829 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/09/19(月) 12:36:43.57 ID:zyJ1p6/k0 [9/20]
タイトル:「抱き枕」

「ジャーーーン!メルル抱き枕新バージョン!」
「どう?いいでしょ」

俺は名前は高坂京介。もうすぐ受験を控えた高校三年生だ。
今、妹に呼び出されて桐乃の部屋に来ている。

「『どう?』って言われても、どう反応すればいいんだ?メルルの絵が描いてある普通の
抱き枕だろ」
「ち・・・あんたは全然わかってないのね。メルルを抱いて眠るこの安心感とか、普通の
抱き枕では味わえない安眠が得られるのよ。しかもこの絵柄みて!」
「まぁ確かにお前が持っているメルルグッズとちょっと絵柄が違うかも」
「そうでしょー。月見里がんまさんのサークルで作った限定メルル抱き枕なんだから、コミ
ケでは搬入数少なかったから買えなかったんだけど、このあいだ通販あってそれで買えたの。
通販も数が少なかったから通販開始前から、パソコンの前で待機して大変だったんだから」
「なるほど・・・てかさ、抱き枕を買うのはいいがベッドの上にそんなに抱き枕をおいて
自分の寝る場所あるのか」

桐乃のベッドの上にはすでに2つの抱き枕が置かれていて、抱き枕の間に挟まって寝るような
状態になっている。それだけでは飽き足らず壁にもう3つほど抱き枕が立てかけてある。

「ぐっ、うっさいな。日替わりで使うから大丈夫」
「まぁ、おまえがそれでいいならいいんだが・・・それ今日はどこに置くんだ」

桐乃は部屋を見回す。

「片つければ置けそうだけど、今からかたつけは無理そうかな」
「じゃあ、どうすんだよ」
「ひひひひ」

桐乃は不敵な笑みを浮かべる。

「それが、あんたを呼んだわけ」
「俺にどうしろと・・・・・」
「今晩、あんたに1つ貸してあげるから抱いて寝て」
「何で俺がそんなことしないといけない!」
「うっさいな、メルルの抱き枕抱いて寝れるなんてそうそうないことだよ。しかも、あたしが
抱いて寝た抱き枕を抱いて寝れるんだから・・・ありがたいと思いなさい」
「・・・リアクションに困るんだが・・・」
「うれしくないの?」
「うれしいうれしくないの問題じゃない。おまえの匂いがするといってもだな・・・しょせん抱
き枕だしな・・・」
「・・・キモ、あたしの匂いがするからってあんたどんだけシスコンなの、マジひくわ。いいから
置く場所作るまで1つ貸したげる」
「わかったよ。じゃあどれ持ってけばいいんだ」
「ああ、あたしが選んどく。あんたまだお風呂入ってないでしょ。あんたの汗臭い匂いがついたら
いやだから」
「俺は今晩、おまえの匂いがついた抱き枕を抱いて寝ないといけないんだが」
「うっさい、さっさとお風呂入ってくる!抱き枕はあたしが運んでおくから」

そういうと桐乃は俺を部屋から追い出した。

「まったく、勝手なやつだな」

俺はそう悪態をついたが、最近桐乃に対して今までと何か違った感情を芽生えてきている。
罵倒されても桐乃とこうやって話ができるだけでもうれしい。一緒にゲームをやっているときに腕
が触れたり、ショートパンツで座っている姿を見たりすると、動悸のようなめまいのような感覚に
襲われるときがある。これが何なのかは俺には何なのかはよくわからない。

そういう自分でもよくわからないこの感情について考えながら風呂に入ると、俺は部屋に戻った。
部屋に入ると、ベッドの布団が盛り上がっている。すでに桐乃が抱き枕をベッドに寝かせているよ
うだ。

「どうしても、俺に抱き枕を抱かせて寝かせたいようだな。こんなところお袋に見られたら何言わ
れるかわからないから、明日は起こされる前に起きないとな」

俺はそう独り言をいうと、目覚ましを少し早めにセットして電気を消した。
そして布団をまくって寝ようとすると・・・・・・

「桐乃、おまえ何やってるんだ」
「だってー、京介が抱き枕じゃあ・・・物足りないっていうしぃー」

「今晩はあたしが抱き枕になってあ・げ・る」






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最終更新:2011年09月19日 17:09