26 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/09/17(土) 17:05:51.87 ID:pYNE1UCp0 [5/25]
タイトル:「セクハラ宣言」

俺は今、桐乃の部屋の前にいる。数ヵ月後に受験を控えた身だから少しでも勉強を
したほうがいいのだろう。
しかし、ベッドの下にあったこれを見つけてしまってからは、どうしても勉強に身
が入らない。
どうしてもこれを使いたい。
しかし、あの日、俺は自分の不誠実さを恥じ、反省した。特に冗談とわかってはい
るだろうが、あやせを少しからかい過ぎたようだ。
そう、そして誓ったんだ

  『桐乃にしかセクハラはしないと!』

桐乃の部屋をノックすると、少しして桐乃がドアの隙間から顔を覗かせた。

「ん、なんのよう?」
「人生相談がある」
「・・・・・入って」

桐乃はしばらく考えて、俺を中に入れてくれた。
大き目のスポーツバックを持って部屋に入ってくる俺を見て、怪訝そうな顔をしな
がら

「何それ?」

床のクッションに腰を下ろしながら俺は言った。

「これは、人生相談と関係あるものだ」
「そう・・・」

そういって桐乃は椅子に腰掛けた。

「で、相談って何?」
「桐乃、メルルは好きだよな」
「そりゃ、あんたも知ってることじゃない」
「コスプレしてくれないか?」
「・・・はぁ?」

俺が単刀直入に”人生相談”の内容を話すと、桐乃は呆れるを通り越して変態を見
るような目をしながら

「・・・キモ、マジ引く」
「あんた、あたしにセクハラする気?」
「そうだ!」

俺は胸を張ってそう答えた。
俺の顔面に桐乃の蹴りが炸裂する。

「何、胸張って答えてるのよ!せなっちーにも『おっぱい揉むぞこの雌豚』とか言
ってセクハラしてるって聞いてるわよ!」
「それはずいぶん前の話だ。それに俺は自分の不誠実さを恥じ、そして誓ったんだ。」

「俺がセクハラをするのは・・・お前だけだぜ?」

そうどこかで言ったことがあるようなないような台詞を言った。

「・・・・・・・・・・」

沈黙が続く。桐乃はいきなり俯いてしまった。

「桐乃・・・さん?」

桐乃はゆっくりと顔をあげる。その頬は赤く高揚している。
目を逸らしながら桐乃は

「・・・わかった。京介のお願いだから・・・聞いてあげる」

あれ?何か反応が・・・・・

「あはぁ、メルルの衣装着ても加奈子みたいに似合うかなぁ?それに・・・サイズと
か心配だな・・・ははは」

俺はスポーツバックを開けながら桐乃に言った。

「そのへんは大丈夫だろ。もともとあやせに合わせて作ってあるから、少し胸回り
がきついくらいだ。」
「・・・・・はぁ?」

「これだ!ダークウイッチ タナトス・エロスEX」

「死ね!」
桐乃の水平回し蹴りが、衣装を広げながら立ち上がる俺のわき腹に炸裂する。その顔
は、先ほどの頬を赤く染めた乙女ではなく・・・怒りに打ち震えた鬼の形相であった。
俺は倒れこそしなかったがわき腹を押さえて蹲った。

「はぁ?あんた何で、あやせのサイズしってんの?」
「いや、前にEXメルルフィギュアを手に入れるために加奈子がでたやつ」
「それが?」
「加奈子がどうしても出ないってときは、あやせがこれを着て出るつもりだったんだよ。」
「あっ、そうだったんだ・・・・・」

さっきまで鬼の形相だった桐乃の顔が、ゆっくりと綻んでいき、最後には・・・・・
エロゲーをやっているときの締りのないオタクの顔になった。
こいつ何想像してるんだ?

「桐乃、顔がやばいぞ・・・」
「はっ、えっ、なんでもないなんでもない。てか、これは没収!」

そういうと桐乃は俺からコスプレ衣装を奪い取り、俺を部屋から追い出した。

日曜日、京介の部屋
玄関のチャイムがなる。俺はベッドから立ち上がり玄関に行った。

「おっ、あやせか」
「こんにちは、お兄さん、桐乃はいますか」
「部屋にいるよ」

そう、あやせと会話をしていると背後から桐乃の声がした。

「いらっしゃい、あやせ。さぁあがって」
「おじゃまします」

そういうと2人は二階の桐乃の部屋に入っていく。
俺も部屋に戻るか。
そう自分に言い聞かせ、再びベッドの上で楽な体勢をとり英単語カードをめくり始めた。

「あやせ、お・・・・るん・・けど」
「な・・桐乃」

薄い壁を通して桐乃たちの話し声が聞こえる。

「これ・・だけど」
「それって!!!!」
「これ・・・てもら・・・・んだけど」
「やめて!桐乃」

桐乃の声は相変わらず聞こえづらいが、あやせの声は明らかに何かに動揺しているのか
はっきりと聞こえる。

ドン!!

壁に何かが当たるような音がした。俺は桐乃の部屋がある壁に顔を向けた。

「おーい、桐乃何やってるんだ」

返事がない。
不思議に思っていると、携帯が鳴った。
俺は携帯を手に取り、確認すると1通のメールが届いていた。
あやせからだ。

「隣にいるのに、何メール送ってるんだ」

そう独り言を言いながら、メールを確認した。

『お兄さん、おはなしがあります。今ドアの前です。』

いつもどおり簡潔なメールが送られてきた。
そしてドアをノックする音がした・・・・・・・・・






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最終更新:2011年09月19日 17:01