97 名前:【SS】大介パパ 1/2[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 20:33:53.45 ID:hfFBCW9i0 [8/9]
本日二本目。
たまには大介さんメインで書きたかったからで、
>>22に頼まれたからじゃないんだからね///



俺の娘―高坂桐乃は俺の自慢だ。
昔から俺を「お父さん」と呼んで慕ってくれていた。
この呼び方は俺しかされていない、とても気に入っているものだ。
だが、一度くらいは「パパ」と呼ばれてみたいものだ。

「おかえり、パパ!」
仕事が終わり扉を開けると、桐乃がそう言い俺を迎えてくれた。
「・・・・・・」
訳がわからず、俺は返事をすることができない。
「お・か・え・り・ぱ・ぱ」
桐乃が言い直す。
「・・・ああ、ただいま」
やっとの思い出返事する。
「お帰り。お父さん、驚いた?」
奥から佳乃が現れた。
「ああ。一体どうしたんだ」
「今日は八月八日だから、母とパパで親孝行の日なんですって。
 おかげで今日は家事をしなくて楽だったわ」
なるほど。だから俺のことをパパと呼んだのか。
「桐乃が全部やってくれたのか」
「いいえ、京介と二人でやってたわ。
 二人とも手元が危なっかしいから心配だったけど」
「そうか」
二人が家事をしているところは見たかったが・・・仕事だったのだから仕方がない。
「パパ、お帰り。
 今日は俺と桐乃のおごりで外食だぜ」
京介も奥から出てきた。
「あたしが作るっていったんだけどさ、兄貴が外食がいいって言って聞かないの」
外食か。桐乃の手料理が気になりはするが、腹を壊すわけにはいかん。仕方がないだろう。
「外食か。楽しみだな。
 ところで京介」
「なんだ、パパ?」
「殴っていいか?」
「駄目に決まってるだろ!」
「いや、お前にパパと言われると気色が悪くてな」
背筋に怖気が走る。
「ヒデえな、親父は・・・」
うむ。やはり息子からは「親父」と呼ばれるに限る。

98 名前:【SS】大介パパ 2/2[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 20:34:25.68 ID:hfFBCW9i0 [9/9]
「それでね、パパ。兄貴ったら・・・・・・」
外食に向かいながら家族でお喋りをする。
何気ない事だが、俺にはとても幸せな事に感じた。
しばらく前まで京介と桐乃の関係が険悪だったため、こんな事がなかったからかも知れんな。
それにしても「パパ」か。
次にこの言葉を聞けるのは来年か。
少し名残惜しい。
もう少し頻繁に聞きたいが・・・・・・
もし京介か桐乃に子供ができたら、
「ほら、お母さんのパパですよー」
と呼んでくれるのか。
いや、「おじいちゃんにご挨拶は?」か。
・・・・・・それはそれで良いかも知れんな。
「おい、京介、桐乃」
「なに?」
「なんだ?」

「早くお前たちの子供が見たいものだ」

「「え?」」
俺の言葉に、京介と桐乃が顔を赤くする。
「親父、俺と桐乃の子供って、さすがにそれは駄目だろ!」
「そ、そうだよ!あたしと京介の子供なんて気が早すぎるって!」
む。そうだったな。
京介はともかく、桐乃は嫁にはやらん。
知らん男に桐乃をくれてやるくらいなら、まだ京介の方が信頼できる。
「ふふふ」
俺の隣で佳乃が笑う。
「ねえ大介さん」
佳乃が京介と桐乃を見つめながら俺の名を呼ぶ。
「なんだ佳乃」
佳乃につられ、少し遠く、顔を赤くしたままなにやら言い合いをする兄妹を見る。
「子育てって楽しいわね」
まったくだ。
「ああ。
 だいぶ大きくなったが、中身はまだまだ子供だ。
 眼が離せん」
だからもう少しだけ、傍で二人の成長を見つめさせてもらおう。
それが親の特権であり、成長する姿を見せるのが子供の最大の親孝行だ。




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最終更新:2011年08月08日 21:21