33 名前:【SS】新聞広告 1/2[sage] 投稿日:2011/10/20(木) 20:22:12.86 ID:nZhUPQVX0 [5/7]
あやせ「今日は『新聞広告の日』です。
     そういうわけで、お兄さんにはこの間の新聞広告についてお聞きしたいことがあります」
京介「急に呼び出すから何かと思えば……
   この間の新聞広告と言うとマツダのアレか?」
あやせ「はい。お兄さんが全国に自分のアブノーマルな性癖をカミングアウトしたあの件です」
京介「アブノーマルな性癖のカミングアウトなんかしてねえよ!
   大体あれは全国じゃなくて千葉限定だろ?」
あやせ「お兄さんは甘いですね。
     一度広告に載ってしまったんですから、今ではもうネットで画像検索するとヒットしちゃいますよ」
京介「マジかよ……」
あやせ「それで、何故お兄さんが妹を性的な目で見る変態シスコン野郎だとカミングアウトしたのか知りたいんですが。
     そもそも、どうしてお兄さんなんかがモデルになれたんですか?」
京介「なんかってのはひどくないか?」
京介(変態じゃないと誤解を解きたいが、それはできねえんだよな。
   ……もしかして返答如何によっては埋められちまうのか?)
あやせ「安心してください、お兄さん。
     寂しくないように、隣に加奈子を埋めてあげますから」
京介「まったく安心できねえ!?」
あやせ「イヤなら、ちゃんとわたしが納得できる理由を言ってください」
京介「あやせ、おまえ誤解してるぜ。俺は別に妹が大好きだと公言したわけじゃないからな。
   ほら、ちょっと前に桐乃がマツダのモデルをしただろ?」
あやせ「はい。わたしも桐乃の活躍を見たかったんですけど、残念ながらあの日は仕事があって行けませんでした……」
京介「その時、俺も偶然現場に居合わせたんだが、美咲さんとマツダの人に見つかってな。
   そこでスカウトされたんだよ」
あやせ「お兄さんなんかをスカウト?
     どんなやり取りをしたんですか?」
京介「俺はもう18だろ?
   だから美咲さんにどんな車に乗りたいか聞かれたんだよ」
あやせ「なんて答えたんですか?」
京介「『せっかくだから妹を広告モデルに採用した千葉マツダを選ぶぜ!』」
あやせ「誤解も何も、ハッキリキッパリと言ってるじゃないですかぁぁぁ!!」

ドグシャ!

京介「ひでぶっ!」
あやせ「お兄さん、とうとう初対面の人にまで自分の変態性をアピールするようになりましたか」
京介「だから誤解だって!
   その場にマツダの人がいたんだから、ホンダとかトヨタとか言えねえだろ?
   理由を聞かれても特に思いつかなかったから、こう言っただけだ!」
あやせ「思いつかなかったからといって、その理由を選ぶのはどうかと思いますけど……」
京介「でもあやせもマツダを選んじまうだろ?」
あやせ「う……確かに桐乃を大々的に採用して下さったマツダさんを選ぶと思います。
     はぁ、仕方がありません。今回は目をつぶってあげますね」
京介「助かった……」
あやせ「埋めるのは加奈子だけにします」
京介「加奈子は埋めるの!?」
あやせ「それで、どうなったんですか?」
京介「加奈子の生死がスルーされた……
   まあいいか。
   それで、俺の答えを聞いた美咲さんとマツダの人が妙にツボに入ったらしくてな、後日俺を使うことに決まっちまったんだよ」
あやせ「そんな理由があったんですか……」

34 名前:【SS】新聞広告 2/2[sage] 投稿日:2011/10/20(木) 20:22:35.30 ID:nZhUPQVX0 [6/7]

京介「……なあ、あやせ」
あやせ「なんですか?」
京介「モデルって大変なんだな。今回の件でよくわかったよ。
   桐乃もあやせもすごいんだな。マジで尊敬するぜ」
あやせ「~~~!
     も、もう!
     褒めても何も出ませんよ?」
京介「前にあやせがモデルデビューしたての頃、桐乃にずいぶん世話になったって言ってたけどよ、
   そのありがたみがよくわかったわ」
あやせ「桐乃、本当に面倒見がいいですよね!
     わたしも初めは何度も助けられちゃって……今でも時々助けられてますけどね。
     わたしもいつか桐乃を助けられるようになりたいです」
京介「桐乃も結構あやせに助けられてると思うぜ。
   桐乃からよくあやせの話を聞くしな。
   これからも桐乃と仲良くやってくれよな」
あやせ「言われなくても、わたしと桐乃の仲は永遠です!
     ……でも、そう言ってもらえると嬉しいです。
     それで、お兄さんも桐乃に助けられたんですか?」
京介「ああ。撮影前に緊張しちまってガチガチになって何もわからなくなった時にな」
あやせ「わたしも初めはそうでした。
     あの時桐乃に助けてもらったことは、絶対に忘れません」
京介「俺もそうだよ。
   桐乃が俺を胸元に抱きしめて、
   『あんたがどれだけ情けなく写ったとしても、絶対に笑わないから。
    広告を見てバカにするやつがいても、そいつらに『そいつはあたしの自慢の兄貴だ』て胸を張って言えるから』
   てな。
   マジで泣きそうになるくらい嬉しかった」
あやせ「…………」
京介「ま、出来上がったのはこんな間抜けな広告だったけどな」
あやせ「……確かにお兄さんの顔は間抜け面だと思いますけど」
京介「ヒドっ!」
あやせ「でも、この広告は悪くないと思いますよ」
京介「……そっか。
   それにしても、あやせもよくああしてもらってるのか?」
あやせ「なんのことです?」
京介「桐乃に何度もああやって抱かれたことがあるんだろ?
   桐乃が後で言ってたぜ。
   『勘違いしないでね。これはあやせが緊張してる時にもやってることだから』てな」
あやせ「……ええ。よくやってもらってますよ」
京介「そうか。桐乃にああしてもらえるなら、俺もモデルに―」ブツブツ
あやせ「…………」

・・・・・・後日、読者モデルの撮影にて・・・・・・

あやせ「ねえ桐乃……ちょっと緊張してきちゃった」
桐乃「あやせが緊張?久し振りだね」
あやせ「うん。それで緊張をほぐして欲しいんだけど……」
桐乃「何すればいい?」
あやせ「『前してくれたみたいに』ギュッとして?」
桐乃「前したみたいに?」
あやせ「うん。『わたしが緊張してる時にもやってること』でしょ?」ニコ
桐乃(京介のヤツ、あやせに喋ったな!?)
桐乃「そ、そうだったね!
   これでいい?」ギュッ
あやせ「えへへ~」
あやせ(温かくて、柔らかくて、いい匂いがして……やっぱり桐乃は最高です!)




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最終更新:2011年10月22日 23:44