61 ひとりじめ! (01/10) ◆6AvI.Mne7c sage New! 2009/06/21(日) 21:36:10 ID:H1tEZE4M
「さあ着いたよ。ここが僕の住んでいる部屋だ」
「へえ~。意外と駅から近くて、商店街も近い、良いお部屋ですねっ♪
でも本当にいいんですか先輩? 先輩のおうちにお邪魔したりして?」
「大丈夫だよ。僕は今1人暮らしだから、何も気兼ねしないでくれれば」
「……わかりました。それでは先輩自慢の紅茶、ご馳走になりますね?」
そう言って、柔らかい笑顔を向けてくれる、後輩の女の子。
それに対して僕も、無難かつ精一杯の笑顔を返してみせた。
ここまでの道のり、本当に本当に大変だった。
この日のために、僕はこの1カ月間必死で、いろいろ準備してきた。
この後輩の気を引くために、裏で彼女の趣味や好みなどの情報を集めた。
それらを理解し練習して、彼女の趣味と対等に渡り合える技能を習得した。
そうしてうまく話題を合わせながら、今夜ようやく彼女を自宅に招いたのだ。
独り身男が必死だな、などということなかれ。
そりゃあ今まで、僕は1人も恋人がいなかったさコンチクショウ。
だからこそ、この後輩に惚れこんで、初彼女になってもらうんだ。
彼女は僕の好みにどストライクで、それでいて優しくて性格もいい。
だからぜひ恋人になって欲しい一心で、ひたすら紅茶に詳しくなった。
むしろ今、僕の趣味のひとつに、紅茶の嗜みが加わっているほどだし。
さっきも言ったけれど、全ては今日の日の告白のために。
これまで彼女に様々なアプローチを繰り返して、それとなくアピールはしてきた。
さっきの受け答えの雰囲気からも、悪い印象は持たれていないハズだ。
部屋の中でいいムードを作って、それから告白して恋人になってもらうんだ!
そう意気込みつつ、緊張しながら部屋の鍵を――開けようとして、
「あ、あれ? 鍵が開いてる……? 閉め忘れたっけ? それとも泥棒?」
「歌声? せ、先輩……、家の中に、誰かがいるんじゃないですか?」
後輩の発言に嫌な予感がするままに、玄関を抜けて台所に向かうと――
「あ、おかえりなさい♪ ず~っと待ってたんだよ?
今日はあなたのために、何時間も前からずっと、準備して待ってたの♪
うふふ♪ やっぱり仕事帰りのあなたも、とてもかっこいいわね?」
そんな甘ったるい科白が、油で調理する音と一緒に聞こえてきた。
その現実に、家主の僕も、後ろにいる後輩も、完全に固まってしまった。
「……あらお客様? それも女の人? でもそんなことはどうでもいいわ♪
そんなことで私たちの絆が綻ぶことなんて、あるわけがないんですもの♪
じゃあ、ご飯にする? お風呂にする? そ・れ・と・も……私かなっ♪」
そこにはなぜか、スーツの上からエプロンをつけた謎の女――
というか僕の妹が、ものすごくにこやかな笑顔で立っていた。
62 ひとりじめ! (02/10) ◆6AvI.Mne7c sage New! 2009/06/21(日) 21:41:06 ID:H1tEZE4M
「僕はこれでも、職場では温厚で通っているし、人を叱るのも好きじゃない。
ましてやその相手が自分の妹とあれば、それはなおさらというものだしな。
けれど、ここで僕はあくまでも、おまえの兄としておまえを叱ろうと思う。
だから、そのニヤニヤした表情をやめて、もう少し真剣に僕を見ろ……!」
最後はつい語気を荒げながら、僕は目の前に正座する早苗(さなえ)を叱る。
本当なら怒りのままに、もう少し派手に暴れたいけれど、さすがに自重する。
さすがに年下の妹に説教するために、いちいち大声をあげるようじゃダメだ。
「やだなぁ兄貴ってば、実の妹に向かって『真剣に僕を見ろ』だなんて♪
そんなこと真顔で言われたら、年頃の女性はイチコロになっちゃうじゃない♪
実の妹を口説いて、どうするつ・も・り? な~んちゃってぇっ♪」
「ちゃかさないでくれ! ちっとも反省してないなおまえは……!
