6 名前:【SS】麻奈実と対決編[sage] 投稿日:2011/09/12(月) 15:05:49.37 ID:76Sg8zpM0
148に触発されて作ってみました…
素人なもので読みづらいのはご容赦をば…




「あたしは京介とずっと一緒にいたいの!」
「そんなの現実的に無理ってわからないかなぁ・・・いつまで子供みたいなこと言ってるのかな?」

麻奈実さんの目がまっすぐあたしを見据えてくる。
揺るがないその視線を受けたあたしは耐えられなくなり目を逸らす。
そんなの分かってる…あたしと京介は兄妹なんだって事…その事実はどうあがいても変わらない。

「それでも!あたしにとって京介は単なる兄貴じゃ…な…い」

言い返そうとするあたしを麻奈実さんは静かに見つめている。
それだけなのに強い威圧感を感じて言葉が弱くなってしまう…分かってるけど悔しいよ。

「きょうちゃんはずっと桐乃ちゃんの為に色炉頑張ってくれたよね。でもそれは兄妹だからなんだよ?」
「家族が家族の為に頑張るのは当たり前。でも、それを簡単に恋愛に結びつけちゃうのはダメだなぁ」
「きょうちゃんは桐乃ちゃんが弟だったとしても、きっと同じだったと思うよ」

麻奈実さんはごく当たり前のことを当たり前にいつもの口調で言ってくる。

ウザ…分かり切った事いうなっての…!
でもその言葉は単なる強がりでしかない。目の前にいる人を納得させる言葉が浮かんでこない。
他の事なら何でもできるのにな…でもそれは目標が目に見えているから出来て当たり前なんだ。
ふとそんな事を考えると、あたしって本当はこんなに弱いのかと今更ながら思った。

「あたしには京介しかいない。今までずっとあいつの事しか見てなかったんだから」

…あたしはもう麻奈実さんを納得させるのを止めた。
あれこれ考えてもどうにもならないし、素直な気持ちを話すしかないよね。

「あたしじゃあんたにはなれない。でもあたしが京介が好きである事実は絶対に変わらない」
「そして今のあたしに成れたのは間違いなく京介のおかげ。まぁ…あんたのおかげでもあるけどさ」
「でもあたしが今でも頑張っていられるのは京介がいたから!あいつがいたから…」

言ってるそばから涙が出てきた…あたしダメすぎじゃん…。

「京介は超シスコンなんだから!あたしらの間に入ってくんなっ!!」

もう自分で何言ってるか分からなくなってきた。
自分の悔しい気持ちは分かってる。何を言っても麻奈実さんには通じないし勝てない。
それでも京介が自分以外の所に行くのは許せない…。

…違う、許せないんじゃない。すごく怖いんだ…。
何を言っても何をしてもあたしの為にいつも傍にいてくれた京介。
そしてある事件を境に京介も普通の人間だと思い知ったあの時。
普通の人間だけどいつも必死にあたしの為に頑張ってくれた京介。
京介だけが本当のあたしを知っていて、それでも傍にいてくれる。
その京介がいなくなっちゃうなんて…絶対に考える事が出来ない。
京介がいなくなったあたし…それはあたし?桐乃?一体なんだろう…?

馬鹿みたいに泣きながら立ちつくすあたしを、麻奈実さんは何も言わずに見ている。
その表情は全く変わってない。相変わらず憎らしいくらい緩い顔つきのままあたしを見てる。
…とふと麻奈実さんの表情が崩れてゆるーくニッコリ笑う。

はぁ?何笑ってんのこいつ。もうあたしは相手にすらならないっての?

「…だってさ~きょうちゃん?」
「へ…?」

間抜けな声を出すあたしをよそに、後ろから頬を掻きつつ現れたやつがいた。
その顔はすごく真っ赤だ…そしてそれを見るあたしの顔もきっと…。

「き、京介!?あんたまさかずっと見てたの??」
「ま、まーな。つか桐乃…」

あたしの問いかけに真っ赤な顔のまま言いよどむ京介。
くぅ…今更ながら超ハズカシイ気持ちが湧いてきた。

「なぁ…桐乃」
「何このシスコン!なんかあたしに言いたいワケ?つーか妹の本音盗み聞きすんな変態!」

京介が何か言おうとしてるけどあたしはそれどころじゃなくなってた。
だめだ…もう何も考えられないしまともに話せる訳ないじゃん!

