871 名前:【SS】ハッピーサンシャインデー[sage] 投稿日:2011/08/30(火) 01:11:36.64 ID:uFLQViHg0 [1/2]
『ハッピーサンシャインデー』
「ウハァ~、響ちゃんいいよぉ~♪」
隣にいる妹が、突然そんな奇声を吐いた。
「黒髪ポニーテールでぇ~、妹なんてぇ~、そんなの反則だって~!ヤバヤバヤバ~!!」
何が恥ずかしいのか、桐乃は赤面しながら、パソコンのディスプレイを手で覆い隠している。
正確には、画面に映し出されている「妹キャラ」を隠しているのだが。
「やっぱ妹は黒髪にポニーテールだよね~。……アンタもそう思うでしょ?」
桐乃は至極満足そうに、したり顔で俺に尋ねてくる。
「知らねぇよ。てか、お前、昔は『黒髪ツインにかぎる』って言ってたじゃねぇか」
「はっ?何言ってんの?黒髪ツイン『も』、最高に決まってるじゃん!!」
桐乃はさも当然のように、そう言ってきた。
あぁ、そうか。つまりは今回のゲームで、お前のストライクゾーンは、また一つ広がったわけね。
お前は、茶髪だけどなっ!!
「アンタこそ、今までさんざんエロゲ―やらせてあげたんだから、黒髪の妹の良さを理解してるんでしょうね?」
俺の意見が気に食わなかったのか、桐乃はジトッと俺を睨んでくる。
「まぁ、黒髪も悪くねぇけど……」
俺はわずかばかり思案し、その一瞬でひらめいた、ある悪戯心に則って返してみた。
「でも、やっぱり茶髪の妹が最高だよなっ!!」
「なっ!?」
俺のまさかの返答に、桐乃は目を丸くして驚いている。
そりゃそうだろう。コイツも今までの経験で、俺が黒髪のコに弱いことくらい気付いているはずだ。
それなのに、まさかの茶髪をチョイス。驚くのも無理はない。
まぁ、俺もわざと「桐乃みたいなコ」をイメージして言ってるから、実際の好みと違くなるのは当然の事なんだけどな。
そして俺は、桐乃の反応が予想以上に面白かったので、意地悪ついでに続けてみた。
872 名前:【SS】ハッピーサンシャインデー[sage] 投稿日:2011/08/30(火) 01:12:43.09 ID:uFLQViHg0 [2/2]
「特に、生意気な事しか言わない妹ほど、逆に可愛かったりするわけよ」
「え?……えっ!?」
桐乃は徐々に顔を紅潮させ、慌てふためく。フフフ、たまにはこういう受け応えをしてやるのも良いだろう。
いつもは俺が振り回されているわけだし、このくらいの悪戯なら許されるはずだ。
「あ、アンタまさか……」
「うん?何だよ?」
優位に立ち上機嫌な俺は、桐乃の言葉を促す。
「ついに……アタシをエロゲ―みたいに攻略するつもりじゃないでしょうね!?」
「しねーーーーーーーーーーよっ!!」
「絶対ウソ!!い、今言ってたの、全部、あ、アタシの事じゃん?だったら、それって……」
だからって、何でそんなに話が飛躍するのっ!?展開早すぎるでしょ?
それに、何故そこで顔を真っ赤にするんだ、お前は!空気が変になるだろっ!
「……答えないって事は、そういう事、なんだ……」
「ち、違う!!俺は別にそういう意味で言ったんじゃなくて……」
「……じゃあなんで、アタシみたいなタイプを挙げたの?」
「うっ、それは……」
イタズラ目的です、とは言えないよな……。ていうか、自分のタイプだっていう自覚はあるんだな、コイツ。
さて、どうしたものか?何と言い訳して、この場を回避しようか。
「……シスコン」
「……うるせぇ」(ボソッ)
「……シスコンマスター」
「極めてねぇよ!!」
ったく、俺がどうにか終着点に持っていこうと頭を働かせているのに、コイツはそんなの気にせず、俺にちょっかいばかり出してくる。
はぁ、これならイタズラなんてしなきゃ良かった……。
でもよ……
「へへ~ん、シスコン神~、シスコンマイスタ~」
「階級増えすぎたっつーの!!」
いつの間にか調子を取り戻した桐乃の笑顔なんかを見てると、ちょっと楽しくて、これで良かったのかも、なんて錯覚を覚えてしまうから
タチが悪い。
困ったものだ。
そういえば、今日はハッピーサンシャインデーとかいう日らしい。
何でも、『太陽のように笑顔が明るい人のための日』なんだとか。
まぁ、だからと言ってどうという事はない。
それを聞いて、桐乃の笑顔が重なったのは、多分残暑で熱が抜け切れないだけだろう。
ホント、お前の笑顔は反則だよ、桐乃。
以上、記念日SSでした。失礼しました。
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最終更新:2011年09月03日 06:08