まったくもう。来週会社で、あの娘にどんな顔すればいいんだよ……!」
「さあ。まあ兄貴のことだし、何日かすれば勝手に向こうが諦めてくれるって。
でもセーフだったね。今日私が来てなかったら、兄貴が喰われてたんだもん」
「喰われるゆーな。どちらかというと僕のほうが攻める側で――
っていうか、いい加減僕に恋愛の自由は認められないのか……」
ちなみに後輩は、涙目になりながらその場でさっさと帰ってしまった。
そりゃそうだ。家に呼ばれたのに、他の女性が料理して待ってたんだ。
会話の内容も含めて、どう考えても恋人か嫁さんにしか思えないしさ。
それに、これが僕の妹だと弁解する暇さえ、一切与えられなかったし。
つまり、僕は2股を掛けてた最低男として、彼女に認識されたわけで。
ああもう。あの娘のこと、本気で狙ってたんだけどなぁ……。
「まあいいか。それじゃ僕からの尋問を開始――というか再開しようか。
な・ん・で、おまえは僕の部屋に、勝手に上がりこんでいるのかな?」
正座させた早苗(スーツにエプロン姿のまま)に対し、鬼の形相で問い詰める。
対して早苗は悪びれもせず、ツリ目ぎみの笑みを僕に向けて、ニヤニヤしている。
「兄貴ってば~、もうあの日の約束を忘れちゃったの?
こないだ――っても1カ月前だけど――電話で言っといたでしょ?
また近いうちに、兄貴の部屋に遊びに行くから、ってさ♪」
「ああそういえば、そんなことを言ってたような気がするな……」
けどまさか本当に、しかもこのタイミングで来るなんて、誰が予想できるか。
「ちなみにこの格好は、兄貴にリクエストしといた、スーツにエプロン姿ね。
兄貴がこういうのを好きなのは知ってるけど、私もこういうの好きなのよ。
だから自分でもやってみたけどさ、どうなのかな? 似合ってると思う?」
くるくると半回転しながら、僕に問いかけてくる早苗。
似合っているかといえばこの上なく似合っているが、正直に答えるのも悔しい。
「悪くはない、ということで良いから、さっさと着替えてこい。
僕の持ってるワイシャツの古着しかないけど、構わないだろ?」
「うん♪ やったあ兄貴の着古しのワイシャツ~♪
兄貴の匂いが染みついた~♪ 優しい子守唄の部屋着~♪」
さっきの倍くらいの勢いで、楽しそうに踊りまくる我が妹。
ああもう、何が嬉しいのやら。なんかこっちが照れてくる。
というか早苗のヤツ、なんでこんなに幼児退行してるんだ?
63 ひとりじめ! (03/10) ◆6AvI.Mne7c sage New! 2009/06/21(日) 21:45:13 ID:H1tEZE4M
「ああもう、なんだか怒っているのが馬鹿馬鹿しくなってきた……。
わかったよ。今回は好きなだけ遊んでいってくれて構わないから。
けど僕はフラれてショック受けてんだから、しばらく話しかけないでくれよ」
これは冗談ではなく本心だ。マジでダメージがでかすぎた。
1カ月の努力が水泡と帰し、傷も癒えない間に、ワガママな早苗の相手。
ダメージに疲労が累積すると、冗談抜きに復帰が遅くなるし(経験談)。
「え~せっかく遊びに来た妹をほったらかすなんて、兄貴ってばひど~い!
せっかく兄貴がまたフラれて、しばらく私がひとりじめできると思ってたのに~!」
「どんだけ兄の心の傷を抉り回す気だよおまえは。
確かにいつも慰められてたけど、別に僕はおまえのものじゃないだろ。
というか早苗……、勝手に冷蔵庫漁って、人の飲みかけのジュース飲まない!」
そういうことに無頓着だと、いろんな人間に誤解されるでしょうが!?
