95 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/09/29(木) 21:01:40.01 ID:I+pV2wnq0 [3/8]
タイトル:京介のベッド

俺は目覚ましの音で目を覚ました。

「もう朝か・・・」

ゆっくりと体を起こし机の上の目覚ましを止めようとする。しかし腰に何か巻きついてい
るような感じがして、体を自由に動かすことができない。
布団を捲ってみると、そこには俺の腰をしっかりと掴んで眠る桐乃の姿があった。

「またこいつは、俺の布団に潜り込みやがって」

最近、桐乃はよく俺の部屋に枕を持ってやってくるようになった。追い返してはいるのだ
が、俺が寝るのを見計らって布団の中に潜り込んでくる。
俺は桐乃を起こそうと肩を揺すった。

「ほら、朝だから起きろ」
「んー、そんなとこ触っちゃダメ・・・」
「どんな夢見てるんだ」
「まだ・・・心の準備が・・・」
「何を寝ぼけている、お・き・ろ」
「んーーー、あれ?お、おはよう」

やっと桐乃が目を覚ます。さっきの夢を思い出したのか腰に腕を回したまま、俺の胸に顔
を埋める。

「おまえ、どんな夢見てたんだ」
「うっさい、そんなのどうだっていいでしょ、変態」
「ほら、さっさと起きろ。腕を放してくれないと、目覚ましが止められない」
「やだ、お、おはようのチューしてくれないと離さない」
「お、おまえ、狭いベッドで添い寝だけでは飽き足らず、キスまでしろと・・・」
「別にいいじゃん、『兄妹』なんだし・・・」

そう言いながら、俺に向かって顔を突き出してくる。それを見ていると、無性に堪らなく
なった俺は、桐乃の肩を掴むとその口に・・・・・

「ぐほっ」

突然の激痛が俺の進撃を阻む。桐乃の拳が鳩尾にめり込んでいる。

「あああああ、あんたなんてことしようとするの、変態」
「だっておまえがキスしてっていったから」
「だからって、くくっ口にしようとしなくても」
「え?そういう意味じゃないのかよ」
「『兄妹』なら、普通、お、おでことか、ほっぺたでしょ」
「いや、普通の『兄妹』ならこんな狭いベッドで添い寝とかしないし、いいのかなと」
「・・・キモ、そういうのはもっと・・・ムー・・・を考え・・・バカ」

桐乃が何かごにょごにょと言っていてよく聞き取れない。

「よく聞こえないんだが」
「うっさい、そんなに狭いからって添い寝できないってなら考えがある。みてなさい」

桐乃は怒って部屋を出て行ってしまった。
なんだあいつ・・・・・・・。

夕方、学校から帰ると、桐乃がリビングから出てきたところでだった。

「あっ、おかえり」
「ただいま、桐乃」
「あっ、そうだ、あんたのベッド新しいのにしておいたから」
「はぁ?」

俺は階段を駆け上がり、自分の部屋のドアを開けた。部屋には今までのベッドの代わりに
ふかふかのマットレスが敷き詰めてあるダブルベッドが置いてあった。
そして俺の枕の隣には・・・・

「・・・・・・・・」
「どう、ふかふかのベッドだね、いいね、あたしに感謝しなさい」

俺の後ろにいた桐乃が自慢げに言う。

「あ、いや、ふかふかのベッドにしてくれたことは感謝しよう。まぁダブルベッドである
こともこの際目を瞑ろう。だが、なんで俺の枕の隣におまえの枕が置いてある」
「何でって、あたしが買ったベッドなんだから、あたしも使うからに決まってるじゃない」

そう言いながら、桐乃は部屋に入るとベッドに腰掛ける。

「添い寝前提で、選んでるわけですか・・・・」
「あんたが狭くて添い寝できないって嘆いてたから、しょうがなくあたしが考えてあげた
わけよ。感謝しなさいよね」
「いや今の話も捏造されてるが、それ以前にどこに感謝する要素が・・・・」
「あんたシスコンだから、可愛い妹が毎日添い寝してあげるってとこ」
「ああ、俺はシスコンだ、妹が超好きだ。愛していると言ってもいい。もちろんおまえの
ことも世界一可愛いと思っている。だが、どうしてそんな結論になる」
「・・・マジキモい、そんなにイヤなら、あんたは床に寝なさい」
「それだけは勘弁してくれ・・・・・」

そのまま、俺は床にへたり込んでしまう。
ふと顔を上げると、桐乃のパン・・・いや、ベッドの下が異様に狭いことに気づく。あれ
ここには確か・・・・・

「なあ桐乃、添い寝は健全な『兄妹』の行為として認めよう。しかしベッドの下のものは
どうした」
「あっ、あれね・・・・不健全だから捨てた」
「あの・・・・不健全って俺、高校生だし・・・普通じゃ・・・・」
「うっさい、シスコンのあんたにはこれあげる」

そう言って、桐乃は1冊の本を俺に渡した。その本は、妹もののエロ本だった。
これどこで買ったんだよ・・・・

「俺にこれでどうしろと・・・・・」
「それ見てれば、あんたの欲求不満も解消されて、あたしが襲われなくなるしょ」

いや、『絶対逆だ!』とツッコミを入れたかったが、もはや気力がなかった。

その夜、俺は桐乃と一緒に新しいベッドで寝た。理性がいつまで保てるか不安だ。
朝起きると、結局桐乃は俺の腰に抱きついて眠っていた。

「まったく、広くした意味ないじゃないか」

俺はそう言いながら、桐乃の髪を撫でる。ふと見ると、机の上の携帯にメールが来ている
ようだった。桐乃を起こさないように体をずらしながら携帯を取るとメールを確認した。

『お兄さん、ベッドの下が狭くて入れません。ひどい死んじゃえぇぇぇぇぇぇ』






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最終更新:2011年09月30日 20:14