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331 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/25(火) 21:39:04 ID:qCYdFjn30 [2/3]
「あれ、あの人は?」
モデル撮影の現場に、カメラマンに付き添って中肉中背のとぼけた中年男が来ていた。
「ああ、桐乃ちゃん。ベテランのフォトレタッチさんだよ。この本の仕事を頼んで、ウデが良かったから、また」
「ふーん。ん? あたし、このとき赤いベスト着てたっけ」
「ベージュだったけど、デザイナーが赤くしろってさあ。いい写真だったのに」
レタッチマンは眠そうな声でこともなげに言った。
「げっ、スゴ……」
ほかにも、顔の明るさや暗い部分にディテールが恐ろしく自然に、きれいに出ている。
このときは天気が悪くて、カメラマンが困ってたのに。
「そうだ……、ねえひとつ頼みがあるんだけど」
ごそごそと、桐乃がディレクターに耳打ち。
「いいね、ウケるかも。そのくらいの小道具なら、常備してるからね」
そして一ヶ月後……
「キモ。なに雑誌見てにやにやしてるのよ」
リビングでにやにやしている京介の背後から、桐乃が睨みつけた。
「うわっ! いいじゃねえか、落ちてたんだからよ」
開いたページには、赤い眼鏡をかけた黒髪の女の子が、柔らかい微笑みを浮かべてる。
「へー、こういう子が好みなんだ」
「ええ、そうですよ。どうせ眼鏡フェチですよ、黒髪好きですよ! ついでに顔も好みですよ」
「………キモっ!」
「人の好みくらい、ほっといてくれ」
「だから、キモいの! そのつかんでる右手をどけてみて」
と、桐乃は回れ右して、機嫌よさそうにリビングを出た。
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