【魔法の妹ヴァニシング☆ルナ】

336 【魔法の妹ヴァニシング☆ルナ(1)】 sage 2009/08/12(水) 22:05:45 ID:/XwQeyrG
「――きょうも帰りは遅くなると思うから、戸締りと火の元、しっかりね」
 母親に言われて、葉月(はづき)と奈月(なつき)は胸を張った。
「はーい。任せておいて、ママ」「……おいて、ママ」
「お兄ちゃんは、妹たちをよろしくな」
 父親に言われて、太地(たいち)は、ぎこちなく頷く。
「ああ……、わかった……」
「じゃあ、いってきまーす」
「いってきます」
 手を振る母親と父親に、葉月と奈月は笑顔で手を振り返し、太地もためらいがちに手を上げてみせる。
「いってらっしゃーい」「……しゃーい」
「いってらっしゃい……」
 両親が玄関を出て行き、ばたんとドアが閉まった。
「……さて、お兄ちゃん?」「……ちゃん?」
 葉月と奈月が左右から、太地の顔を見上げて、
「きょうこそ《エレクトプリズム》を守り抜いてもらうからね」「……からね」
 心の底まで見透かすような美貌の双子の眼差しに、どぎまぎしながら太地は頷く。
「あ……、ああ……」
 葉月と奈月は妖精さながらの美少女であった。
 さらさらの栗色の髪をツーテールにして、葉月は黄色の、奈月は白のリボンを結んでいる。
 小作りな顔に、部屋着の白いワンピースから伸びる、すらりと長い腕と脚。
 均整のとれた身体つきだが身長そのものは一四四センチしかない。
 睫毛の長い、ぱっちりとした眼。深い湖のような紺瑠璃の瞳。
 小さくて、かたちのいい鼻。艶やかで健康そうな桜色の唇。
 その二人が――しっかりと左右から太地に腕を絡めてきた。
 小さくてやわらかで温かな身体。ほのかに甘いシャンプーの残り香。
「わかってる、お兄ちゃん?」「……ちゃん?」
 葉月と奈月が、太地の顔を見上げて言った。
「いつまでも妹だからとか遠慮は無し。これは三人のためだよ、お兄ちゃんと葉月たちの」「……奈月たちの」
「ああ……、わかってるよ……」
 太地は頷く。
 身に沁みて、よくわかっているのだ。
 四つも年下の六年生――しかも実の妹に「そういうこと」をさせなければならない自分の弱さは……
 太地たちの母親、天野卯月(あまの・うづき)は声優であった。
 二十年ばかり前には『魔法のお嬢様バブリィメロン』という魔女っ子アニメの主役として大人気を集めた。
 現在はそのリメイク版で主人公メロンの母親役を演じて好評を博している。
 そして、太地たちの父親、陽平(ようへい)はマネージャーとして公私両面で卯月を支えていた。
 収録日には二人揃って出かけて、帰宅は深夜か翌朝になる。
 その間、太地は妹たちとともに留守番だ。
 妹たち――すなわち双子の葉月と奈月。
 そして、もう一人――二つ年下の美月(みつき)だ。
 太地は双子に両腕をとられたままリビングへ連れて行かれ、押し込むようにソファに座らされた。
 葉月と奈月が前に立って、兄の顔を見下ろす。
「美月お姉ちゃんが補習から帰って来るまでが勝負だからね」「……だからね」
 太地は渋々と頷く。
「ああ……、わかってる」


337 【魔法の妹ヴァニシング☆ルナ(2)】 sage 2009/08/12(水) 22:06:59 ID:/XwQeyrG
「お兄ちゃんには、どこにも行ってほしくないんだから葉月たちは」「……奈月たちは」
「わかってるよ……」
「お姉ちゃんが『してる』ようなことは、あと半年で誕生日が来ればできるよ葉月たちも」「……奈月たちも」
「うん……」
「しかも、こっちは二人で『して』あげるんだよ葉月と奈月が」「……奈月と葉月が」
「ああ……」
「だから、いまはハダカを見せるのと手とクチで『する』ので我慢だよ、お兄ちゃん」「……ちゃん」
「うぅっ……」
 太地は気押されたように、こくこくと頷く。
 葉月と奈月の真っすぐな視線が怖かった。二人は決して、兄を信用していない。
 双子は眼を見交わし、頷き合った。
 そして、二人揃ってピンク色の腕時計をはめた左手を顔の前にかざした。
 さながら魔法少女か特撮ヒーローの変身ポーズ。
 実際、玩具じみた腕時計は『バブリィメロン(リメイク版)』の劇中に登場する変身グッズそっくりだ。
 六年生にして魔女っ子アニメのヒロインごっことは幼稚なようだが――しかし。
「「イイノノセセンントト・・ププリリズズムム・・パパワワーー!!」」
 声を揃えて叫ぶと同時に、玩具の筈の腕時計が眩く白い光を放った。そして、
「「テテイイクク・・オオフフ!!」」
 次のかけ声とともに、光が葉月と奈月それぞれの全身を包み込む。
「……うわっ!?」
 たまらず太地は顔を背けた。
 やがて光が和らぎ、太地が恐る恐る、視線を戻すと――
 葉月と奈月が妖精の美裸身を晒していた。
 慎ましやかに膨らみ始めた幼げな乳房、その頂きの桜の蕾のような乳頭。
 小さな乳暈は白い肌に溶け込みそうなほど淡い色。
 衣服を身に着けていないおかげで脚の長さが際立ち、腰骨の高さもよくわかる。
 それが絶妙にウエストのくびれを形作っていた。
 双子の妖精は幼児体型など、とうに卒業している(胸の大きさを別にすれば、だが)。
 小さく縦長の愛らしい臍。
 そして、その下――なめらかな肌が両太腿の間(あわい)へと潜り込む場所。
 そこに穿たれた、一筋の柔肉の亀裂。僅かにほころび、濡れ光った桜色の花の芽が覗いているのは、まるで。
 幼子から少女への脱皮過程の一端であるかのよう。
 しかし、二人とも全裸であるわけではない。
 絹のように艶やかで純白な、肘の上までのロンググローブと太腿半ばまでのサイハイソックスを着けている。
 首にはチョーカーを着けていた。それぞれの髪のリボンと同じく、葉月は黄色、奈月は白。
 その姿は、まるで初夜に臨む妖精の姫君。寝台の上の婚礼衣装。
 そう――
 一瞬にして着衣を改めた双子姉妹は、本物の魔法少女なのだ!
「生まれたときは違えども、お兄ちゃんと葉月は」「……奈月は」「「魂の三つ子!!」」
 アニメの魔法少女の口上そのままに、声を揃えて双子は叫ぶ。
「「死すら我らを別つことなし!! 来世も再び寄り添わん!!」」
 真摯な眼差しを兄に向けて、
「「大地を照らす月、ルーミナス☆ルナ!! お兄ちゃんとの絆は永遠不滅!!」」
「あ……う……、うん……」
 太地は、かくかくと、ぎこちなく頷く。頷く以外のリアクションなどできはしない。


