644 名無しさん@ピンキー sage New! 2009/07/26(日) 21:58:22 ID:aPJdDwbU
「何で、こっそり先に行こうとしてるのよ」
廊下に冷たい声が響いた。
玄関に居た俺は、恐る恐る声のしたほうを振り向く。そこに怖い顔をして立っていたのは俺の妹、咲である。
「いや、その、別に一人で出ようとしてたわけじゃ……」
「バレバレ。帰ったらお仕置きね」
今すぐにでも逃げ出したい心地の俺を目で牽制すると、咲はまた部屋に引っ込んだ。俺はため息をつき、靴を履いたまま座って壁によりかかる。俺は、咲には逆らえない。
人が見れば、情けない、兄が妹の言いなりになって、と思うかもしれない。だが俺は、咲にはどうしても逆らえない。
理由はふたつある。ひとつは、俺が咲を恐れているから。そしてもうひとつは、俺が咲との関係を壊すことを恐れているから。
「ほら、行くよ兄貴」
いつの間にか横に並んでいた制服姿の咲が、革靴を履きながら言った。俺はゆっくりと立ち上がり、ドアを開ける。
外に出ると、鬱陶しくなるぐらいの快晴だった。強い日差しが肌を焼き付け、汗が吹き出す。俺は自転車の籠に荷物を載せ、サドルに跨がった。当然のように、咲が後ろに乗ってくる。
「ん、いいよ」
咲のその言葉で、俺は二人分の体重のかかったペダルをこぎ出した。
半袖の制服から出た白い腕を俺の腰にまわしながら、咲が訊ねてくる。「今日の帰りの予定は?」
嫌な顔をされることをわかって、俺は怖々と答えた。「……今日は文化祭の準備で、遅くなると思う」
「サボりなさいよ、そんなもん」
「こないだもサボったんだ。もう文化祭までそんなに日もないし……今日もサボったら、さすがに皆に悪いよ」
咲は、不機嫌さを隠すことなく言った。
「言ったでしょ、兄貴は私のことだけ気にしてればいいの」咲はさらに続ける。「皆に悪いだとか、どうでもいいことをいちいち考えないで」
俺は、咲には逆らえない。最近クラスで孤立気味なのが、ますます悪化することになるだろうが、それも咲にとってはどうでもいいことなのだろう。いや、むしろそれこそが咲の狙いなのかもしれない。
「いっそのこと、引きこもりにでもなればいいのよ」咲は冷たく笑いながら言った。「それで私が職についたら、養ってあげる。そうすれば兄貴を誰かにとられる心配もない。ま、今でも兄貴みたいな奴を好くような女は、私以外に居ないけど」
645 名無しさん@ピンキー sage New! 2009/07/26(日) 22:02:33 ID:aPJdDwbU
俺は、汗をかきながら無言でペダルをこぎ続けた。
学校に着き、自転車を停める。咲と一緒に自転車から降りると、横から声をかけられた。
「よう、篠田」
篠田とは、俺と妹の名字である。声をかけてきたのは、俺の数少ない友達の一人だった。
「おはよう」
俺が答えると、予想通り後ろから不機嫌な声がした。
「気安く兄貴に話しかけるな、馬鹿」
そいつは、驚いてビクリと体を竦める。
「えーと……」そいつは妹の顔を見て、それから何もフォローしない俺の顔を見た。そして困ったようにしばらくキョロキョロとしたあと、どうしようもなく立ち去っていった。
咲に背中を叩かれる。
「兄貴も返事してるんじゃないよ」まだ姿の見える友達に聞こえるような声で、咲が言う。「言ったでしょ? 私とあんたの間を邪魔しない範囲でだけ、あんたの交遊関係を認めてあげるって」
咲が俺の手をとって歩き出す。
「私が一緒にいるときに話しかけてくるような奴と、友達になるんじゃないよ」
そうは言っても、朝に友達を見かけて声をかけるのは、極普通のことである。だがそれでも俺は、咲には逆らえない、逆らわない。「……わかったよ」そう言って、俺は咲に連れられるようにして歩いた。