「固いこと言わないでよ。いいじゃんここには私と兄貴しかいないんだし。
それに私も兄貴も、大好きなジュースの種類がかぶってるんだもん。
これしか私がいま飲みたかったジュースがなかったんだからね?」
「そんな事情は知らないっての。他にもジュースはあるじゃないか。
大体そんな下着にワイシャツで体育座りとか、見えるからやめなさ――
ってアレ? 早苗には珍しくないか? 黒のパンストだなんて」
フラれたショックとか説教とかで見逃してたけど、早苗が黒パンストを履いている。
珍しいな――と思うよりも早く、意外にも似合っているという感想が頭に浮かぶ僕。
というか、なんだか早苗の長身から来る長い脚に映えて、とてもセクシーに感じる。
って待て、実の妹に対してセクシーだなんて、なに性的興奮を覚えているんだ僕は。
「――んふ♪ ようやく気付いてくれたね兄貴ってばぁ~♪
ほらほら兄貴、黒色のパンティーストッキングだよぉ~♪
ふふっ♪ 兄貴ってば、黒パンストが(性的な意味で)好きなんでしょ?
昔兄貴の部屋をガサ入れしたときに、ベッドの下から本を見つけたんだけどさ?
その中のパンスト――特に黒色のパンストのページがやたら、汚れてたしさ?」
おまえ昔に何しとんねん、とツッコミを入れる気力さえ湧かない。
もうやめて早苗っ、僕の心のライフポイントは、とっくに0よ!?
「だから、普段肌色しか穿かない私が、一大決心して穿いてあげたの。
たまには黒ってのも、新鮮でとっても楽しいかもって思ってさ?
んふふ~♪ どうかな兄貴、これ私に似合ってるかなぁ?」
これ見よがしに、ずいずいと脚を伸ばして見せてくる妹。
僕の鼻先5センチくらいを、早苗の足裏(当然黒色)が、ふらふらと泳ぐ。
その動きになぜか惑わされ乱され、興奮しながら匂いを嗅ぎそうになる僕。
いや待つんだ僕! そんな行為をしかも妹に働いたら、僕は真の変態だ!?
「あ、ちゃんとここに来てから脚を洗って穿いたから、あんまり汚くないよ?
なんだったら、触ったり舐めたりして、確かめてみ・な・い?」
そう言いながら、近づけた足を足首でくいくい動かして、指先で鼻先をこする早苗。
挑発するにしても、あんまりにもやりすぎではないだろうか?
「ああもう、似合ってるからやめてくれよホント!?
なんなんだよおまえは。僕をどうしたいんだよ本当に!?」
とりあえず降伏宣言を出して、早苗に背を向ける。
そうしないとコイツは、ひたすら調子に乗るからだ。
「ふふ、よろしい。私は素直で照れている兄貴が大好きっ♪
もちろん兄貴も、こんな甘えんぼうな私のこと、大好きだよねっ?」
64 ひとりじめ! (04/10) ◆6AvI.Mne7c sage New! 2009/06/21(日) 21:50:07 ID:H1tEZE4M
そう言いながら、今度は僕の身体を後ろから、両足で絡め取ってくる早苗。
この程度のじゃれあいは昔からなので、胸が当たろうと特に何も感じない。
それよりも早苗の――人肌の温もりが心地よくて、少し眠たくなってきた。
「ふあぁぁ……っ♪ 二ヵ月ぶりくらいの兄貴の匂い、いいかもしんない~♪」
なんて変態的な科白を吐いてくるもんだから、全く油断はできないけど。
だから、抱きついて実の兄の匂いを嗅ぐなって。何が楽しいのやら……。
後ろから抱え込んでくる早苗の抱擁に、すっぽりと収まる僕の身体。
実のところ、僕は早苗と比べて、8センチくらいの身長の差がある。
もちろん、僕のほうが早苗より低い、という意味だ。くやしいです。
それに加え脚の長さが2人とも同じなので、必然的に座高の差がそのまま響く。
なので、一緒にしゃがんでしまうと、どうしても僕は早苗より小さくなるのだ。
だから、決して僕の背が極端に低いわけじゃ、ないんだからなっ!?
「ねえ兄貴、後ろから脚を絡められるの、やめてほしい?
だったらさ、私の頭を激しくかつ優しく、撫でてくれないかなぁ?