338 【魔法の妹ヴァニシング☆ルナ(3)】 sage 2009/08/12(水) 22:08:10 ID:/XwQeyrG
 葉月と奈月がソファに片膝をつき、左右から太地に身を寄せた。
「……さあ、お兄ちゃん」「……ちゃん」
 双子が頬を寄せ合いながら、兄に唇を合わせる。
 甘い吐息の、そして髪と素肌の匂いの悩ましさに、太地は肌を粟立たせた。
 ちゅっ、と、音を立てて、ついばむように唇を吸われた。
「お兄ちゃんがホントに好きなのは、葉月たちだよね?」「……奈月たちだよね?」
 ちゅっ、ちゅっ、と、左右から唇を吸われて、
「美月お姉ちゃんなんか、無理やり『やられてる』だけでしょう?」「……でしょう?」
「……んんっ……」
 太地には否定も肯定もできない。
 双子は一方的に質問するだけで、返事を待たずに唇を合わせてくるからだ。
 兄の手を片方ずつとって、葉月と奈月は、それぞれ自分の身体へ導いた。
「お兄ちゃんの好きにしていいんだよ、葉月たちの身体……」「……奈月たちの身体……」
 右手と左手、それぞれの指先が双子の妖精の秘めやかな部位に触れた。
 なめらかでやわらかで火照ったそこに穿たれている肉のスリットを、なぞらされた。
「「……んんんんっっ……!!」」
 さらに奥深く指を淹れさせられる。内部は熱く、ぬめりを帯びていた。
 ……くちゅっ……
 湿った音が聞こえて、妖精たちは羞恥に頬を染める。
「ああっ……おにぃ、ちゃん……」「……ちゃん……」
 すぐに唇を吸われた。そうしながら声を漏らすのをこらえているかのよう。
「「……んんっっ……んんくくっっ……んんくくぅぅっっ……」」
 葉月と奈月が、それぞれの空いている手を太地のズボンへ伸ばした。
 双子の手が、息の合った動きでベルトを外してしまう。
 さらにジッパーを下ろされて前を広げられ、トランクスの上からペニスに触れられた。
「……くぅっ……!」
 太地は思わず身をよじる。きつすぎるほど剛直していた。
「お兄ちゃん、選んで……」「……選んで……」
 熱っぽく潤んだ瞳で兄を見つめて、妖精たちが告げた。
「葉月がキスしたまま、奈月がクチでするのと……」「奈月がキスしたまま、葉月がクチでするのと……」
「選べないよ……」
 太地は首を振りながら答えた。
「葉月も奈月も、可愛くて大事な妹だから……」
 美月もまた大切な妹だ、という言葉は呑み込んでおく。双子の前で、それを口にするべきではない。
「じゃあ、最初はふたりで舐めてあげるね……」「……あげるね……」
 ちゅっ、と、兄の頬に左右からキスをすると。
 葉月と奈月はソファを降りて、床に跪いた。
 太地のトランクスの前が開かれ、拘束を解かれたペニスが弾けるように屹立した。
 肉茎に隆々と血管が浮き、充血した亀頭が赤黒く照り光った猛々しい男性器官だ。
「お兄ちゃん、すごい……」「……すごい……」
 葉月と奈月が顔を近づけてきて、肉茎の根元にキスをした。
 そして舌を伸ばし、左右から竿を舐め上げた。
「……ああっ……」
 ソファの上で身じろぎする兄の顔を双子の妖精が見上げ、
「ぴくぴく震えてるよ、お兄ちゃんのコレ……」「……コレ……」


