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522 名前:突発ネタ【SS】[sage] 投稿日:2011/02/20(日) 17:03:46.48 ID:owHiu75r0 [2/2] 29スレ>>515さんからネタを拝借 「神戸、遠かったな……。どうしても行きたいっつーから仕方ねぇけど」 「どうしてもなんて言ってない!あんたが泣いて頼むから仕方なく了承してやったんでしょ!?」 相変わらずの事実改変を妹から浴びせられながら、俺たちは神戸の街へ下りた。 水族館なら千葉にも首都圏にも有名な場所があるのに、どうしても須磨海浜水族園でなければ妹様は納得してくれなかったからだ。 しかし。しかし今回、誘ったのは俺の方からなのも事実。甘んじて受け入れるしかねぇ。 それに何つーか、新幹線の車内でも桐乃はやたらと上機嫌だった。俺なんかが相手でも、たまの遠出は嬉しいモンなんかね。 ……まぁ、悪い気分じゃねーさな。 水族館まで徒歩数分という所まで着いたとき、桐乃が僅かな緊張を感じさせるトーンで聞いてきた。 「あんた、今財布の中、残金いくら?」 「ん? ええと、7千円と小銭が少々……か」 我ながら情けない懐だ。新幹線代は先に往復で買ったから帰るには困らないが、神戸までの特急券は流石に高かったぜちくしょう。 「ふむ。……んじゃ、コレ買って」 桐乃は俺の裾を引っ張って通り沿いのクレープ屋へ歩み寄っていく。 確かに美味そうなクレープだな。桐乃が指差してるのはデラックスで……480円!? 「高ぇよ!? このあと水族館の入場料も払わなきゃいけねーんだぞ?」 「だからじゃ――ゴホンゴホン、いいから買って。どうしても今欲しいの」 普段ならここは突っぱねる。だってせっかく神戸まで来たんだぜ?目的の水族館に入場料不足で入れないなんてコトになったら辛過ぎるだろ? だが、なんだか桐乃の表情には不安か緊張のようなものが垣間見えて、俺はその申し出を断れなかった。 いざとなりゃ、桐乃だけ入場して、俺は外で時間つぶしてりゃいいや。へっ。 「店員さーん、デラックス2個くださーい♪」 「って2個おおお!? おま、マジで金足りなくなったらどうすんだよ!?」 「大丈夫だって。ホラ、あんたの分」 ………………大丈夫……な訳がなかった。 水族館に着いて、早速桐乃は受付へ入場料の確認に行ったのだが、何故かはしゃぐかの様な小走りで帰ってくるなり 「6千円じゃ足んないみたい」 とぬかしやがった。 俺外のベンチ確定かよ!? 俺だって、俺だってなぁ、……いや、決して桐乃と一緒に回りたかったとかじゃなくてな? くそ、クレープはめちゃめちゃ美味しいが、それがまた恨めしい。残り半分、換金してもらえねーかな……。 「でも、6千円で間に合う方法が無いわけじゃないの。……こ、コレなんだけど」 「本当か!?……なになに、ら、『ラブラブカップルチケット』ぉ〜っ!!?」 「ちょ、声大きい! し、仕方ないでしょ!あんたが甲斐性なさ過ぎるのが原因!もうそれしか方法ないの!」 『ラブラブカップルチケット』 要するに、二人でいちゃついて見せて、水族館職員に仲の良さを認めて貰えば割安で入場できるという代物だ。 確かにこれなら2人で入場できる値段。だが、いや、ありえないだろ?他の客も居るのに、職員の前で恋人の振りしてイチャつくだとぉ!? 「これしか、ないの。あああんた、か、覚悟決めなさい」 「ほ、本気なのか?おま、俺とやるんだぞ? そ、その、ラブラブっぷりを……」 「いいから!早くッ――!」 桐乃は俺の手を握り、受付へずんずん歩いていく。 手、めちゃくちゃ熱い。そりゃそうだ、俺が余りに水族館入場料を甘く見ていたせいでこんな事するハメになっちまって、怒り心頭だろう。 俺も覚悟を決めなきゃならんのだが、うう!やっぱり!他の客がすげー見てる! 桐乃はただでさえ目立つ容姿なのに、今日はさらに気合入った服装だもんな。 実言うと駅や車内で、他の客が俺を羨ましそうな目で見てくるのはちょっと気分が良かった。桐乃の放つオーラは眩しいくらいだが、今その読モ様と一緒に居るのはこの俺だったからな。 だが今は、周囲の注目を一身に集めるその可愛さが憎らしい! こんな中やるのか?なんて拷問だ。 「あんたは……黙ってクレープ食べてればいいから」 審査員(にしかもう見えない)の前に二人並び、左右と後ろにいっぱいのギャラリーを囲ませ、桐乃はそう呟いた。 