選択肢を選ぶ時は慎重に。そんなの誰でも知ってる。

664 選択肢を選ぶ時は慎重に。そんなの誰でも知ってる。 sage 2009/11/25(水) 12:54:40 ID:cLiC5EBV
最近、妹の俺に対する依存度合いは少し異常なんではないかと、考えることも少なくない。両親も妹に対してそれとなく俺か
ら自立するように言っている。しかし彼女は聞く耳持たずという調子だ。中学生になっても一緒に風呂に入ろうとしてきたし
、高校生の今でも朝気づくとベッドに妹が潜り込んでいた、なんて日常茶飯事だ。なんとかしないとあいつはこれから兄である俺
無しでは生きていけないかもしれない。……いや、そんな深刻に考える必要はないよな。あんなの思春期特有の兄に対する憧
れみたいなもんだよな。きっとそうだ。

?「なぁに考え込んでんの?前向いて歩かないと危ないわよ?ていうかあんたが考え事なんて珍しい。」

妹と別れ、自分の部室に向かう途中聞き慣れた声がした。同じ部活の天王寺美佳だ。こいつとは中学から一緒だ。因みに同じ
都立高校を受けて共に落ち、この高校に入学した。要は腐れ縁ってやつだ。

『まあ、俺も色々考えるんだよ。それよりどしたんだよ?胴着姿で?』

俺の部活は弓道部だ。なんで弓道なのかというのは、まあ運動部の中で一番楽そうだったからという理由にもならん理由だ。

美佳「部長さんが遅いから様子を見にきたんです~。なんで部長のあんたより副部長のあたしの方が早いのかしらね~。」

理由にもならん理由で入った部活であったが、もともとそんなに人数も多い部でもないので、三年生の中で一番上手い俺が部
長になってしまった。

『ごめん、電車乗り違えたんだよ。』

美佳「まあ、良いけど。それよりさぁ、ちょっと見て欲しいのよ、私の型。最近調子悪くてあんまり当たらないの。あんたな
ら何か分かるんじゃないかなって。」

『ああ、良いよ。お前に頼られるなんて珍しい。』

美佳「うっさい!ほら、来てよ。」

まだ誰も来ていない道場に俺と天王寺の二人だけがいる。二人だけだと小さい道場もゆったり
としている気がする。



パシュンッ

美佳「……。ほらね、当たらないでしょ?自分では完璧な型だと思うんだけど……。」




665 選択肢を選ぶ時は慎重に。そんなの誰でも知ってる。 sage 2009/11/25(水) 12:55:48 ID:cLiC5EBV
『確かに綺麗な型だよな。何が悪いんだろ。……もっかい射ってみてくれ。』

その後もああでもないこうでもないと天王寺の型について色々と語りあった。

『あっ、ちょっと肩を緩めてみたらどうよ?』

美佳「え?よくわかんないよ。」

『だからほら。こう。』

口では伝わり辛いようなので天王寺の背後に廻って彼女の肩を掴み、少し緩めるようにほぐしてみた。

美佳「ひゃ////ちょ、ちょっと!」

俺が肩を掴んだ瞬間、天王寺はビクッと反応しこちらを振り向いた。

『なんだよ。どうした?肩痛めてるとか?』

美佳「ちっ、違うわよ。別に痛めてるとかじゃないから。……い、いきなり掴んでくるからビックリしたのぉ!」

『だって、口じゃわかんないだろうから直接教えてやろうと……。』

美佳「いきなりは反則。……もう////」

なんだ?こいつ。肩が敏感とかだろうか?……そんな事聞いたら殴られそうだな。

そのあと他の部員が来て2時間
程で部活は終了。その間、終始天王寺のやつは俺の方をチラチラと見ていたが、目を合わせることはなかった。


さすが理由にもならない理由で入った部活ではあったがその理由もあって2時間の部活の後でもそんなに疲れてはいない。さ
て妹はテニス部なのであと30分くらいで終わるはずだ。妹には