339 【魔法の妹ヴァニシング☆ルナ(4)】 sage 2009/08/12(水) 22:09:06 ID:/XwQeyrG
「葉月と奈月が、可愛すぎるからだよ……」
 太地は曖昧な笑顔で言う。
 本当に可愛らしく、大切な妹たちに――「こんなこと」をさせている自分が後ろめたくてならない。
「「……んんっっ……んんくくっっ……んんははぁぁっっ……」」
 兄の肉竿に舌を這わせる双子の妖精。
 上目遣いに太地の顔を見て、
「……我慢しなくていいからね。いつでも出していいよ、葉月たちの顔に」「……奈月たちの顔に」
「うっ……、うん……ああっ……」
 太地は、もじもじと腰をよじる。快感がペニスから尻へ突き抜けるかのよう。
 妖精たちは舌での奉仕を続けながら、
「大好きだよ、お兄ちゃん……葉月たちだけのお兄ちゃん……」「……奈月たちだけのお兄ちゃん……」
「うぅっ……、葉月……奈月……くぅぅぅぅっ……!」
 びくんと大きく、太地は腰を突き上げた。
 さらに、びくっびくっと身を震わせて。
 ――びゅるるるっ……!
 白濁した精が勢いよく噴き出し、葉月と奈月の顔に撥ねかかった。
「はぅっ、お兄ちゃん……!」「……ちゃん……!」
 ペニスの先に双子は唇を合わせる。
 迸(ほとばし)る精液を口で受け止めようとしているのだが、ペニスを挟んでキスしているようでもある。
 奔流が収まり、どろりと最後のひとしずくが流れ出したのを、葉月と奈月は仲良く舌で舐め掬い、
「いっぱい出したね……でも、まだまだだよ……一滴も残さず搾り出さなきゃ……」「……出さなきゃ……」
 兄の精液にまみれた顔はそのままに、葉月と奈月は、すっと立ち上がった。
「お兄ちゃん、もう少し腰を前に出して……ズボン脱がせてあげるから」「……あげるから」
「ああ、うん……」
 太地は言われた通り、ソファの上で腰の位置を前にずらす。
 葉月と奈月は無言の連携で、たちまち兄のズボンとトランクスを脱がせた。さらにシャツのボタンも外し、
「上も脱がせるよ。両手、バンザイして」「……して」
 下着のタンクトップまで脱がされて、太地はほとんど丸裸になった。
「裸んぼにソックスだけ……お兄ちゃん、葉月たちとお揃いだね」「……奈月たちとお揃いだね」
 双子の妖精が再び左右から身を寄せてくる。肌が触れ合い、温もりを感じる。
 だが、和んだのはほんの僅かの間。
 なめらかなシルクのロンググローブを着けた指で乳首を転がされ、太地は呻いた。
「……くぅぅぅっ……!」
 射精したばかりのペニスが、ひくひくと震える。
 まだ堅さを喪っていないそれは、萎えることなく再び剛直することになりそうだ。
「でも、手袋はお揃いじゃないね。お兄ちゃんも欲しい、葉月たちと同じの?」「……奈月たちと同じの?」
「葉月と奈月だから似合うんだよ、そんな可愛い手袋は……くぅっ! ああっ……!」
 男の自分が乳首を責められ、声を上げて身悶えている。しかも、実の妹の手によって。
 太地は羞恥心と罪悪感に身も心も震えてしまう。
「……お兄ちゃん、可愛がって……葉月たちのオッパイも……」「……奈月たちのオッパイも……」
 双子の妖精が膨らみかけの愛らしい乳房を兄の眼前に差し出した。
「うん、じゃあ……最初は葉月から。ごめんよ、奈月……」
 ツーテールに白リボンを結んだ奈月に謝りながら、太地は黄色リボンの葉月の乳房に唇を寄せた。
 手を触れてみると、ささやかな見かけの割にやわらかだ。
 桜の蕾に口づける。


340 【魔法の妹ヴァニシング☆ルナ(5)】 sage 2009/08/12(水) 22:09:59 ID:/XwQeyrG
「……はぁぁぁっ……!」
 ぴくんと身を震わせ、感極まった声を上げる葉月。
 太地は愛する妹の肌から唇を離し、もう一人の愛する妹の乳頭へキス。
「待たせてごめんよ、奈月……」
「……はぁぅっ、おにぃ……ちゃん……」
 震える声で歓喜を示す奈月。
 葉月も奈月も、太地にとって心から愛する存在だ。どちらが上、下ということはない。
 それは双子同士における、お互いへの感情でも同様のようだった。
 葉月は奈月を、奈月は葉月を、それぞれ自分自身に等しい存在として尊重し合っている。
 ――なのに。
 彼ら双子と、ふたりにとって姉に当たる美月との関係は、どうして壊れきっているのか……?
「……はうぅっ!?」
 二本の人指し指で尻穴をくすぐられ、太地は悲鳴を上げた。
 葉月が眉根を寄せて怒ったように、奈月は眉の端を困惑気味に下げつつ、
「お兄ちゃん、いま心が葉月たちと一緒になかったよ?」「……奈月たちと一緒になかったよ?」
「そっ……そんなことないよ、ただ、可愛いオッパイにキスしてたらドキドキしちゃって……」
 苦笑いで誤魔化そうとする太地に、双子の妖精は今度は揃って口をとがらせ、
「嘘ついてもわかるよ、葉月たちには」「……奈月たちには」
「うぅっ……、ごめん……」
「悪いお兄ちゃんには罰だよ、お尻から搾り出しちゃうからね」「……からね」
「あ……、待って……!」
 太地は懇願したが、妖精たちは悪戯好きの本性を現したように、くすっと笑って声を揃え、
「「ダダ・・メメ!!」」
「うぅ……赦してくれよ……、それをされると声を上げすぎて喉が枯れちゃうから……」
 情けなさに涙が出そうになる。
 妹たちに尻穴を責められて逝かされるのは、男として兄として、あまりにみじめだ。
「感じすぎちゃうならいいことだよ。お兄ちゃんには枯れるまで精液を出しきってもらうよ」「……もらうよ」
 双子はそれぞれロンググローブをはめた人差し指を舐めた。
「さあ、お兄ちゃん、お股を広げて。それとも金縛りの魔法で無理やり広げる?」「……広げる?」
「うぅぅ……わ、わかったよ……」
 太地は渋々と、自ら両膝を抱えて脚をM字型に広げた。
 男性器も尻穴も妹たちの前に晒す、男として兄として屈辱極まりないポーズ。
 だが、魔法少女である妹たちの言うことに従わなければ、金縛りの術をかけられてしまう。
 そうなれば一切の抵抗を封じられた状態で、もっとみじめな仕打ちを受けることになるだろう。
「いい子だね、お兄ちゃん。すぐに気持ちよくさせてあげるからね」「……からね」
 双子は人差し指を重ね合わせ、太地の尻穴へ突きつけた。
「ひぃっ……!」
 顔を歪めて苦鳴を上げる太地に、妖精たちは、くすくす笑って、
「美月お姉ちゃんに苛められて、お尻は指を何本も呑み込めるようになってるでしょう?」「……でしょう?」
「無理やりされたんだよ! まさか葉月と奈月までお兄ちゃんを苛めたりしないだろう!?」
「苛めじゃないよ愛撫だよ、葉月たちのはね」「……奈月たちのはね」
 尻に力を入れて括約筋を締めようと足掻いたものの、これまで何度もほぐされてきた肛門の抵抗は続かない。
 ぬぷりと、二本重ねた指先が潜り込んできた。
「ぐぅっ……!」
 太地は、ぎゅっと眼をつむる。