い、いいのか? だが逆らってもロクなことにならない。俺は言われた通りにクレープへ口をつける。 「……あたし、京介のこと――あああ愛してるからっ!」 「プバフェ!?!?」 なんてった!?今こいつなんってった!?お芝居と自分に言い聞かせても、勝手に心臓が飛び跳ねやがるッ! 「もう、京介……クレープついちゃってるよ……」 「え……」 桐乃の真っ赤な顔が不意に近づき、俺の頬をチロと、舐めた。 え、え?ええ、ええええええええええええええええええええええええええええええ!?!?!?!? 今、え、うそ!?うわ、俺、桐乃、え?やべ、何でそんっ、顔赤すぎだろ! ちょ、 ままま待て、いや、待てねぇ! き、桐乃にここまでやらせちまってッ 俺も、俺がやらねぇわけには!! 全力でぶつけねぇわけにはいかねェ!!!!! 『お二人とも、素晴らしいラブラブっぷりでしt――』 「俺も!! 俺も桐乃を愛してる!!!!!!!」 「!!!!? ぅっうぇ、あああああんた」 「好きだ!超好きだ!世界で一番愛してる!!おまえのことが大っっっっっ好きだあああああああああああああああ!!!!!」 「…………………………は、ふぁ……」 (パチパチパチパチパチ) 気がつくと、周囲のギャラリーから拍手が起こっていた。 桐乃は、俺の胸に顔をうずめ、ぴくんぴくんと時折肩を震わしている。 ブリキ人形ばりのぎこちなさで職員さんを見やると、ビックリするくらいの紅ら顔で凝視されていた。 たぶん、俺の顔はもっと赤い。 俺、今、桐乃に、一体何をぶつけちまったんだ…………!? 942 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/02/22(火) 17:19:35.99 ID:hcZ+LGxv0 [5/7] #image(http://www44.atwiki.jp/kiririn?cmd=upload&act=open&pageid=331&file=couple_s.jpg,width=570,height=321,center) [[オリジナルサイズ>>http://www44.atwiki.jp/kiririn?cmd=upload&act=open&pageid=331&file=couple.JPG]] -------------
522 名前:突発ネタ【SS】[sage] 投稿日:2011/02/20(日) 17:03:46.48 ID:owHiu75r0 [2/2] 29スレ>>515さんからネタを拝借 「神戸、遠かったな……。どうしても行きたいっつーから仕方ねぇけど」 「どうしてもなんて言ってない!あんたが泣いて頼むから仕方なく了承してやったんでしょ!?」 相変わらずの事実改変を妹から浴びせられながら、俺たちは神戸の街へ下りた。 水族館なら千葉にも首都圏にも有名な場所があるのに、どうしても須磨海浜水族園でなければ妹様は納得してくれなかったからだ。 しかし。しかし今回、誘ったのは俺の方からなのも事実。甘んじて受け入れるしかねぇ。 それに何つーか、新幹線の車内でも桐乃はやたらと上機嫌だった。俺なんかが相手でも、たまの遠出は嬉しいモンなんかね。 ……まぁ、悪い気分じゃねーさな。 水族館まで徒歩数分という所まで着いたとき、桐乃が僅かな緊張を感じさせるトーンで聞いてきた。 「あんた、今財布の中、残金いくら?」 「ん? ええと、7千円と小銭が少々……か」 我ながら情けない懐だ。新幹線代は先に往復で買ったから帰るには困らないが、神戸までの特急券は流石に高かったぜちくしょう。 「ふむ。……んじゃ、コレ買って」 桐乃は俺の裾を引っ張って通り沿いのクレープ屋へ歩み寄っていく。 確かに美味そうなクレープだな。桐乃が指差してるのはデラックスで……480円!? 「高ぇよ!? このあと水族館の入場料も払わなきゃいけねーんだぞ?」 「だからじゃ――ゴホンゴホン、いいから買って。どうしても今欲しいの」 普段ならここは突っぱねる。だってせっかく神戸まで来たんだぜ?目的の水族館に入場料不足で入れないなんてコトになったら辛過ぎるだろ? だが、なんだか桐乃の表情には不安か緊張のようなものが垣間見えて、俺はその申し出を断れなかった。 いざとなりゃ、桐乃だけ入場して、俺は外で時間つぶしてりゃいいや。へっ。 「店員さーん、デラックス2個くださーい♪」 「って2個おおお!? おま、マジで金足りなくなったらどうすんだよ!?」 