551 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/08/24(水) 18:45:24.43 ID:cQIwHsfW0 [6/6]
SS『高坂京介、部長への告白』
五更が居なくなって、少し寂しくなってしまった俺の部活。
だが、相変わらず、真壁や赤城たちも居るし、なぜか分からないが高坂も来ている。
やっぱ、みんな集まって、色々できるってのは良い事だよなぁ~
・・・つか、お前、受験勉強はどうしたよ?
そんな事を思ってるうちに、高坂が近づいてきやがった。
しかも、少し顔を赤くしながら・・・
オイ、俺は決して瀬菜っちの妄想の糧になんてなりたくねーぞ!?
「部長。そのー・・・人生相談があるんですけど・・・」
「・・・・・・は?人生、相談?」
高坂の口から出たのは、全く想定もしていない言葉だった。
「人生・・・相談・・・だと!?兄弟!どうした!?」
二回も言ったのは、大事なことだからだ。
いや、流石の俺も混乱してんだろうな?
「初めて会った時、言ってくれましたよね」
「な、何をだ?」
「妹ゲーを好きな人間に悪人はいないって、馬鹿になんか絶対にしないって」
えーと、そうだったか?似たような事を言った気もするけどよ、
半分くらいおかしくねーか?ま、まあいい事にしとくぜ!
「ああ!そうだ、兄弟!ファナたんを愛したもの同士!何を恐れる事があるか!」
つーか、そもそも何でここでその話が出てくるんだ?
勿論、俺はファナたんの事を愛してるし、これからも愛し続けるつもりだ。
だが、あれはもう半年以上前の話だろう?
世間一般からは忘れられつつある話を、今更蒸し返して・・・
いーや、ファナたんへの愛を語り合いたいってんなら望むところだ!
「ほんとに、馬鹿にしたりしないっすよね?」
「当然だ!兄弟!同じ女を愛したもの同士、何を馬鹿にすることがある!」
「ほんとに、ほんとっすよね?」
「・・・ああ!絶対にだ!」
瀬菜っちも見てるしよ、気にすんのは分かるけどよ?
・・・さすがにしつこくねーか?
俺が、いささかげんなりしつつも同意すると、
高坂は意を決したようにノートパソコンの前に座り、携帯とパソコンを接続し始めた。
「お、おい、高坂?・・・何やってんだ?」
高坂は俺の質問に答えずパソコンを操作している。
メモリーカードの中の隠しフォルダ?
パスワード付き!?
「うお・・・」
高坂は「ふぅ」と一息ついて、言う。
「ゲー研に来て初めて知ったんすけど、隠しフォルダとかパスワードって便利っすよね」
「ああ、そうだな」
俺は隠しフォルダに入れなきゃならんものなど持ってないがな。
しかし、高坂も結構パソコンの扱いが上手くなったよな。というか
「で・・・人生相談ってのは、もしかしてその『中身』のことか?」
高坂は頷いた。が、マウスに手を添えたまま、一向に開こうとしない。
まあ、ロリかペドかわからんが、よっぽどまずいモンが入ってんだろ?
「心配すんな。そこから何が出てこようと、俺は絶対馬鹿にしたりしねーよ。」
「ああ、わかりました・・・」
カチッ・・・カチッ・・
「こっ・・・これはっ!?」
画面にでかでかと映し出されたのは、高坂と・・・高坂の妹ぉ!?
しかもハートフレーム!?
「な、なんだ・・・これは・・・」
「あ、これは7月頃デートに行った時のプリクラですけど、桐乃がハートフレーム選んだやつです。
桐乃も可愛く撮れてますけど、ちょっと古いですし、表情がぎこちないですから、初心者にはおすすめ出来ないっすね」
んなこた聞いてねえよ!?大体なんだ初心者って?お前はプロか?プロなのか?
チクショウ突っ込みどころが多すぎて、俺のスキルではカバーしきれねえ!
い・・・いったい何が始まろうとしているんだ?誰か教えてくれ!?
周りを見渡せば、真壁も瀬菜っちも、魔界に足を踏み入れたような表情してるじゃねーか!
高坂と妹の『らぶらぶツーショットプリクラ』で脳をやられてしまった俺は、既にグロッキーだった。
だがこんなモノは、高坂にとってほんのジャブでしかなかった。
「くっ・・・」
脂汗をだらだらかいて、息も絶え絶えの俺。
そんな俺にお構いなしに、高坂は次々にファイルを開いていく。
「・・・それ・・・は・・・?」
「これっすか?これは、桐乃のモデル雑誌からのスキャンですよ。
桐乃も可愛いけど、ここの文字。『大好きなおにいちゃんとお買い物』!これですよね!」
「・・・・・・・・・これは・・・?」
「ああ、この前アメリカから帰ってきた時の写真っすよ。
この時の桐乃、服がマタニティドレスっぽくないですか?