341 【魔法の妹ヴァニシング☆ルナ(6)】 sage 2009/08/12(水) 22:10:54 ID:/XwQeyrG
 唇も引き結び、声を上げるのをこらえようとするが、妖精たちが空いている手で左右から乳首に触れてきて、
「ああうっ……!?」
 たまらず太地は喘いだ。
「だっ、だめだよっ……葉月っ、奈月っ! あああああっ……!」
 妖精たちは、さらに兄の乳首に口づけながら、尻穴の中では腸壁をくすぐるように指を曲げ伸ばす。
「お兄ちゃんは葉月たちだけのお兄ちゃんだよ?」「……奈月たちだけのお兄ちゃんだよ?」
「あぁぁ……うぅぅ……」
 つむった眼の端に涙を浮かべて太地は身悶える。
 尻穴を責める指の動きはピストン運動に変わった。最初はゆっくり、次第に早く――
 しかも絶妙の角度に曲げた指の腹は、腸腔に接した男性特有の性感帯――前立腺を確実に刺激している。
「あああっ!? だめっ、葉月っ、奈月っ……そんな激しくっ……!?」
「イッていいよ、お兄ちゃん。何度でもイかせてあげるから」「……あげるから」
「葉月……奈月っ! ああああああああっ!?」
 びくんっと、太地のペニスが大きく震えて。
 ――びゅっ! びゅっびゅっ……!
 再び精が迸り、双子の妖精の美裸身を汚した。
「あぁぁぁぁぁ……!」
 太地は、大きく息を吐く。また妹たちに射精させられてしまった……
 罪悪感で、眼の前が暗くなる。
 そのとき――
 かちゃり、と、音を立て、リビングのドアが開いた。
 びくりっ、と、大きく太地は身を震わせた。
 葉月と奈月も、はっとして戸口を振り返る。
 美月が立っていた。
 赤みを帯びたツーテールの髪。リボンは黒のレース。
 夏物の半袖セーラー服の胸を押し上げる豊かな胸は、妹たちとの二歳差以上のアドバンテージを示している。
 通学鞄を提げた左手には『バブリィメロン』の腕時計。
 そして――凍りついた表情の兄や妹たちとは対照的な、輝くような笑顔。
 その笑顔のまま、しかし細めた眼の奥から射るような視線を妹たちに向け、美月は吐き捨てた。
「……豚がサカってんじゃないわよ」
「……美月お姉ちゃん……」「……ちゃん……」
 葉月と奈月は顔をこわばらせながら、しかし姉から視線を逸らさないまま立ち上がる。
 太地は喉の奥から震える声を絞り出して、ようやく言った。
「……お、おかえり美月……ずいぶん、早かったじゃないか……」
「…………」
 美月は、ぎぎぃっと音を立てそうな、からくり人形じみた動きで太地に顔を向け、
「ただいまっ、お兄ちゃん♪ 早くお兄ちゃんに会いたくて、魔法でひとっ飛びで帰って来たんだよ♪」
 小首をかしげ、にっこりとしてみせる。
「夏休みの補習なんて最悪だよね? 教師どもを『GYAKU★SATSU』しなかった美月の自制心を褒めて褒めて♪」
 そう言っている美月の眼は、相変わらず笑っていないのだが。
 太地は、ぎこちない作り笑いを返し、
「そ、そっか……でも、外で魔法を使うのは母さんに禁止されてるんじゃ……」
「……家の中なら魔法は使い放題ってことかしら、そっちの泥棒豚みたいに?」
 ぎろり、と、美月の視線が再び妹たちに向いた。
 葉月と奈月は蒼ざめた顔で、しかし気丈に姉を睨み返す。


342 【魔法の妹ヴァニシング☆ルナ(7)】 sage 2009/08/12(水) 22:12:08 ID:/XwQeyrG
 慌てて太地はソファから立ち上がり、
「……あ、やっ、やめろよ美月も! 葉月も奈月も……!」
 妹たちの間に割って入ろうとしたが、葉月と奈月に手で制せられた。
「お兄ちゃんは下がっていて」「……いて」
 双子姉妹は美月から視線を逸らさないまま、挑戦状を叩きつけるように、きっぱりと言った。
「きょうこそお姉ちゃんの好きにはさせないよ。《エレクトプリズム》は守り抜くよ」「……抜くよ」
「豚はブーとだけ鳴いてろや」
 美月は笑顔のままに吐き捨てた。そして腕時計を顔の前にかざし、叫ぶ。
「エレクチオン・プリズム・パワー!」
 腕時計が眩く白い光を放ち、
「バインド・アップ!」
 次のかけ声とともに、光が美月の全身を包み込み、太地はたまらず眼を逸らす。
「……わあっ!?」
 やがて光が和らぐと――
 鋭角なハイレッグを尻と股間に喰い込ませ、豊満な乳房は惜しげもなく晒した紅いレザーのボンデージ姿。
 手には黒革の九尾鞭を携えた、魔法少女というより悪の魔女さながらに変身した美月が、そこに立っていた。
 そして、お約束の口上は――
 
   夜空に輝く月は一つ、
   兄照らす月も一つきり。
   その月、雲に翳りし時、
   真実(まこと)の恐怖の幕が開く。
   雲の上の月こそ狂おしく輝く!
   会敵瞬殺! ヴァニシング★ルナ、見参ッ!
 
