780 名前:【SS】高坂京介の悩み事 1/3[sage] 投稿日:2011/09/19(月) 02:22:14.68 ID:QpPJMei/0 [4/6]
俺の名前は高坂京介。
ごくごく平凡な男子高校生だ。
あえて違うところと言えば、世界一可愛い妹を持っているってことだ。
そして、俺は今その妹について、非常に悩んでいることがある。
「・・・・・・」
想いを乗せて、ソファに座る桐乃を見る。
桐乃は非凡を形にしたような、才色兼備学業優秀な女子中学生だ。
夏休みの間は暇そうにしている姿を見たが、最近は読者モデルに復帰し、これからは忙しくなるだろう。
だから、その前に一つ確認しておきたいことがある。
「・・・・・・」
無言で桐乃を見つめていると、雑誌を見ていた桐乃が顔を上げた。
「・・・・・・なに?」
桐乃が怪訝そうな顔で聞いてくる。
「・・・・・・別に」
俺が答えると、桐乃は雑誌に視線を戻した。
その雑誌、確か桐乃が載ってるやつだよな。
その雑誌なら俺の助けにはなるんだが・・・・・・それでも足りない。
結局、これは俺と桐乃の問題なんだ。
「・・・・・・」
俺は携帯を取り出すと待ち受けを確認する。
待ち受けでは、不適に素敵な超可愛い桐乃が俺に向かってウィンクしている。
「はぁ・・・・・・」
思わず、ため息をついて、再度桐乃に視線を戻した。
「・・・・・・」
視線の先では、桐乃が顔を上げてこちらを見ていた。
俺はもう一度待ち受けを確認し、それから桐乃へと視線を戻す。
桐乃は変わらず、ジィーっと俺を見つめている。
なんだ?何か用なのか?
よくわからんが、とりあえず桐乃を見つめ続ける。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
お互いに何も言わずに見詰め合う。
先に沈黙を破ったのは桐乃だった。
「・・・・・・そんな眼で見ても、しないかんね!」
桐乃は顔を赤く染めると、ふぃっと横へと顔を逸らした。
しないかんね?一体何のことだ?
よくわからんが、そのまま桐乃を見続ける。
「・・・・・・なに?
違うの?」
見続ける俺の視線に気がついたのか、桐乃がこちらに向き直った。
「ああ。よくわからんが、そうじゃない」
真剣な顔で答えた。
781 名前:【SS】高坂京介の悩み事 2/3[sage] 投稿日:2011/09/19(月) 02:22:42.32 ID:QpPJMei/0 [5/6]
「じゃあ、さっきからなんなの?」
「それはだな・・・・・・」
俺は視線を逸らし、言いよどんだ。
「さっきから真剣な顔であたしを見てるじゃん。
何か言いたいことあるんでしょ?」
ある。あるんだが・・・・・・俺にはその勇気がない。
俺が何も言えないでいると、桐乃は雑誌を閉じテーブルの上に置き、真剣な表情で、俺の顔を真っ直ぐ見てきた。
「あたしさ、京介の力になりたいんだ。
だから、あたしが協力できることなら話してほしい」
「桐乃・・・・・・」
「あたしに話しづらいのはなんとなく分かる。
でもさ、あたしたちはまだまだ仲が悪いから、話してくれないとわかんない」
そうだよな・・・・・・見つめているだけで、分かるわけないもんな・・・・・・
「たとえばさ、その・・・・・・」
桐乃は一度下を向き少しだけ言いよどんだが、すぐに顔を上げ、
「京介が黒猫ともう一度付き合いたいとか、そういうこと言ったらあたしも駄々こねちゃうと思うし、
認めることとかできないかもしれないけど!
