「これからの軽音部」~桃と夢の知らない先輩編~

「いやぁ、春だねぇ」
「そうだな。」
私、笠井陽菜。どこにでもいるような高校生。今年、お姉ちゃんが通っている、露が丘高校に入学しました。
ちなみに、今隣にいるのは、私の幼馴染であり、親友の港樹。この高校は、女子高だから女子だらけ。
私が通っていた、露見中学もそうだけどね。
「ね、陽菜」
「なぁに、樹」
こう会話した時は、おねだりの会話。私達しか使えない会話なのです。
「また、軽音部やろうよ」
「えっ」
びっくりした。だって、この高校、けいおん部ないもん。
「ここ、軽音部ないよ?」
「んー、なんかやりたいんだよね」
樹が言うなら仕方ない。お姉ちゃんに聞こう。

放課後
「ひなー」
「ん、なにー」
声のしたほうを見ると、そこには、お姉ちゃんが居た。
「お姉ちゃん、どうしたの」
「ん、ひなさぁ、中学のころな、けいおんぶでいたでしょ?」
軽音部。私にとって最高の場所。そのはずなんだ。
けどね、お姉ちゃん。私もう、ギター弾けないんだ。分かるかな?
「陽菜、お願い。軽音部、続けてよ」
「お姉ちゃん」
幸い、樹とはクラスが離れているし、何でも言える。
「私は、もうギター弾きたくない…」
「えっ…」
そう声を出したのは、ほかでもない、樹だった。
「そ、それ、ほんと?もう、弾きたくないの?」
樹の、声は震えていて、出しにくそうだった。
「う、うん」
お姉ちゃんは、いつの間にか、私達の間にはいなくて、樹の後ろにいた。
「嫌だよ!なんで!?なんで弾きたくなくなくなるの!?」
樹は、子供みたいに、叫んでいた。もう、高校生なのに。
「っ、もう無理。付き合ってらんない」
「ばか…」
それだけを残して、樹はどこかへ、いってしまった。

陽菜の部屋
「もう、なんなのよ~」
私は、宿題をしながら、今日あったことを、全部口に出していた。
「はぁ。馬鹿馬鹿しい。もう寝よ。」
1日が終わっていくのに、私は何を考えているのだろう。
”また、軽音部やろうよ。”
”嫌だよ!なんで!?何で弾きたくなくなるの!?”
放課後の樹の言葉だった。
「ばかは、どっちなのよ。」
壁に立てかけているギター。
そういえば、露見中の軽音部、まだあるかなぁ。
いつだっただろう。樹が「音楽っていいよね」って言ったの。
明日謝らないと。

次の日の放課後
「樹」
呼んだ。私の肩には、ギターケース、かばん。その2つを持ち、樹のクラスへ行った。
「なぁに?陽菜」
「昨日ね…」
「いいよ」
えっ。なんで?
「陽菜がギター、弾きたくないならもう、軽音部も諦めるから。」
「ううん。昨日と考えが変わったんだ。聞いてよ。もっかいさぁ。」
私は、樹の言葉を逆らった。ニッと笑う。
そして、ギターケースから1つのギターを取り出すと、構えた。昔の構え方。
「いくよ?」
「ん。分かった。」

ジャーーーーーン
演奏が終わると、樹が目に涙をいっぱいためて、拍手。
「ひなぁ。わたしね、昨日家に帰ってから、スティック回しまくってて。そんで、もーわけわかんなくなっちゃって。」
「私も同じ!だって、どうしていいか、わかんないんだもん」
気がつけば、私たちは廊下で抱き合っている。わぁぁぁ!!恥ずかしい!!!
でも、私たちは同じだったんだ。
「また、やろっか!軽音部!」
「うん!」
今日のことは、忘れないだろう。

樹との、軽音部!

活動開始!


2章へ続く。


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最終更新:2013年08月18日 17:54