「……あぁぁぁっ、やめろっよ、やめてくれよ三人ともっ……!」
 太地は再び妹たちの間に割って入ろうとした。
 魔法など使えない、妹たちに身体を弄ばれてばかりの情けない兄である。
 しかし兄である以上、妹同士が争うのを止める責任があるのだ。
 ましてや、争いの原因が自分にあるとすれば……
「……《ホールド・イノセンス》!」
 葉月が兄に向かって右手を差し伸ばし、そこから白い光が放たれ、太地を包み込んだ。
 正確にいえば、太地の腰回りを、だ。
「……わっ!?」
 太地は声を上げたが、苦痛や衝撃はない。
「……葉月!?」
 双子の片割れである奈月にも、葉月の行動は予想外だったようだ。
 美月も笑みを引っ込め、訝しげに眼を眇(すが)める。
 やがて、光が和らぐと――
 太地の腰回りは、白銀色に輝く褌(ふんどし)のようなものに覆われていた。
「わあっ!? なっ、なんだよこれっ……?」
 自分の腰を見下ろして慌てている太地に、
「魔法の貞操帯だよ」
 葉月が説明した。
「お兄ちゃんの《エレクトプリズム》は、これで守れるよ」


343 【魔法の妹ヴァニシング☆ルナ(8)】 sage 2009/08/12(水) 22:13:48 ID:/XwQeyrG
「……はッ、はッ、はァァァァァァァァッはッはッはッはッはッ!」
 美月が哄笑した。
「なるほどッ、豚にしては利口なところを見せたじゃないのさッ!」
「魔法少女が愛する人と同時に絶頂を迎えたときに生まれる魔力の結晶、それが《エレクトプリズム》」
 葉月は美月を見据えて言った。
「それを百粒集めれば、地球生まれの魔法少女でも《月の魔法界》への門(ゲート)を開くことができる」
「ええ、ええ、そうよ。そして、あたしはもう九十九粒集めたわ」
 美月は、くっくっと肩を揺らして笑う。
「あンの糞ババア、そんなルールがあるなんて教えないから、最初はお兄ちゃんに随分とムダ撃ちさせたけど」
「美月お姉ちゃんは、お兄ちゃんを苛めて愉しんでるだけだもの。お姉ちゃんのエッチには愛がないもの!」
 葉月が言うと、美月は嘲り返した。
「オマンチョでエッチもできないお子様は黙りなさい♪ あたしなんかエッチのたびに中出しだもん♪」
 自分の腹を、そこに我が子が宿っているかのように愛おしげに撫でて、
「妊娠しないのが不思議なくらいだわ♪ まあ、子供は《月の魔法界》へ行ってから作ればいいけど♪」
「葉月たちだって、すぐにお兄ちゃんの子供を作れるもん! 魔法少女の成人――十二歳まで半年だもんっ!」
「半年後には、あたしが《月の魔法界》で妊娠六ヶ月よ♪ だって、あと一粒集めればいいんだもん♪」
 美月は、ぺろりと舌なめずりした。
「それがどういう意味か、可哀想な仔豚さんたちは、わかってないみたいだけど?」
「その一粒を守り抜けばいいんだよ! 貞操帯の魔法は強力だもん!」
「そんなもの……術をかけた豚が死ねば、自然と解除されるでしょう?」
「「…………!!」」
 葉月が言葉を失った。奈月も何も言えず、唇を震わせる。
「なっ……!?」
 太地が慌てて、
「なっ、何を言ってるんだよ、美月……!?」
「《月の魔法界》に地球で犯した罪は及ばない。地球で豚を何匹殺そうが、《月の魔法界》では無罪ってこと」
 美月は太地に向かって、にっこりと笑ってみせた。
「ちなみに兄と妹の結婚も《月の魔法界》では合法だから安心してね、お兄ちゃん♪」
「そんな……そんな、僕は兄妹で結婚なんてしないぞ!」
 太地は叫ぶが、美月は笑顔で首を振り、
「《月》では魔力のない人間に拒否権はないんだよ。あたしが結婚すると決めれば、結婚は成立するの♪」
「そんなことさせない! お兄ちゃんはどこにも行かせない!」
 葉月が叫んだ。
「たとえ結婚できなくたって……お兄ちゃんと葉月たちは、この地球で幸せになるんだから!」
「あっそ。じゃあ、逝(い)ね」
 美月が九尾鞭を握った手を無造作に振るった。
「――《ギニィ・ピッグ》!」
 途端。
 どす黒く、禍々しい霧のようなものが現れ、たちまち葉月を呑み込んだ。
「……葉月!?」
 奈月が悲鳴を上げる。
「あっ、ぐぁっ……ぐむォォォォォォォォォッ!?」
 葉月の愛らしい声が、姿かたちが、たちまちおぞましいものに変質した。
 口は裂け、鼻は大きく膨らむとともに先端が潰れ、頭も膨張する一方、手足は縮こまっていく。
 それは、美月が何度も彼女をそう呼んだモノの姿――すなわち、「豚」。


