764 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/09/21(水) 21:08:28.47 ID:gkFmHBvw0 [11/24]
タイトル:台風(ホラー風味)

台風がきているせいで、外では風がうなり声をあげバタバタと壁に雨が叩きつけられる音
がする。時折、遠くのほうで雷鳴が轟いている。
俺と桐乃は晩飯を食べたあと、リビングでくつろいでいた。親父たちは旅行先から戻れな
くなり1泊してくるとの連絡があった。

「ひいいぃ~」

雷の音がするたびに桐乃は怯え、俺の胸に顔をうずめてくる。

「おまえ、雷が怖かったのかよ」
「うっさい、あたしが何怖くたっていいでしょ」

そう強がる桐乃を見ていると微笑ましくなる。普段は俺に高圧的で罵倒してくる桐乃がこ
うやって雷の音に怯えて、俺にしがみついてくるなんて想像できない。

「雷は今晩中、鳴りそうだけど夜寝れるのかよ」
「ひいいぃ、どうしよう・・・・・無理かも」
「なら、今晩は俺と一緒に寝るか」

俺がそう言うと、桐乃がはっっと顔をあげ

「・・・キモ、なんてこというのよ、このシスコン」
「そうか、なら一人でがんばれ」

俺がそう言うと、今度は近くで雷鳴が轟いた。それを聞いた桐乃は再び俺の胸に顔を埋め


「やっぱり、おねがい・・・」

と呟いた。
やれやれ、素直じゃないな。

「それじゃ、もう寝るか」

俺はそう言ってテレビを消した。画面が消えて真っ黒になった瞬間、稲光とともに消えて
いるはずの画面に黒髪の少女らしき影が映った。

そうちょうど俺の肩越しに立っているかのように・・・

それを見た瞬間、驚きのあまり後ろを振り返った。しかし開け放たれたカーテンの外には
漆黒の闇が広がるだけで誰もいなかった。

「ん、どうしたの?」
「いや、なんでもない」

俺は桐乃を怖がらせないようにそう答えた。
きっと見間違いだろう。そう言い聞かせて桐乃と俺の部屋に向かった。

「あんた、変なことしたら殺すからね」
「別に変なことなんてしないよ。兄妹なんだし一緒に寝るくらい普通だろ」
「あんたが、『兄妹』って言葉使うときは、だいたいあたしにセクハラするときだから」
「変なこと言うなよ」

そんなことを冗談半分に言い合いながら、俺の部屋のドアを開けると閉めていたはずの窓
が開いており床が濡れていた。

「あれ、おかしいな。昼間に閉めたはずなの」
「あんた、ついにシスコン拗らせて健忘症になったの」
「シスコンと健忘症は違うぞ」
「・・・キモ、どっちも認めるんだ」
「まぁいい、とりあえず窓閉めて、床を拭こう。桐乃、雑巾持ってきてくれ」
「もうしょうがないな」

桐乃はそういうと雑巾を取りに部屋を出た。俺は窓を閉めて部屋を見回した。とりあえず
床が濡れている以外は特に問題なさそうだった。

「おかしいな・・・なんで開いてるんだ」

俺がそう独り言を言っていると、桐乃が雑巾を持って戻ってきた。俺たちはとりあえず濡
れた床を拭いた。

「まぁこれで大丈夫だろう」

俺はそういうと、雑巾を片付け、桐乃と一緒にベッドに入った。

「京介、体温かいね」
「あんまり、擦り寄ってくるなよ」
「いいじゃない、兄妹なんだし」
「おまえだって人のこと言えるのかよ」
「あたしはいいの妹だから、あんたは兄だからシスコン」
「まったく・・・」

俺はそういいながら擦り寄ってくる桐乃の肩を抱いた。

「そろそろ寝るか」
「うん」

そういうと俺は体を起こして電気を消した。外では相変わらず叩きつけるような雨とうなり
声のような風の音が響いている。そして時折、雷鳴もしている。
再びベッドに横になり、桐乃を抱きしめようとすると、枕元にあった携帯がなった。
携帯を確認すると、1通のメールが届いていた。
送り主は「あやせ」だ。

「ん、誰から」
「あやせからだ。何のようだ?」

それはそういうと、メールを開いた。

『お兄さん、おはなしがあります。今ベッドの下です』

・・・・・・・・・・






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最終更新:2011年09月23日 07:59