また一人、友達を失った。
咲と別れ自分の教室に入ると、ちょうど始業のチャイムが鳴った。誰にも声をかけられることなく、席に向かう。途中で先ほどの友達と目があったが、気まずそうに目を逸らされた。
教室にやってきた先生が、ダラダラと平坦な調子で喋り出す。それを聞き流しながら、俺は考え事を始めた。
咲があんな風になってしまったのは、いつからだっただろうか。今のように俺への好意をあからさまにし、俺の行動を縛るようになったのは、確か三年程前からである。ちょうど、母親が家を出た時期と重なる。
だが咲が兄である俺に好意を抱くようになったのは、それ以前からなのではないだろうか。母親から暴力を振るわれ、俺が庇うようになってからであろうか。父親に、それらを見て見ぬフリをされるようになってからであろうか。
それとももっと以前──咲がこの世に生を受け、俺を兄と認識したときからであろうか。
そして、俺がそんな咲を愛するようになったのは……
646 名無しさん@ピンキー sage New! 2009/07/26(日) 22:04:07 ID:aPJdDwbU
四時間目が終わり、昼休みになると俺はすぐに教室を出た。昼食は、咲と一緒に別校舎の屋上でとることになっている。周囲の視線は、気にしない。
屋上の扉を開けると、そこには既に咲が来ていた。街を見渡せる位置で、手をついて座っている。
扉から足を踏み出し、体が日差しの元に晒される。暑い。だが前にいる咲は、ひとつも汗をかいていなかった。
「咲」
声をかけられた咲はこちらを振り向き、俺の顔を見て応える。「遅いよ、馬鹿」
「ごめん」そう言って、俺は咲の隣に座る。
咲は横に置いた鞄を漁ると、二人分の弁当を取り出し、一つを無言で私に渡す。
「ありがと」俺はそう言って弁当を受け取り、二人で一緒に食べ始めた。
並んで座っていても、会話はない。いつものことだ。ただ黙々と、弁当を食べる。
「美味しい」俺はポツリと、感じたままのことを言ってみた。
「当たり前でしょ」にべもなく、そんな言葉が返ってきた。
弁当を食べ終わると、咲は目を開けたまま横になった。ただ何も言わず、空を見続ける。
その隣で、俺も黙って座っていた。
予鈴が鳴る。
先に俺が立ち上がり、ズボンについた汚れを払う。それから咲が立ち上がるのを待って、俺は屋上の出口へと向かった。
「ちょっと待って」
咲に呼び止められ、後ろに振り向く。咲は真っ直ぐ俺に近づくと、俺の首に手を回した。
唐突に、唇が重ねられる。
俺は黙って受け入れた。時間にして10秒程だろうか。咲は俺から唇を離すと、真面目な表情でじっと俺の顔を見つめてきた。その思いは、読めない。
咲は扉のほうに向き直り、俺の手をとって歩き出した。
「行きましょ」
俺は顔を赤らめながらついていく。流れる汗が、制服を濡らした。
ホームルームが終わり、放課後になった。
クラスの皆が三日後に迫った文化祭の出し物、お化け屋敷の準備をする中、俺は鞄を持ってそそくさと出口へ向かった。周囲から冷ややかな視線を向けられ、心苦しく感じながらも、俺はそのまま教室を出る。
咲のいる教室の前に着く。どうやらちょうど、ホームルームが終わったとところのようだった。このクラスでも、皆が文化祭の準備にとりかかり始める。一番後ろの席に座る咲は、荷物をまとめ、教室を出ようとしていた。
647 名無しさん@ピンキー sage New! 2009/07/26(日) 22:05:50 ID:aPJdDwbU
「篠田さん」どうやらクラスのまとめ役らしい女の子が、咲を呼び止める。