344 【魔法の妹ヴァニシング☆ルナ(9)】 sage 2009/08/12(水) 22:15:10 ID:/XwQeyrG
 やがて黒い霧が薄らいだ。
 醜い家禽に変わり果てた葉月は、その場にうずくまって身を震わせ、眼から涙を溢れさせた。
「グフェッ、グフェッ、グフェェェェェェ……ッ!」
「葉月ッ……!!」
 奈月が双子の姉妹に覆いかぶさるようにして、その姿を兄の眼から隠そうとする。
「お兄ちゃん! 見ないであげて!」
「そいつは、ただの魔法なんかじゃないわ。《呪い》よ!」
 美月が勝ち誇ったように言った。
「つまり、あたしを殺したところで元の姿には戻らない。あたしが解除しない限りはね!」
 太地に微笑みかけて、
「まっ、ぶち殺してやってもよかったんだけど……お兄ちゃんの見てる前で、それもどうかと思って♪」
「あ……あんまりだよ、こんなっ!! 元に戻してやってくれよっ!!」
 太地は喚いたが、美月は笑顔で首を振り、
「殺さなかっただけで大サービスよ♪ 豚が一匹、どうなろうがお兄ちゃんは気にしちゃダメ♪」
「美月っ! お願いだから……!」
 太地は両手を合わせ、二歳下の妹の前で膝をついた。
 それがどんなに無様で滑稽なことか自分でもわかっている。だが、葉月を助けるために必死なのだ。
 すると、にこにこ笑顔のままで美月が言った。
「じゃあね、美月の前で、オナニーして見せて♪ 『美月たん大好き、ハァハァ』って喘ぎながら♪」
「えっ……」
 太地の顎が、かくんと落ちた。
「そっ、そんなこと、できるわけ……」
「できない? ああ、そっか貞操帯が邪魔なのね。そんなもの、こうすれば」
 美月は九尾鞭を軽く振るった。
「痛ッ……!?」
 ぺちんっ、と、鞭が当たった瞬間、太地の腰を覆う魔法の褌が消滅した。
 萎えたペニスが露出して、太地は慌てて股間を隠す。
「わあっ……!?」
「そんな……、奈月たちの魔法をあっさり無効化……?」
 奈月が愕然として声を上げ、豚に変貌した葉月も哀しげに哭く。
「グムォォォォォ……!」
「いままでは遊び半分で相手してあげてただけよ」
 美月は、奈月と葉月に向かって、にっこりと笑ってみせた。
「ママを油断させるためにもね。あたしの魔法の実力を知ったら、ママだって警戒するでしょう?」
「奈月たちでは、最初から勝てなかったの……?」
「勝てるつもりでいたの? 豚の分際で、図々しい」
 美月は、くすくすと笑い、
「でも、これで《エレクトプリズム》が揃えば地球とオサラバ。もう、ママにも手出しできない世界へ……」
「――その台詞は敗北フラグよ、美月ちゃん☆」
 戸口から声が聞こえて、美月と奈月、豚に変貌した葉月、それに太地は振り向いた。
 魔法少女――と呼ぶには年齢に難があるが、ともかく変身した姿の卯月が、そこに立っていた。
 メロンサイズの豊乳の谷間を強調する襟ぐりの深い純白のドレス姿。
 その裾は際どくも短く、すらりと長い美脚を強調している。
 足元は白いブーツ。同じく白のロンググローブをはめた手には、宝石を散りばめた魔法の杖を握っている。
 普段はロングの金色の髪は、変身したいまは娘たちと同様のツーテールだ。


345 【魔法の妹ヴァニシング☆ルナ(10)】 sage 2009/08/12(水) 22:16:28 ID:/XwQeyrG
 救いなのは、卯月が(魔法の効力であろうか)見た目は二十代半ばであることだ。
 とはいえ、コスプレみたいな魔法少女の姿は、スタイル抜群であるだけにむしろ痛々しい。
 救世主として現れた筈の母親に対して、そんな感想を抱いてしまう太地は罰当たりだろうか。
 でも、何度見ても実母の魔法少女姿は受け入れがたいのである……
「……ママッ!?」
 美月が愕然として声を上げた。
「し……仕事はどうしたの!?」
「休憩時間に魔法でひとっ飛び☆ 子供たちのピンチを見過ごすわけにいかないものね☆」
 卯月は言って、にっこりとする。
「《エレクトプリズム》をあと一粒まで集めた美月ちゃんが、きっと何かやらかすだろうと思ったから☆」
「そ……そっか」
 美月は笑顔をひきつらせ、しかしすぐに余裕を取り戻して、にやりと笑った。
「でも遅かったわね。葉月には呪いをかけたあとよ」
「解いて☆」
 にっこり笑って卯月が言い、美月は、「……は?」と訊き返す。
「あたしに命令? ママもわかってるでしょ、あたしの魔法の実力」
「そうね。正面からガチでやり合ったら、ママも勝てるかどうかわからない」
「でしょ? だったら、あたしに命令なんて筋違い……」
「でも解いてあげて、葉月ちゃんにかけた呪い☆」
「今度はお願いのつもり? 態度がなってないわね。このあたしにモノを頼むなら……」
「解いてくれなきゃ、お兄ちゃんを呪っちゃうわよ? えいっ☆」
 卯月が杖を振り、そこから飛んだ光の球が太地を撃った。
「……わあっ!?」
 太地が尻もちをつき、
「……お兄ちゃんっ!?」「……グムォッ!?」
 奈月と、豚に変貌した葉月が声を上げる。
「「……うそ……?」」
 美月と、我が身を見下ろす太地も声を揃えた。
 太地は葉月と――あるいは奈月とそっくりな姿に変身させられていた。しかも裸のままである。
 彼自身には見えていないが、髪のリボンは水色だ。
「……わああああっ!?」
 慌てて太地は、胸と股間を隠した。女の――しかも幼い妹の裸身なんて、いまの状況では眼の毒でしかない。
 美月が母親を睨みつけて喚いた。
「なッ……何のつもりよッ、糞ババアッ!?」
「ババアとは失礼だわ。十七歳と七十二ヶ月のママに向かって」
 卯月は、くすくす笑って、
「だから《呪い》よ。誰かさんが《エレクトプリズム》を手に入れられないようにするための」
「……ママ、十七歳に七十二ヶ月を足しても計算が合わないけど……」
 奈月がぽつりと言ったのは皆、聞き流す。
 太地が、はっと気づいたように、
「そ……そうか! 僕が女になれば、美月に《エレクトプリズム》を奪われることはない!」
「女になっただけでは意味ないんだけどね。女同士でも愛さえあれば《エレクトプリズム》は生まれるから」
「えっ!? それじゃ、いったい……」
「葉月ちゃんたちの姿ということに意味があるのよ」
 卯月は言って、にっこりとした。