そしたら私、ふにゃふにゃになって、たぶん変なことできなくなるし……」
「だが断る」
さすがにこれ以上いいなりになると、なんかマズイ予感がしてきた。
なので、ここらで1回だけでもきっぱりと、断らせてもらう。
けれど、断ったら断ったで、また面倒くさそうなのが嫌なんだけど。
「ふぅ~ん……。だったら別にいいもんね~♪
このまま兄貴のこと、大好きな黒パンストで擽って、昇天させてやるから。
うふふっ♪ 兄貴はこの私の怒涛の攻めに、何秒ほど耐えられるかなァ?」
言うと同時に、本当に僕のシャツの上から、器用に足指を滑らせる早苗。
普通なら脚を攣りそうな動きだけど、早苗は昔からその筋には強い。
足癖が悪くて足技が上手いって、僕にとってはそれだけで反則だよ!
「ふあっ……!? くくく擽った……、やめ、やめてくれ早苗………!?」
「うふふふふ♪ 許さないしやめないから。兄貴のよがる顔がみたいもん♪」
いややめてマジで限界がきそうってかあははくすぐったいくすぐったい!?
だから脚を僕の腰に絡ませるな、動けないし身体が痛――くはないけどっ。
っておい待て、腰のところから服の中に足首を突っ込むなよオイっ!?
わき腹弱いからやめて! いやマジで止めて! 首筋がくすぐったい!
まずい、いい加減に耐えられそうになくなってきた……!?
とりあえず、さっきから服の中を這いずり回る早苗の脚を捕まえて――
「ぁはン!?」「!?」
這いまわる足首を掴んだ途端、いきなりとんでもない声で驚く早苗。
あまりの出来事に、なりふり構わず早苗の足固めをほどいて逃げ出す僕。
「なっ……なんでそんな艶っぽい声が飛び出したりするんだよ?
ってアレ? 早苗おまえ、さっきまで飲んでたジュースは――」
…………バシャッ!
「きゃっ!?」「うわっ!?」
何かをぶちまけたような景気のいい音と共に、妹の足元に何かが転がった。
「うえぇ~……、なんかすっごいベタベタするよこれぇ……。
兄貴が急に私の脚を掴むから、びっくりして逃げ遅れたよぉ……?
兄貴のせいで私の脚、こんなにドロドロになっちゃったよぉ……」
落ちたのは、先程まで早苗が美味しそうに飲んでいた、ヨーグルト味のジュースだった。
どうもさっきびっくりした拍子に、ペットボトルを真上に投げてしまったらしい。
そして落ちてきたそれは、早苗の脚の上で盛大に中身をぶちまけてしまった。
おまけにアロエ果肉入りで、ジュースの散った範囲に、小さな固形物が散乱している。
65 ひとりじめ! (05/10) ◆6AvI.Mne7c sage New! 2009/06/21(日) 21:54:32 ID:H1tEZE4M
それらが早苗の脚に――黒のパンストに容赦なく、まんべんなくぶちまけられている。
早苗の黒色の脚が濡れていて、その汁気を含んだパンストが、脚に食い込んでいる。
そう――食い込んで、早苗の最良の脚線美が、うっすらと綺麗に透けて見えるのだ。
早苗の脚はかなり均整がとれていて、素足を衆目に晒せば、誰もが振り返るほどに美しい。
そんな早苗の黒色を纏う脚を、いわゆるアレに似た、薄い白濁色のベタつく液体が染める。
その光景は、その手のフェチでエッチぃ写真なんかよりも、さらにいやらしくて――
僕は今にも吹き飛びそうな理性を支えながら、その光景を凝視し続けている。
そんな僕の視線に気づいたのか、何故かとろんとした瞳で、僕を見つめてくる早苗。
早苗に何かを言おうとした僕は、その瞳に捕われて、思わず口を噤んでしまった。
待ってくれ。その瞳は実の兄に向けるような代物じゃあ、絶対ないだろう……!?
「ねえ兄貴ぃ~? 私のパンストがさ、白濁ジュースで汚れちゃったのぉ……。
ヨーグルトの匂いがするし、ベタベタしてるし、アロエ粒が気持ちいいのぉ。
でもさぁ、このままじゃ私、風邪ひいちゃうかもしれないよ?
駄目だよねそんなの。私が風邪ひいちゃったら、困るよねぇ?」
「そ、そうだよな。たしかに風邪をひいたら、早苗が可哀そうだよな?」
そんな曖昧な僕の態度に何かを確信したのか、彼女はとんでもないことを切り出した。
「だから、兄貴が私のストッキングを頑張って拭って――キレイニシテ?」
度を超えた悪戯。道徳を無視した誘惑。禁忌を犯し尽くす懇願。
そんな懇願、断ってしまえばなんの問題もない。なのに――
なんで僕は、わざわざ早苗の言葉に従って、脚を拭き取ってやってるんだ!?