いやー、俺の子供がお腹の中にいるみたいで」
「・・・・・・・・・・・・・・・これ・・・」
「これは、こないだ桐乃の撮影の手伝いに行ったんすよ。
そしたら、桐乃が新婦役で、俺が新郎役でー、結婚式みてーな、
つーか、桐乃と結婚したみてーなー」
色々言いたい事はあるが、これ以上桃色空間を拡散させると俺たちが死んじまう。
ひとまず俺は、無難な質問を投げる。
「なんで・・・ビットマップ?」
「・・・それは、俺にもわからないです。っていうか、ビットマップって何すか?」
あ゛ーーー、高坂に質問した俺が馬鹿だった!
こいつ、まだ初心者に毛が生えた程度だったな!
・・・つーか、もう、ゴールしていいよな?
突っ込むぞ?いいな?突っ込むからな!?
「高坂・・・なんで、妹の写真ばっか、もってやがる・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
そこで高坂は、何かを決意したような、思いつめた表情になった。
そうして高坂は、俺の鼻先にノーパソのディスプレイを突きつけた。
「桐乃を見てると・・・ちょっと『いい』とか思ってしまいますよね?」
「・・・な、何言ってんの、おまえ?」
意味がわからねぇ、つーか分かりたくねえ。
「だ・か・ら!」
何で分からないかなぁとでも言いたげに、高坂は呆れた表情を俺に向けた。
「・・・すっごくかわいいじゃないすか」
・・・正直、意味がわか・・・りたくねー。
いや、頭を働かせるまでもなく、答えは一つしかないわけだが・・・
でも、普通に考えりゃ、それっておかしいだろ?
俺は、おそるおそる聞いてみる。
「・・・すると、高坂。なんだ、その・・・まさかと思うけど、
『妹』が・・・リアルの『妹』が好きなのか・・・?」
「当然じゃないですかっ!」
だ、大正解・・・。はっきり言いやがった・・・。
つーか、なんでそんなに誇らしげなわけ?
などと思ってると、高坂は聞いてもいないのに語りだした。
「ほんとかわいいんですよ?えっと、例えば、桐乃は俺の妹だから、
『兄貴』とか『あんた』とか『カ○ビアンコム』とか『シスコン』とか『京介』とか、
その時々に応じた『特別な呼び方』で俺の事を呼んで、慕ってくれるんですよ。
それがもう・・・ぐっとくるんです」
「そ、そりゃあ・・・すごいな?」
一つ変なのが聞こえた気もするんだが?
俺の無言の突っ込みには勿論気付かず、高坂は、写真の一つを見せ付けてきた。
「この中だと、俺は、この桐乃が一番のお気に入りです」
高坂が示してきたのは、制服姿の桐乃ちゃんの写真だ。
腕を組んで、こちらを昂然と見下すような視線なんだが・・・
「やっぱり、妹ってのは金髪に染めてないとダメだと思うんですよ。
傲岸不遜ですっげえ生意気に見えますけど、本当は純情一途で、
俺の事を慰めたりするやさしい心根を持ってて、
それでいてやきもち焼きで、『俺の一番じゃなきゃ嫌』って言ってくれる妹って、
こう、護ってあげたくなっちゃうっていうか、
ぎゅって抱きしめてあげたくなっちゃうっていうか・・・へへ・・・いいよなぁ」
・・・・・・・・・・・・
「よく、分かった。よく分かったから、俺の言う事を聞いてくれ」
「へ?なんすか?」
「お前の家には、お前の愛しい愛しい妹が待ってんだろ?すぐに帰ってやりな」
「あ、そ、そっすね。部長。俺の相談、ちゃんと聞いてくれて・・・
やっぱ、あんただけは分かってくれるって、俺、信じてました!」
「お、おう・・・」
いや、まったくわからねーぜ?
「デュフフ・・・『愛しい』妹・・・フヒヒ・・・」
「わ、わかったから、な、な?」
「それじゃあ、俺、今日は帰りますね?愛しい妹が待ってるんで!」
「・・・ああ、がんばれよー(棒」
高坂が帰った後、部室には、返事すらできない屍が5体残っただけだった・・・
だが、心の中で言いたい事は、皆共通している。
『もう、お前らさっさと結婚しろっ!!!』
End.
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最終更新:2011年08月26日 13:34