346 【魔法の妹ヴァニシング☆ルナ(11)】 sage 2009/08/12(水) 22:17:58 ID:/XwQeyrG
「美月ちゃんが心底憎んでいる妹の姿。中身はお兄ちゃんだとわかっても、愛することができるかしら?」
「元にッ……元に戻してッ!! お兄ちゃんをお兄ちゃんの姿にッ!!」
 喚く美月に、卯月は鷹揚な笑みで答えて言った。
「それはこっちの台詞よ。葉月ちゃんを元の姿に戻してあげなさい」
「そっちが先よッ!!」
「じゃ、交渉決裂ね。葉月ちゃんは呪いの上書きで人間の姿に戻すし、お兄ちゃんは可愛いお兄ちゃんのまま」
「呪いの上書きッ!? そんなことがッ……!?」
「《月の魔法界》に伝わる秘術があるのよ。ちょっぴり手間がかかるけど」
 卯月は、にっこりとしてみせる。
「美月ちゃんの魔力は相当なものだけど経験不足。ママに喧嘩を売るのは三年と七十二ヶ月早いわ」
「ギィィィィィィィィッ!!」
 美月は九尾鞭に噛みついて地団駄踏んだ。
「糞ババアッ!! 舐めやがってッ!!」
「舐めてないからガチでは喧嘩しないで知恵を使ったんじゃない?」
 卯月は、くすくすと笑う。
「さあ、わかったら葉月ちゃんを元の姿に戻しなさい」
「そしたらお兄ちゃんも元に戻すのッ!?」
「ええ。いまの可愛い姿でもママは困らないけど、お兄ちゃんはいろいろ不便でしょうから」
「……不便というか、その……」
 妖精のような美幼女の姿になった太地は、胸と股間を隠したまま真っ赤な顔で、
「……困るよ……」
「お兄ちゃんが元に戻ったらッ、《エレクトプリズム》は貰うわよッ!」
 喚く美月に、奈月が呆れて、
「往生際が悪いよ、美月お姉ちゃん……」
「美月ちゃんの好きにするといいわ」
 しかし、あっさりと卯月が言って、太地と奈月、それに豚に変貌した葉月は愕然とした。
「なっ……!?」「ママ、なんで……!?」「グムォッ……!?」
「仕方ないでしょ。娘とガチで喧嘩して共倒れなんて、ママ、嫌だもの」
 卯月は言って、肩をすくめてみせる。
「ママはもう、ママひとりの身体じゃないし」
「えっ……それって、ママ……?」
 訊き返す奈月に、卯月は頷いて、
「葉月ちゃんと奈月ちゃんに弟ができるの。しかも双子よ、きのう検査を受けてわかったわ」
「奈月たちの弟……?」
「ええ、そう」
「生まれたら、お風呂に入れてあげていい?」
「ええ、お願いするわ」
「ミルクを飲ませてあげていい?」
「ええ」
「幼稚園に通うようになったら送り迎えしてあげても?」
「もちろんいいわ」
「小学校の授業参観も奈月たちが出てもいい?」
「構わないわよ」
「悪い虫がつかないように、幼稚園から私立の男子校に通わせても? 奈月たちがお受験の特訓するから」
「いいわよ。学費の心配はいらないわ。ママがしっかり稼ぐから」