咲は立ち止まり、振り向いた。ぶっきらぼうな声で答える。「何?」
「篠田さん、こないだも帰ってたよね? 用事とかあるなら、帰る前に言ってくれるとありがたいんだけど」
「別に、何も」咲は平然と言った。
「何もないなら……」
「なら……何?」咲は答えを聞かず、教室の出口へと歩き出した。「どうでもいいようなことで、いちいち呼び止めないで」
いつの間にか、教室は静まり返っていた。今にも怒りだしそうな面々を無視して、咲は廊下を歩き出す。俺も慌てて後についていった。
「咲のクラスは、文化祭、何やるんだ?」
帰り道の途中、自転車をこぎながら後ろに乗る咲に聞いてみた。
「……」咲は、何も答えない。
俺は構わず続けた。「教室の様子からすると、喫茶店とかかな。テーブルの準備とかしてあったし」
「ねえ」咲が、俺の話を無視して言う。「ちょっと、寄り道」
「ん?」
「そこのホームセンターに寄って」
ホームセンターに入ると、冷房の効いた冷たい空気が熱い体を冷やした。
咲は辺りを見回しながら店内を歩く。俺が何を買うつもりなのだろうと眺めていると、咲は目的のものを見つけたのか棚に近づいた。
「これじゃ、ちょっと痛いかな」咲が手にとったのは、丈夫そうなロープだ。「朝、言ったでしょ。お仕置きって」
俺は何か言おうとしたが、咲の薄く笑った表情を見てやめた。
家に着き、玄関のドアを開ける。
「ただいま」それに答える人物は、今この家には居ない。
「…………」咲は、俺と違って無言で家に入った。
靴を脱ぎ、階段を登って俺たちは自分の部屋に向かった。俺と咲の部屋は、同じ部屋だ。以前──母親が家を出る前までは部屋は別だったのだが、それからしばらく経って、咲の要求で一緒の部屋になった。
部屋に入ると、咲は俺の目を気にせずに着替えだした。咲の白い体が晒される。一緒の部屋になったばかりにはドギマギしていた俺も、今ではさすがに見慣れて、横で部屋着へと着替える。
俺が着替え終わるのを待って、咲は部屋を出た。俺も、咲に続くようにして部屋を出る。
家に居る間は、基本的に咲について一緒に居るように言われている。
まるで、忠犬みたいだな。心の中でそんな風に自虐してみた。俺と咲の関係は、まさしくそんな感じだった。
648 名無しさん@ピンキー sage New! 2009/07/26(日) 22:07:06 ID:aPJdDwbU
エプロンをして、キッチンで料理をする咲をぼうっと眺める。他にすることがないというよりは、他に何かすることを許されていない。
テレビを見たり、新聞を読んだりするだけでも、咲は怒る。一緒にいるときは自分のことだけを気にしてくれと、咲に言われた。そして俺も、それをつまらないとは感じていなかった。
おいしそうな料理が食卓に並ぶ。
「いただきます」そう言って俺は箸をとる。
「…………」咲は、無言で食べ始めた。
咲の作った料理は、相変わらずどれも美味しかった。だがそれは今だからの話で、咲が料理を作るようになったばかりの頃は、決して料理上手とは言えなかった。
努力したんだな。よく出来た料理を食べながら、そんなことを思う。俺のため、と考えてもいいのだろうか。
程よく甘辛いカレイの煮付けを食べていると、俺の頭の中に昔の記憶が浮かんできた。ああ、これ、母親の味だ。母親が、母さんが、まだ優しかった頃に作ったカレイの煮付けだ。咲は……
「……何?」
「え?」突然の咲の言葉に、俺はビクリとして箸からカレイの身を落とした。
「こっち、見てたでしょ。何?」咲は、こちらをじっと見つめながら、詰問するように訊ねてきた。
