889 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/09/25(日) 03:34:53.30 ID:Ct4bwexW0 [9/20]
タイトル:プリン

あたしがリビングに行くと、京介がプリンを食べていた。

「何あんた、一人でプリン食べようとしてるわけ」
「ん?冷蔵庫にもう一つ入ってなかったか」

冷蔵庫を開けてみたが、もうプリンは入っていない。

「入ってないわよ」
「そうか、わるい・・・」

京介は悪びれたふうに言う。夕食までにはまだあるし、部活でおなかが空いていたので何
か食べたい気分ではある。

「もう、あたしは部活でおなか空いてんだから」
「ダイエットとかはいいのかよ」

こいつ痛いところを突いてきやがる。

「うっさい、そんじゃ一口頂戴」
「・・・わかった、そんじゃ一口な」

そういうと京介は、スプーンにプリンを乗せて差し出す。あたしがそれを口に入れると口
の中にプリンの甘さが広がる。

「んー、おいしい」
「まったく、食い意地がはってやがる」

京介はそう言いながら、今度は自分の口にプリンを運ぶ。
何か一口じゃ物足りないな。あたしはそう感じて

「あっ、今度はそっちのカラメルソースのところ頂戴」
「一口じゃなかったのかよ」
「うっさいな、別にいいでしょ」
「まったくわかったよ」

京介は文句を言いながらも、カラメルソースの部分を取って、あたしに差し出す。あたし
は、またそれを口に入れる。今度は口の中にプリンの甘さとカラメルソースのほろ苦さが
広がる。

んー、幸せを感じる。

結局、あたしは京介に何度もお願いしてプリンを食べさせてもらう。プリンはあっという
間に空になってしまった。

「ああぁ、結局俺半分しか食べてないよ」
「いいじゃん、こんなかわいい妹にお願いされてるんだから、ありがたく思いなさいよ。」
「食い意地もはってるけどな」
「うるさいな、まぁかわいいのは認めてくれるんだ」
「・・・まぁ可愛いのは認める」
「このシスコン」

あたしはそう言うと、京介に可愛いって言ってもらえたのがうれしくて、ちょっと恥ずか
しくなってしまう。
でも・・・・・

「あああああああああああああああああああああああああああああああ」

あたしは、空いたプリンの容器を見てとんでもないことに気づいてしまう。

「いきなり、大声あげてどうした」
「あっ、なぁ、スススス、スプーンが1つしかない」
「ん、何言ってんだよ、俺が食ってるときに来たんだから当たり前だろ」
「あた、あた、あたしと同じスプーンで食べてたってこと?」
「あっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

京介もあたしと同じ結論にたどり着いたのだろうか、何ともばつの悪そうな顔をしている。
もう、恥ずかしすぎて死にそうだ。いや、別に嫌じゃないんだけど・・・

「あんたと、かっ、間接キスを・・・」
「・・・いや、まぁ・・・その兄妹なんだし・・・」

京介も混乱しているのか明らかに挙動不審である。

「せ、責任とりなさいよ」
「いや、いきなり責任取れって言われても・・・」
「ちゃんとキ、キ、キ・・・・・」
「キ?」
「・・・キモ、ばっ、罰として日曜日に買い物の荷物持ち!いいわね」
「えっ?そんなんでいいの?」
「うっさい、約束だかんね、このシスコン。あたしの寛大な心に感謝することね」

あたしは京介と顔をあわせているのが恥ずかしくなって、急いで自分の部屋に向かったの
であった。






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最終更新:2011年09月26日 21:59