470 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/09/13(火) 03:52:16.02 ID:nqbfbYLM0 [1/5]
SS『俺の親友がこんなにウザいわけがない』



最近、俺の親友が激しくウザい。
これまでも、俺の普通理論を否定したり、勝手に麻奈実との仲を推測したり、
様々なウザい所業を行ってきた赤城のヤローだが、今回のウザさはその比じゃねえ。

「よっ!妹とはプリクラ止まりの高坂ぁ!妹との仲は進展したかよ?」

な?ウザいだろ?

「・・・何度も言わせんなよ、そんな簡単に変わるわけじゃねー
 つか、俺はおまえみたいに、妹の事が好きで好きでしょうがねえってわけじゃねーよ!」
「そーかそーか。やせ我慢も大概になーwww」

くっ・・・マジうぜー
仕方ねー・・・俺も手段を選んでる場合じゃねーな。

「まあ・・・たいした事じゃねーが、ほんの少しだけ、CG付きのイベントがあったぜ?」
「CG付き・・・?と、とにかく何かあったんだな?」
「おうよっ!」
「ふ、ふーん・・・どうせおまえが大げさに言ってるだけだろ?」

今までドヤ顔だった赤城のヤローも、少しだけ俺から発せられる雰囲気を感じたのだろう。
ほんのわずかだが、動揺を隠せないでいやがる。

「くくく・・・この前のことだがな・・・」
「な、なんだよ」
「ウェディングドレスを着た妹と、街中を走り回ったぜ!」
「なっ・・・なっ!?・・・ウ、ウェディングドレス・・・だと!?」

どーだ?いくらシスコンのてめーだろうと、ウェディングドレス姿の妹と一緒ってのは無理だろwww

「今回はおまえの負けだ、諦めるんだな!」
「くっ・・・だがっ!」
「だが?」
「冷静に考えりゃ、別におまえと結婚したわけじゃねーしな。
 それに桐乃ちゃんモデルだろ?そういう服着ることもあるわけだろ?」
「・・・・・・・・・」

くそっ、赤城のヤツがこれほど冷静だったとは!
これじゃ俺が『妹と仲良くなって浮かれてる馬鹿兄貴』みたいじゃねーか。

「まっ、とにかく俺に勝とうと思うんなら、まず桐乃ちゃんにキスくらいはしてもらってからだな~」
「・・・・・・・・・」

・・・今に見ていろよコンチクショウめ・・・





「で、家に帰ってくるなり、あたしにキスしろって迫ってきたわけ?」
「・・・はい」
「あんた馬鹿じゃないの?」
「・・・すんません」
「つか、お母さんたちが居たら、あんた家から追い出されてるわよ?」
「・・・ごめんなさい」

そして家に帰った俺は、早速妹様からお叱りを受けているところなわけだ・・・
赤城との対決で熱くなってたとはいえ、いきなりキスをせがむなど、兄貴のやることじゃねーよな・・・

桐乃も顔を真っ赤にして激怒してる様子がはっきりと見て取れる。
いや、顔だけじゃねえ。首も・・・いや、手足も赤くなって・・・全身で激怒っすか!?

「・・・つかさ、あんたそんなに赤城さんに勝ちたかったワケ?」

突然、桐乃から質問が投げかけられた。
赤城に勝ちたかったかって?なんか良くわかんねー質問だが・・・

「別に赤城に勝ちたいってわけじゃ・・・いや、やっぱ勝ちたいっていうか・・・」
「どっちよ」
「いや、赤城には確かに勝ちてえんだけどよ、それはおまけみたいなもんだ。
 あいつらが仲良くしてるのを見ると、なんか俺たちの仲が負けたみてーで悔しくってよ」
「ふ、ふん・・・」

まあ、でも仕方ねーよな。
俺と桐乃の仲が好転しはじめたのもすっげー昔に思えるけど、まだ、たったの一年と少しだけだもんな。
さすがに十数年ラブラブ兄妹やってた赤城兄妹に勝てるわきゃ―――

「ねぇ・・・それじゃ、せなちーがした事より凄いことをすれば勝てるんだよね?」

突然、桐乃が無茶苦茶な事を言い始めた。

「そ、そりゃー瀬菜よりすげー事なら・・・って、す、凄い・・・コト!?」
「なっ、何考えてんのよ変態っ!」

だって凄いコトって言われたら・・・なぁ?
おまえの持ってるゲームならアレだろ?
『お兄ちゃん・・・来て・・・』とか言って、俺に血涙流させるんだろ?

「あ、あたしは単に、せなちーに勝ちたいって思っただけで、そ、そんな具体的にっ!」

単に赤城兄妹に勝とうと思っただけか・・・ん?

「桐乃。まさかと思うが、おまえも瀬菜に兄妹仲の自慢でもされてたってわけか?」
「う、うん」

あのヤロー共・・・俺の桐乃に、余計な事言いやがって。
こうなったら、ぜってー勝たないと気がすまねーぜ!

