業の時間。私は教科書にかかれた問題の方程式を解いて、授業の終わりを待っています。
正直、簡単すぎます。こんな数字の組み合わせが将来なんの役に立つのやら…。
昔兄さんが"数学が社会に出てなんの役に立つんだよ!"とか言ってましたがまったくその通りだと思います。
この程度の問題が世の中に溢れているのでしたらもっと日本は平和なはずです。
そんな事を思いながら外を眺めていると待ちに待った授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響きました。
私は先生への挨拶もそこそこにあらかじめ机の横に引っかけておいた鞄を持って迅速に兄さんのいる教室へ向かいます。
私のいる教室は公舎の4階。兄さんのいる教室は3階。ひとつ階段を下りれば良いだけなんで楽勝です。
「兄さん!お弁当持って来ましたよ!一緒に食べましょう!」
やたらと視線を感じますがそんなのは無視して兄さんに近づきます。
「毎日毎日ご苦労なこって…朝俺に渡してくれればいいのに」
「いえいえ、兄さんが持たなくてもいいような荷物は私が持ちますよ」
あぁ…やっぱり兄さんは優しくて素敵です。
雌豚共が擦り寄ってくる理由も解ります。…近づけさせませんけど。
「まぁいいや、とっとと場所を移すぞ」
「ハイ、そうですね」
そう言って私たちは移動を始めました。私たちはいつも屋上で一緒にご飯を食べてます。
本当は二人きりで食べたいのですが、邪魔者が一人いまして…。まぁなかなかうまくいかないのです。
屋上に来ました。兄さんが屋上へ出るドアを開けると少し強めの風が私たちの体に当たります。
しかし、多少は気になりますが、そんなに神経質になるほどのものではありません。
寧ろ、天気が快晴の6月だと言うこともあってこの風はちょうどいいです。
難点と言えば…
「ヤッホー!和君!待ちくたびれたよ~」
牝牛が一匹。とっとと出荷されればいいのに…。
「じゃあクラスの友達と食えよ友達と…」
兄さんが言います。まったくです。
この女は兄さんが好きすぎてストーカー紛いの事を平気でやってのける危険な奴ですから近づかないでほしいです。
「え~だって和君が一番仲いいもん!もう恋人以上夫婦未満の関係?」
この発情期はなにいってるんでしょうか?
兄さんが好きすぎて幻覚でも見えているのでしょうか?
気持ちは解りますが正直気持ち悪いです。
「何時から俺たちはそんな関係になった!まだつきあってもねーだろうが!」
「ふ~ん…"まだ"ね~じゃあいつかは付き合ってくれるのかな?かな?」
なんかそんな事言ってます。頭にウジでも沸いているんじゃないでしょうか。
「"まだ"もなにも言葉のあやって奴ですよ巡さん。お勉強だけ出来てもそんな簡単なことも解らないようじゃダメダメですよ」
だから私が"笑顔"でちゃんと教えてあげます。
あなたが兄さんと付き合えるハズがないということを。
「ったく…夏海、お前もこのくらいの冗談くらい解らないとダメダメだぞ?」
そう兄さんに言われました。頭を軽くポカンと叩かれた感じです。
兄さんはまったくこの牝牛と付き合う気はないんですね。わかります。
「とっとと飯にするぞ。馬鹿なこと話してて次の授業に遅刻とかいったらカッコ悪いからな」
「んっ!?兄さんはいつでもかっこいいですよ」
…?兄さんがかっこ悪い?そんなハズありません!テストで0点取ったって兄さんはかっこいいです!