でも、怒ったりしないで、ちゃんと受け入れられるから・・・・・・
だから、あたしに話してくれると嬉しい」
「桐乃・・・・・・!」
俺が誰かと付き合うとか絶対に嫌だろうに、そこまで俺のことを考えてくれているんだな・・・・・・
俺が確認したいことは、何も桐乃に直接尋ねなきゃいけないことじゃない。
他にも色々と手段は残されている。
だがそれらの方法だと、遺恨が残っちまう。
それらの方法で解決したとして、例え桐乃が後で知って俺を許したとしても、きっとおれ自身が俺を許せないから―
だから、俺は覚悟を決めなくちゃいけない。
「なあ、桐乃・・・・・・
俺は一つ桐乃に聴きたいことがあるんだ」
「・・・・・・なに?」
桐乃が緊張した面持ちで俺を見つめる。
さあ覚悟を決めろ高坂京介。
覚悟を決めて、桐乃に言うんだ!
「おまえのおっぱい何カップ?」
782 名前:【SS】高坂京介の悩み事 3/3[sage] 投稿日:2011/09/19(月) 02:23:04.83 ID:QpPJMei/0 [6/6]
俺の名前は高坂京介。
ごくごく平凡な男子高校生だ。
あえて違うところと言えば、世界一可愛い妹を持っているってことだ。
最近は少し妹と仲良くなってきたんだが、ことあるごとに桐乃のことを知らない自分を思い知らされている。
好きな衣服とか、好きな香水とか、持っている服の数とか、今まで何度雑誌に掲載されたかとか、
好きな男性のタイプとか、今現在のスリーサイズとか、好きな妹系エロゲの傾向とか、今後の進路とか、俺には知らないことだらけだ。
特に気になったのが桐乃の胸のサイズだ。
勘違いしてもらっちゃ困るが、これは赤城のせいだぞ?
赤城が「一年前の瀬菜ちゃんの胸はEカップ以上はあったね。今ならFカップ、いや、Gまでいっているかもな!」と言ったのが原因だ!
と言うわけで桐乃の胸のサイズが知りたくなったんだが、見ただけじゃわかんねえし、
雑誌にスリーサイズは載っててもカップ数までは載ってなかったし、
ネットで調べるとどうやらDカップらしいんだが、BMIとか考慮されてなくて、しかも個人差があるし・・・・・・
確かに洗濯に出されている桐乃のブラを調べれば、そこにはアンダーとトップ、そしてカップサイズが明記されているだろう。
しかし靴でもメーカーによって大き目のほうがいいこともあったりするし、正確な値は分からない。
ブラごとに記載されている値を何回か調べれば、大体の予想はつくんだろうが・・・・・・
俺は桐乃の兄貴として、そんな桐乃に顔向けできないことはしたくなかった。
だから直接聞くしかなかったんだが・・・・・・
「な、なによ、そんなにニヤニヤして・・・・・・!」
俺は!ついさっき!桐乃のサイズを知ることができたのだ!!!!
「なんでもねえよ」
俺はクールに答える。
・・・・・・顔はニヤけているかも知れんが。
「・・・・・・キモ」
桐乃が見下したような視線でそう言う。
だが、それだけだ。
確かに桐乃に告白した直後に罵詈雑言は喚き散らされたが、
俺は蹴られることも、ビンタされることも、頭突きされることもなかったのだ!
俺たち、随分と仲良くなったんだなぁ・・・・・・
「一年前と比べ、随分成長したな」
俺は桐乃(の胸)を見ながらそう呟いた。
「~~~~!
なに!?あんた一年前と比べるとか!
まさか、覚えてるの!?
まじキモいんですけど!」
桐乃が顔を真っ赤にして言う。
一体なんだ?
覚えてる?
一年前どれだけ仲が悪かったか覚えてるのは当たり前だろ?
俺はわけがわからないまま桐乃をじっと見つめる。
「~~~~!~~~~!~~~~!
そ、そんな眼で見ても確かめさせてあげないんだからね!!!」
桐乃はわけの分からないことを言うと、両腕で胸を隠しリビングから走り去ってしまった。
「おい、桐乃?」
聞こえてないみたいだな。
一体なんなんだ。
「まったく、成長しても、仲良くなっても相変わらずだな」
リビングに残された俺は、桐乃が置いていった雑誌を手に取りながら独りごちる。
「桐乃がなにを考えているのか、まったく分からん」
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最終更新:2011年09月19日 17:08