55 名前:【SS】人形供養祭 1/3[sage] 投稿日:2011/10/14(金) 18:23:32.60 ID:meH+PXJp0 [4/7]
桐乃「ねえ、あんた最近勝手にあたしの部屋に入ったりしてない?」
京介「え?
し、してねえぞ?」
桐乃「ほんと?」ジー
京介「たまーになら……」
桐乃「やっぱり入ってるんじゃん!」
京介「ほんとに偶にだ!
おまえに用があってノックしても返事がないときに本当にいないか覗いたり、
いつの間にかクローゼットに置かれてたエロゲを戻したりな!
おまえが勝手に俺の部屋に入る回数の半分にも満たねえよ」
桐乃「半分……やっぱり頻繁に入ってきてるんじゃん」ボソ
京介「ん?今何か言ったか?」
桐乃「なにも?
それでさ、あんたがあたしの部屋に入ってきた時、部屋のもの勝手に動かしたりしてないよね?」
京介「俺がなんか盗ったりしてないか疑ってるのか?
俺はおまえの部屋を覗くことはあっても、踏み入ることはほとんどないぜ?」
桐乃「そうじゃないんだけど……
このタコのぬいぐるみ見覚えあるよね?」ヒョイ
京介「おまえの部屋にあるヤツだろ?」
桐乃「うん。
前はベッドに置いておいたんだけど、この間ふもふもメルルを買ってベッドに置いてるから、代わりに出窓の方に移したの」
京介「それがどうかしたのか?」
桐乃「出窓に移したんだけどさ、学校から帰ってくるとベッドの上に戻ってることがあるの。
メルルを押しのける感じで。あんた何もしてない?」
京介「俺は触ってないが……お袋じゃないか?」
桐乃「お母さんには確認したけど、ベッドメイクした後はもとの位置に戻してるって」
京介「そうか……
まさか、勝手に動いてるとか……」
桐乃「うっ。やっぱりそうなのかなぁ……
大事にしたものには命が宿るって言うし……」
京介「あのぬいぐるみ、ずっと前からあるもんな。
お気に入りなのか?」
桐乃「うん」
桐乃(……あんたに貰ったモノだしね)
京介「……怖いなら神社に行くか?
今日は確か人形供養祭だから、供養してくれると思うぞ」
桐乃「そうだね……供養してもらうかどうかはともかくとして、行ってみよっか。
……あんたが言い出したんだから、あんたもついてきなさいよね」
京介「ああ。元からついて行くつもりだよ。
……そういえば俺のパンツも時々無くなるんだが」
桐乃「あ、あんたのパンツにも命が宿ってるんじゃない?」ドキドキ
あやせ「桐乃、お兄さん!」
加奈子「桐乃に京介じゃん。ちーっす」
桐乃「あやせ、こんなところで何してるの?」
あやせ「人形のお炊き上げに来たんだ。
ほら、これ」スッ
桐乃「この人形、あやせにそっくりだね」
あやせ「うん。毎年お母さんが作ってくれてるんだ」
桐乃「よくできてるんだから、記念に残してとけばいいのに」
あやせ「昔はそうしてたんだけど、ここ何年かの人形はこの時期になるとおかしいの」
桐乃「おかしい?」
あやせ「うん。気がついたらベッドの下に移動してたり、手錠の近くに移動してたり……
怖くなったから供養してもらってるの」
京介「へ、へぇー」
あやせ「人形の目が濁ってきたらアブないかな?」
京桐「「…………」」
56 名前:【SS】人形供養祭 2/3[sage] 投稿日:2011/10/14(金) 18:23:54.65 ID:meH+PXJp0 [5/7]
桐乃「加奈子は?」
加奈子「加奈子はコレ」ガサ
京介「メルルのフィギュアとかぬいぐるみか」
桐乃(うわ!レアフィギュアばっかじゃん!
あのでかふもメルルとか、チョー欲しかったんだよね)
加奈子「加奈子ぉ、ファンからしょっちゅうこういうの送られてきて困ってるんだよね。
そのまま捨てたら呪われそうだしぃ、こうやって供養してやろうって考えたワケ」
桐乃(捨てるなんて勿体なすぎるんだけど!