347 【魔法の妹ヴァニシング☆ルナ(12)】 sage 2009/08/12(水) 22:24:50 ID:/XwQeyrG
「弟たちが大きくなっても、ずっと一緒にお風呂に入っても? 寝るのも一緒のベッドでもいい?」
「そんなの嫌だなんて言われないように、ちゃんと自分たちで躾けてね」
「弟たちが、もっと大きくなったら、奈月たちのお婿さんにしてもいい……?」
「そのときは《月の魔法界》で結婚式を挙げましょうね」
 卯月は言って、にっこりとした。
「だから、太地お兄ちゃんのことは美月ちゃんに任せなさい」
「…………、うん……」
 こくりと奈月が頷いて、太地は愕然とした。
「ええええええっ!? 母さんっ、なに言ってんだよっ!?」
「仕方ないでしょ。家族みんなが幸せになるには、これが一番なんだから」
 卯月は、にこにこしながら言う。
「それとも、おなかに赤ちゃんのいるママを美月ちゃんとガチで喧嘩させようっての?」
「僕はどうなるんだよっ!? 美月に無理やりエレクト何とかを奪われて、《月》に連れて行かれるんだっ!!」
「でも気持ちいい思いはしてるんでしょ? だから《エレクトプリズム》も生まれるんだもの」
「気持ちいいって……無理やりだよっ!! しかも実の妹にっ!!」
「あのね、太地」
 卯月は穏やかな笑顔で息子に言い聞かせた。
「無理やりも糞も妹全員とヤりまくってブッかけまくったんだろ? 一人くらいは責任とっとけや、バカ息子」
「ばっ……バカって僕は……!!」
「妹に無理やりエッチされるのが嫌ならチンポ切り落とすなり頸くくるなりケジメつけろやッ、おおッ!?」
 あくまで笑顔のままで卯月は凄む。
「毎晩、妹相手に抜いて次の日の朝は何食わぬ顔でパパとママにオハヨウゴザイマス? 舐めんな糞ガキッ!!
 イカ臭ぇパンツを洗濯機に放り込んどいて何もバレてねぇと思ってんのかッ!?」
「イカってそれは、僕の意志じゃなくて、だから無理やり……!!」
「もういい。いまからテメェを男の姿に戻す。男に戻してその腐れチンポぶった斬る!」
 卯月は魔法の杖を振り上げた。笑顔のままだが眼は笑っていない。
 太地は足がすくんで逃げることができない。
 すでにまだ見ぬ弟へ心変わりしている奈月と葉月(豚の姿)は動こうとしない。
 太地をかばったのは美月だった。卯月と太地の間に割って入って、叫んだ。
「やッ……やめてよママッ! お兄ちゃんには、あたしが責任をとらせるからッ!!」
「あんた、それでいいの? さんざんいい思いしといて、いざとなれば実の妹は嫌だとかほざくヘタレ兄貴だ」
「それでも……それでも、あたしはお兄ちゃんが好きだもん! 愛してるんだもん!」
「腐れチンポ息子はッ!? 太地ッ、あんたはどうするんだッ!?」
「ぼ……僕はっ……!」
「お兄ちゃん、あたしを選んで! あたしと一緒に《月》で幸せになろう……ね?」
 美月が太地を振り返り、潤んだ瞳で微笑みかけてくる。
 兄を愛するあまりに暴走することもある美月だが、それでも兄への愛は本物なのだ。
 太地は、ためらいながら……しかし、こくりと頷いた。
「う……、うん……」
 世間の常識的にはここで頷いてしまうほうがヘタレなのだが、この家族に常識は通用しない。
「……決まり、ね」
 卯月は魔法の杖を下ろした。そして笑顔はそのままで、ころっと元通りの口調になって、
「じゃあ、美月ちゃん。まずは葉月ちゃんを元の姿に戻してくれる?」
「あ、うん……」
 美月は頷くと、九尾鞭を振り上げ、ばしんっと地面に叩きつけた。


348 【魔法の妹ヴァニシング☆ルナ(13)】 sage 2009/08/12(水) 22:27:30 ID:/XwQeyrG
 すると、豚に変貌した葉月の全身から黒い霧が立ち上り、再びその姿が変化を始める。
 元通りの愛らしい妖精の姿へ――
「……葉月!」
 元の姿に戻った葉月に、奈月が抱きついた。
「奈月たちに弟ができるんだよ!」
「うん、うん! 聞いてたよ、奈月!」
 葉月は笑顔で奈月と抱き合い、ぴょんぴょんと二人で飛び跳ねる。
「弟だよ弟! 葉月たちに……!」「……奈月たちに……!」「「可愛い弟ができるんだ!!」」
 その様子を見た卯月は、満足そうに頷いて、
「葉月ちゃんたちは、これでよし、と。あとは美月ちゃん」
 美月に視線を戻し、
「お兄ちゃんとの《エレクトプリズム》の最後の一粒、しっかり手に入れるのよ。結婚式にはママも呼んでね」
「うん……ありがとう、ママ」
 美月は笑顔で頷き、そして頭を下げた。
「その……酷いこと言って、ごめんなさい」
「いいわよ。だってママ、まだ十七歳と七十二ヶ月よ? まだ全然、年齢のことなんて気にしてない」
「いやその七十二ヶ月って言い方自体がすでに気にしていやなんでもないですゴメンナサイ」
 美月は頭を下げておく。卯月の細めた眼から笑いの気配が消えたから。
 卯月は魔法の杖を太地に向けた。
「それじゃ、お兄ちゃんを元に戻すわ」
 杖から光の球が飛んで太地を撃つ。太地は元通りの姿に戻った。
 裸で靴下だけ履いているところまで元のままだ。
 自分の姿におかしなところがないか、きょろきょろと見回して――はっと気づいて、股間を隠す。
「わあっ!?」
 母親と美月がそばにいることを思い出したのだ。
 葉月と奈月もいるけど、二人はすでに兄のことなど気にしていない。
 卯月は、くすくすと笑って、
「そんなに慌てて隠さなくても、ママは息子の裸なんて興味ないわよ」
「ママはパパ一筋だもんね? これでまた双子が生まれたら、六人の子持ち?」
 美月が言って、卯月は笑って頷く。
「子供は天からの授かりもの、夫婦の愛の結晶よ。子だくさんで悪いことなんてないわ」
「美月もママみたいにいっぱい、子供を作りたい」
「作ればいいじゃない。お兄ちゃんに頑張ってもらって」
「……兄妹でそれは問題だとわ誰も思わないんですかそうですか……」
 太地が呟くと、卯月は笑顔のまま小首をかしげ、
「何が問題なの? ママは《月の魔法界》から来た魔法少女、お兄ちゃんと美月ちゃんはその子供よ?」
「……はいすいません愚問でした《月》では兄妹で結婚できるんですよねそうでしたよね……」
「わかっていればいいの」
 卯月は、にっこりとした。
「それじゃ、ママは仕事に戻るわ。葉月ちゃんと奈月ちゃんも連れて行くから、美月ちゃんは……」
「うん。お兄ちゃんと一緒に《エレクトプリズム》を……」
「《月の魔法界》へ行っても元気でね。何度も言うけど、結婚式には、ちゃんと呼んでね?」
 そして卯月は、葉月と奈月を伴って出かけて行った。
 太地が地球の空を見るのは、この日が最後になった。
【終わり】

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最終更新:2009年08月20日 19:49
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