番外編―母と妹

490 番外編―母と妹 (1/4) ◆Hx2CWeG5HI sage 2009/06/11(木) 05:57:41 ID:7a2TxKyv
「お前は…俺のことを見てくれないんだな…!今までも、これからも…」
「ごめんなさい…ごめんなさい…」

…まただ。
これで何度目だ。
部屋で布団に包まっていてもお父さんの怒鳴り声とお母さんの泣き声が聞こえてくる。
そんなに喧嘩するくらいなら離婚すれば?
私はお兄ちゃんと一緒ならなんでもいいよ。

足音が聞こえる。
このでかい足音は…お父さんかな?
じゃあ今日の日課は終わったんだ。
さて、じゃあ私はお母さんのとこに行きますか。

お母さん、ねえお母さん。
「ひぐ…うぅ…うっ…っ!な、なあに、ももちゃん…ご、ごめんね…うるさくって…」
…お母さんは小さい。というか外見、中身共にやたら幼い。
私と並んで歩いていると姉妹に見られるくらいに。ちなみに私が姉の方だ。
まあ、それはともかく。
お母さん、最近喧嘩ばっかりしてるけどなんでなの?
お父さんもお母さんも浮気してるとか賭博にはまってるって訳でもないでしょ?
お母さんお父さんによくじゃれついていたでしょ?
「…ももちゃん。ももちゃんはお兄ちゃんのこと好き?」
…なんでそんなこと今聞くのよ。
「ちょっとね…いいから答えてくれないかな」
…好きよ。
兄としても、男としても。
「そう…やっぱりももちゃんもか…」
…も?
「うん…ちょっと昔のことを話すけどいいかな?」
…いいけど。
「ありがとね…あ、これはお兄ちゃんには内緒にしておいてね…今は絶対に言えないから…」
内容にもよるけど。
…そんな顔で見ないでよ。はいはい、言いませんよ。
って、指きり?ああもう…
はいはい、これでいいでしょ。
嘘ついたら…針千本のーます。
ゆびきった。
…ほんとこれで35歳って反則よね。


491 番外編―母と妹 (2/4) ◆Hx2CWeG5HI sage 2009/06/11(木) 05:58:03 ID:7a2TxKyv
ずっと昔のことなんだけど。
ママはべったべたのお兄ちゃんっ子だったんだ。ちょうど今のももちゃんみたいな感じだね。
…ママはおにいちゃんのこと男の子として見ててね。おにいちゃんもママのこと女の子として見てて…
それで…愛し合う男女がすることといったら一つでしょ?
ママはおにいちゃんとしてね…それで生まれたのがももちゃんのお兄ちゃんよ。
当然のように親から反発を受けてね。それでママたちは社会から逃げるように家を出て二人暮らしを始めたんだけど…
うん、その時はママもおにいちゃんもすっごく幸せだったよ。
おにいちゃんが働いて…赤ちゃんを育てて…そしてママは専業主婦!
普通の夫婦みたいで本当に幸せだったわ。
本当に…人生で一番輝いていた一年だったわ…
この生活が二年目に入ったある日…おにいちゃんが重病を患ってしまったの…
若年性アルツハイマーって知ってる?20代や30代の若い人でもなる認知症って言えば分かりやすいかな…
そのせいでおにいちゃん、仕事どころか日常生活を送ることも難しくなっていって…
おにいちゃん…ママやお兄ちゃんのことをどんどん忘れていっちゃって…
そのときママのお腹の中にはももちゃんがいたから余計に思いつめちゃったんだろうね…
ある日…自殺、しちゃったの…
…お葬式の時にね、かかりつけのお医者様から…おにいちゃんが書いてた遺書を渡されてね…
遺書に何が書かれていたと思う?
『これは病院で初めて診断結果を聞いたときに書いたものだから、もしママがこれを見ていたらは僕はもうこの世にはいないだろう。
たぶん僕は自殺してしまったんだろう。
ママ、ごめんね。こんな僕で。自殺なんてわがまましちゃって。
でも、どうしても忘れたくなかったんだ。いままでママと一緒につくってきた思い出を。
どうしても嫌だったんだ。ママたちに何もしてあげられないことが。
どうしても耐えられなかったんだ。この病気が進めばママに、子どもたちに暴力を振るってしまうかもしれないことが。
だから…どうしても僕が僕である内に死んでしまいたかったんだ。
ママ、今までありがとう。
ママのことは僕がちゃんと覚えておくから、ママは僕のこと忘れてもいいよ。
僕よりもいい男を見つけて幸せになってね。
短い間だったけどママと夫婦として暮らせて本当に僕は世界一の幸せ者だったよ』って…
…酷いよね。
ママはおにいちゃんと一緒にいられれば幸せなのに…
勝手に先に逝くなんて…
ほんと馬鹿だよね…
ばか…
……

