血は争えない

746 血は争えない New! 2009/10/05(月) 12:13:59 ID:Gck+QvAt
ガチャン
あ、帰ってきた。
「なんだまた来てたのかよ。テスト近いんだから勉強しろよー?」
今、私はお兄ちゃんのアパートに学校帰りにいつものように入りこんでゲームをしている。お兄ちゃんが最近買ってきたやつなんだけど私のほうがハマっちゃってるの、なぁんてのは嘘。お兄ちゃんにはそう言ってここに来る口実にしてる。
「ベットにねっころがるなよ。座ってやれ。」
『別にいいじゃん。男くさい布団に乙女の香りがついて兄貴嬉しいでしょ?』
昔は「お兄ちゃん」って呼んでたのだけど最近は照れくさくて「兄貴」って呼んでる。昔中学の時、友達に「今どきお兄ちゃんなんて呼んでるなんてブラコンだよぉ?」なんて言われてからぐらいかもしれない。まぁ私はブラコンなんかではないのだけれど。寧ろそれ以上。
『はぁ!?嬉しくねぇし……。つかパンツ見えてるぞ。』
「変態……。最低。」
ううん。ごめんねお兄ちゃん。見せてるのよ。
『そんな格好でうつぶせんなってたら見えるっつうの。』
うふ、お兄ちゃん顔はそらしてもチラチラこっち見てるのテレビ画面に映ってるよ。だってお兄ちゃんの好きな縞々パンツだもんね。もっと見ていいのよ?
「兄貴、お腹減った。なんか作ってぇ?」
『何言ってんだよ。冷蔵庫にはなんもねえぞ。いつもコンビニだからな。』
やっぱりそんな偏った食事ばっかしてる。でもそれが嬉しかったり。
「うわぁ、そんなんじゃ早死にするよ~?……仕方ないなぁ。お金ちょうだい。ちょっと食材買ってくるから。」
『別にいいよ。それよりもう帰れよ。』
「私が晩御飯作ってあげるから。ね?分かったら早く!」



747 血は争えない New! 2009/10/05(月) 12:18:30 ID:Gck+QvAt
『あぁ。んじゃ俺も行くよ……。』
やったぁ。お兄ちゃんとお買い物!


『結構買ったな。しかも野菜ばっかりかよ。』
「これが普通なの。ほぉら、兄貴また腰細くなってない?」
そういってお兄ちゃんの腰に抱き着く様に手を伸ばす。
『うわっ、なんだよ。いきなり。』
えへへ、ドキドキしたでしょ?お兄ちゃん?
「ちゃんと食べないから。こんなひ弱そうな体じゃモテないよ?」
『うるせー。いいから晩飯作ろうぜ。俺でも作れそうなのなんか教えてくれよ。』
私今お兄ちゃんに頼られてる!嬉しいなぁ


『すげえな。一時間でこんな沢山作れるなんて。やっぱ美咲は母さんの娘だな。』
美咲、私の名前。因みに苗字は三枝。お母さんには嫁入り修業よ、とか言われて料理を半強制的に教えられた。最初は面倒臭かったけど今お兄ちゃんに褒められたからお母さんには感謝ね。
「兄貴もお母さんの息子なんだから料理くらい覚えなさいよ。」
『いや無理だよ、美咲には敵わないって。めっちゃ美味いよこれ。』
「当然でしょ、私が作ったんだから。」
やった!!お兄ちゃんに私の料理美味しいって褒められた!!
『いやぁ、もうお前いつでも嫁に行けるな。』
「は!?何それ!?結婚なんかしないし!」
もう!お兄ちゃん、ほんとデリカシーない!!!それって今私が他の男に貰われてもいいってことじゃん!……何よ。普通「美咲みたいなお嫁さんが欲しいなぁ」とか言うべきでしょ。こういうとこほんと鈍感。
『えっ、すまん。なんか気に障る様な事言ったか?』
「ううん。別に。はぁ~もう外真っ暗だね。」
『あ、ああ。家まで一人じゃ危ないだろ?送ってくか?』
送ってくか?だって。お兄ちゃんはやっぱり優しい。私の、美咲の事女の子だからちゃんと心配してくれるんだ。嬉しいよ。……でもそれじゃあまだ正解じゃないのよね。