「ふゅ……っ♪ ハぁ……♪ ぃひゃんっ……♪」
だから、その脳がとろけそうな喘ぎ声は、一体どこからでてるんだよ!?
ていうか、僕はただ脚を拭いてやってるだけじゃないか!?
「あ……兄貴……っ♪ きもちいぃよぅ♪」
だからやめてくれっ!? そんな目で僕を見るな!?
マズイまずすぎる! シチュエーションがあまりに異次元過ぎて対応できない!?
このままじゃあ、実の妹に――早苗に興奮して、勃起してしまいかねない……!?
「あ……兄貴になら…………別に、パンストごと、舐められたっていい……!
だから兄貴……っ! 私の脚をもっと、もっといやらしく、愛撫してよ……!?」
「ああもう!? いちいちエロくて、まどろっこしいよおまえは!?
というか今頃になってようやく、解決策を思いついたわこのバカ!?
パンストが汚れたなら、そのパンストをさっさと脱げばいいだろ?」
半ばやけくそ気味に絶叫しながら、僕は早苗の脚からパンストを剥ぎ取る。
多少破れたり伝線したりしているけど、あのまま嬌声を聞くよりはマシだ。
しかし冷静に考えると、実の妹のパンストを剥ぐ兄って、変態じゃないか?
「ああっ、そんな乱暴なのはダメだよ兄貴――きゃんっ?」
「だから頼むから、乱暴とかいやらしいとかいうのは――
って、おま、え……、ちょっと待……、うええええっ!?」
一際大きな嬌声をあげる早苗よりも大声で、僕は絶叫せざるを得なかった。
なぜならパンストを無理やり脱がせた早苗は――何も穿いていなかったからだ。
66 ひとりじめ! (06/10) ◆6AvI.Mne7c sage New! 2009/06/21(日) 21:58:25 ID:H1tEZE4M
いやいやおいおい待てよ早苗さん。おまえは痴女なのかそれとも健康志向なのか?
なんで穿いてないんだよそれは普通スパッツとかでやるべきシチュじゃないのか?
ああもう他にも言いたいこといっぱいあるけどもしかしなくても僕の貞操の危機?
「……あ~あ、と~うとうやっちゃったわね兄貴~? や~っちゃった~♪
私さ、今回遊びに来るにあたって、ひとつだけ決めていたことがあるの」
言いながら、上半身の下着も脱ぎ捨てて、裸になろうとする早苗。
「私が兄貴を誘惑し続けて、もし兄貴が自分から、私のパンストに手を出してくれた時は――
私から兄貴に愛の告白をして、それから私以外の虫を寄せ付けない、赤い印をつけるって」
ワイシャツのみを残して裸になった早苗。その姿はとても綺麗で、目が離せそうにない。
「そして私は賭けに勝った。兄貴は私のパンストを剥ぎ取ってくれた。
だから、私はもう我慢はしない。兄貴に抵抗させることも許さない。
これから私、兄貴をひとりじめするために、マーキングしちゃいます!」
言い終わると同時に、勢いよく早苗に押し倒される。
僕はなんとか両腕で抵抗しながら、ギリギリで早苗の進行を食い留めた。
けれどあまりもちそうにない。筋力以外の要因が、早苗を強く後押ししているようだ。
「どんなにあがいても無理だよ兄貴、もう私決めちゃったもの。
私は今後、どんな手段を使っても、兄貴を手に入れるつもり♪
抵抗は許さないし、逃げることも許さない。私から離れさせたりしない」
だからね、の言葉とともに、首だけを僕の耳元に寄せて、彼女は囁く。
「ねえ、いい加減抵抗なんてしないで、私のことを受け入れてよぉ?
わたしはこんなにも、『よーすけおにいちゃん』のことがだいすきなのに?」
その言葉を、早苗の甘え声で聞いた途端、僕は全身の緊張と踏ん張りを消失した。
もちろん組み合ってた早苗はそのまま、僕の身体に抱きついて両手足を絡ませる。
顔が赤い。恥ずかしい。照れる。ヤバイ。マジで力が入らない?
というか、何故か早苗の顔を、まともに見ることができない!?