あ…ごめんね、ちょっとその時のこと思い出しちゃって…
それで、その後…子ども一人、お腹の中に一人のママは実家にしか頼るところがなくてね…
それで実家に帰ったんだ。
…まあ、あんまり歓迎はされなかったけど受け入れてくれたよ。
ももちゃん産むことも許してもらえたよ。
ママのお父さんお母さん…つまりももちゃんのおじいちゃんたちね。
おじいちゃんたちにももちゃんたちを預けてママは働きに出てたんだ。
でもね…おじいちゃんたちにお見合いを強く勧められるようになってきてね。
なんでも、ママはまだ若いんだから今のうちに結婚しておかないと子持ちなんて結婚できないぞとかもういい加減おにいちゃんのこと
は忘れて新しい男を作れとか…
正直、いやだったよ。
でもね、実家にお世話になってるのに自分の我侭を通し続けることなんてできないから。
それで…適当にお見合い写真の中から選んで…
ママ、おにいちゃんと愛し合っていたんですけど、結婚してくれますか?って聞いたらその人は結婚してくれたんだよ。
…その結婚してくれた人…今のおとうさんはいい人だよね…
でも、ママその人におにいちゃんを求めちゃって…すっごく失礼だよね、ママ…
でも、どうしても…おにいちゃんが大好きで…忘れられなくて…
それに…最近お兄ちゃんがおにいちゃんに似てきて…どうしても目で追っちゃうの。
それでおとうさん怒っちゃって…おとうさんも寂しいんだろうね…
だから、寂しく感じないようにべったりしてるんだけど…どうしても、夜が…だめで…
お口でしたりしてるんだけど…どうしても…本番がいやで…
最近は喧嘩ばっかりよ…
…もうおとうさんと別れた方がいいのかな…?おとうさんをママに縛り付けないであげたほうがいいのかな…?
おとうさんだって血の繋がった子どもが欲しいだろうし…


492 番外編―母と妹 (3/4) ◆Hx2CWeG5HI sage 2009/06/11(木) 05:58:47 ID:7a2TxKyv
…はぁ。
ももちゃんもってこういうことか。
お母さんも実の兄のことが好きだったんだ。
つーか未だに兄のことが好きで面影をお兄ちゃんに見出しちゃうって…
お兄ちゃんは私のだっつーの。変な目で見んな。
しかし…この状況ってお父さんにとってあんまりよね…
結局お母さんは最初から兄一筋なんだろうし。
お口でしてるっていったって本番はなしなんだろうし。
…あれ?
なんか気になることが…
「え…ももちゃん?」
そもそも、なんでお父さんお母さんと結婚してくれたの?
「え?ええっと…たしかママに一目惚れしたとかなんとか言ってたよ?」
一目惚れ…

…あのさー。
すっごく言いにくいんだけどさ…
「なあにももちゃん?なんでもいっていいんだよ」
お父さんって…ぶっちゃけロリコン?
「…ナナナナニヲイッテイルンダイ!ソンナコトアルワケナイヨ!イクラモモチャンデモイッテイイコトトワルイコトガアルヨ!」
カタカナ自重。
つーかお母さん見た目小学生だし。
お母さんお父さんのことおとうさんって呼んで、しかもお口で奉仕してるんでしょ。
…うん、まさに合法ロリね。
「ろ、ろりって…ママこれでも35よ…そんなわけ…」
そんなわけ?
「…ある、かも」
あるんかい。自覚あるんかい。
「だ、だってだってー!」
だってもクソもないでしょ。
そんな人だったら私としては今まで養ってくれたのは嬉しいけど今すぐ別れて欲しいわ。
「うん…そう、だね…でもごめんね…子どもにこんなこと相談するなんて…ママ、母親失格だね…」
何を今更。
大体お兄ちゃんを変な目で見ている時点でもうアウトでしょ。
「え!?そ、そんなことないよ!変な目じゃないよ!!
ただちょっとおにいちゃんに似てきたなーとかかっこいいなーとかはぐはぐしたいなーとか思っちゃうだけだよ!
決して欲情しているわけじゃないよ!」
欲情なんて一言も言ってないのにわざわざ言うなんて怪しいわね…
…とにかく、私たちはお母さんの方についていくんだからちゃんと養いなさいよ。
それが、母親としての責務じゃないの。
「うん。そうだね…でも、仕事によってはなかなか家に帰ってこられないかもしれないよ?ホントにももちゃんたち大丈夫なの?」
愚問ね。
もう私たちは自分の身の回りのことぐらいできるわ。
そもそもお母さん実の兄と愛し合っていたんでしょう。
なら…私にとってお兄ちゃんと二人っきりって状況はどうなのか想像がつかないの?
「あ…」
ふふ、やっぱりお母さんは馬鹿ね。
大体お兄ちゃんを実の兄と重ねているんでしょう?
正直そんな人がお兄ちゃんに近付いて欲しくないわ。
四六時中働いてなさい。馬車馬の如く働きなさい。
お母さんの代わりに私がお兄ちゃんをちゃんとお世話するから心配要らないわ。
「うぅぅぅ…酷いよももちゃん…」
まあ、働きすぎて死にそうっていうなら私たちもバイトなりなんなりしてもいいけど?
「ううん。働くのはママに任せといて。
ママね…正直、お兄ちゃんのこと息子として見れないから。こんなママ家にいちゃいけないから…」
…そう。なら止めないわ。
でも、ちょっとぐらい家にお金入れてもいいでしょ?母子家庭なんて辛いだろうし。
「…ありがとね、ももちゃん…ところでさ、お兄ちゃんと二人っきりになりたいから離婚を…労働を勧めてるってことはないよね?」
…さて、部屋に戻りますか。
「ねぇ!何で目をそらすの!ちょっと逃げないで!こらぁ!!ももちゃん待ちなさい!!!」


