647 99 sage 2009/09/27(日) 17:51:00 ID:5SYwWUf0
よし、気を取りなおそう。
ここで手をこまねいていては手遅れになる。
初動でカタをつけないと拙いことは、頭の悪い俺でも容易に理解できる。
というわけで、いつまでも困惑して立ち尽くしているわけにはいかない。
先ほど時間を確認したが、三時半ごろだった。間違いなく午後のテストはサボったようだ。
妹が帰宅するまであと二時間ほどだろう。
早速だが、パソコンを起動させて情報収集だ。対処法を考える。
世の中にはGoogle先生という便利なお方が存在する。
適当なワードで探せばそれらしい話題が幾つか見つかるはずだ・・・
そうして二時間ほど情報を集めつつ説得する方法を考えていると、下から鍵音が聞こえた。
玄関のドアが開く音、廊下を歩く足音、ギシギシと階段が軋む音・・・
間違いない、妹だ。両親の帰宅は午後10時ごろが普通だ。だから、間違いない。
いつもと違って音楽も流していない静かな家では、二階の寝室に上がって来ているのがよくわかる。
気がつくと緊張で息が荒くなっていた。この三十秒あまりの時間で手が汗ばんでいる。
そうこう考えるうちに足音が止まった。明らかにこの部屋の扉の前で。
そして…
「兄さん、入るよ?」
ノックもなしに扉が開けられる。
いつものように入ってきた妹は入り口そばのベッドに腰掛けると、いきなり確信的なところを突いてくる。
「それで、兄さんはボクの妊娠を認めてくれる気にはなったかい?」
予想はしていたが、さすがにこうも前置きもなく言われると動揺せざるをえない。
息が更にあがる。手も心なしかプルプルと震えているようにさえ思える。
動揺を悟られないように一息おいて、もう一度確認する。
「……確認する。本当はピル飲んでいたとか、そんなオチは無いんだな?」
まずい。声が震える。どうやら俺には隠し切れないらしい。
というか、この状況で平然と話していられる妹のほうがどうかと思う。少なくとも俺は。
「実は用意してはいた。だけど、ボクは兄さんがそういうつもりで中に出してくれたと思っていたから…
兄さんの望みを叶えてあげたいと思って飲まなかった。今にして思えば、確認をしなかったボクも悪かったね。
兄さんの子供をボクの子宮で孕むんだって考える精神的充足に抗うことができなかったという理由もある。
でも、ボクが勘違いしてなければ、いまごろそのオチを発表したと思うね。」
改めて聞くと落ち込む。心臓を万力で潰されているような重圧だ。
こんなことになるんだったら保険の授業を真面目に受けとくべきだった。
仕方が無い、あまりにつらい台詞だが…俺のためにも妹のためにも、これしかない。
「いいか、落ち着いて聞け・・・」
妹の肩に両手を乗せ正面から目を見据える。
俺の手は激しく震えていた。さっきは気のせいだと思ったが、こうして見ると明らかだ。
言うしか無い。言うしか無いんだ。俺は一呼吸おいて一気に叫ぶ。
「すまない、堕胎してくれ!」
言った。ついに言ってしまった。
先ほどまで真摯な目で俺を見つめていた妹の顔が明らかに歪む。
そう悲しそうな目をしないでくれ。俺が重罪を犯したかのような気になってしまう。
「ははははは。兄さん、それはないだろう。」
妹は意外にも笑いながら、しかし今にも涙を流しそうな声で言った。
いや、流しそうなではなく実際に流しているのだ。
小学校に上がってから感情を大きく出さなくなった妹の涙は、俺の心を動かすには十分だった。
しかし、ここで引くわけにはいかない。そうでなければ、互いに不幸になるしかない。
648 99 sage 2009/09/27(日) 17:52:17 ID:5SYwWUf0
正直、俺は妹の悪役のような引き笑いは好きではないのだが、今回ばかりは多少救われる。
「兄さん、だって、だってだよ、兄さんとボクの遺伝子を受け継いだ子供をだよ殺せって、そういうことだよ?」
一応、前もってある程度の応答を考えておいてあってよかった。これにはこうこたえることにしていた。
「最大でも妊娠四週目。発生においてまだ神経系ができるかどうかってところだろう。
今ならまだ人間未満の存在だ。細胞の塊を摘出するだけと同じだ。」
医学的には間違っているかもしれないが、倫理面からの抵抗を少しでも減じることができるなら有効だろう。
この言葉を出せただけでも、付け焼刃でも調べた価値はある。
だが、妹はなおも食い下がる。
「でも、機会損失って考え方もある。それはいずれ子供になるんだ。それを潰してしまえば、生まれるはずだった子供を殺すのと同様だろう?