67 ひとりじめ! (07/10) ◆6AvI.Mne7c sage New! 2009/06/21(日) 22:03:19 ID:H1tEZE4M
「やっぱりね。兄貴は私に『おにいちゃん』って呼ばれるのに、弱いんだよね?
兄貴のことず~っと見てた私が、兄貴の好みを理解してないわけないでしょ?
兄貴が付き合おうとする女性は、いつも私みたいに背が高くてツリ目だもん。
それも年下の女の子ばっかりでさ、人懐っこい性格の持ち主が多いじゃない?
それってさぁ、兄貴の好みが私そのものだって、言ってるようなものだよ?」
濁ったような、恋に落ちているような、よくわからない瞳で囁きかけてくる早苗。
表情は笑顔で、頬は薄く赤色に染まっていて、まるで恋する少女のようで。
そんな早苗が、上半身にワイシャツを纏っただけの姿で、僕の身体に圧し掛かってくる。
「だったらさぁ――ホンモノのほうがぜ~ったいに、嬉しいでしょう?
私に似た女なんか探すより、私を求めたほうが、よっぽど楽でしょ?」
今までに経験したことのないほど激しい、早苗からの、本気の誘惑。
上目遣いに甘え声、その指先は絶えず僕の腹筋あたりを擽っている。
けれど、この求愛に応えるわけにはいかない。そんなことは許されない。
「そういう問題じゃないだろ? 僕たちは血の繋がった、兄妹なんだぞ?
結婚もできないし、子供も産んでも辛い思いをさせるし、家族にだって顔向け――」
「私は兄貴と一緒に居られたら幸せだし、子供はまだまだ欲しくない。
大体家族ったって、兄貴も私もいい加減、実家に寄りついてないじゃない?
このまま2人とも里帰りしなけりゃ、そうそうばれることはないわよ?」
いやバレなきゃいいって、そういう問題でもないだろう!?
そう早苗を諭せばいいはずなのに、何故か声が出ない。
なぜだっ!? まさか僕自身が、早苗と繋がることを望んでいるのか!?
早苗のことが女として好きで、だから抵抗したくないってことなのか!?
「そうそう言い忘れてた。私の親友の香苗と、その弟の香助の、例の件の続き。
あの2人――というか香苗のヤツ、香助が許せなくて、レイプしちゃったの。
おととい本人から、すごく楽しそうに教えられて、びっくりしちゃったよ♪」
「なっ……!?」
「残念だけど本当だよ。兄貴だって香苗のブラコンに、気づいてたでしょ?
それで毎日毎日避妊なしでヤって、先日とうとう妊娠しちゃったんだって。
今はもうこの街にいないと思うけど、あの2人は本当に幸せそうだったわ」
「う……ウソだろそれっ!? なんでそんなことがまかり通るんだよ!?
近親相姦は、道徳や倫理に反することだって……、わかるだろう普通!?」
正しいはずのことを、僕はただただ絶叫する。
けれどそれを真面目に聞く人間は、目の前の早苗も含めて、ここにはいない。
「本当だよ兄貴。最後に見たあの2人は、とってもとっても、幸せそうだった。
だから、私も幸せになっても――大好きな兄貴と結ばれても、いいよね?」
その科白を開幕の合図代わりに、早苗による慈しむような優しい侵略が始まった。
68 ひとりじめ! (08/10) ◆6AvI.Mne7c sage New! 2009/06/21(日) 22:11:07 ID:H1tEZE4M
――中略。次の日の朝。
「しくしくしくしくしくしくしくしくしくしく……………」
「ああもう、ほらほらいつまで泣いてんのよ兄貴は~?
別にいいじゃないのさ。本番はまだしてないんだし……」
「いま『まだ』って言った? 言ったよなおまえ!?」
結局僕はほとんど一晩じゅうかけて、早苗に全身を蹂躙された。
いや、正確には1か所だけ――パンツの部分だけは無傷だった。
あれほど全身蹂躙されたのに、ここだけは手を出さずに守ってくれた。
けれどそれ以外は、吸いつきやらなんやらで、とにかく赤い痕だらけ。
ううっ……、こんな格好じゃあ、もうお婿になんていけないっ!?