「一緒に帰りたいからちょっと待っててね。」

と言われているので待つことにする。

『暇だしテニスコートの方にでも行くか。』

妹の部活姿もそんなに見た事はないし、テニスに限らずサッカーや野球も見るだけなら結構好きだ。見るだけなら。

美佳「あれ?彩人どこいくのよ?」

彩人(あやと)、俺の名前な。テニスコートに向かう途中、天王寺に会った。




666 選択肢を選ぶ時は慎重に。そんなの誰でも知ってる。 sage 2009/11/25(水) 12:56:56 ID:cLiC5EBV

『あぁ、妹がテニス部なんだよ。だからちょっと見てみようかと思って。』

美佳「そうなの?じゃああたしもついてくわ。」

そう言って天王寺も俺について来た。こいつもテニス好きなんだろうか。まあいいや。



パーンパーン

『おおやってるやってる。あ、いたぞ。』

美佳「一目見れば分かるわよ、あんな美少女。ほら、あんたに手振ってるみたいよ。」

天王寺も妹の事は知っている。中学から一緒なので、まあ当然と言えば当然か。妹も確かに美少女ではあるが天王寺もそ
こそこだと思う。妹とは違った活発さを感じる可愛さだ、とクラスの連中は言っていた。確かに中学のころからクラス委員長
を勤めていたし、何かとクラスの中心的人物だった記憶がある。俺もよくこいつに振り回されたっけ……。よく告白されてい
たみたいだし、今も結構人気はあるみたいだが何故か誰とも付き合ったりはしていないみたいだ。
俺に気付いた妹はこちらに向かって手を振る。俺もそれとなく返す。しかし妹はテニス姿も本当に絵になっている。普段は降
ろした黒髪をポニーテールに結び、ラケットを振るたびにそのポニーテールがぴょんと跳ねる。同時にテニスウェアに押し込
まれた大きな胸が揺れ、ブリーツスカートがひらりとめくれ、あどけない太ももがちらりと覗かせる。

美佳「なあに自分の妹に見とれれてんのよ?」

『別に見とれてなんかねえよ。しかしあいつ目当ての見学者らしき連中も多いな~。』

新入生挨拶での知名度もあり何しろ美少女の妹のことだ、彼女のテニスウェア姿を一目見ようと他の部活終わりの連中あたり
が、テニスコートの周りにちらほらといる。

美佳「なぁに?兄としてはヤキモキしちゃう?ふふ。」

いたずら気に俺に微笑む天王寺。

『しねえよ。あいつの事だ、昔からあんな調子だからな。もう慣れたよ。』





667 選択肢を選ぶ時は慎重に。そんなの誰でも知ってる。 sage 2009/11/25(水) 12:58:14 ID:cLiC5EBV
「お兄ちゃん!待たせちゃってごめんね。寒いし早く帰ろ?」

部活も終わり妹が俺と天王寺の方にやってきた。

『おつかれ。そうだな、寒いし帰ろう。天王寺はどうする?俺らと帰る?』

美佳「あ、うん。じゃあそうしよっかな~」

帰りは余り待たずにバスに乗れた。行きとは違い、他の部活終わりの生徒もちらほらいる。しかし朝程混んでいる訳でもない。
俺達三人はやはり一番後ろの席だ。俺が真ん中で右に妹、左に天王寺。妹はと言うと、行きのバスの中とはまるで別人の様に
大人しくしている。単語帳を静かに読んでいる様だ。やはり俺に対してあんな態度の妹でも人前ではさすがに普通にしている。
こういう訳だから何も常に兄である俺にべったりという訳ではない。

その後も電車に乗り換えても妹は大人しくしていた。ドア横に立ち、参考書に目を落としている。駅に着きドアが
開くと客が乗車してくる。妹は借りてきた猫状態なのだが、静かに佇む姿も凛としている。乗って来た客も一瞬目が妹に釘付
けになっている様だ。
電車から降りても俺と天王寺だけが話しているが、妹は俺の後ろを静かについて来るだけだ。

美佳「じゃあ私こっちだから。またね、二人とも。」

あいつの家は駅の反対側だ。天王寺と別れた後も妹は大人しくしていた。朝の登校時などは電車に乗るまではいつも、手を繋
ぎたいだのおんぶしてだの、幼稚園児の様に駄々をこねるのだが、今日に限っては本当に大人しい。俺も特に話す事はなかっ
たので互いに無言であった。最近は冬の訪れを感じさせる匂いを感じる。一昨日辺り木枯らし一号も吹いたらしい。俺は冬は
好きでも嫌いでもない。暑いのよりは寒い方が断然好きだ。暖房の効いた部屋でこたつに入り寝ている時は至福の時だ。でも
寒くなってくると寝る前にいつも思い出す。