どうやら、考え事をするうちに咲の顔を見ていてしまったようだ。俺は慌てて顔を伏せ、当たり障りのないことを答えた。「ごめん、ぼうっとしてただけ」
悪態をつかれる。そう思って汗をかくが、返ってきた言葉はそっけなかった。
「ああ、そう」
俺はほっとしつつ、少し拍子抜けした。すると、咲は続けて訊ねてきた。「この煮付け、美味しい?」
俺は驚いて顔をあげ、また咲の顔を見た。咲が自分から料理の感想を求めてくるのは、初めてのことであった。咲の表情は、いつもと変わらぬ無表情である。
「美味しい」俺は正直に答えた。
「……当たり前でしょ」自分から訊ねておきながら、咲はそんなことを言った。
649 名無しさん@ピンキー sage New! 2009/07/26(日) 22:08:26 ID:aPJdDwbU
食事を終え、食器を洗うのは二人でやることになっている。流し台の前に二人で並び、一人が洗い、一人がすすぐ。
玄関から、鍵の開く音が聞こえた。
「ただいま」
父だ。いつもと同じ、少し控え目な声だった。
「おかえり」俺は、義務的に返事をする。
「…………」咲は、無言で何も答えない。
父はキッチンを覗き、そこに立つ咲にまた声をかけた。「ただいま」
俺は横に立つ咲の表情を窺うが、そこにあるのはいつもと変わらぬ無表情であった。
「…………」咲は、無言で何も答えない。
それを見る父は、いつもと同じ、気弱な表情だった。
父は食卓に座ると、買ってきた弁当を広げて食べ始めた。咲は、いつも二人分しか夕食を作らない。だから父は仕事の帰りに弁当を買い、こうして一人で食べるのが習慣になっていた。
咲が洗い物を終えた。そして俺がすすぎ終わるのを待って、廊下に出て階段を登る。俺は咲を追いつつ、弁当を食べる父の様子を伺った。一人で食事をとる父の姿は、やけに弱々しく見えた。
「本当に、やるの?」
夕食の後、一緒に風呂に入り部屋に戻ると、咲は買ってきたロープを取り出した。
「当たり前でしょ。冗談でロープを買ったとでも思った?」咲が、ふふ、と笑う。
俺は観念すると、咲の言うがままにベッドにロープで縛りつけられた。四肢はきつく固定され、少しも動かすことができない。
「いい恰好」
そう言って妖艶に笑うと、さらに咲は俺に目隠しをしてきた。視界が奪われる。
何も見えない俺の隣で、衣服の擦れる音がした。どうやら咲が服を脱いでいるらしい。
「何だかんだ言って、ちゃんと勃ってるじゃん」
服を脱ぎ終えた様子の咲が、俺のぺニスに息を吹き掛けた。ゾクリ、と全身に快感が走る。
咲の笑い声が聞こえたかと思うと、顔を手で挟まれ、唇が重ねられた。舌を入れられ、唾液を移される。俺もそれに応えるように、舌を伸ばした。やがてその行為は激しくなり、顔を交差させ、ジュブジュブと卑猥な音をたてながら互いの口内を貪る。
咲が俺から口を離すと、唇を繋ぐ唾液の糸が伸び、プツリと切れた。俺の顔や首筋には俺の唾液が、そして咲の唾液が流れていた。
咲の息づかいが聞こえる。肩を咲に掴まれ、顔を舌で舐められる。飛び散った唾液を舐めとるように、丹念に舌が動く。
650 名無しさん@ピンキー sage New! 2009/07/26(日) 22:09:48 ID:aPJdDwbU
咲の舌は耳を舐め、首筋を舐め、だんだんと下がって行く。手から足の指先まで、ぺニスを避けて余すところなく念入りに舐められた。
視覚を封じられ、身体を動かせない状況が感覚を敏感にする。ザラリとした咲の舌の質感を感じる度に、俺は興奮を増していった。直接触られていないにも関わらず、俺のぺニスはギンギンに勃起していた。
体から咲の舌が離れたと思うと、唐突にぺニスをベロリと舐められる。突然の快感に、体が跳ねた。