「大丈夫だよ兄貴。私が兄貴のこと、お婿に貰ったげるからさ♪
兄貴の好みストライクの私が、兄貴のことを大好きなんだよ?
どっちとも、相手のことが好きなんだから、問題ないでしょ♪
兄貴の好意に気づかない女どもよりも、私のほうがお得だよ?」
なぐさめにさえなってないし、明らかに弱った僕狙いじゃないか。
最悪だろうこの状況。逃げようにもこの格好じゃ何処にもいけないし。
「だったらさ早苗。おまえはなんでこんな、中途半端にしたんだ?
いや別に僕はおまえとそういう関係になりたいわけじゃないけどさ!
なんでわざわざチャンスを棒に振ってまで、僕を説得しようとするんだ?」
いまさら倫理観や道徳に縛られるほど、早苗はヤワな性格をしていない。
早苗が本気で僕と身体の関係を持とうとするなら、もう決着は着いている。
なのに、わざわざトドメをささずに終わらせるなんて、早苗らしくない。
「……確かに私はがっつく性格だけど、今回は事態が事態じゃない?
ホラ? やっぱり無理やりレイプしちゃったら、いろいろ駄目でしょ?
いくら兄貴を犯したって、兄貴が私を愛してくれないと、意味ないし。
言っとくけど私は、兄貴が拒む以上は、セックスはしないわよ?」
こう語る早苗の瞳は、先程までの淫乱な輝きを湛えていない。
むしろ僕と真剣に向き合うために、強く正気を保っている。
「でもさ、もしも兄貴が自分から、私を選んでくれるなら――
兄貴から私を求めてくれるのなら、私はもう我慢なんてしない。
そしたら私は何の遠慮もなく、兄貴とセックスできるんだからね?
我慢できなくなったら、兄貴が自分からパンツを脱いでちょうだいね?
私は、兄貴が望んでくれる時まで、ずっとずっと耐え続けるから……」
今まで僕にはワガママを言うほうだった早苗の、精一杯の譲歩。
今だって欲情して震えながら、僕の出方を窺っているみたいだ。
まあつまり、僕と早苗の2人で、近親相姦の罪を共にかぶろうというワケか。
少し乱暴なくせに、怖がりで臆病な早苗らしい、といえばらしいかもしれない。
69 ひとりじめ! (09/10) ◆6AvI.Mne7c sage New! 2009/06/21(日) 22:16:18 ID:H1tEZE4M
「んふふ♪ ねえ、兄貴――ううん『よーすけおにいちゃん』?」
「なんだよ、早苗――いいや『さっちゃん』……?」
もうやる気が起きないけど、無視すると後が怖いので、無気力に返答する。
あとまたおにいちゃんと呼ばれたので、こっちも昔の名前で呼んでやった。
まあなんてことのない反撃だけど、当然早苗には通用しちゃいないようだ。
逆に僕の顔を抱えて込み、強引に自分の顔――視線と向かい合わせる早苗。
その表情は真剣で、これまでみたいに流すことなんてできそうになかった。
「今からする話は、とある兄妹の話。実の兄に恋をした、愚かな妹の話よ。
その妹はね、昔から兄にべったりとくっつく、お兄ちゃんっ子だったの。
それは幼稚園、小学校、中学校、高校って、どこまでも変わらなかった。
そんなある日、兄が妹の友達に惚れちゃって、妹に隠れて告白しちゃうの。
でもその友達は他に好きな人がいて、優しい兄の告白を断っちゃった……」
この兄妹の話は、間違いなく僕と早苗の過去話だ。
僕は過去に早苗の親友――香苗ちゃんに告白して――フラれたことがある。
「兄は落ち込んで、そのことを知った妹は、兄をひたすら優しく慰めた。
でもね、その時の妹の心中では、いろんな感情が渦巻いていたわ……。
兄をフった友達への怒り、気付けなかった自分の無力さ、兄への慕情。
そしてとうとう、最後に妹の中で、唯一の真相に辿り着いてしまった。
自分は、血の繋がっている実の兄を、狂おしいくらいに愛してるって。
そしてそれに気づいた自分の、走り出した衝動はもう止まらないって!」
痛いほどに伝わってくる、早苗の深くて濃い感情。
禁忌と、情欲と、そして愛慕の念が、狂おしいほどに響きあう。
「ふふっ……♪ 私の知ってる昔話は、もう少し続きがあるの。
