102 名前:【SS】匂いと温もりと[sage] 投稿日:2011/11/02(水) 09:02:16.26 ID:o7ODJzKoP [3/6]
今日はいい匂いの日なんだとか
前スレにあった結婚したくなるコピペ集をもじったやつにも影響受けて
化学反応起こした結果こんなものが出来上がった
朝から何やってんだかという突っ込みは無しの方向でお願いします
と言うことで以下SS投下↓
「ん・・・・・・トイレ・・・・・・」
とある夜中に、あたしはそんな感じで目を覚ました。
眠い目を無理矢理開けながら、あたしは身を起こそうとする。
けれどまるで何かにガッチリと固定されてるように身じろぎ程度の動きしか出来なかった。
なんだろうとぼやけた視界をハッキリさせていくと、目の前にはあたしを抱きしめる京介の姿が。
ああ、そういえば昨日も『お仕事』頼んだったんだっけ。
眠り始めはいつも渋るくせに、一度眠ってしまえばあたしを離そうとしないあたりコイツも素直じゃないよね。
ま、あたしもお仕事だって言い繕ってるあたり素直じゃないのはお互い様か。
お互い、本心はバレバレなんだろうケド。
あたしは京介の腕をほどいてベッドから抜け出した。
うー、早くいってこよ。寒いし。眠いし。あんまり長く離れたくないし。
部屋から出たあたしは、起きた本来の目的を果たすべくトントントンと階段を下りていったのだった。
トイレを済まして部屋に戻ってみると、なんか布団がもぞもぞと動いてた。
ベッドに近付いてみてみると、京介が眠ったまま何かを探すように手をごそごそとあたりをまさぐっていた。
一体コイツは何をやってるんだろうか。起きてるわけじゃないみたいなのに、なんかしかめっ面しちゃってるんですケド。
なんか変な夢でも見てんのかな。と、そこまで考えて、一つの可能性に思い当った。
コイツもしかして・・・・・・あたしのこと探してんの?
「プッ」
思わず笑ってしまった。
だってさ~、しょうがないじゃん。こんなの我慢できないって!
あたしが傍からいなくなっただけでこんな風になるとかどんだけシスコンなのよ。
そんなことを考えてる間にも京介の手はあたりを探るのをやめようとしない。
しまいにはだんだんと泣き顔になってきたからしょうがないな~と布団に潜り込んだ。
そうした途端、手探りをしていた手があたしをしっかりと掴んで、京介のほうへと引き寄せられる。
103 名前:【SS】匂いと温もりと 2/2[sage] 投稿日:2011/11/02(水) 09:02:49.83 ID:o7ODJzKoP [4/6]
「んぅ・・・・・・ふぁ・・・」
そのまま京介の胸に抱きすくめられて、あたしは吐息を漏らした。
実はあたしはこの抱きしめられる瞬間がたまらなく好きだったりする。
京介の温もりと匂いに包まれて、京介が自分の傍にいることを実感できるからだ。
あやせと絶交しそうになったのを助けてくれて、遠く離れたアメリカまで迎えに来てくれて。
引き返せなくなるようなバカをやったあたしを、引き止めてくれた。
そんな誰よりも何よりも安心できる匂い。離したくない温もり。それが今、ここにある。
「き・・・りの・・・・・・」
耳に響くその声に顔を上げる。
そこにはさっきまでの泣きそうな顔じゃなく、安心しきった穏やかな表情をした顔があった。
間抜けな顔しちゃって。さっきまで泣きそうだったクセに。
心の中でちょっとした文句を言いつつ、京介の体に自分の腕を回してしっかりと抱きついた。
「もう、絶対にあんたを離さないから。だからあんたも、あたしを離さないでよね」
小さく、でもはっきりと。自分の気持ちを声にする。
するとまるで、それに答えるかのようにあたしをぎゅっと抱きしめる力が強まった。
「京介?」
もしかして起きちゃった?
そう思ってもう一度京介の顔を見るが、京介は眠ったまま起きた様子はない。
「・・・・・・バーカ」
京介の胸に顔を寄せる。
暖かな温もり。大好きな匂い。
そんな何よりも大切なものに包まれながら目をつむる。
「おやすみ。京介」
そうしてあたしは、京介の腕の中でやわらかな眠りへと落ちていったのだった。
-END-
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最終更新:2011年11月03日 07:59