「いいから聞けよ!でないと思いっきり抱きしめるぞ!」
「な…あんた白昼堂々とセクハラ宣言!?つか…なによ」

今のあたしはパニくってまともに話せる状態じゃないし、抱きしめられたら恥ずかしすぎて死ぬっつーの…。
仕方なく京介の言葉を促す。

「俺さ…ずっと今まで引っかかってたんだよな。なんで桐乃に対してだけ心の奥がモヤモヤするのか」
「今の桐乃の言葉をずっと聞いてきてよくやく理解できたよ。てか遅すぎだって話だけどな」

京介は少し苦笑して、だけど今まで見たことがないくらい真面目な顔であたしを見つめてくる。
あたしは恥ずかしさで目を逸らそうと…あれ?なんでできないんだろう。
…そしてそのまま京介の言葉を待つ。


「はっきり言うよ。俺も…桐乃が好きだ」


その言葉を聞いた瞬間、あたしの視界がぐらついた…。






「もうびっくりしたよ~。桐乃ちゃんいきなり倒れるんだもん」
「俺もだぜ全く…でもありがとうな麻奈実」
「えへへ~…桐乃ちゃんもきょうちゃんも素直になってくれないからね」

…どうやらあたしはあの後で気を失ってたらしい。
ぼーっとした頭に2人のやりとりが流れてくる。
どうやら今回の件は麻奈実さんが仕組んだらしいってのは分かった。
でもなんで…?麻奈実さんも京介が好きなんじゃなかったの?

「きょうちゃんはね、本当の気持ちに気付いてて、それでも気づいてないフリしてたんだよ」
「なんでかって…それはきょうちゃんも分かってることだよね?」
「兄妹だから、兄妹以上にはなれない…兄として当然の態度だったんだし間違いじゃなかったと思う」

…少し頭がはっきりしてきたあたしは目をうっすらと開けてみる。
あたしは京介に抱きしめられていた…うは…あたしやばいや…
でも京介はあたしが見てることに気づかず麻奈実さんの言葉を待っている。

「それでも…きょうちゃんが一緒にいるべきなのは桐乃ちゃんなんだよ」

麻奈実さんは少しだけ寂しそうな表情をみせてそう続けた。

「ああ…分かってる。つーか良い兄貴像なんてもののお陰で遠回りしすぎちまったな」
「麻奈実マジでゴメン…だけど本当にありがとうな」

「えへへ、どういたしまして。でもようやく真っすぐ向き合えたね~?」

寂しそうな顔を見せてた麻奈実さんだったけど、その言葉を境にいつものゆるーい顔に戻った。
ああ…やっぱこの人には敵わないや…。

でもこの人がいてくれたお陰であたし達は本当の、本当の気持ちをお互い知ることができた。

「ハズカシイっつーの…そろそろ離してよシスコン」
「気づいたか…てかうるせぇ。離さねーよバカ」

今までのあたしなら蹴り倒してただろうか…でもこれからはもう必要ない…よね。
お互いに真っ赤な顔のまま抱き合ってる兄妹をみて麻奈実さんが笑う。

「でもこれからたいへんだね~2人とも」

そうだ、これからもっともっと大変なことになるんだよね…。
うちの両親、あやせに黒いのに沙織に…って考えるほど頭が痛くなってくる。

それでもあたしはダメだなんてこれっぽっちも思えなかった。

「まぁ今までなんとかなったし、なんとかなるさ!」

根拠のない自信を言い放つ京介。でもあんたと一緒ならきっと大丈夫だよね…!





ふと空を見上げると、雲一つない青空が広がっていた。
…その空を見上げるあたしと京介の表情はすごく満ち足りていた。




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最終更新:2011年09月14日 22:33