ねぇ、なんとかならない?)チラ
京介(……仕方ねえな)フゥ
京介「なあ加奈子、その人形くれないか?」
加奈子「京介がロリコンなのは知ってたけどヨ、さすがに人形に欲情するのはマズいんじゃね?
それとも、京介ってオタクなん?」
京介「そうじゃねえよ。
俺はおまえのファン第一号だろ?
だからおまえのグッズを手元においておきたいんだよ」キラッ
加奈子「……これはメルルのグッズだし」
京介「でも、見た目はおまえにそっくりだろ?
おまえとずっと一緒にいることはできないから、せめておまえによく似た人形をって思ってな」キラキラッ
加奈子「~~~!!」
桐あ「「…………」」イライラ
加奈子「そういうことならプレゼントしてやんヨ。
加奈子だと思って、ちゃんと大事にしろよな」ズイ
京介「おうよ!」パシ
加奈子「……なあ、京介」
京介「なんだ?」
加奈子「愛してるよん♪」
京介「へいへい」ナデナデ
加奈子「えへへー」
桐あ「「」」プチ
あやせ「ねえ加奈子。
あっちで埋葬式のお祓いやってるんだって。
一緒に見に行かない?」
加奈子「加奈子、もう用事ねえんだけど」
あやせ「わたしの人形を供養したら、一緒にスィーツでも食べに行こうか」
加奈子「あやせにしては気が効くじゃん。
もちろんあやせの奢りだかんな」
あやせ「はいはい」スタスタ
桐乃「……行っちゃったね」
京介「ああ。加奈子の何が気に入らなかったのかは知らんが、ちゃんと成仏してくれよ」
桐乃「たぶん、あんたのせいなんだけど」
京介「なんでだ?
今さら桐乃にメルルのフィギュアが渡るのを嫌がるとは思えねえんだが」
桐乃「別にいいよ、気にしなくて。
それより、あたしたちも行こ」
京介「そうだな。
って、アレ?」
桐乃「どうかしたの?」
京介「いや、タコのぬいぐるみなんだが……どこかに行っちまった」
桐乃「ハァ!?
家を出る時には持ってたよね?どこかで落としたの?」
京介「いや、あやせ達と会う前、神社の手前で確認した時にはキチンとあったんだが……
一体どこに行っちまったんだ?」
桐乃「もう、あたしも手伝うから、あたりを探してみよ」
京介「そうだな」
57 名前:【SS】人形供養祭 3/3[sage] 投稿日:2011/10/14(金) 18:24:18.10 ID:meH+PXJp0 [6/7]
桐乃「結局見つからなかったね」
京介「そうだな。
……すまねえな。おまえが大事にしてたぬいぐるみ無くしちまって」
桐乃「気にしなくていいって。
あんたのおかげでメルルのフィギュアとかぬいぐるみが手に入ったしね」
京介「そう言ってもらえるとちょっとは楽になるよ」
ガチャ
桐乃「え?」
京介「どうした、桐乃?」
桐乃「あれ……」
京介「うぉぉぉ!
ベッドの上にタコのぬいぐるみが戻ってやがる!
まさか、このタコ一人で家に帰ってきたのか?」
桐乃「やっぱり、勝手に動いてたってこと?」
京介「実際に見たわけじゃねえから、なんとも言えねえ。
……なあ、桐乃。
このタコのぬいぐるみは毎回あそこに戻ってたのか?」
桐乃「うん。あのハートのぬいぐるみの隣」
京介「そうか……
もしかしたらこのタコ、あのハートと一緒にいたいんじゃないか?」
桐乃「え?」
京介「ハートのぬいぐるみもずっと前から持ってただろ?」
桐乃「うん。いつも隣に置いてた」
京介「ずっと一緒にいたから、離れたくねえんだよ」
桐乃「……そうかもね。
兄妹みたいにずっと一緒にいたんだもん。
いきなり離れ離れになったら寂しいか。
ごめんね」ナデナデ
タコ「…………」
桐乃「これからは妹ちゃんとずっと一緒にいさせてあげるからね」ダキッ
京介「おいおい、何時からこいつらは兄妹になったんだ?」
桐乃「いいでしょ?
この子は妹思いで、離れても一人で家に帰ってきちゃうくらいシスコンなの!
ね、キョウスケ!」ギュッ
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最終更新:2011年10月15日 19:58