493 番外編―母と妹 (4/4) ◆Hx2CWeG5HI sage 2009/06/11(木) 05:59:14 ID:7a2TxKyv
ふう…
これで小うるさい変態お父さんともさよならですか。
まあそんなことはどうでもいいよね。
それよりも重要なのは…これからお兄ちゃんと二人っきりになるかもしれないってことよ!
ふふふ、これで好きなだけべったりできるね。
…そうだ、あいついるかしら。
いるなら報告しようかな。
パソコンの電源を入れ、とあるチャットルームに入る。
…うわ、いやがったよ。こいつ普段何やってんだよ。マジきめぇ。

MOMO「こんばんは」
FUJI『挨拶などいらん。それより今日は報告日ではないぞ。何故ここにいる』
MOMO「報告日でもないのにいる奴が言うな。貴様はニートか」
FUJI『何事にも万全を尽くすのが私の流儀だ。それよりも何故今日来た』
MOMO「母離婚を決意。その結果目標Bと1on1の状態が多発するものと思われる」
FUJI『それは重畳。だが油断するな。我らが悲願はそう安々と達成されるものではない。くれぐれも行動は慎重に起こせ』
MOMO「承知している。だが今回ここに来たのはこの報告のためではない」
FUJI『言え』
MOMO「手っ取り早く金を稼ぐ方法を教授してくれ」
FUJI『身体売れ』
MOMO「死ね。視ねじゃなくて死ね」
FUJI『冗談だ。だが何故今聞く』
MOMO「母が四六時中働く。その為過労死の危険がある。家計の負担を和らげるためだ」
FUJI『うわーなんだかんだいってこのこおかあさんおもいだよーでれきたよーかーわーいーいー』
MOMO「母も我らと同じ。血が繋がっているが故に涙を流した者だ。放ってはおけまい」
FUJI『諾。金の稼ぎ方を教えよう』
MOMO「感謝する。いざというときのために母が仕事をしなくても済むほど貯蓄できると助かる」
FUJI『うわーやっぱりこのこおかあさんだいすきだよーかーわーいーいー』
MOMO「黙れ。私は母にはなるべく家に帰ってほしくないんだ。そのために四六時中働いて欲しいんだ。そのついでで死なないように対
策をしているだけだ。決してお母さんのためではないからな。勘違いするんじゃないぞ」
FUJI『ツンデレ乙。そんなお母さん想いのMOMOちゃんに目標Bの関心を惹きつけやすい話法もついでに教えてあげよう』



翌日

おにいいいいちゃあああああん!!おはようまんまああああああああああん!!!
「お、おいどうしたんだよ。お袋たちが離婚決意したせいで錯乱したか!?」
錯乱なんてつれないぜブラザアアアアアアアアァァアァァアアア!!!
これから二人でときめきデスティニーだぜえええええええぇぇええぇええええ!!!!
愛してるぜベイベエエエエエエエェエェェエエエ!!!
「お袋!ちょっと来てくれ!!妹がぶっ壊れた!!!マジやばいって!!?誰か黄色い救急車呼んで!!!」
「あらあら、お兄ちゃんはももちゃんと仲良しね。うふふ、微笑ましいわぁ…」
「これで仲良しですか!?ちょっと眼科、いや脳外科にでも行って下さい!!今すぐに!!!」
うっひょおおおおおおぉぉおぁおおおぉぉおああおおぉぉあぁ!!!!

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最終更新:2009年06月14日 22:05
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