384 ブラックアウト・ナイト (1/2) ◆6AvI.Mne7c sage 2009/11/01(日) 12:12:03 ID:pPMoBxmP
「………………」
ノックに促され、自室のドアを開いた先には、変な女が2人いた。
「とりっく・おあ・とり~とぉ!!」
「とりっく・おあ・とり~とぉ!!」
「…………」
バタン。ガチャリ。
「ふう……。俺は何も見なかった」
こうして俺は、2人の悪魔から逃げることに成功し――
ドンドン!! ドンドンドン!!! ドカドカドゴォッ!!!!
「……ってわかったよ!! 今開けるから待てっ!!」
近所迷惑になる前に、観念してさっき閉めたドアを開ける俺。
決してドアを叩く音に、狂気を感じたからではない。断じてない。
「うぅ~……、とりっく・おあ・とりぃとぉ~……」
「うぅ~……、なんでドア、閉めちゃうのぉ~……」
「ええい泣くな。というか、そんなカッコした奴が来たら、普通は閉めるぞ。
大体なんなんだよその格好は。気でも触れたのかよ2人とも……」
そんなワケで、俺の目の前にいる妙な格好をした2人は、俺の実の姉と妹だ。
今夜はなんだかよくわからない、仮装みたいなカッコをしている。
「なによ、今夜は一段とノリが悪いぞ、おとーとっ!」
「ノリが悪いと女の子にもてないよ、にーちゃんっ!」
もてないのは誰のせいだと思ってんだよ、このバカ姉妹め。
昔からずっと、俺がもてないように、裏工作ばっかりしてたくせに。
オマケに今じゃあ、もう絶対他の女と付き合うなんて、出来やしないってんだ。
「大体おまえら、自分の可愛い子供たちを放っといて、何やってんだよ?」
「あ、あの子たちなら心配しなくても大丈夫。もうぐっすり眠ってるから」
「ちゃんと心配してくれるんだね。まあ、あたしたちの子供だもん、ね?」
そう、こんな子供じみたことをしているが、実は2人とも1児の母だ。
そして、2人の子供の父親は、実は血の繋がっている俺だったりする。
俺の寝込みを襲い、勝手にセックスして、子供をこさえやがったのだ。
それも初めてそれを知らされたのが、出産の1ヵ月前という計算ぶり。
2人とも○学生と○学生の身で、とんでもない無茶をしやがって……。
ちなみに子供たちは現在7ヵ月。2人とも可愛い盛り。
父さんと母さんの協力を得て、現在すくすくと成長中。
「で? 結局なんなんだよ、その格好は……?」
「あ、やっぱりおとーとってば、ハロウィンのこと覚えてなかったのね?」
「にーちゃん、今日はハロウィンの日なんだよ?」
「ハロウィンの夜には、子供たちがお化けのカッコして、家々を訊ね回るの」
「そんで『Trick or Treat』って唱えて、お菓子をもらうんだよ♪」
「ふぅん、まぁアレか。日本の某業界が陰謀のエセ祭りなんだな?」
「もう、おとーと(にーちゃん)ってば、夢がなさすぎっ!!」
どっかで聞いた科白を聞き流しつつ、俺は目の前の姉妹の格好を観察してみた。
妹の格好は、黒い魔女の帽子と外套を羽織り、その下は下着のような服だった。
それはオレンジ色でふわふわしていて、何か『かぼちゃぱんつ』を連想させる。
姉の格好は、首から下を長くて薄い白色の布で覆った、幽霊のような服だった。
うっすら透き通ったり、輪郭が出てきているが、おそらく布の下は全裸だろう。
妹が持っている、かぼちゃのランタンが少しは温かいとはいえ、寒くないのか?
「「もちろん寒いよっ! だからあっためて♪」」
「だったらちゃんと服を着ろ! このバカ姉妹っ!!」
なんかもう、心配するのもアホらしくなってきたよチクショウ。
385 ブラックアウト・ナイト (2/2) ◆6AvI.Mne7c sage 2009/11/01(日) 12:21:36 ID:pPMoBxmP
「まあそういうわけだから、とりっくおあとりーとっ♪」
「おかしをくれるまで、あたしたちは部屋に帰んないよ?」
言いながら、2人とも俺の部屋に侵入してくる。
まあ俺の部屋の中なら、廊下よりは温かいし、別にいいけど。
「ああちょっと待ってろ2人とも。おかしなら確か……」
言いながら、俺は机の引き出しの中を漁ってみる。
たしかこの中に、非常食用のスナックを貯めといたはずだが――
「あ、その中のおかしなら、私たちがこないだ食べちゃった♪」
「うん、にーちゃんの浮気調査のために、忍び込んだ時だね♪」
「浮気とかいうな。そんで人の部屋に勝手に忍び込むなっ!」
なんかやる気をなくすと同時に、ふと嫌な予感が頭をよぎった。
その予感が確信に至ったのは、姉妹2人が俺の目の前に立った時だった。
「なっ、なんだよどうしたんだよおまえr」
「……そっか、おかしはないんだね、おとーと?」
「……だったら、もうイタズラするしかないね?」
そう言いながら、俺の身体をずいずいとベッドへと押しやる2人。
どう考えてもこの展開は、そっち方面の展開でしかなさそうだ。
だってコイツらどう見ても、明らかに欲情してやがんじゃねえか!
このままじっとしてたら、俺はこいつらに犯される。早く逃げ――
「ってあれ? 身体に力が入らな……ってかなんか、熱い………」
なんだコレ? なんだか気分がムラムラしてきやがった。
ペニスが勃起して、誰かに直に触られただけで射精しかねない。
驚いている間に、俺はあっさりと、ベッドに押し倒されていた。
そして両腕を姉妹2人に絡め取られ、もう逃げられそうにない。
「うふふふ。ようやく媚薬が効いてきたよ、いもーと♪」
「ランタンの媚薬キャンドル。使えたね、ねーちゃん♪」
「そんなもん仕込んでたのか……おまえら………」
俺のそんな呟きは、姉妹2人の濃厚なキスに、飲みこまれていった。
「あのさ、おとーと。私たちそろそろ、2人目が欲しいな~?」
「だからにーちゃん、あたしたちにまた、白いのちょーだい?」
馬鹿なこと言ってんじゃない、とツッコむ余裕は、今の俺にはない。
どんだけ父さんと母さんに迷惑かけりゃ気が済むんだよおまえらは。
まあ母さんは笑顔で「もっとやれ」みたいなこと言ってくるけどさ。
その横でひきつり気味な笑顔の父さんを見ると、いたたまれねぇよ。
というか、なんでマジであの2人、俺らをどうにかしないんだ?
普通なら子供たちが姦通しあって妊娠したら、隔離しにかかるだろ?
まさかとは思うけど、あの2人も兄妹ってこと、ないだろうな……?
「精液(おかし)をくれなきゃ性的暴行(イタズラ)するぞっ♪」
「犯してちょうだい? じゃないとエロスなイタズラするぞっ♪」
「どっ……どっちもかわってねええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
最後の俺の全力の叫びは、もはや誰も聞いちゃくれなかった。
てか胸や尻が押しつけ……前が見え………だから呼吸g…………
――この日、俺は何度目かの意識暗転(きぜつ)を体験した。もうやだこの姉妹……!
― Which are Treck or treat, you? ―
最終更新:2009年11月08日 18:32