もしかしたら非論理的かもしれない。でも、論理とかそういう問題じゃないじゃないか。」
後半の言葉になると、もはや涙でマトモに発音できていない。
正直、心を動かされる。だが、俺は追い討ちをかけねばならない。未来のために。
「それを言えば、精子だって子供になる可能性があったんだ。でも、自慰でそれを捨てるのに誰も躊躇したりしないだろ。」
「いや、その理屈はおかしい。だって…いや、そうだね…
論理でボクが勝とうが負けようが、兄さんは認めてくれるつもりはないんだね。」
後半の諦めが入った言葉が罪悪感を感じさせると共に、もうすぐだと説得の成功を予感させる。
よし、このまま攻めれば大丈夫だ。
「そうだ。現実を見ろよ。生徒が妊娠したとなれば、学校だって何らかの処分をするはずだ。
この世の中、高校中退じゃたぶんツライぞ。オレだってそれは嫌だ。」
そうだ。自惚れかも知れないが、妹は自分のことよりオレのことを優先してくれるはずだ。
ならば、オレが不幸になるという路線で攻めればこれも効果があるだろう。
「わかったよ。よくよく考えればボクが愚かだった。本当に・・・愚かだった。」
勝った。何とか説得は成功したが・・・素直に喜ぶことはできない。
よくみれば、いや一目でわかるほど光が失われた目を見ると罪悪感が湧き出る。
そういえば中学のこいつがイジメられていた頃はこんな目をして帰ってくることがあった。
これが絶望に打ちひしがれた目なんだろうか?自分はそういう経験がないのでわからない。
「でも、そういえばまだ妊娠が確定してたわけじゃない。検査薬を使ってから相談をやり直さないかい?」
声が少し引きつってる。たぶん咽び泣きそうなところを、どうにか出した声なのだろう。
…だがそれもそうだ。そういえば妊娠している前提で話をしていたが、まだ確定したわけではない。
ただの杞憂だった可能性すら出てくるのだ。絶望の中に幽かな光が差し込む。
「そうか。じゃぁ薬局に行って買ってくる。待っててくれるか?」
こう聞くと、妹は少し逡巡するように顔を上げると、うなずくことで答えた。
それを確認すると一目散に玄関に向けて走った。
あの部屋の空気に耐えられそうに無い。
それに、薬局で買い物して説明とかを受けたりすれば気分が和らぐとも思った。
そんなこんなで自転車で近所の薬局まで来たわけだ。
道中はこれまでのことについていろいろ思考をめぐらせていた。
妊娠していなければそれに越したことはない。すべて解決だ。
だが、検査で陽性になってしまった場合は非常に困る。
一応、中絶することで話はついたが、口で言うほど簡単ではないらしい。
中絶についてもさっき調べた。
ネットでチラッと見ただけの情報だが、母体保護法とやらによると中絶できるのは妊娠22週までらしい。
649 99 sage 2009/09/27(日) 17:55:24 ID:5SYwWUf0
これはまぁクリアしてるだろ。もし一発目でヒットしてたとしてもまだ5週目にもない。
だが、問題はやり方だ。
薬局で変えるような薬で中絶できるなら簡単だったんだが…そううまい方法はないらしい。
海外なら個人で服用できる薬もあるらしいが、日本では規制されてるそうだ。
それ以外の方法では医療器具で子宮口を開いて胎児をアレしてしまう方法らしいけれど。
どう考えても医者の仕事になってしまう。。そうすると、産婦人科に行かねばならないだろう。
だが、費用の問題はともかく高校生が親を連れずに中絶手術を受けてだ
果たして病院が黙ってすんなりと手術してくれるんだろうか?
そんなことを考えて買い物をしてると、目当ての妊娠検査薬を見つけた。
店員を呼んで使い方を聞いてみる。
さて、聞いてみたところすぐすぐとはいかないらしい。
どうやら探知には受精してから数週間の間が必要らしいのだ。
ということは、最後にいたしたのは二日前だからしばらく待たねばなるまい。
早期検査薬と通常検査薬の両方を買ってきた。
この数週間待たねばならんってのが未来を不安にさせる。
まず、どんなふうに妹に接してやればいいんだ。
こんなことになってしまっては、いつも通りってのは可能なのか?
それにその間は陽性か陰性かが気になって仕方がないだろう。
そして最大の問題は、俺が性欲を抑えきれるかどうかだ。
あの一ヶ月間で俺は妹の宣言どおりに調教されてしまった。
多分、こちらが求めればアイツは拒まないと思う。
だからこそ俺は我慢できるんだろうか?
あの柔らかい唇を。心地よい安らぎと激しい興奮を与えるあの胸を。
俺の一挙一動に反応して上げる悦びの歌を。
肉ヒダの一枚一枚がねっとりと俺のモノを咥えこみ精液をねだる膣を。
思い出すと不覚にも激しく勃起してしまった。
これを自慰なんかで処理してしまうなんてもう考えられらない。
膣内だ。子宮口に叩きつけるように精液を吐き出すしかあり得ない。
アイツは子宮口をコツンコツンと突き上げてやると何度も絶頂して痙攣するんだ。
そうやってから形がいい尻を鷲掴みにして引き寄せ、ペニスを可能な限り深く挿して射精が必殺パターンだ。
快楽の涙を流して失禁する姿が本当に美しい。
不思議と俺も萎えることが無く射精直後の敏感なペニスで極上の締め付けを堪能できる。
妙なことを考えるんじゃなかった。フェラをしてもらうとかダメだろうか。
本番は無理だから妹のアナルの開発でもしてみるか。
そんなことを考えつつ家に帰ると奇妙な光景が目に入った。
玄関には微笑を浮かべた妹と同じく笑顔で模造刀を持った母がいた。
脳が一瞬のあいだフリーズするも母の一言で現実に引き戻される。
「ちょっと、頭冷やそうか?」
やさしい微笑みから放たれたとは信じられないほど冷たい声だった。
最終更新:2009年09月28日 20:14