衝動は止まらなくても、その妹だって、倫理観は持っていた。
だから少しでも緩和しようと、兄が遠方で1人暮らしするのを我慢した。
そして我慢して我慢して――結局やっぱり、兄のことを忘れられなかった。
試しに恋人を作ろうとしても、セックスやキスが許せず、いつも未遂だった。
とうとう耐えきれずに、兄の住居の近くの職場に就職して、追いかけて来た」
やっぱり、わざわざ実家を離れたのは、それが理由だったのか。
早苗の実力なら、実家からでも良い条件の職場はあったはずだ。
だけど僕を追いかけるために、わざとこの近所の職場を選んで――
「そしてとうとう、最後の駄目押しを、親友から受けてしまった。
弟のことが大好きで、倫理を無視して関係を持ってしまった姉。
殆どを失って、それでも幸せそうな彼女を見て、妹は思ってしまった。
倫理観を見失っても、愛する兄を見失わなければ幸せになれる、って」
昔話はこれで終わり、と言いながら、早苗は僕の唇にキスをする。
その感触は昨夜と違い、怯えて震えるような、手探りのキスだった。
70 ひとりじめ! (10/10) ◆6AvI.Mne7c sage New! 2009/06/21(日) 22:21:39 ID:H1tEZE4M
「怖いのか、早苗? 僕がおまえを拒絶するかもしれないのが。
自分の恋心が、この僕に受け入れられないかもしれないのが」
僕の問いかけに、やはり震えながらも、虚勢をはって構える早苗。
「何を言ってんのさ兄貴。私は兄貴が、私を受け入れてくれると信じてる。
だって兄貴はずっと私の兄貴だもん。私を大切にしてくれる兄貴だもん。
最後の最後で、私の気持ちを全部受け入れてくれるに、決まってるもの。
昔から、兄貴は私を守って慈しんで、優しく受け入れてくれるんだもの」
早苗の理論は、破綻しているようで破綻していない。
何故なら、たぶん僕は早苗のことを、最後まで裏切ることができないから。
何故なら、たぶん僕は早苗のことを、異性(おんな)として見ているから。
でないと、僕がいま早苗を振り払えない理由が何一つ、説明できないから。
でないと、僕の女性の好みが『早苗そのもの』であることが説明できない。
どうやら、僕の心は長い間ずっと、早苗のものだったらしい。
「知ってる? 私はずっと昔から、兄貴につばつけてたんだからね?
他所の知らないアバズレなんかに、持っていかれてたまるもんか!
兄貴の身体も、兄貴の性欲も、兄貴の優しさも全部、私がもらうの。
もう我慢するとか、忘れるなんて馬鹿な真似、絶対してやんないわ。
兄貴という存在は、全部ぜんぶ、私がひとりじめしてやるんだから」
やはり不覚にも、そんなことを言う早苗に、心が揺らいでしまう。
「それからね、私は兄貴専用の妹で、兄貴は私専用の兄なの。
だから、兄貴の隣の定位置は、誰にも譲らないし許さない。
2人で、いつもお揃いの服を着て、いつも一緒に居よう?」
そして今更ながらに、目の前で笑う早苗に、僅かな恐怖を覚える。
早苗って、ここまで独占欲の強いヤツだったのか……?
「だから私は兄貴の傍に居て、兄貴に近づく女を全部蹴散らしてあげる。
だから兄貴は私の傍に居て、いつでも私を力ずくで襲ってちょうだい?」
どこまでも魅力的で、抗う気さえ起きそうにない、早苗からの本気の誘惑。
当の早苗は一糸まとわぬ姿のまま、いまだ半裸の僕の身体に圧し掛かり――
僕の身体を強く抱きしめるだけで、それ以上は自分からなにもしてこない。
「まあ、これだけで堕ちる兄貴じゃないのは、私もよく知ってる。
だから私、これから兄貴のことを、もっともっと誘惑するから。
まあ見てなさいって、ぜったい兄貴のこと、私にメロメロにしてやるからねっ!
兄貴は他の女なんかに渡さない。兄貴は私がひとりじめしてあげるんだからっ♪」
――実家のお袋と親父へ。もう僕は、このお姫様に陥落して構わないでしょうか?
― I'm of her thing. ―
最終更新:2009年06月22日 20:24