そのまま、一気にぺニスをくわえられる。
「うっ……!」
手では睾丸を弄られ、舌ではぺニスを蹂躙される。
「んんっ」
咲は時折声をあげながら、飴のようにぺニスをしゃぶり尽くす。咲が口を動かす度に、そこから聞こえる水音は大きくなっていった。
しばらくそんな責めが続き、俺の股間は咲の涎まみれになっていた。目隠しをされている俺の意識は、ぺニスに感じる快感と、耳に入る卑猥な音に集中していた。焦らされていた俺の体は、急速に昇りつめはやくも限界が近付く。
「咲、俺もうっ……!」
その言葉に、咲の動きがさらに激しくなる。ぺニスが咲の口を忙しく出入りし、吸い付くように激しくしごかれる。
──ドクン。
咲が深くぺニスをくわえ込んだ瞬間、俺は限界に達した。ぺニスの先端が一瞬膨れ、咲の口内に勢いよく精を放つ。
精液の噴出は、なかなか収まらない。精液を零さぬようにだろうか、咲の口がきつくすぼめられているのを感じた。
やがて射精が終わると、ぺニスが咲の口から引き抜かれる。
「うっ」
達したばかりで敏感になっているぺニスに電流が走り、思わず呻き声が漏れた。
ゴクン、と何かを飲み込む音がする。
「まっずい」咲はハアハアと荒い呼吸をしながら、満足そうな声でそんなことを言った。
頭の後ろに咲の手が回され、目隠しが外される。薄明かりが眩しく、目が痛い。やがて光に慣れてくると、目の前の咲の顔が見えてきた。口の端から、ダラリと精液が垂れている。
「気持ちよかった?」咲が呼吸を落ち着けながら、訊ねてきた。
「……気持ちよかった」俺は率直な感想を述べる。
「それじゃ、お仕置きにならないじゃない」
咲は冗談めかして言った。
651 名無しさん@ピンキー sage New! 2009/07/26(日) 22:10:53 ID:aPJdDwbU
咲はベッド脇に置かれたペットボトルの水で口をゆすぐと、ベッドに戻って縛られたままの俺の右隣で横になった。左手で、まだ回復しない俺のぺニスをサワサワと触ってくる。右手は、自身の性器をいじっていた。
「これ、ほどいてくれないの?」
俺が訊ねると、咲が耳元で囁くように答えた。
「駄目。今日は終わるまで、ずっとそのまま」
耳にかかる咲の吐息に、俺はゾクリとする。そのままの位置で、咲が続ける。
「痕、残るかもね」
そう言って、咲は縛られたところを右手で優しく撫でた。俺の肌に、濡れたものが感じられた。
「嫌?」
「……嫌」俺は素直に答えた。「人に気付かれたら、何て言えばいいんだよ」
「そしたら言っちゃえばいいのよ。自分は毎晩、妹とこういうことしてるんです、って」咲は俺に向き合って言った。「そうすれば、誰も兄貴をとろうなんて思わなくなるでしょ?」
妹はそう言って笑うと、ゆっくりと唇をあわせてきた。深く、長く。先ほどと違って、それは静かに行われた。
「ん……勃ってきた」
咲は口を離すと、ぺニスを弄る左手の動きを速めた。俺のぺニスはムクリと起ち上がり、射精する前の硬さにまで回復していた。
「そろそろ、いいかな」
縛られたままの俺に、咲が跨がる。ベッドに左手をついて、右手をぺニスに添えて自身の濡れたそこへと導いた。
「んっ……」
咲は小さく声を漏らして、俺のぺニスを自分の中に収める。腰を少し左右に揺らし、その感触を確かめるように動いた。
「……やっぱりこの瞬間が、一番落ち着く」咲は、ふう、と息を吐いた。「兄貴と一緒になってるって実感できるから」
咲の腰が、上下に動かされる。最初はゆっくりと、じっくり味わうように。
「あっ、あぁ……んっ」
咲の口から、嬌声が漏れ出す。それに合わせて腰の動きも速くなり、接合部からはリズムよく水音が響く。
「はぁ、あぁん、んんっ」