「いいからとっとと弁当よこせ」
「ハイ!」
鞄に入れてたビニールシートを取り出し、床に敷きます。
兄さんが座ると私は兄さんのとなりに腰をおろし、兄さんにお弁当を渡します。
兄さんと食べるご飯は本当に美味しいです。ですからクラスのみんなとお弁当を食べるなんて出来ません。
そういえばさっき風が吹いた時に牝牛がなんか言った気がしますが聞こえなかったことにしてあげましょう。
60 上原さんの一日 普通の日 sage 2009/03/26(木) 23:51:03 ID:e1vguPL9
ブルペンで兄さんが投球練習をしています。
今は放課後。兄さんは野球部に所属しているので部活動に励んでいます。
そんな私は野球部のマネージャー。
いつでも兄さんのかっこいい姿を見れ、兄さんの世話を焼ける最高の仕事をしています。
難点と言えば一緒にマネージャーをしている人が例の牝牛である事と、キムとかいうキャッチャーがチラチラこっちを見てくることでしょうか。
あっ兄さんが休憩をするみたいです。
私はタオルを持ち、それとクーラーボックスから私の作った特製のドリンクを取り出し、兄さんの元へと駆けて行きます。
早くしないと牝牛に先を越されます。牛なのに運動神経がいいのは何故なのでしょうか。
「ハイ!和君、タオル!」
「兄さん!こっちのタオルをどうぞ!」
クッ…足が速いだけあって先を越されてしまいました…不覚。
私は勉強は出来るのですが、昔から運動系は全般が苦手なのです。
「ありがと、でもキムにも持ってきてやれよな」
「「キムくん(さん)はどーでもいいよ(です)」」
珍しく牝牛と声がハモリました。発情期のくせにキムさんには発情しないのでしょうか?
そういえばキムさんは名前の通りキムチが大好きで夏場でもお構いなしに学校にMYキムチを持参します。
だから牝牛はキムチの匂いでも感知して近づかなかったのでしょうか?
因みにそんな事をしているので昔、私たちとお昼ごはんを一緒に食べようとしたキムさんが腐ったキムチを持ってきて兄さんに殴られてました。いい気味です。
「まぁいいや、夏海ドリンクある?」
私は目を輝かせます。タオルと違ってこのドリンクは私しか持ってこれませんから。
「ハイ!ちゃんと持ってきてますよ!」
ドリンクを渡すとキャップをはずして飲み始めました。
因みに中に私の愛液をたくさん入れてあります。それを美味しそうに飲む兄さんを見ると発情しそうです。
「ねぇねぇ和君。いつも夏海ちゃんの作ったの飲んでるけどおいしいの?」
え?美味しいに決まってるじゃないですか!このドリンクはこの十数年間で私が知った兄さんの味覚を完璧に抑えて作ったシロモノなんですから。
どこぞの牝牛じゃ真似できないようにしてるんです。
「ん?飲んでみ?」
そういって兄さんは牝牛にペットボトルを渡しました。
…?口をつけて直接飲んでます。これってまさか…
「ダメーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
すぐに私は声を張り上げました。これは間接キス…私は兄さんの知らないところでたくさんしてますが、この牝牛が許されていいことではありません。
「ん。夏海ちゃん怒ってるし返すね」
「どうよ?」
私の気持ちを知ってか知らずか兄さんは牝牛にそんな事を聞いてます。
「おいしかったよ。それより……これって間接キスだよね?和君」
「ハイハイ、そんな中学生みたいなこと言わないでいいから」
……
「んじゃそろそろ練習に戻るわ」
「うん!頑張ってね和君。」
……
メウシナニヤッテイルンダ
61 上原さんの一日 普通の日 sage 2009/03/26(木) 23:52:38 ID:e1vguPL9
六時半がきて帰る時間になりました。
正直あの牝牛がしてきたことを許せません。
「なぁ、いい加減機嫌直せよ夏海」
そんな事を兄さんが言ってます。正直今日中にはこの怒りを抑えられそうにありません。
今はなんか兄さんに牝牛がほざいてます。目ざわりです。
そう思っていたら急に体が宙に浮きました。
一瞬何が起こったのかわかりませんでしたが、しかし、少しして状況を理解しました。
私は兄さんにお姫様だっこされていたのです。
顔が熱くなり心臓の音がバクバクなるのが自分でも解ります。
それと同時にこれ以上にない喜びがあふれてきました。
「ほ~ら恥ずかしいだろ?早く機嫌直さねーとおろさねーぞ」
兄さんが笑いながら私のほうを見ます。
まったくそんな事を言われたら機嫌を直したくなくなるじゃないですか…。
「いいなぁ~夏海ちゃん。ねぇカ~ズくぅ~ん私もお姫様だっこしてよ」
駄目ですよ巡さん。兄さんは私専用なんですから。
「…じゃあ家に帰るまで機嫌直しません」
だから私は家に帰るまで兄さんに返事をしません。
「ったく、明日クラスの連中に何を言われてもしらねーからな」
そういう兄さんの腕に抱かれながら私は幸せな不機嫌で家へと帰って行きました。
最終更新:2009年03月29日 21:40