「大丈夫だって。ホラ、あんたの分」 ………………大丈夫……な訳がなかった。 水族館に着いて、早速桐乃は受付へ入場料の確認に行ったのだが、何故かはしゃぐかの様な小走りで帰ってくるなり 「6千円じゃ足んないみたい」 とぬかしやがった。 俺外のベンチ確定かよ!? 俺だって、俺だってなぁ、……いや、決して桐乃と一緒に回りたかったとかじゃなくてな? くそ、クレープはめちゃめちゃ美味しいが、それがまた恨めしい。残り半分、換金してもらえねーかな……。 「でも、6千円で間に合う方法が無いわけじゃないの。……こ、コレなんだけど」 「本当か!?……なになに、ら、『ラブラブカップルチケット』ぉ〜っ!!?」 「ちょ、声大きい! し、仕方ないでしょ!あんたが甲斐性なさ過ぎるのが原因!もうそれしか方法ないの!」 『ラブラブカップルチケット』 要するに、二人でいちゃついて見せて、水族館職員に仲の良さを認めて貰えば割安で入場できるという代物だ。 確かにこれなら2人で入場できる値段。だが、いや、ありえないだろ?他の客も居るのに、職員の前で恋人の振りしてイチャつくだとぉ!? 「これしか、ないの。あああんた、か、覚悟決めなさい」 「ほ、本気なのか?おま、俺とやるんだぞ? そ、その、ラブラブっぷりを……」 「いいから!早くッ――!」 桐乃は俺の手を握り、受付へずんずん歩いていく。 手、めちゃくちゃ熱い。そりゃそうだ、俺が余りに水族館入場料を甘く見ていたせいでこんな事するハメになっちまって、怒り心頭だろう。 俺も覚悟を決めなきゃならんのだが、うう!やっぱり!他の客がすげー見てる! 桐乃はただでさえ目立つ容姿なのに、今日はさらに気合入った服装だもんな。 実言うと駅や車内で、他の客が俺を羨ましそうな目で見てくるのはちょっと気分が良かった。桐乃の放つオーラは眩しいくらいだが、今その読モ様と一緒に居るのはこの俺だったからな。 だが今は、周囲の注目を一身に集めるその可愛さが憎らしい! こんな中やるのか?なんて拷問だ。 「あんたは……黙ってクレープ食べてればいいから」 審査員(にしかもう見えない)の前に二人並び、左右と後ろにいっぱいのギャラリーを囲ませ、桐乃はそう呟いた。 い、いいのか? だが逆らってもロクなことにならない。俺は言われた通りにクレープへ口をつける。 「……あたし、京介のこと――あああ愛してるからっ!」 「プバフェ!?!?」 なんてった!?今こいつなんってった!?お芝居と自分に言い聞かせても、勝手に心臓が飛び跳ねやがるッ! 「もう、京介……クレープついちゃってるよ……」 「え……」 桐乃の真っ赤な顔が不意に近づき、俺の頬をチロと、舐めた。 え、え?ええ、ええええええええええええええええええええええええええええええ!?!?!?!? 今、え、うそ!?うわ、俺、桐乃、え?やべ、何でそんっ、顔赤すぎだろ! ちょ、 ままま待て、いや、待てねぇ! き、桐乃にここまでやらせちまってッ 俺も、俺がやらねぇわけには!! 全力でぶつけねぇわけにはいかねェ!!!!! 『お二人とも、素晴らしいラブラブっぷりでしt――』 「俺も!! 俺も桐乃を愛してる!!!!!!!」 「!!!!? ぅっうぇ、あああああんた」 「好きだ!超好きだ!世界で一番愛してる!!おまえのことが大っっっっっ好きだあああああああああああああああ!!!!!」 「…………………………は、ふぁ……」 (パチパチパチパチパチ) 気がつくと、周囲のギャラリーから拍手が起こっていた。 桐乃は、俺の胸に顔をうずめ、ぴくんぴくんと時折肩を震わしている。 ブリキ人形ばりのぎこちなさで職員さんを見やると、ビックリするくらいの紅ら顔で凝視されていた。 たぶん、俺の顔はもっと赤い。 俺、今、桐乃に、一体何をぶつけちまったんだ…………!? 942 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/02/22(火) 17:19:35.99 ID:hcZ+LGxv0 [5/7] #ref(couple_s.jpg) [[オリジナルサイズ>>http://www44.atwiki.jp/kiririn?cmd=upload&act=open&pageid=331&file=couple.JPG]] -------------

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