673 名前:ジングルベルを鳴らすのは【SS】[sage] 投稿日:2011/10/25(火) 01:25:35.76 ID:WPIa4oDXO
2ヶ月のフライングですが、何か書きたかったので……

「ふう……やっと終わったあ」
「それはこっちのセリフよ、桐乃」
あたしはお母さんと学校の門を出るところ。長い長い三者面談が終わったのだった。これであたしの目指す道はほぼ決まったって感じかな


えっ、どんな進路かって? それはまだ秘密。だいたい、あいつにもまだ話してないし。
そう言えば、京介は無事に買えたんだろうか、ゲームを……

※※※
『妹はサンタクロース』
「世界サンタクロース連盟日本支局東京支部秋葉原出張所」に住み込むことになった主人公と妹たちが織り成すゲームなの。
発売がなんと、クリスマスイブの午後3時! 公式サイトいわく
「サンタだから3時というのと、家に帰ってからイブのひとときを一人楽しくゲームで楽しめるように」だって
ご心配なく、あたしは一人じゃないし。ちゃんとゲームやるのに付き合ってくれる奴がいるから!!
ま、まあそれはともかく、三者面談やその他諸々の事情により、あいつに購入を頼んだわけなんだ。

※※※
リビングから外を見ると、雪が降りはじめてた。
「京介遅いわね、どこで道草くってるのかしら」
「きっともうじき帰ってくると思うよ」
「まったく、せっかくのイブなんだから、腕によりをかけて料理作ってるのにねえ」
テレビはクリスマス一色の内容。それを見ているうちに何だろう、なんだか胸騒ぎがしてきた。居てもたっても居られず、あたしは言った


「ちょっと出掛けてくるね」
「ん、どこへ?」
「ちょっとコンビニまでね。すぐ戻るから」
「わかったわ。そうそう、京介には『大事な妹に風邪うつすんじゃないわよ。温かいカレーが待ってるから』って伝えといてね♪」

※※※
まったく、シスコン拗らせまくってるからお母さんにバレバレじゃん、あのバカ兄貴!!
…まあ、あたしもひとのことはとやかく言えないか。

あいつのことが、好きだから……

クリスマス・イブなんだし、早くあいつに会いたい
早くあいつとご飯食べたい
そしてあいつと目一杯ゲームをして、それから、それから……

そうだ、あいつにご褒美を用意しないとね。何にしようかな……

※※※
コンビニは思いの外混んでて、あいつが知らせてきた電車の到着時間までわずかしかない。あたしは駅の雑踏の中を駆ける。
どうにか間に合った。弾む息を抑えながら、あいつが改札から出てくるのを待つ。

「おかえり」
「なんだ桐乃、わざわざ迎えに来てくれたのか?」
「ちょっとコンビニに行ったついでだし…別に、早くゲームを見たかったとか、早くあんたに会いたかったとか、そんなんじゃないし…」
「何言ってるのか聞こえないぞ。まあありがとな。何か雪が降ってきたし、助かった」
「はいコレ」
あたしはあいつに紙袋を突き出す。
「なんだこれは?」
「寒かっただろうから。さっき買ってきたばかりの肉まん。これで温かくなるでしょ」
「おう、ありがとな桐乃」
「それから、それから……」
「何だ、まだプレゼントがあるのか?」

「……大好きだよ 京介 メリークリスマス♪」

チュッ!

「今夜はずっとずっと一緒に過ごすんだからね 京介♪」




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最終更新:2011年10月25日 21:30