―――おにい……ちゃん……?ほら、わたしがあたためてあげるからね……?あ……だめだね、わたしこんなにつめたいもん
ね?……だいすきな……おにいちゃんにかぜひかせちゃうかもしれない……。ごめんね……ごめんね……おにいちゃん―――



そんな事を考えているといつの間にか家に着いていた。両親は共働きなので家には誰も居ない。俺は鍵を開けると冷たいドア
ノブに手をかける。

ガチャン

ドアを開け、玄関で靴を脱ごうと屈もうとすると

ガバッ

「寒い~。お兄ちゃ~ん、暖めてよ~ん。」

と言いつつ妹が後ろから抱き着いてきた。

『おい、靴脱げないから離してくれ。な?』

「だぁめ。帰りにお兄ちゃんが手繋いでくれないから私の手こんなに冷たいんだもん。だから暖めてぇ?ギュッ」

そう言ってさらに強く抱きしめるように引っ付いてきた。




668 選択肢を選ぶ時は慎重に。そんなの誰でも知ってる。 sage 2009/11/25(水) 12:59:19 ID:cLiC5EBV
『わかったから、まず家入ろうな。ほら、こたつ点けとくからさ。着替えてこいよ。』

なんとか妹を引き離し、こたつを点けて、着替えた。すぐに妹が来たが、ブレザーとセーターは脱いでリボンも外していたが
まだ着替えはいなかった。

『なんだ早く着替えろよ。』

「だって寒いんだもぉん。それにこういう格好好きでしょ?お兄ちゃん。よいしょっと。ふぅ~暖か暖か~。ほらお兄ちゃん
もこっち来て?」

そう言って妹が自分の隣に入れとこたつの布団を上げる。

『はぁ……。はいはいわかったよ。ふぅ。暖っけ~』



その後はみかんを食べたり雑誌を読んでいるうちに眠くなってきた。

「お兄ちゃんも寝ようよ~」

『そうだな。』

妹とこたつに入ったまま寝転がる。

「うふふ。お兄ちゃ~ん。」

子猫の甘える様な声を出して妹が俺の胸に顔を埋めてくる。甘いシャンプーの香りが妹の髪から漂ってくる。

「私、汗臭くないよね??」

『ああ。別に汗臭くなんかないよ。でも女子って汗かいてもあんま臭くないよな。』

妹も自分の匂いとか気にする方だとは意外だと思った。

「うふ。だって乙女ですもの。それともお兄ちゃんはちょっと汗の匂いしてた方が好きとか?」

『そんな変態趣味じゃねえよ。』

しばらくして妹はすやすやと寝息をたてて眠ってしまった。俺に背を向けた状態なのだが、見ると白いブラウスに妹の下着が
少し透けている。ブラウスの上からも模様が分かる。可愛らしい花柄のだ。ブラウスは大きな胸のせいで身体にぴったり
と張り付いているかの様だ。こんなに女性としては魅力的な身体を持ってるんだ、俺なんかにべたべたしてないでとっとと彼
氏でも作れるんだから作ってしまえと思ったりする。




ふあ~眠ってたのか……。昔の夢でも見てた気がするけど覚えてないや。今は……一時半か。明日一限サボるにしても早く風
呂入んないと。
しばしばした目を擦りながら、風呂場へと向かう。途中、妹の部屋の電気がついているのがドアの隙間から見
えた。あいつも来年は受験だ。そうでなくても彼女はよく勉強はしてる。見た目は美少女でしかも頭もいいと妬まれる事さえ
ある妹ではあるが(実の兄にすら)、陰できちんと努力を怠らないからこその良い成績なんだ。そんな事を知っているのも俺く
らいだろう。シャワーを浴びて髪を拭きながら、自室に戻ろうとする途中、まだ妹の部屋に電気がついていた。もう二時過ぎ
だ、そろそろ寝た方がいいと言うべきか。……いや止めとこう。妹だって夜更かししても勉強効率はよくない事くらい知っている
だろう。それを自分よりも出来の悪い兄に注意されてもうっとうしいだけだ。でも、もしかして勉強途中で寝てしまってそのま
ま電気をつけっぱなしにしているのかもしれない。それにそろそろ夜は寒いし、風邪でも引いてしまうかもしれない。……一応部
屋を覗いてみるか。それで勉強してればそのまま何も言わなければいい。そう思って妹の部屋のドアの隙間から中を覗いてみ
る。ガサゴソと音がする。布の擦れる様な音。それになんだか荒い息の様な音も。うなされてでもいるのだろうか。……っ!?