咲の声が、大きくなる。一階で寝る父の耳にも、聞こえているかもしれない。実際、父は俺と咲の関係を知っているのだろう。だが気弱な父は、何も言ってこない。
「んっ、んんっ、ああっ、いぃっ」
咲の腰の動きが、ますます激しくなる。全身を赤く染め、息は荒い。クーラーで冷えたこの部屋で、咲の肌には汗が流れていた。
「ふぅっ、んぁ、ああっ、うぅ! んんっ!」
咲の腕が、俺を抱く。唇を押しつけるようにキスをされる。その間も腰の動きは止まらない。
652 名無しさん@ピンキー sage New! 2009/07/26(日) 22:12:12 ID:aPJdDwbU
「んんっ、ふぅっ、んっ、うぅ」
咲の膣内が、俺のぺニスをきつく締め上げる。俺も咲を抱こうとして、自分の腕が縛られていることを思い出した。
「んんっ、んん、んぁっ!」
咲の唇が、俺から離れた。咲の顔は、快感に歪んでいた。
「兄貴っ、ふぁっ、あぁっ! 兄貴……あぁんっ、お兄ちゃん!」
咲は狂ったように腰をふり、口からは涎を垂らしている。そして、うわ言のように繰り返した。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん! んんっ!」
「咲、咲……!」
「お兄ちゃん! 好き、あぁっ、好きよっ! あぁっ! お兄ちゃん、お兄ちゃん!」
「俺も……んっ、好きだっ、咲……好きだ!」
咲は頭を激しく振り、髪を振り乱す。その目には涙が光っていた。
「うぅっ、お兄ちゃん! ずっと一緒にいてっ、ふぅっ、ずっと傍にいてっ! あぁぁっ、お兄ちゃん! 私だけを見てっ、ずっと私を愛して!」
咲の膣がきつく締まる。俺のぺニスも限界に近付く。
「咲っ、俺、もうっ、出るっ……咲!」
「一緒にっ、一緒に! んんっ! お兄ちゃん、お兄ちゃんっ! うぅっ、お兄ちゃん! ああぁぁっ!」
咲の体が、ビクンと波打つ。背を弓なりに仰け反らせ、それにあわせて膣内が痙攣した。
「うっ……!」
ぺニスから、勢いよく精液が放たれる。ドクン、ドクン、と治まることなく精液が出続けた。
「んん……お兄ちゃんっ……!」
俺と繋がったまま、咲が俺の上にもたれかかってくる。咲の身体は痙攣したままだ。ハア、ハアと、俺と咲の荒い息遣いが静かな室内に響く。
「咲……」
「お兄ちゃん……愛してる。ずっと……ずっと、ずっと愛してる」
「俺も……愛してるよ、咲」
静かに、唇を重ねる。そしてそのまま、俺たちは眠りについた。
653 名無しさん@ピンキー sage New! 2009/07/26(日) 22:13:13 ID:aPJdDwbU
次の日、窓から差し込む日差しで目が覚めた。起き上がろうとして、ベッドに縛りつけられたままであることに気付く。
「おい、咲。……咲」
俺が呼びかけると、俺の横にいた咲がモゾモゾと動いて目を覚ました。
「ん……」
「おはよう、咲」
「おはよう、おにい……兄貴」咲は寝ぼけた様子で答えた。
「これ、とって欲しいんだけど」
「……ああ、忘れてた」
咲は「もったいないな」なんてことを呟きつつ、縄をほどいてくれた。縛られていた部分が、ヒリヒリと痛む。腕と足の付け根を見ると、しっかりと赤くなっていた。
「やっぱり、痕になってるね」
咲は俺の腕をとると、赤くなっているところをペロリと舐めた。俺の体に痛みが走る。
「……嫌だって、言ったのに」俺が愚痴を漏らす。
「いいじゃない、別に」咲はベッドから降りて、立ち上がった。「私と“お兄ちゃん”の、愛の証ってことで」
窓から差し込む日差しが、咲の顔を照らす。その表情は、珍しく優しく見えた。
最終更新:2009年07月29日 03:24