748 血は争えない New! 2009/10/05(月) 12:20:04 ID:Gck+QvAt
「えぇ~もう遅いし帰るのめんどいし~。今日は泊まるよ。」
我ながら大胆。
『はぁ!?何言ってんだよ!?明日学校どうすんだよ!?』
「明日は創立記念日で休みだよ。兄貴も卒業生なんだから覚えてるでしょ?
お兄ちゃんとは二つ歳が離れてる。だから中学も高校も一年しか同じ学校にいられない。その点小学校はよかった。四年間毎日一緒に手を繋いで通学したのは今でも愛する人とのよき思い出。
『そういやあこの時期だったな。でも俺明日大学あんだけど?』
「それがなによ、別に私は兄貴が学校行ったら勝手に帰るから、気にしないでいいわよ?」
『ん……まあ、いいか。じゃあ先にシャワー入って来ていいぞ。』
「へっ!?え、ああ、うん……。入ってくる……。覗くなよぉ?」
『誰が覗くか!ほれ行ってこい。』

シャー
シャワー先に入ってこい、なんて急に言われちゃって驚いちゃった……。お兄ちゃんは普通に発した言葉だったろうけど私にはそういう意味に取れるんだからね……。はぅ……まだ顔赤いかも。

「あがったわよ。次兄貴どうぞ。」
『おお。美咲なんかやけに顔赤くね?のぼせたか??』
「うっ、うるさいわね!いいから入ってきなさいよ!」

はあ、まだ顔赤かったかぁ……。もう!お兄ちゃんのせいなんだから!

『つか母さん達に俺んとこ泊まるって連絡したか?』
「あ、忘れてた……。」
『じゃあ早く連絡しとけよ。心配するぞ。んじゃ俺は風呂入ってくるよ。』
「うん。」
さて、家に電話しなきゃ。
プルルプルル
「あ、もしもし?美咲だよ。お父さん?」
父「ああそうだよ……。今、友紀人のとこだろ?」
友紀人(ゆきと)、お兄ちゃんの名前。ステキな名前だよね。
「え?なんで知ってるの?私言ったっけ?」
父「え、ああ、いや母さんが、いやなんでもないぞ!こんな時間だからどうせ友紀人のとこだろうと思ったんだ。」
「そう……。私今日は兄貴んとこに泊まるから。」
父「ああ、わかったよ。それじゃ頑張りなさい。」
プープープー
何を頑張るのかしら。それにお父さん、なんだか様子がおかしかった様な。まあいいか。あ、お兄ちゃん出てきた。


『よし寝るか。んじゃお前ベット使え。俺は床に布団敷いて寝るから。』
「え、別にそんな事しなくてもいいわよ。……いっ、一緒にベットで寝ればいいじゃない!」
うわぁ……これは我ながら大胆過ぎるわね。でもさすがのお兄ちゃんもドッキリするかな??
『まあそうだな。布団敷くスペース確保するのめんどいし二人でベットで寝るか。』
「そうね……」
至って平常。なんかムカつく。




749 血は争えない New! 2009/10/05(月) 12:21:41 ID:Gck+QvAt
『二人で一緒に寝るとか何年ぶりだろうな。』
「さあ、7、8年ぶりじゃない?」
『そういやあ、俺と美咲が個室になった時最初のころは「一人じゃ寂しいからお兄ちゃんと寝たい」とか夜に俺の部屋来てたよな。』
「うっ、うるさいなぁ!もう!そんなくだらない事忘れなさいよ!」
そう、お互い個室が与えられたすぐは夜寂しくて寂しくていつもお兄ちゃんの布団に潜りこんでいた。
……今考えると私はあの頃から、いやもっと前からお兄ちゃんのことが好きだったんだ。
「兄貴、覚えてる?」
『うん?』
「私がまだ小学校低学年の時にクラスの男子達に靴取られて泣いてた時、兄貴が私のクラスに飛び込んで来て私をいじめてた男子達を殴って泣かせた事。」
当時私は男子達から意地悪されてばかりだった。今思えばあれは気のある娘にちょっかいを出したくなる子供特有のあれだったのだろう。しかし当時の私はそんなこと知るよしもなく、本当に嫌だった。
そんな私の事を心配してお兄ちゃんがクラスの男子達を懲らしめてくれたのだ。そのあとお兄ちゃんは先生達にすごく叱られてたけど、その時からお兄ちゃんは私にとってヒーローだったのだ。
「私ね、あの時ほんとに嬉しかったよ。美咲は兄貴の妹で幸せって思ったし、今も思ってるよ?ね?……あれ?」
『グーグーzzZ 』
「はぁ……、ほんとデリカシーない人だね……。」
もう完全に寝てるかな……?
ツンツン
よし。大丈夫だ。
ンチュ!チュッチュッ!
私はお兄ちゃんの柔らかい唇に自分の唇を重ねる。
「ん……好きよ、お兄ちゃん。美咲は友紀人さんを愛してます。」
それからしばらくお兄ちゃんにキスしてから寝た。途中であそこがぐしょぐしょだったからそのまま自慰行為に浸ろうかと思ったがさすがにお兄ちゃんが隣ですやすやと寝ている横でそんな事をするのはなんだか言いようのない罪悪感を感じたのでやめた。
「いつもはクール気取ってるくせに寝顔は昔から変わらないね。かわいい……。チュッ」
今は最愛の人の幸せそうな寝顔を見ているだけで私も幸せ。