669 選択肢を選ぶ時は慎重に。そんなの誰でも知ってる。 sage 2009/11/25(水) 13:04:25 ID:cLiC5EBV
「………ちゃん……。お兄……ちゃん……」

俺……?よく聞こえないが俺を呼んでいる……?

「お兄ちゃん……ダメ……。膣内はダメ……だよぉ……赤ちゃん……できちゃうぅ……。ひぁん……好きぃ……お兄ちゃあん……」

見えないけれど妹はおそらく自慰に浸っている。………しかも兄である俺をネタに。

「ひゃめぇ……そんな強いのぉ……おかひくにゃるぅ……いいのぉ……お兄ちゃん……」

声は微かだからあんまり聞こえない。しかし普段の妹からは決して聞く事のない甘えた様なとろける声。いやそんな事はどう
でもいい。今だに妹のやつ……俺の事……。



朝になった。昨日の妹の事もあって余り眠れなかった。一限をサボって寝ていようかと思ったが目が覚めてしまったのでコー
ヒーを飲もうと居間に行くと妹が制服姿で朝飯を食べていた。昨日の事もあってなんだか気まずい。しかし何食わぬ顔でコ
ーヒーを入れて飲んだ。変に意識して挙動不審になれば妹に何か感づかれるかもしれないからだ。……いや、別に俺にはやま
しい事はなく、寧ろ自慰をしていた妹の方こそやましいのだろうが、何故か俺の方が緊張してしまう。何食わぬ顔で朝ご飯を
食べている妹が本当に昨日の晩の妹と同一人物なのだろうか。そんな事を考えながら妹の顔を見ていると

「何か用?私の顔になんかついてるの?」

気付かれてしまった。俺は直ぐさま

『いや、別になんでもない……』

と言いさり、自室に戻る事にした。

妹との関係がぎくしゃく仕出したのは俺に彼女ができたから。相手は中学から一緒の天王寺美佳。
現在、大学も同じ学部だ。美佳と付き合うようになったのは高校の卒業式に美佳の方から俺に告白
してきたためだった。俺は全く気付いていなかったが、どうやら中学の時から好きだったらしい、というか本人がそう言って
いた。俺も美佳の事は別に嫌いでは無かった。寧ろ女友達としては結構気も許せる相手だったし、魅力的なやつだとは思って
いた。だから彼女の告白を受け入れ、付き合う事にした。付き合うとはいってもお互い気の知れた仲だし別段、二人の関係に
大きな変化はなかった。ただ、俺と妹の関係は大きく変わってしまった。しばらくして妹に彼女ができたと言うと、それまで
妹からは聞いた事の無いような怒号で

「何言ってるの!?お兄ちゃんにあんな女釣り合うわけないよ!!!そんなんじゃお兄ちゃんの方が腐っちゃうよ!?」

などと俺と美佳が付き合うのに猛反対した。それから一週間近く毎日喚きちらし、早く別れろだの、あんな女死ねばいいだの、
普段の妹からは到底想像出来ないような暴言を吐き続けた。俺も美佳の事は大事に思っていたので、

『そんな事を言うお前は嫌いだ』

的な事を妹に対して言った。すると妹はそれ以来、何も言わなくなり、その代わり、今までのようにべたべたくっついてきた
りどころか、俺とは必要最低限の話しかしなくなった。少し寂しい気もしたが、あぁ、これでこいつも兄離れできる、とほっ
としてもいた。前々から、甘えるように擦り寄ってくる妹の眼には兄に対するものとは掛け離れた、熱を感じていた。妹は単に
兄に甘えるというよりも、俺の事を異性として見ているんじゃないかと薄々感付いていた。だが、少々強引とはいえ、これで
妹も正常になって恋人でも作って、俺の事なんか忘れてくれるだろうと期待もしていた。美佳には悪いが、俺が彼女を作った
のだって妹に俺の事を諦めさせるためでもあったのだ。

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最終更新:2009年12月15日 14:10
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