「桐乃・・・」
「うん」
「あの兄妹にはぜってー勝つぞ」
「うん!」

さて、問題は赤城兄妹でも無理なことをしなきゃならんわけだが・・・
いや、エロ方面は無しでな!
もちろん、桐乃は可愛い。正直兄である俺ですら襲ってしまいそうな事はある。
でも、それはさすがに兄妹で踏み入れちゃまずい領域だろ?

「・・・だけどよ、キスの先っつったら・・・えっちだよなぁ・・・」
「な、何言ってんの!き、兄妹で、え、え、えっちなんてっ!まだ早いしっ!」

あ、あれ?

「俺、口に出してた?」

真っ赤な顔でぶんぶんと首を縦に振る桐乃。
しまったなぁ・・・まさか聞かれちまうとはなぁ。

「と、とにかくえっちなのはダメ!」

まあ、そうだよな。俺だって、エロ方面は無しでって考えてた所だからな。
・・・それにしても、おまえ。さっき『まだ』って言ってたよな?
つまり、そういうことか!?期待していいのか!?

「京介。なんか顔がキモい」
「も、元からだぜ?」

あっぶねー。
今度は表情に出ちまったらしいな。

それにしても、エロ以外であいつらを超えるのって難しすぎねーか?
瀬菜のほっぺちゅーは、まあギリギリ兄妹愛で済むだろうけど、
直接口同士は完全にアウトだし、エロなんて論外だ。

「ねえ、京介」
「ん?なんだ、桐乃」

さっきまでの怒ったり、恥ずかしがったりとは違う落ち着いた雰囲気で、桐乃は俺に微笑みかける。
たぶん、俺が本当に求めていた桐乃がそこに居た。
俺の妹の、でもそれ以上に、一人の女として。

「京介が悩んでるから、あたしがヒントをあげるね。
 ・・・キスの先って、京介の思うものだけじゃないよ」

そうか。そう、だよな。
エロゲに毒された・・・いや、今時の『普通』ってのばかり見てた俺は気が付けなかった。
でも、この一年の間、おまえに教え続けてもらったよな。
普通でない事が―――いや、そうじゃない。

おまえと一緒に生きるって事がこんなにも楽しい事だってな。

それなら、俺から言うべきことは一つしかないよな。





「で、俺たちに勝った・・・だと?」
「ああ。俺たちの圧勝だぜ!」
「ふ、ふんっ!どうせ、桐乃ちゃんに土下座でもして、キスをせがんだってか?」
「フッ・・・違うな」

俺は不敵な笑みを浮かべる。
赤城のヤローの悔しがる顔が今から見えるようだぜ!

「だ、だったら、何をしたっていうんだよ・・・ま、まさか!?」
「おまえが何を考えたかはしらねーが、エロい事じゃねーよ」
「そ、そうか」

ふっ、赤城。おまえはエロじゃないと俺たちに勝機が無いと思ってんじゃねーだろうな?

「だけどよ、それじゃ何をしたってんだよ?」
「特に何も」
「おい!」
「いや、俺と桐乃で、ちょっとした約束をしただけだぜ」
「や、約束?」

そうだ。
別に、キスしてエッチしてってのが全てじゃないだろ?
赤城と瀬菜が兄妹であるように、俺と桐乃は家族なんだ。

だから、俺と桐乃だけの約束をしたんだ。

「まず、俺と桐乃は、幸せや喜びを分かち合い、悲しみや苦しみを共に乗り越えていく」
「え、えーと・・・」

ん、なんだ?
急に勢いが無くなったな?

「そして、お互いに永遠に愛し合うってな」
「・・・・・・・・・」

お、おい、どうしたよ。黙っちまって。
そんなに兄妹の間では普通のことだったか?

・・・まぁ、別にいいか。
大事なのは、普通かどうかって事じゃなくって、俺たち自身がどうかって事だもんな。

とりあえず、放心している(呆れてるんだろうな)赤城は放っておくとしてだ。
桐乃との話じゃ、近いうちにみんなの前で宣言するイベントも行うって事にもなってる。
あやせや加奈子、沙織に黒猫も呼ぶとして、赤城兄妹もせっかくだし呼んでやろうかな?

俺たちが世界最高のシスコン・ブラコンだってみんなの前で公言するのはちょっと恥ずかしいけどよ、
桐乃が言うには、区切りってのも必要だって話だ。ちょうど良い予行演習になったんじゃないかな。

それにしても楽しみだぜ。
何しろ、俺は桐乃にも秘密にしてることがあるからな。
イベントの最後に、俺はとっておきの一言を叫ぶつもりなんだ。

『俺の妹はこんなに可愛い!』

ってな。



End.




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最終更新:2011年09月14日 22:34