トントン
『んむにゃ……ああそういえば、お前うちに泊まってたんだっけ。』
やっと起きたみたいね。
「ほら、そろそろ起きて。朝ごはんもうできるよ?」
『おお。この部屋で朝飯なんて初めてだよ。』
「えっ?いつもは朝ごはん食べないの?」
『いや食べるけどいつもは駅で買って食ってんだよ。』
「そんなのダメだよ。ちゃんと自分で作りなさいよ。そのうち体壊すわよ?」
『ああ、努力するよ……。美咲みたいに面倒見のいい彼女でもいれば楽だけどな。』
「かっ……バカじゃないの!?妹にそんな事言うなんて兄貴も末期だね。」
『あはは……、かもな。女に飢えてるのかもな俺。』



750 血は争えない New! 2009/10/05(月) 12:24:10 ID:Gck+QvAt
お兄ちゃんはこういう恥ずかしい事をサラっと言う時があるから油断ならない……。昔からそう。女の子がキュンってなる言葉を無自覚で発するというたちの悪い癖がある。
まあお兄ちゃんは無自覚だからしょうがないけどそんな調子だからクラスの女子から果ては女教師までがお兄ちゃんの虜になっていた。
中学も高校も、お兄ちゃんを狙うこいつら雌ハイエナ達の毒牙からお兄ちゃんを守るためにどれだけ私が苦労したことか。でも兄を守るのは妹の務めだものね。
「ほら、出来たからとっとと食べちゃって。」

『美味かったよ。んじゃ俺大学行くから。帰る時はちゃんと鍵閉めてくれよ?』
「わかってるわよ。ほら、襟折れてるよ。……よし。じゃあいってらっしゃい。」
私はまるでお兄ちゃんの奥さんみたいにお兄ちゃんを見送る。制服にエプロンだから奥様は女子高生状態だけど。でもお兄ちゃんもこういうシチュは好きなはず。
『おお、行ってきます……。(なんだこのシチュ、不覚にも妹にドキッとさせられるなんて。いかんいかん!)

ふう。お兄ちゃんも居なくなったし。さあて!お兄ちゃんのベットでお兄ちゃんのパジャマ来て自分で慰めでもしよ。

「ひゃうん!……お兄ちゃん、ダメだよぉ。美咲初めてなんらからぁ、優しくしてぇ……いやぁん!そんなとこらめらよぉ!好きぃ!らいしゅきらよぉ!お兄ちゃぁん!!
やあぁん、美咲の赤ちゃんのお部屋とお兄ちゃんのがチューしちゃってるよぉ~。ダメ~ダメだよぉ~!ひっ、ひぃぐううぅぅうう~~!!!」


母「あの娘、うまくやれたかな?どんな感じだった?あなた?」
父「ああ……普通だったと……思う……。」
母「美咲は案外かなりの純情だからね-。私みたいに夜中に兄を襲ったりはできないかもね。」
父「それはお前が異常だったんだよ……。友紀人が、実は自分は母親が自分の実兄を夜這いして孕んだ子供なんだ、なんて知ったらノイローゼにでもなるぞ。しかも今なんて自分で子供達を結ばせようなんてどうかしてるぞ……。」
母「あら、心外ね。私はあなたと、お兄ちゃんと結ばれて幸せなんだから。あの子達にも同じ幸せを感じて欲しいだけよ?お兄ちゃんは今幸せじゃないの?」
父「いや、そんな事はない……です……。」
母「よろしい!ならあなた、いってらっしゃい。」
父「ああ行ってきます……。(はぁ、血は争えないな……)」

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最終更新:2009年10月05日 21:14
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